2012年03月

2012年03月31日

ものづくり大国危機 3

cf0b8949.jpg表面的なメディアの
町工場の技術称賛
汗と油にまみれる
技術者らの実態は
金融関係社員
公務員らと比べて
冷遇、格差拡大
原因は社会の仕組み
テレビ・大新聞も同罪


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ものづくり 

中国では、薄熙来氏が突然解任されたことで共産党の結束が幻想であることを露呈した。 3

3月30日付の大前研一さんのニュースの視点は『中国人民解放軍と中国情勢〜国家の背景を考える』と題する記事である。大手メディアでは紹介されない視点であり参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.中国人民解放軍の機関紙「解放軍報」は19日、共産党の指導下にある軍を、政治的に中立な「国軍化」すべきだとの議論を「断固阻止する」と強調する評論記事を掲載した。国軍化論は軍内部で長年議論されてきたがタブーの一つであり、機関紙がその存在に言及するのは異例のことである。
2.外国から見ていると分かりにくいが、建前としては「共産党が国家を経営している」という状態である。また、共産主義の原則上、中国共産党は広大な土地を持っていると言える。国が土地を所有しているので、土地の売却という概念はなく、50年リース、75年リースで土地を貸し出すという方法しかない。
3.土地に加えて軍隊を保有している。土地も軍隊も中国共産党のものであり、中国共産党が運営する国家の名称が「中華人民共和国」というのが実態である。軍事力統帥の源泉になっているのは、党中央委員会から選出される「党中央軍事委員会」と人民代表会議から選出される「国家軍事委員会」である。
4.形の上では「国家軍事委員会」は人民代表会議からの選出となっているが、実際は、「党中央軍事委員会」と「国家軍事委員会」のメンバーは同一で党総書記が主席を務めている。 中国人民解放軍というのは共産党の傘下にあり、この組織が中華民国を追い出す戦争に勝利したというのが歴史的な事実である。
5.中国共産党という存在は、憲法前文で中国共産党に政治面での指導的地位が明記されており、国家権力は共産党の指導を受ける仕組みになっている。軍事委員会の委員長を国家主席が務めているので、中国共産党は絶対君主として軍も政治も完全に抑えているが、時折、軍隊が暴走してしまうのが難しいところである。
6.中国には中国人民解放軍と公安の傘下にある人民武装警察という2つの組織がある。 暴動の鎮圧に軍隊が出動することは稀で、大抵は公安が動く。しかし、天安門事件のときには軍隊が鎮圧に乗り出した。外から見ていると非常にわかりづらいが、中国人民解放軍に絡む問題というのは中国にとって非常にデリケートな問題である。
7.3月22日付けの英フィナンシャル・タイムズは「薄熙来氏の解任で露呈した中国の政治体制のひずみ」と題する記事を掲載した。これは毛沢東以降の中国が合意に基づいて統治する集団指導体制を確立したとする一方、10年に1度の指導部交代を迎え、投資主導型から内需主導型へ転換を図ろうとしている中、薄熙来氏が突然解任されたことは党の結束が幻想であることを露呈したと指摘している。
8.今後中国国内では、薄熙来氏が解任された理由について、様々な憶測が飛び交うことが予想される。現時点でも、習近平氏の周辺を盗聴していたとか、薄熙来氏が夫人と共に殺人に関与していたなど、実態はよく分からない噂がいろいろと出てきている。今後も色々な説が出てくると思うが、どんな噂が出てきても驚くには値しない。
9.薄熙来氏は国民の人気が最も高かった政治家なので、突然解任するということは簡単なことではない。そのため、わざわざ解任されるに相応しい複雑な理由・シナリオを作り上げている。体制が変更するときには、その移行がスムーズに行われたということを演出する必要がある。これは北朝鮮を見ていても分かる。
10.薄熙来氏への様々な噂は、まさにこの「演出」に他ならない。いかに薄熙来氏がダメだったのかを強調する演出である。本当に薄熙来氏の国民からの期待は大きかったので、相当色々な「演出」をしなければならない。薄熙来氏が疎まれたのは、毛沢東への回顧が強すぎた点にある。
11.繁栄から取り残された恵まれない人々を救済しよう、黒社会を撲滅しよう、というテーマについて先頭に立って取り組んでいた。中央政府に対する反旗の翻し方が、理念闘争に 近いところにまで達していた。中央政府は毛沢東を忘れたいと思っている。毛沢東の歴史を紐解けば紐解くほど、例えば2000万〜5000万人も死亡したといわれる大躍進政策を実施していたなど、忘れられている問題が暴き出される可能性があるからである。この背景こそ薄熙来氏が解任された本当の理由であり、今流されている噂は人民が納得するための「付け足し」に過ぎない。
12.軍隊も土地も所有しているので、中国共産党は絶対君主の存在であり、独特な難しさがある。中国人は金儲けの話をする前に、必ず「俺は共産党を信じている」と前置きをする。それほど国民にも、中国共産党に歯向かうべきではないという意識が強い。中国共産党には歯向わない一方で、金儲けの時には平気で海外から「盗む」のが中国の面白いところである。 iPadの問題などもあり、米国は怒り心頭の様子である。日本でも同じように中国に怒りを感じている人も多いが、かつて日本も米国から「盗んだ」経験があり、かつて通った道とも言える。


