2010年08月

2010年08月31日

内憂外患 3

a8115db2.jpg日本の首相の
リーダーシップ
GDPがついに
中国に負ける
一人当たりも
日本は世界の20位くらい
新しいことへの
取り組み姿勢で挽回

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池上湖心の書 

日本と中国のGDPが逆転したことへのマスコミの報道に失望 3

8月27日の大前研一さんの「ニュースの視点」は「日中GDP逆転〜マスコミも国民も「尻尾を巻いて逃げる」日本を見過していいのか!」という見出しの記事である。日本のこれからの進路を考える上で示唆に富む内容である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.アメリカ国防総省は16日、中国の軍事力に関する2010年版の年次報告書を公表した。 それによると中国軍が太平洋の東側海域やインド洋まで活動範囲を拡大させる可能性があると警戒感を示したほか、中国としては初の国産空母の建造を年内に開始するとの見方を示した。
2.また、クローリー米国務次官補は16日の記者会見で、日米安全保障条約による米国の日本防衛の義務が尖閣諸島に及ぶかどうかにについて、「適用対象」であるとの見解を明言した。日中の防衛費の推移を見ても、中国軍が大きく拡大していることが分かる。2003年頃に日本と中国の防衛費は逆転し、2009年は約500億円弱も差が開いている。
3.中国自身は軍備の近代化のためには12兆円が適正だと主張している。そして、先進国の中でもあまり保有されていない、高度な技術と高額な運用費用が求められる航空母艦の建造にも力を注ぎ始めた。これは中国が「米国やロシア並み」の国防力を求めている野心の表れである。
4.中国の軍事力が爆発的に大きくなれば、太平洋地区の軍事バランスが崩れてしまう。日本にとってみれば、日本が航空母艦を保有するなどというのは不可能だから、どうしても米国に頼らざるを得なくなる。
5.現在、沖縄を含めて「米国には出て行ってもらおう」という意見が強くなっているが、こうなってくると沖縄に対する見方も変える必要がある。守屋元防衛事務次官が刊行した「普天間交渉秘録」の中では、沖縄県の対応に問題があった点が指摘されている。
6.日本のマスコミは盲目的に沖縄の肩を持つような報道が目立つが、今後はもっと冷静に「防衛の観点」から沖縄を見る必要がある。沖縄県も今までのように自分たちの意見は何でも通ると思うべきではない。日本政府は「沖縄に頼らない」という選択肢も持っていくことが大切である。中国の状況を見ると、これまでのように悠長に沖縄県と付き合っている暇はない。
7.内閣府は16日、中国の4〜6月期の名目GDPが日本を上回ったとの試算を発表した。 それによると中国は1兆3369億ドルだったのに対して、日本は1兆2883億ドルであり、米国の各メディアは一斉に速報し、今後は中国の存在感が一段と増すことを指摘した。日本の名目GDPは95年に5.3兆ドルのピークを迎え、その後15年にわたって増えていない。
最近少し上昇傾向が見られるが、これは円高のためである。中国の名目GDPは95年には1兆ドルにも満たなかったのに、この数年で特に急激に伸び、ついに日本を逆転した。
8.2010年8月30日号のTIME誌には、珍しいほど明白な間違いがあった。それは、米国・中国・日本の経済規模と経済成長率を比較している記事である。GDPによる経済規模では、米国:14兆ドル、中国:1.33兆ドル、日本:1.28兆ドル。そして経済成長率では、米国:−2.4%、日本:−5.2%、中国:9.1%となっている。中国と日本の数値は四半期のもので、米国だけが1年間の数値になっている。これでは比較する意味が全くない。さすがに米国でもGDPが日本の10倍以上ということは考えられない。こんな数字に気づかずにそのまま掲載してしまうとは、よほど不注意な人が記事を書いたと思われる。
9.海外のメディアが積極的に報道しているのに対して、日本のマスコミからは議論を深めていくような報道が見られない。対策の動きを見せない日本政府に、諦めムードの漂った国民、そんな印象を受ける。こんな日本を見ていて、尻尾を巻いて逃げる犬を連想する。強い相手に立ち向かうことなく、「負け」を見ているかのようである。日本のマスコミはトップニュースで取り上げながらも、まだ挽回できるという類のメッセージを発していない。
まだまだ挽回できる方法はいくらでもあるし、大前氏はその方法を何度も提言している。負けを認めてあきらめるのではなく、問題を解決しそれを乗り越えていく姿勢を見せてほしい。


