2009年05月
2009年05月31日
太陽電池もシリコン結晶と薄膜技術のハイブリッドで高性能化
5月28日付けの技術調査会のGマガで三洋電機が結晶シリコン系太陽電池セルの変換効率としては世界最高となる22.0%を記録したというニュースが紹介されている。
概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.三洋電機株式会社は、HIT太陽電池(Heterojunction with Intrinsic Thin layer:ヘテロ結合高機能薄膜)で、実用サイズ(100cm2以上)の変換効率としては世界最高となる22.0%を記録を研究レベルで達成し、従来の記録(21.8%)を超えた。僅か1%足らずの更新であるが、大面積の太陽光発電では大きな値になる。
2.三洋電機はクリーンエネルギー社会の実現を目指し、太陽電池事業を推進しており、昨年6月に「HIT太陽電池次世代プログラム」を進めている。2010年度に世界トップレベルの事業体となることを目指している。
3.HIT太陽電池は、三洋電機が開発した独自構造の太陽電池セルで、結晶シリコン基板とアモルファスシリコン薄膜を用いたハイブリッド型である。変換効率は公的認証機関である産業技術総合研究所において評価されるものである。
4.同社は太陽電池事業を05年度の3倍以上に拡大する戦略をたて、2010年度までに累計400億円以上を投資し、生産能力を600MW/年以上に増強し、2010年度までにHIT太陽電池のセル変換効率:22.0率以上を量産レベルでも達成することを目標にしている。
5.効率化を可能にした技術の内容は以下の通りである。
(1)単結晶シリコン(以下c-Si)基板とアモルファスシリコン(以下a-Si)層との界面を高品質化したことである。HIT太陽電池構造の特長は、発電層であるc-Si基板表面に高品質なa-Si層を積層することにより、電気の素であるキャリア(電荷)の再結合損失を低減できる。今回、c-Si表面の清浄性を従来以上に高める洗浄技術を開発し、a-Si層形成時のc-Si表面へのダメージを抑制する技術を開発した。キャリアの再結合損失を0.718Vから0.722Vへと改善した。。
(2)セル表面に到達した太陽光をセル表面のミクロンオーダーの凹凸により太陽電池セル内部に導き、有効利用する光閉じ込め技術が一般に利用されているが、今回、このミクロンオーダーの凹凸のサイズおよび形状を最適化することで光閉じ込め効果を改善し、短絡電流を38.37mA/cm2から38.64mA/cm2へと改善した。
概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.三洋電機株式会社は、HIT太陽電池(Heterojunction with Intrinsic Thin layer:ヘテロ結合高機能薄膜)で、実用サイズ(100cm2以上)の変換効率としては世界最高となる22.0%を記録を研究レベルで達成し、従来の記録(21.8%)を超えた。僅か1%足らずの更新であるが、大面積の太陽光発電では大きな値になる。
2.三洋電機はクリーンエネルギー社会の実現を目指し、太陽電池事業を推進しており、昨年6月に「HIT太陽電池次世代プログラム」を進めている。2010年度に世界トップレベルの事業体となることを目指している。
3.HIT太陽電池は、三洋電機が開発した独自構造の太陽電池セルで、結晶シリコン基板とアモルファスシリコン薄膜を用いたハイブリッド型である。変換効率は公的認証機関である産業技術総合研究所において評価されるものである。
4.同社は太陽電池事業を05年度の3倍以上に拡大する戦略をたて、2010年度までに累計400億円以上を投資し、生産能力を600MW/年以上に増強し、2010年度までにHIT太陽電池のセル変換効率:22.0率以上を量産レベルでも達成することを目標にしている。
5.効率化を可能にした技術の内容は以下の通りである。
(1)単結晶シリコン(以下c-Si)基板とアモルファスシリコン(以下a-Si)層との界面を高品質化したことである。HIT太陽電池構造の特長は、発電層であるc-Si基板表面に高品質なa-Si層を積層することにより、電気の素であるキャリア(電荷)の再結合損失を低減できる。今回、c-Si表面の清浄性を従来以上に高める洗浄技術を開発し、a-Si層形成時のc-Si表面へのダメージを抑制する技術を開発した。キャリアの再結合損失を0.718Vから0.722Vへと改善した。。
(2)セル表面に到達した太陽光をセル表面のミクロンオーダーの凹凸により太陽電池セル内部に導き、有効利用する光閉じ込め技術が一般に利用されているが、今回、このミクロンオーダーの凹凸のサイズおよび形状を最適化することで光閉じ込め効果を改善し、短絡電流を38.37mA/cm2から38.64mA/cm2へと改善した。