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2012年03月30日

メジャー開幕戦 3

59e1496f.jpg米大リーグの開幕戦
アスレチックス対マリナーズ
3月28日、東京ドーム
マリナーズのイチロー
3番・右翼
5打数4安打1打点
3−1で競り勝つ。


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池上湖心の書 

復興のために、政府は変革したいと望む首長や個人の邪魔しないこと。税制や業界の悪しき伝統を思い切って断ち切ること。 3

「大前研一著:日本復興計画、文藝春秋社、2011年4月30日」は、3.11大震災の復興計画を取りまとめたものである。「第2章:3分の2に縮小する生活」の「機能不全・司令塔不在の罪」は的を射ている。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.日本が抱えた「20年間、所得が減りつづけている世界唯一の先進国」という病弊を克服するには、日本人のメンタリティを変えなければならない。日本のサラリーマンは、成長期のパラダイムのまま、ひたすら景気と所得の回復を待ちわびている。将来は明るいという前提の下にローンを組んで家を買い、子どもを背伸びして私立に入れ、高級車を乗り回す。所得に対するこれまでの発想が、日本人を貧乏にしている。
2.1992年時点で、ステップローンを組んで家を買ったがために、7年目から返済額が増えたのに収入は減って、7百万人のサラリーマンか犠牲になっている。日本人は、お隣さんと同じように自分もやる性向がある。隣が家を買った、クルマを買った、子どもは私学に、うちも通わせる。持ち家熱、クルマ熱、教育熱という三大熱病で、一人一生一億円以上が無駄になる計算である。12年前、日本のサラリーマンの収入のピークは1200万円と400万円のところにあったのが、今は全員が100万円ずつ落ちている。アメリカは、金持ちはもっと金持ちになり、貧乏人はもっと貧乏になってM字の両脚が開いたのに対し、日本はM字全体が下方にスライドしている。
3.日本人は20年間もの間、下降を続けているという自覚がない。そのうちの18年は基本的に自民党である。民主党はダメだから自民党に戻そう、と考えている人が多いが、そんな生易しい問題ではない。両方ともダメである。
4.大前氏の提案は以下の通りである。ライフプランを自分で設計すること。まず、夫婦間で価値観を合わせてライフプランは一緒に作るところからスタートする。ライフプランというと、大抵の人は、まず節約だと言うが、節約から始めるとくたびれる。夢がないのに節約すれば、金を貯めたまま死のことになるので、まず、メリハリのあるプランを作ることが重要である。
5.セカンドライフで約8万時間もの自由になる時間がある。1日12時間として、それが20年続くと8万時間である。ゴルフ、釣りと、さまざまだが、ゴルフを毎日20年間続けることも、釣りも、3日間はいいけれども、4日目には誰も魚を食べてくれないし、そらく1週間で終わる。
6.20件やりたいことが見つからないと、この8万時間はもたない。そのうちの10件は室外、10件は室内で出来ることにする。さらにその半分は1人でやること、もう半分はグループでやることを見つける。リタイアしてすぐ始めるのでなく、それまでに準備期間を設けて助走しておく。