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2010年08月30日

海原のひらける胸に白き帆の影よどむころ 3

7d9f5ca4.jpg李陸史詠む
長谷川櫂
故国の青海原を
いざよう白帆の舟
韓国の抗日詩人
日本の官憲に逮捕され
北京へ移送
獄死
(読売新聞2010.8.29より)

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池上湖心の書 

世界の「常識」を日本人は知らないで、せっせと国家に貢いでいる。これが「嵐の前の静けさ」の原因 3

「大前研一編著:大前研一の新しい資本主義の論点:ニュー・ノーマルという秩序の登場、ダイヤモンド社、2010年8月」示唆に富む名著である。リーマンショック後のアメリカ、あるいは世界の資本主義社会について、アメリカの著名な学者達が投稿している論文をまとめたものである。本文に入る前に大前氏が書いている「まえがき」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.2008年9月のリーマン・ショックをきっかけに巻き起こった世界金融危機以降、EU加盟国のほとんどが景気刺激を優先したために、財政が悪化した国が続出した。特にドバイ・ショックでソブリン・リスク(国家のリスク)が表面化した2009年11月以降、財政が危ういEUの国々は「PIIGES」と呼ばれている。当初はPIGS(ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)だったが、アイルランドとイギリスが加わって6力国になってしまった。
2.ギリシャの支援だけでも相当に大変だったのだから、残りの5力国に財政危機が発展したら、支援は並大抵のことではない。すでにEU首脳国が具体的な対応策を始めているが、それだけでは十分ではない。
3.EUが早急に構築しなくてはいけないのは、危機対応の仕掛けである。ギリシャ危機で混乱してしまったのは、危機が起こった時の対応ルールがなかったためである。欧州中央銀行(ECB)とIMFで、財政危機が起きた国に対して迅速に資金援助を行うための仕掛けとルールておかなくてはならない。日米中からも迅速に流動性の注入ができるようにする国際的な枠組みが必要になる。これらはけっして平坦な道のりではなく、ヨーロッパの財政危機の混乱はまだまだ続く可能性がある。
4.しかし、EUには長年にわたるヨーロッパの人々の努力によって形づくられてきた歴史がある。2009年の12月に、EUは60年かけてリスボン条約を発効させ、世界最大の「国家」となった。最後には「国家の威信」をかけてその「帝国の防衛」を世界の協力を得ながら成し遂げると大前氏は見ている。
5.とはいえ、市場は冷酷であり、景気回復をがまん強く待たない。疑心暗鬼になったトレーダーたちが、「次はどこか?」と獲物を探し始める。ギリシャがドバイ・ショックの後に「ソブリン・リスク」を狙っていたヘッジ・ファンドなどによってターゲットになってしまったように、次の獲物にされることを防ぐためにも、財政に問題を抱える国は財政規律を回復しておかなくてはならない。
6.ソブリン・リスクで儲けようとする人々がいる限り、今回ギリシャで起こったことは、日本にとっても対岸の火事どころではない。延焼のおそれがある。日本でも起こるかもしれない問題ではなく、「いつ起こるか」の問題である。
7.ギリシャが破綻に突き進んだ道を冷静に見ると、日本の状況が酷似していることに気づく。ギリシャ危機の本質は、前政権の放漫な財政政策にある。日本でも選挙目当てのバラマキ政策しかできない民主党政権の下でこのまま方向転換を図らなければ、ギリシャ以上に立ち行かなくなる可能性は大きい。日本の国家債務の対GDP比は200パーセントを上回り、ギリシャの2倍以上になっているためである。
8.それでもまだ破綻しないのは、不良債権化しかねない国債を国民がせっせと買い続けているという理由の一点だけである。これが財政危機に対する担保であり、国民は国家に自分の財産を抵当として差し入れていることになる。イザという時のために蓄えている国民の金融資産は、国家がイザとなったら使ってしまう。少なくとも世界の金融市場はそう見ているので、日本国債に関しては「冷静」なのである。こんなことは国民も承諾しているだろう、という世界の「常識」を日本人は知らないで、せっせと国家に貢いでいる。この錯覚が日本という国の「嵐の前の静けさ」の原因である。
9.いま日本は重大な危機下にあり、それへの対処は政治だけに任せておけるものではない。ビジネスのプロフェッショナルが、顧客や公的機関などと連携しながら、問題を解決するために立ち上がるべき時である。そのためにも、金融危機によって世界の何がどう変わったのか、新しい現実を知る必要がある。
10.本書は、ハーバード・ビジネススクールの機関誌である『ハーバード・ビジネス・レビュー』に掲載された論考のうち、世界金融危機のその後の新しい現実について書かれたものを集めたアものである。『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌と大前氏は縁があり、経済のボーダレス化に伴う企業の国際化の問題、都市の発展を中心として広がっていく新しい地域国家の概念など、大前氏の論文を1988年から継続的に発表している。(それらの論文は翻訳されてダイヤモンド社から『大前研一戦略論』としてまとめられている)。