これからのビジネスパーソンの自衛手段とは
5月29日付けの大前研一さんのニュースの視点は「GDP成長率、戦後最悪の下落と日本企業の「アメリカ化」という標題の記事で、副題として「どこでも通用する人材を目指せ」が付いている。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.5月20日、内閣府が発表した2009年1−3月期の実質GDPの成長率は前期比4.0%減少、年率換算では15.2%の減少となり、戦後最悪の落ち込みとなったことが分かった。四半期ベースで前期比4.0%の減少というのは予測の範囲内であったが、、年率換算の下落幅は大前氏の予想を超える大幅な値である。
2.この数値は、OECDの各国の中でも例がない画期的な下落率である。日本の場合、一度不況に陥ると「身構える」のが早いためにこのような結果を招いている。この数年は輸出依存が強かったので、世界的な大不況によって輸出が冷え込んだ影響が強く出ていると言える。
3.実質GDPの需要項目と実額の推移を見ても、2008年のはじめまで民間最終消費などは緩やかに上昇している反面、純輸出(外需)が2009年になって急速に下落しているのが分かる。こうした状況の中で、企業は「削りやすいものから削る」という 方針の下、人員削減や給与の減額を実施し始めている。コスト削減施策は必要だと思うが、安直過ぎると懸念される。
4.かつてソニーの創業者の一人であった盛田昭夫氏は、日本の経営と米国の経営を比べて、米国のそれがダメな理由を明確に指摘してた。それは「四半期決算のことしか頭になく、短期的な視野でしか物事を見ていないこと」という点であった。今の日本企業の経営を見てみると、当時の盛田氏の指摘した米国の状況とほとんど変わらなくなってしまった。
5.「今は外需が大変だ」となると、判で押したように「国内で削れるものを削りましょう」という方針になっている。戦略的な思考を持って、今後の反転のためには今本当に何をするべきかを考えていると思えない。長期的な強さを手に入れるためには、今このタイミングで本当の意味での海外展開を図っておくべきだという結論に至る企業があってもよいが、そういう発想が見られない。四半期決算のことばかりに目を奪われて長期的な視野を見失ってしまったというのは、新型インフルエンザのように米国から感染してしまった病気と似ている。
6.日本経団連は5月20日、大手企業による夏のボーナスの1回目の集計結果を発表した。妥結額は前年比19.39%減の75万4009円。企業業績の急速な冷え込みから7年ぶりに前年よりも下回り、下落幅は過去最悪となった。また、厚生労働省が5月21日に発表した国民生活基礎調査によると、07年の1世帯当たりの平均所得額は前年比1.9%減の556万2000円で、1989年からの過去19年間で最低となった。
7.このような現状から、「日本の経済的なピークは90年代の半ばに終わった」と認識するべきである。日本は老大国であり、これから将来のほうが期待できるという
ことはまずあり得ない。今後、成長産業として期待できるのは介護産業や葬儀産業くらいのもので、その他の産業はこれまでよりも厳しい状況に置かれることになる。
8.この状況に追い討ちをかけているのが、不況に対応するために企業が打ち出している「コスト削減施策」である。今の日本企業は四半期決算に帳尻を合わせることしか頭にない。まず真っ先に削りやすいコストである「人」と「給料」に照準を合わせる。このような日本企業の体質について、大前氏の著書「心理経済学」や「ロウアーミドルの衝撃」でも指摘しているとおり、この事実を理解していない人が多い。
9.重要なことは、個人レベルでもこの状況に対応できるようにしておくことで、レイオフに備えて、どこに行っても通用する人材になるということである。「私の能力はこれです」と言えることが大切である。不要なものから削除するというコスト削減を考え始めると、ほとんどの場合には人員削減を避けては通れない。企業は必ずしも今必要ではないという人員も抱えている。そうした人たちがレイオフの対象となる。いざ就職活動を始めてもなかなか職が見つからないという状況になる。
10.日本の企業体質が変化してしまったという点も問題であるが、個人レベルでそれについて不平・不満を述べているだけでは結局自分の首を絞めてしまう。そのような状況にあっても対応できる人にならなくてはならない。しっかりと日本という国の将来像を見極めて、一人でも多くのビジネスパーソンが国内でも世界でも通用する「人材」になってくれることを願っている。