7.住宅、クルマ、教育の三大熱病は早く治してしまう。特に住宅を所有していると、人生設計に余裕がなくなる。すごく有利な転職話があって、それがインドネシアでの仕事だったりしても、まだ住宅ローンがあるので動けないことになる。家は買ってはいけない。日本では、家を買った瞬間に1000万円が飛ぶ。買った翌日に売りに出すと、買ったときよりも1000万円も下がっている。家を所有することに対するペナルティが、日本はいちばん高い。35歳で35年ローンを組み、70まで払い続けるというような国はない。米、英、独などでは、よほどの貧民街でない限り、買った家は必ず値上がりする。サブプライムローン問題のときに下がったのは低所得層の家だった。
8.クルマは、650万円の国産車を買って半年で売りに出すと、250万円も下がる。車の所有に対するペナルティも日本はいちばん高い。つい買ってしまうのは、成長神話の頃のパラダイムを今日まで引きずっているからである。
9.子どもを私立にやるために投資して、それでペイするとことはない。幼稚園から大学まで私立に通わせると2047万円、すべて国公立文系なら793万円である。両者の差が約1300万円、子どもが二人いたら2600万円。それよりも、私立にやる代わりに、親が家で子どもの勉強を見てやる時間を作る。授業料ではなく時間で投資する方が、よほど実りは大きい。人生観や将来観を共有した親子のほうがはるかにリターンは大きい。逆に、子どもは金をかけるほどスポイルされる。
10.自分に投資することも必要である。会社に運命を委ねたままだと、稼がないうちに、肩を叩かれる。政府も、サラリーマンの自分への投資を無償化したほうがいい。子どもの学校を公立に切り替えて浮いた1300万円ないし2600百万円の一部を充ててもいい。自分の稼ぐ力を倍にするという目標に対して、あなたはどのくらいの時間と金を投資しているのか自問してみるとよい。
11.奥さんに投資するのがよい、共稼ぎもいいが、近所のスーパーのパートでは大した収入にはならない。奥さんにも投資をして資格を取らせ、確実な収入の見込める定職を見つける。意外にこれは低い投資額で出来る。学生の頃は奥さんのほうが成績がよかった夫婦も多い。子どもに教育投資をするよりリターンは早いし大きい。
12.3.11は日本人の心に大きな傷跡を残した。しかも、その後の福島第→原発の政府および東電の対応のまずさが、世界中を恐怖に陥れた。最初はあまりの不幸(地震・津波・原発)の連続に同情と哀れみの声も聞かれたが、放射性廃棄物を海洋投棄するに至って怒りと不信に変わっていった。日本政府が何か隠しているという疑心暗鬼によって、日本から全ての食品の輸入禁止(インド)などという途方もない行動に走る政府も出てきている。日本への渡航禁止や渡航制限、という通達を出した国もある。日本の政府は完全にメルトダウンした。
13.ここからの復興は可能である。現場の知恵を盛り込んだ改善策の策定はそれほど難しくない。東北の新しいビジョンもやりがいのある仕事である。結局は個々人が自立する、という意識改革があれば可能である。政府のやることは、細かいことではなく、東北地方の将来に関して大きなビジョンを示すことでよい。自ら変革したいと望む首長や個人の邪魔してはいけない。税制や業界の悪しき伝統を思い切って断ち切ることに尽きる。
14.サッチャー以前の英国は、今の日本のようなジリ貧状態だった。労働党と保守党が人れ替わり立ち替わり何をやっても、悪循環が加速するばかりだった。お互いがお互いを非難して、野党になると与党の攻撃ばかりだった。これに終止符を打ったのが鉄の女サッチャーだった。そうしたパラダイムから抜け出すには、個々人のメンタリティを変革するしかない。この世の中、どんな乱世になっても生き残ってみせる、というメンタリティ、世界のどこに出かけて行っても稼ぐぞ、というメンタリティがポイントである。