大前研一の新しい資本主義の論点
大前研一の新しい資本主義の論点
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2010年08月29日

安心と安全 3

b37b0a49.jpg棄てても土に還る
燃やしても有毒ガスが発生しない
安心安全な商品
石油に依存しない
安心と安全な社会

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池上湖心の書 

食用にならない植物資源によるバイオプラスチックが有望である。 3

8月25日の日本電気株式会社(NEC)のプレスリリースに「非食用の植物資源を用いて高植物成分率と高機能を世界で初めて両立したバイオプラスチックを開発 〜植物の茎とカシューナッツの殻の成分を利用〜」という見出しの記事が紹介されている。
概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.NECは、非食用の植物原料を用いて、世界で初めて、安定した供給性、70%以上の高い植物成分率、電子機器に必要な耐久性を同時に実現したバイオプラスチックを開発した。
2.開発した非食用の植物資源を用いたバイオプラスチックの特長は、以下の通りである。
1)安定した供給性のある非食用の植物資源を利用
草や穀物の茎などの主成分であり、石油代替が可能なほど豊富に生産されているセルロースを主原料に利用。これにカシューナッツ生産時に大量に副生する殻から抽出される油状物質(カルダノール)を化学結合してバイオプラスチックを開発した。いずれの原料も多くは廃棄されているため、これらを資源として利用することで安定した供給ができる。
2)高度な植物成分率を実現
植物資源であるセルロースとカルダノールを主原料に用いることで、高い植物成分率(70%以上)を達成した。これにより、従来のセルロース系バイオプラスチックの問題点であった石油系添加剤の大量混合による植物成分率の低下を避けることができた。
3)電子機器向け用の高い耐久性を実現
水をはじき、柔軟な部分と、変形しにくい部分からなる分子構造をもつカルダノールを、化学反応しやすいように改質し、セルロースと化学結合させた。これにより、加熱した際の溶融性(樹脂化)、強靭性(強度・伸び)、耐熱性、耐水性、および短時間で成形できる加工性(非結晶性)を同時に実現できた。
3.従来のポリ乳酸やセルロースを用いたバイオプラスチックなどとの比較をまとめると以下のようになる。
1)強靭性:ポリ乳酸比 約2倍、従来のセルロース系と同程度
2)耐熱性(ガラス転移温度):ポリ乳酸比 約2倍、従来のセルロース系比 約1.3倍
3)耐水性:ポリ乳酸と同程度、従来のセルロース系比 約3倍
4)成形時間:ポリ乳酸比 5割以上削減、従来のセルロース系や石油系プラスチックと同程度
4.近年、量産化が進んでいるポリ乳酸を用いたバイオプラスチックは、主に家畜飼料用の穀物から生産したデンプンなど、食用の植物資源を原料としている。しかし、将来の食糧不足への懸念から、非食用の植物資源を使った新しいバイオプラスチックが求められている。そのため、非食用の植物資源を用いたバイオプラスチックとして、セルロースやヒマシ油などを原料に用いた開発や実用化が進められている。
5.豊富な生産量をもつセルロースを用いたバイオプラスチックは、文具、玩具、生活用品などで実用化されている。しかし、セルロースを利用する場合、石油系の添加剤(可塑剤など)を大量に使用する必要があるため、植物成分率の低下や、耐水性、耐熱性などの高い耐久性の実現が困難であるという課題がある。
6.ヒマシ油を利用する場合、原料の安定して供給されない懸念がある。また耐久製品としては特性は不十分という課題がある。
7.NECが開発したバイオプラスチックは、上記の課題を解決したものである。今後も、量産技術や用途に応じた実用技術の研究開発を進め、2013年度までに電子機器向けの実用化を目指す。
8.NECはこの成果を、本年8月31日に筑波大学で開催される「日本化学会関東支部大会」にて発表する。