1.5月20日、内閣府が発表した2009年1−3月期の実質GDPの成長率は前期比4.0%減少、年率換算では15.2%の減少となり、戦後最悪の落ち込みとなったことが分かった。四半期ベースで前期比4.0%の減少というのは予測の範囲内であったが、、年率換算の下落幅は大前氏の予想を超える大幅な値である。
2.この数値は、OECDの各国の中でも例がない画期的な下落率である。日本の場合、一度不況に陥ると「身構える」のが早いためにこのような結果を招いている。この数年は輸出依存が強かったので、世界的な大不況によって輸出が冷え込んだ影響が強く出ていると言える。
3.実質GDPの需要項目と実額の推移を見ても、2008年のはじめまで民間最終消費などは緩やかに上昇している反面、純輸出(外需)が2009年になって急速に下落しているのが分かる。こうした状況の中で、企業は「削りやすいものから削る」という 方針の下、人員削減や給与の減額を実施し始めている。コスト削減施策は必要だと思うが、安直過ぎると懸念される。
4.かつてソニーの創業者の一人であった盛田昭夫氏は、日本の経営と米国の経営を比べて、米国のそれがダメな理由を明確に指摘してた。それは「四半期決算のことしか頭になく、短期的な視野でしか物事を見ていないこと」という点であった。今の日本企業の経営を見てみると、当時の盛田氏の指摘した米国の状況とほとんど変わらなくなってしまった。
5.「今は外需が大変だ」となると、判で押したように「国内で削れるものを削りましょう」という方針になっている。戦略的な思考を持って、今後の反転のためには今本当に何をするべきかを考えていると思えない。長期的な強さを手に入れるためには、今このタイミングで本当の意味での海外展開を図っておくべきだという結論に至る企業があってもよいが、そういう発想が見られない。四半期決算のことばかりに目を奪われて長期的な視野を見失ってしまったというのは、新型インフルエンザのように米国から感染してしまった病気と似ている。
6.日本経団連は5月20日、大手企業による夏のボーナスの1回目の集計結果を発表した。妥結額は前年比19.39%減の75万4009円。企業業績の急速な冷え込みから7年ぶりに前年よりも下回り、下落幅は過去最悪となった。また、厚生労働省が5月21日に発表した国民生活基礎調査によると、07年の1世帯当たりの平均所得額は前年比1.9%減の556万2000円で、1989年からの過去19年間で最低となった。
7.このような現状から、「日本の経済的なピークは90年代の半ばに終わった」と認識するべきである。日本は老大国であり、これから将来のほうが期待できるという
ことはまずあり得ない。今後、成長産業として期待できるのは介護産業や葬儀産業くらいのもので、その他の産業はこれまでよりも厳しい状況に置かれることになる。
8.この状況に追い討ちをかけているのが、不況に対応するために企業が打ち出している「コスト削減施策」である。今の日本企業は四半期決算に帳尻を合わせることしか頭にない。まず真っ先に削りやすいコストである「人」と「給料」に照準を合わせる。このような日本企業の体質について、大前氏の著書「心理経済学」や「ロウアーミドルの衝撃」でも指摘しているとおり、この事実を理解していない人が多い。
9.重要なことは、個人レベルでもこの状況に対応できるようにしておくことで、レイオフに備えて、どこに行っても通用する人材になるということである。「私の能力はこれです」と言えることが大切である。不要なものから削除するというコスト削減を考え始めると、ほとんどの場合には人員削減を避けては通れない。企業は必ずしも今必要ではないという人員も抱えている。そうした人たちがレイオフの対象となる。いざ就職活動を始めてもなかなか職が見つからないという状況になる。
10.日本の企業体質が変化してしまったという点も問題であるが、個人レベルでそれについて不平・不満を述べているだけでは結局自分の首を絞めてしまう。そのような状況にあっても対応できる人にならなくてはならない。しっかりと日本という国の将来像を見極めて、一人でも多くのビジネスパーソンが国内でも世界でも通用する「人材」になってくれることを願っている。
2009年05月29日
安価なリチウムイオン電池はハイブリッド車以外でも需要はある
5月18日付日経産業新聞には定置型のリチウムイオン電池の量産技術の記事が掲載されている。リチウムイオン電池は今、ハイブリッド車で注目されているが、定置型リチウムイオン電池の需要も見込まれている。概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.エリーパワー社は家庭や工場に備え付けで使う「定置型リチウムイオン電池」の量産技術を確立した。エリーパワー社はシャープや大和ハウス工業が出資する慶応大学発のベンチャー企業である。正極に使うリン酸鉄リチウムをアルミ箔に塗る速度を高めて、時間当たりの生産量を約20倍にした。全自動の製造ラインで連続的に生産できる。2009年に試作機を出し、2011年に量産を目指している。