日本復興計画 Japan;The Road to Recovery
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2012年03月29日

重粒子線治療 3

328d8eb0.jpg局所に留まっているがん
手術の難しいがん
臓器の機能や体の形態の欠損が少い
容姿、容貌を損なわず、傷跡も残らない
高齢者にも適用できる
副作用が少ない
早期なら根治可能
X線では治療困難な、深部がんにも適用できる
社会復帰までの期間が短い



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健康 

カトリックがけしからんのは宗教合理化の方向に向かわず、儀礼によって救済が得られるという教えを広めたことにある。 3

「小室直樹著:論理の方法、東洋経済新報社、2003年」の「第4章マクス・ウェーバーにみる資本主義の精神」の資本主義についての解説は洞察力という点でも面白い。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.マクス・ウェーバーは、資本主義の精神は資本主義に好意的なところ、寛大だから起こってくるのではないと言っている。例えば中国などでは前期的資本が大発達しただけではなくて資本主義を禁止する思想などはなかった。古代、中世の中国においてはむしろ資本主義に大変好意的であった。盛んに経済活動を行うということは古代中国において褒めるべきことで、資本主義と絶対に敵対する思想がはびこっていたのではなかった。インドでも、古代エジプトでも、ヘレニズム社会でも中世ドイツでもそうだったが、そういうところでは資本主義は起こらなかった。
2.ヨーロッパのキリスト教については、ローマ教会では利子を取ることに表向きは大変敵対的であった。キリスト教が盛んになるにつれて世の中の王様や首相、共和国大統領なども教会に見習って、利子を取ることを禁止した。ところがカトリックの利子禁止令は他の禁止令と同様に、見かけは厳しいように見えながら実は抜け道があった。カトリックの神父とか、僧正とか大僧正などは、信者に対しては利子を取ってはならないとか商売で大儲けしてはならないと言っていながら、自分たちは密かに高利貸しを許していた。それどころかローマ法王庁では高利貸しと結託して大儲けしていた。宗教改革のときに改革側の人々はこういうことをカトリック攻撃の一つの材料として使った。
3.宗教というのは大きくなれば必ずスキャンダルが湧いてくる。しかし宗教改革のエッセンスはカトリックのスキャンダルを暴くことではなく、カトリックがけしからんのは宗教合理化の方向に向かわないで、その正反対の方向に向うこと、すなわち儀礼によって救済が得られるというとんでもない教えを広めたことにある。
4.宗教改革によってキリスト教を少なくともその一部は徹底的に合理化した。このことによって資本主義の精神が登場した。だから近代西ヨーロッパと北米の一部分に限って資本主義が勃興した、とウェーバーは説明している。プロテスタントはカトリックの儀礼によって神様に祈りを捧げても意味はないといって呪術を追放し、宗教の合理化を行った。宗教の合理化は呪術、儀礼によって神に救われるという考えを追放する。そのことによって初めて伝統主義を打破して、資本主義の精神がつくられ得る。これがウェーバーの論理のポイントである。
5.資本主義の精神こそ近代資本主義を生み出すために必要不可欠なものであった。資本主義の精神がなければどんなに技術が進歩しても、資金が蓄えられても商業が発達しても、近代資本主義のための産業資本は生まれてこない。前期的資本はどんなに繁栄を極めても依然として前期的資本のままである。
6.この資本主義の精神を生み出すにあたって最も決定的役割を演じたのは予定説である。予定説とはカルヴァンがキリスト教本来の論理として復活させたもので、救われるものと救われないものが予め神の意志で決められているという説である。資本主義の精神が生まれ、発育してゆくためには精神革命が必要であった。精神革命による行動的禁欲で呪術を駆逐し合理化を推し進めるようにエトスが変えられなければならなかった。
7.誰が救済され、誰が救済されないかは神が一方的に意志決定する。そして、必ず神の意志どおりになる。神のこの意志決定は天地創造のときになされ、人間がこれに関与することも変更することも不可能である。人間の偉業、行為の是非善悪は少しも関係しない。人間が神の意志決定を知ることは不可能である。カルヴァンが予定説を公表したことは人々の心を極限に追いつめた。神に選ばれた救済される予定の人はそのように行動するに違いない。もはや、一つ一つの善行は問題ではない。すべての行動が統一的に組織化され、人は行動的禁欲なり切らなければならない。伝統主義的エトスが打破されて資本主義の精神によって生成されたエトスに変換されたのである。


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2012年03月28日

早蕨の青き一と皿幸とせん 3

d6511f94.jpg成田千空句
長谷川櫂解説
春になると
食卓にのぼる蕨の芽
ほかの季節にはない
味わい
冬を耐えて
春を迎えた喜び
(読売新聞2012.03.26より)