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新技術 | 環境

2010年08月28日

欧州連携 3

d8cf4c88.jpg欧州人の知恵
EUの底力
世界は地域連携の時代
東南アジア経済圏構想は?
強いリーダシップを期待
下世話なメディアが障害

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池上湖心の書 

原子力発電所2基分の洋上風力発電設備の競争入札が始まる 3

8月25日付けの環境メディアで時事通信社の「仏、洋上風力発電で9月に入札=600基以上、計3000メガワット」おいう見出しの記事が紹介されており、目を引いた。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.24日付のフランス経済紙レゼコーによると、フランス政府は同国初の大規模洋上風力発電施設の建設に向けた競争入札を9月上旬にも実施する。発電機600基以上を整備し、次世代型原子炉「欧州加圧水型炉(EPR)」2基分に相当する3000メガワット規模の発電を計画している。
2.同紙によれば、事業規模は総額150億〜200億ユーロ(日本円で1兆6000億円から2兆円)に達する見込み。一方、AFP通信は、開発省の当局者の話として、事業規模は100億ユーロ程度と報じている。
3.風力発電機を設置するのは大西洋、ブルターニュ沖の北海、ラングドックルシオン沖の地中海、ノルマンディー沖の計10カ所程度。政府は5月の計画公表後、早期に候補地を発表する予定だったが、調整に手間取り9月にずれ込んだ。
4.9月の入札後、落札プロジェクトの実現の可能性などを1年半かけて審査し、提示価格での実施が不可能と判断されれば入札をやり直す。1号機の完成は2015年以降で、仏政府は20年までに6000メガワット規模(原子力発電所4基分)の発電能力を整備したい考えという。
5.レゼコー紙は、総工費の大きさや事業の複雑さにより、応札には企業連合の結成が不可欠だと指摘。GDFスエズなどエネルギー大手、アルストムなどタービン建設に実績を持つ重電大手と、大手ゼネコンが手を組むだろうと報じている。
(日本の風力発電技術は最近出遅れている。三菱重工業も売上で世界の10位以内に入るのがやっとという状態である。中国は5位前後に2社が頑張っている。これだけ大きな商談を手をこまねいて見ている日本の科学・技術立国はどうなっているのか)


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環境 | 新エネルギー・省エネルギー

2010年08月27日

見えない日本

8e9da075.jpg国債発行
GDP比率
ギリシャの2倍
国民の郵便貯金で
国債を購入
国債で何をするか
衰退産業の救済
天下り法人救済より
国力=人材能力の
向上が重要
先ず教育格差のない
高校・大学無償化へ