2.電池の正極には安価で調達しやすいリン酸鉄リチウムを採用し、これを主成分に導電性や粘着性の高い樹脂を混ぜたものをアルミ箔に塗って正極をつくる。銅箔を炭素で被覆した負極と交互に積み重ねて蓄電容量を増やす。
3.同社は微細に加工した材料を素早く厚く塗る技術を機械メーカと共同で開発した。電極の層を重ねる工程を全自動化し生産スピードを20倍近く上げた。リン酸鉄は酸素と鉄が強く結びついており、火災が起きにくい特徴があるが、従来のリチウムイオン電池は正極に希少資源のコバルトやニッケルを使うことが多かったがコスト高の上に燃えやすいという欠点があった。
4. リン酸鉄リチウムを厚く塗ることで従来のコバルトのものと蓄電容量に劣らない性能が確保でき、1時間でフル充電ができる。
5.エリーパワー社は約40億円を投じて川崎市にリチウムイオン電池の量産工場を建設する計画である。2011年の本格稼動時には年間20万セルの生産を想定しているが、この量は家庭用に換算して2千軒分の電力に相当する。百万セルまで量産すると価格は1軒分で百万円以下になる。いまのところ5百万円くらいである。
1.エリーパワー社は家庭や工場に備え付けで使う「定置型リチウムイオン電池」の量産技術を確立した。エリーパワー社はシャープや大和ハウス工業が出資する慶応大学発のベンチャー企業である。正極に使うリン酸鉄リチウムをアルミ箔に塗る速度を高めて、時間当たりの生産量を約20倍にした。全自動の製造ラインで連続的に生産できる。2009年に試作機を出し、2011年に量産を目指している。
2.電池の正極には安価で調達しやすいリン酸鉄リチウムを採用し、これを主成分に導電性や粘着性の高い樹脂を混ぜたものをアルミ箔に塗って正極をつくる。銅箔を炭素で被覆した負極と交互に積み重ねて蓄電容量を増やす。
3.同社は微細に加工した材料を素早く厚く塗る技術を機械メーカと共同で開発した。電極の層を重ねる工程を全自動化し生産スピードを20倍近く上げた。リン酸鉄は酸素と鉄が強く結びついており、火災が起きにくい特徴があるが、従来のリチウムイオン電池は正極に希少資源のコバルトやニッケルを使うことが多かったがコスト高の上に燃えやすいという欠点があった。
4. リン酸鉄リチウムを厚く塗ることで従来のコバルトのものと蓄電容量に劣らない性能が確保でき、1時間でフル充電ができる。
5.エリーパワー社は約40億円を投じて川崎市にリチウムイオン電池の量産工場を建設する計画である。2011年の本格稼動時には年間20万セルの生産を想定しているが、この量は家庭用に換算して2千軒分の電力に相当する。百万セルまで量産すると価格は1軒分で百万円以下になる。いまのところ5百万円くらいである。
リチウム資源はどこにあるか?
5月18日付日経産業新聞の「注目!この素材」ではリチウムをとりあげている。
概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.電気自動車、ハイブリッド車などの環境対応車の市場がいよいよ本格化してきた。その技術のカギを握るのが動力源として最有力視されているリチウムイオン電池であるり、その原材料となるリチウムの需要も急拡大する。
2.現在、リチウム生産の4割は南米のチリに集中している。主要産地のアタカマ塩湖では現地企業のSQM社とドイツのケメタル現地法人が生産を独占している。残りは、中国やロシアなどで生産しているが埋蔵量で有望なのは南米である。しかし、政情不安定のために環境車の急速普及に伴い世界的なリチウム不足に陥る可能性もある。
3.そのために、ボリビアの国が注目されている。2008年からリチウム資源の国家的開発に乗り出している。同国のウユニ塩湖は埋蔵量が約540万トンで世界の全埋蔵量の半分になる。権益は国営企業のみが保有するが、調達方法により外国企業にとっても大きな事業となる。
4.ウユニ塩湖の場合に問題なのは、既存産地のものに比べてマグネシウムなどの他成分の濃度が高いので高度な分離技術が必要になる。同国政府は外国企業の技術支援を求めており、日本からは三菱商事と住友商事が大学との共同研究で名乗りを上げている。
5.日本以外に欧米、中国企業も本腰を入れて開発しており、リチウムイオン電池材料の争奪戦が激しくなることが予想される。
概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.電気自動車、ハイブリッド車などの環境対応車の市場がいよいよ本格化してきた。その技術のカギを握るのが動力源として最有力視されているリチウムイオン電池であるり、その原材料となるリチウムの需要も急拡大する。
