2005年09月
2005年09月30日
ポストハーベスト農薬とは?
栽培中に使用する農薬に対して収穫後の農産物の腐敗や発芽防止、虫食いなどを防ぐ殺虫を目的とする農薬を「ポストハーベスト農薬」と呼んでいる。1980年代後半にアメリカ産の冷凍ポテトからジャガイモの発芽防止を目的とするクロルプロファムという農薬、レモンのかび防止剤であるイマザリル、バナナの殺菌剤ベノミルなどが知られている。日本でポストハーベスト農薬の残留基準が設定されたのは1990年台のはじめである。この種の農薬を使わぬに越したことはないが、その場合の消費者が負担するべきコストも合わせて議論する必要がある。
最新暮らしの中の環境問題Q&A―水・空気・食品・生活・健康
最新暮らしの中の環境問題Q&A―水・空気・食品・生活・健康
2005年09月29日
農薬野菜の一日許容摂取量(ADI)の決め方
一日許容摂取量(ADI)の定義は「食品添加物や農薬などの化学物質を一生涯(70年と決めている)にわたって毎日摂取摂取しても健康に悪影響が及ばない最大摂取量」である。ADIを決めるには、対象化学物質を実験動物に毎日一定量を与えて、急性毒性、慢性毒性、発がん性、繁殖性、催奇形性、変異原性、代謝試験などの試験を実施する。各試験ごとに有害性を確認し、投与した化学物質が示さない量を定める。実験動物としては代謝などがヒトと似ているラット、マウス、イヌ、ウサギが使われる。実験動物とヒトの違いを想定して安全係数を掛ける。安全係数としては通常100分の1を掛けて厳しくする。また、発がん性物質は毒性と異なり単純な定量的議論が当てはまらないので、1000分の1、3000の1とする場合がある。
残留農薬基準の決め方
対象とする農薬を決められた手順で使い、収穫した農作物に残留している農薬を測定し、その濃度を上回るように基準値を定めている。したがって、手順どおりに使用すれば基準値を上回ることはない。次に1日あたりの農薬摂取量を基準値を使い計算する。農作物の平均摂取量は国民栄養調査の結果を使用している。たとえば、米の摂取量は加工食品も含めて1日167gで、マラチオンという農薬の残留基準は0.1ppmであるので167×0.1×1/1000000で0.0167mgとなる。米以外にも小麦、大豆など132種類の農作物全てについて同様の計算をして合計するとマラチオンの最大摂取量は1日あたり0.8mgとなり、日本人の平均体重を50kgとして体重1kgあたり0.016mgとなる。この値は一日許容摂取量(ADI)として決められた値(0.02mg)と比較すると下回っており、上記の残留基準値(0.1ppm)を採用する。もし、上回ればいずれかの農作物の基準値を厳しく設定する。1990年代に残留農薬基準が逐次設定されてきたが、当初は26種の農薬にしか基準値がなかった。その後、国連基準に準じて161種類の農薬、約8000品目の農作物に基準値が設定されている。
最新暮らしの中の環境問題Q&A―水・空気・食品・生活・健康
残留農薬基準の決め方
対象とする農薬を決められた手順で使い、収穫した農作物に残留している農薬を測定し、その濃度を上回るように基準値を定めている。したがって、手順どおりに使用すれば基準値を上回ることはない。次に1日あたりの農薬摂取量を基準値を使い計算する。農作物の平均摂取量は国民栄養調査の結果を使用している。たとえば、米の摂取量は加工食品も含めて1日167gで、マラチオンという農薬の残留基準は0.1ppmであるので167×0.1×1/1000000で0.0167mgとなる。米以外にも小麦、大豆など132種類の農作物全てについて同様の計算をして合計するとマラチオンの最大摂取量は1日あたり0.8mgとなり、日本人の平均体重を50kgとして体重1kgあたり0.016mgとなる。この値は一日許容摂取量(ADI)として決められた値(0.02mg)と比較すると下回っており、上記の残留基準値(0.1ppm)を採用する。もし、上回ればいずれかの農作物の基準値を厳しく設定する。1990年代に残留農薬基準が逐次設定されてきたが、当初は26種の農薬にしか基準値がなかった。その後、国連基準に準じて161種類の農薬、約8000品目の農作物に基準値が設定されている。
最新暮らしの中の環境問題Q&A―水・空気・食品・生活・健康
2005年09月28日
農薬の毒性とは?