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池上湖心の書 

国債を発行して農業や衰退産業の救済に使うことは国を滅ぼす 3

「野口悠紀雄著:日本を破滅から救うための経済学、再活性化に向けていますぐなすべきこと、ダイヤモンド社、2010年7月」の「第3章:破滅への道を突き進む日本の財政」の「2.国債発行はなぜ問題なのか」について、昨日に続いて印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.日本の国債を、家計内部の夫婦の貸し借りのたとえで説明すると、ギリシャほど日本は危機でないということになるが、決して安心できる状態ではない。将来に向かう資本蓄積が減少することによって将来への負担が生じる。内国債であっても、「国債の負担」は、資本蓄積に与える影響を通じて将来世代に影響し得る。
2.国債が発行される時点の経済状況を、つぎの二つを区別して考えると分かりやすい。
A:経済が完全雇用状態にある。
B:失業や遊休資本設備が存在する。
また、国債によってまかなわれる支出としてつぎの二つを区別する必要がある。
a: 将来における経済全体の生産性を高めるような支出に用いられる(たとえば、都市のイン
フラストラクチャーの整備や、将来の人材の能力を高める教育投資など)。
b: 消費的な支出や娯楽、農家の保護、衰退産業の救済、天下り官僚の給料に用いられる。この場合には、将来の生産性を高めることにはならない。
3.ケインズが想定したのは、Bの状態であった。このときには、仮に支出がbのようなものであっても、経済全体として損失が発生するわけではない。国債発行でまかなわれる財政支出によってその時点での雇用は増大するので、その点だけを取り出しても、国債発行による財政支出拡大は正当化される。
4.支出をaのようなものにすることができれば、より望ましい。これは、ケインズ自身が述べている。彼は、ムダな財政支出を最善のものとは考えていない。「雇用・利子および貨幣の一般理論』(第10章の6)で、ケインズは次のように述べている。「もちろん・住宅やそれに類するものを建てるほうがいっそう賢明であろう。しかし、もしそうすることに政治的・実際的困難があるのなら、発行した銀行券を詰めた、壺をいったん地下に埋め、再び掘り出すことは、なにもしない政策よりはマシだろう」。
5.国債発行による財政支出拡大が否定的に評価されるのは、発行時点の経済がAの条件を満たしている場合だ。この場合には、国債発行によって利子率が上昇し、民問設備投資が減少する(「クラウディング.アウト」という)。この場合でも、国債によってまかなわれる支出がaの条件を満たすなら、民間投資の減少による生産性低下は相殺され、経済全体の生産性が低下することにはならない。
6.国債の利払いと償還はそれによってまかなわれる。だから、国債発行額が増えても、それによって将来世代の負担が増えることにはならない。財政支出がbのようなものなら、将来の生産性を高める生産設備に投資するはずだった資金が、政府によってムダな支出に使われてしまうために、国全体の将来の生産力が落ちてしまう。「将来への負担」は、このような場合に発生する。
7.家計のたとえで言えば、Aに相当するのは、妻が店を経営していて、本来なら店舗を改築するはずだった場合だ。bに相当するのは、怠け者の夫が妻から借りて、そのカネを飲み代に使ってしまうような場合だ。この場合には、店の改装ができないので、将来の売上は落ち、家族の所得は減ってしまう。
8.重要なのは、国債によってまかなわれる支出の内容である。追加経済対策についても、問題とすべきは、国債発行が増えたこと自体ではなく、支出の内容である。国債で調達された資金が、将来の日本人の所得を増やすような目的に使われているかどうかを監視することこそ重要である。(決して天下り法人に流れてはいけない)
9.現在の日本がBの状態にあると判断されるなら、国債発行によって行なわれる財政支出がbのようなものであったとしても、さして問題とはされまい。ただし、もしaのような支出が可能なら、もっと望ましい。追加経済対策で取られた政策のほとんどは、経済活動を活性化するものではなく、一時しのぎの緊急避難であり、露骨な企業救済策でしかない。右に述べた怠け者の夫が飲み代に使ってしまう例そのものだ。その半面で、将来の生産性を上げるための最も重要な手段である教育については、何もなされていない。
10.「負担が将来に転嫁するか?」という問題に関しては、国債発行そのものが問題だとは言えない。重要なのは、それによってまかなわれる財政支出の内容である。ただし、国債発行に関する問題は、「負担が将来に転嫁するか?」というだけではない。さらに、つぎのような二つの問題を考える必要がある。
第一は、国債の消化に問題が生じた場合、インフレが起こる可能性が高いという問題だ。
第二は、国債で支出がまかなわれると負担感が希薄になり、無駄な財政支出が増えるという問題である。



日本を破滅から救うための経済学
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池上技術士事務所の紹介
261-0012
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磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

書道教室(自宅)
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日



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