2.現在、リチウム生産の4割は南米のチリに集中している。主要産地のアタカマ塩湖では現地企業のSQM社とドイツのケメタル現地法人が生産を独占している。残りは、中国やロシアなどで生産しているが埋蔵量で有望なのは南米である。しかし、政情不安定のために環境車の急速普及に伴い世界的なリチウム不足に陥る可能性もある。
3.そのために、ボリビアの国が注目されている。2008年からリチウム資源の国家的開発に乗り出している。同国のウユニ塩湖は埋蔵量が約540万トンで世界の全埋蔵量の半分になる。権益は国営企業のみが保有するが、調達方法により外国企業にとっても大きな事業となる。
4.ウユニ塩湖の場合に問題なのは、既存産地のものに比べてマグネシウムなどの他成分の濃度が高いので高度な分離技術が必要になる。同国政府は外国企業の技術支援を求めており、日本からは三菱商事と住友商事が大学との共同研究で名乗りを上げている。
5.日本以外に欧米、中国企業も本腰を入れて開発しており、リチウムイオン電池材料の争奪戦が激しくなることが予想される。
リチウムイオン電池は折り曲げ自在にもできるので用途は広い
5月18日付日経産業新聞に「超薄型で折り曲げ自在のリチウムイオン電池」の記事が目を引いた。概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.エス・ティー・マイクロエレクトロニクス社(東京・港区)は同社としては初めてのリチウムイオン電池の出荷を10月に始める。後発であるために、「超薄型で折り曲げ自在」という特長で売り出す。
2.同社の親会社は欧州のSTマイクロエレクトロニクス社が米国のフロントエッジテクノロジーから2月に調達したものである。シート型で折り曲げられるために用途が広い。例えば、電池駆動ICタグ、ネットワーク対応センサー、補聴器、健康管理端末などを提案している。
3.充放電時のイオンの電極間移動に必要な電解液にはリン酸リチウム(米国国立研究所で開発)を採用。電力は同容量の小型ボタン電池と比べて10−20倍高められ、15分以内の急速充電も可能である。
4.リチウムイオン電池の利点は非水系の電解液を使用するため、水の電気分解電圧を超える高い電圧が得られる。またエネルギー密度が高いのでノートパソコンなど携帯機器に多く使用されている。メモリー効果が小さいことも、継ぎ足し充電をする機器に適している。リチウムイオン二次電池の自己放電特性はニカド電池やニッケル水素電池より格段によい。
5.安全性確保のために充放電を監視する保護回路が必要である。過充電においては、負極側に金属リチウムが析出したり、正極の酸化状態が高まって危険な状態になる事がある。また、過放電で正極のコバルトが溶出したり、負極の集電体の銅が溶出してしまい二次電池として機能しなくなると同時に、電池の異常発熱があること、エネルギー密度が高いために短絡時には急激に過熱する危険性が大きいこと、電解液が有機溶剤であるために、これが揮発し、発火事故を起こす恐れがあること、などが一般的な欠点とされている。
1.エス・ティー・マイクロエレクトロニクス社(東京・港区)は同社としては初めてのリチウムイオン電池の出荷を10月に始める。後発であるために、「超薄型で折り曲げ自在」という特長で売り出す。
2.同社の親会社は欧州のSTマイクロエレクトロニクス社が米国のフロントエッジテクノロジーから2月に調達したものである。シート型で折り曲げられるために用途が広い。例えば、電池駆動ICタグ、ネットワーク対応センサー、補聴器、健康管理端末などを提案している。
3.充放電時のイオンの電極間移動に必要な電解液にはリン酸リチウム(米国国立研究所で開発)を採用。電力は同容量の小型ボタン電池と比べて10−20倍高められ、15分以内の急速充電も可能である。
4.リチウムイオン電池の利点は非水系の電解液を使用するため、水の電気分解電圧を超える高い電圧が得られる。またエネルギー密度が高いのでノートパソコンなど携帯機器に多く使用されている。メモリー効果が小さいことも、継ぎ足し充電をする機器に適している。リチウムイオン二次電池の自己放電特性はニカド電池やニッケル水素電池より格段によい。
5.安全性確保のために充放電を監視する保護回路が必要である。過充電においては、負極側に金属リチウムが析出したり、正極の酸化状態が高まって危険な状態になる事がある。また、過放電で正極のコバルトが溶出したり、負極の集電体の銅が溶出してしまい二次電池として機能しなくなると同時に、電池の異常発熱があること、エネルギー密度が高いために短絡時には急激に過熱する危険性が大きいこと、電解液が有機溶剤であるために、これが揮発し、発火事故を起こす恐れがあること、などが一般的な欠点とされている。