有機リン系やカルバメート系の農薬はアセチルコリンという神経伝達物質を分解する酵素の働きを妨げ呼吸障害を起こさせる。塩素系農薬にはアルドリンやディルドリンなどの神経の膜のイオン輸送を妨げるものが使われている。除草剤には光合成やエネルギー代謝を阻害するもの、ホルモン作用に影響を与えるもの、たんぱく質合成を阻害するものがある。殺菌剤はエネルギー代謝を阻害したりDNAや細胞壁の合成を妨げて細菌を死滅させる。これらの薬品は人の生理作用にも影響も及ぼす。毒性としては急性毒性、慢性毒性、特殊毒性がある。食品や水に残留した微量の農薬が発がん性や催奇形性の原因になるものが特殊毒性である。
最新暮らしの中の環境問題Q&A―水・空気・食品・生活・健康
最新暮らしの中の環境問題Q&A―水・空気・食品・生活・健康
2005年09月26日
住宅照明の省エネの経済性
住宅照明で蛍光灯の技術が進歩して、インバータ導入による高周波蛍光ランプは従来の白熱電球に比べて4分の1くらいの電力消費で同じ明るさが得られることは以前にもこのブログで紹介した。そのときに抜けていたのが経済性の問題である。そもそも地球温暖化のためのCO2削減と省エネ、さらにはコストの問題は同じレベルで論じるのは難しい。白熱電灯と高周波蛍光灯のコストを比較すると、前者は160円、後者は1600円として約10倍である。前者が60ワット、後者が15ワットとして、1日10時間点灯すると年間で約55kWhと220kWhの差であり、電気代がkWhあたり20円として、1100円と4400円の差があり、ランプのコストは約半年で回収できることになる。ここまでの話は、省エネと経済性は両立するが、ランプの点滅による寿命の劣化が問題であり、国民生活センターの試験によると5分点灯1分消灯すると寿命が数百時間短くなるという結果が得られている。結論として60分以内の点滅は不経済ということである。通常言われている「こまめに消灯しよう」という省エネ活動も経済性を考慮すると必ずしも勧められないということである。電気エネルギーの消費量では省エネであっても製品のライフサイクルでの消費エネルギーを考慮すると逆転することもあり得るということである。このことを一般消費者に意識して省エネしてくださいというのは無理な話で、メーカの製品開発段階で考慮するべき問題である。例えば、「トイレ用電球」とかの省エネ商品の開発が必要である。
岩船由美子:暮らしの中のエネルギー、電気学会、2001年
暮らしの中のエネルギー―環境にやさしい選択
岩船由美子:暮らしの中のエネルギー、電気学会、2001年
暮らしの中のエネルギー―環境にやさしい選択
2005年09月25日
残留農薬の実態
輸入農産物や畜産物に農薬が残留しているのではと心配する消費者が多いようである。1994年にオーストラリア産の牛肉からディルトリンという農薬が検出されて販売禁止になったことがある。ディルトリン、DDT、BHCなどの塩素系農薬は分解しにくく土壌が汚染されるので多くの国では禁止されているが、発展途上国ではマラリヤ汚染地域では蚊による伝染を防止するための殺虫剤として使用されている。東京都の94年の調査では、市場にある輸入農産物で農薬残留基準を超えていたのは473品目中1件のみで、ニュージランド産の柿からクロロピリホスという農薬が検出された事例があるだけである。わずかでも検出されたのは26%である。この率は国産の20%と比べてそれほど高くない。基準値が厳しく設定されていることも考慮すれば、輸入品というだけで拒絶反応を示す消費者が多いことを疑問に思う。価格や味覚で選べる時代になっていることを認識するほうが国際化時代の賢い消費者とも言える。
最新暮らしの中の環境問題Q&A―水・空気・食品・生活・健康
最新暮らしの中の環境問題Q&A―水・空気・食品・生活・健康