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池上湖心の書 

日本は、合理精神と科学を基本においた連合国に挑み完敗した。科学的な発想をした軍隊と占い師ばかりの集団が戦えば、後者が負けるのは当たり前である。 3

「佐高信、宮本政於著:官僚に告ぐ!、朝日新聞社、1996年」は、少し旧い本であるが、現在の東日本大震災、福島原発事故における霞ヶ関官僚の対応が1989年に大阪と東京で始まったHIV訴訟での官僚たちの対応と重なるところが多いことが分かる。i一昨日も紹介したが、「第2章:官僚システムといいう病気」の「官は「お上」で民は「下々」の小節の印象に残った部分の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.官僚には「国家を背負っている」という自負があって、国家は神聖にして侵すべからずである。国家はほんの小さな汚点でもあってはいけないと考える。国が被告となった行政訴訟で国が敗れるようなことは万死に値するな汚点になる。
2.国は組織体で一種の生命体だから、生命体を持つものは必ず間違いを犯す。どうして間違いを犯したのかを検証することが生命体としての強さとなる。日本政府は一切間違いはない、という神のような感覚で自分たちを捉える傲慢さが日本の官僚制度の最大の弱点である。
3.疲労骨折をしても痛みをこらえて走り続ける長距離選手を美談の主人公にまつりあげる日本は、みんな一緒になって自分を傷つけるマゾヒズムの中にどっぷりつかる。居心地がいいのか、誰もその中からなかなか抜け出ようとしない。第二次世界大戦の結果を見るとくっきりと浮かびあがる。日本は精神論というアニミズム的発想で、合理精神と科学を基本においた連合国に挑み完敗した。科学的な発想をした軍隊と占い師ばかりが集まっている集団が戦えば、占い師側が負けるのは当たり前である。
4.戦後も、こうした部分は改善されていない。日本とドイツの戦後の取り組みの違いに明確に出ている。戦後のドイツは自由と民主主義を受け入れて、ナチズムという全体主義から本当に脱皮した。一方、日本も形だけは自由と民主主義を受け入れたが、精神主義からの脱皮はなく、上着だけは軍服からグレーの背広に変わっただけで、メンタリティーはずっと同じだった。したがって、「滅私」という自己犠牲の美学は綿々と生きながらえた。その結果、かつては軍部の官僚によって国民が犠牲になったが、現在はグレーの背広の官僚によって国民が失策のツケを払わされている。国民が官僚の尻拭いをするという図式は全く変わっていない。
5.日本に民主主義が入ってきても変わらないものが2つあった。会社と官僚である。会社は絶えず動いて利益をあげないと倒れてしまうから、変わらざるを得ない部分が少しはあったが、官僚の手法は戦前のままで何にも変わっていない。せいぜい上着が変わったぐらいである。戦前も官僚が軍人を使い、国家統制していた側面があったが、この官僚国家というものを精神的にも制度的にも解体していくのが一番大きな問題である。
6.日本人は異質だと外国から指摘されることがよくある。異質なのは日本人ではなくて、日本の制度である。日本人を欧米の教育システムの中に入れれば、独立心も独創性も十分に養え、どんどん花開く。それが日本でほとんど花を咲かせることができないのは、日本のシステムに問題があるからである。
7.日本のおかしなシステムを牛耳っているのは官僚であり、中でも文科省の官僚が一番頭が固い。文部省は解体すべきである。文科省は精神主義の牙城である。文科省は個性を重視した教育が必要だと言いながら、容認できる個性と容認できない個性のラインを文科省が恣意的に引いている。アメリカの学校では、「自分は他の人とは違う」という題で作文を書くが、日本の学校では文科省がそれを奨めない。子どもの個性にローラーをかけて、横並びにさせてしまう。家庭や会社でも同じである。
8.官僚統制のための地ならし、あるいはそのための予備校として文科省がある。お役所が異質な相手に過酷な「いじめ」をする。多くの人は半信半疑だったと思うが、薬害エイズ事件がそうした状況に一石を投じた・
9.日本の教育は清く、正しく、美しくである。信じることは美しい。人をだますよりは、だまされたほうがいいと教えている。だまされるやつはアホであると教えていくべきである。だますのは悪いことに決まっているけど、だまされるほうも絶対にほめられたことではない。
アメリカは徹底している。お店が二つ並んでいて、同じ品物なんだけど値段が違う。高いほうを買った人がその店に文句を言っても、「私の知ったことではない。調べなかったお前が悪いのだ」でおしまいである。


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2012年03月27日

地方が中央変える 3

5f7a0a14.jpg中央が変われない理由
前例主義
偏差値受験で
硬直した頭脳
既得権とのしがらみ
国民の幸せより自己保身

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池上湖心の書 

宗教改革によってキリスト教を徹底的に合理化したことで資本主義の精神が登場したので、近代西ヨーロッパと北米の一部分に資本主義が勃興した。 3

「小室直樹著:論理の方法、東洋経済新報社、2003年」の「第4章マクス・ウェーバーにみる資本主義の精神」の資本主義についての解説は洞察力という点でも面白い。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.マクス・ウェーバーは、資本主義の精神は資本主義に好意的なところ、寛大なところでこそ起こってくるのではないと言っている。例えば中国などでは前期的資本が大発達しただけではなくて資本主義を禁止する思想などはなかった。古代、中世の中国においてはむしろ資本主義に大変好意的であった。盛んに経済活動を行うということは古代中国において褒めるべきことで、資本主義と絶対に敵対する思想がはびこっていたのではなかった。インドでも、古代エジプトでも、ヘレニズム社会でも中世ドイツでもそうだったが、そういうところでは資本主義は起こらなかった。
2.ヨーロッパのキリスト教については、ローマ教会では利子を取ることに表向きは大変敵対的であった。キリスト教が盛んになるにつれて世の中の王様や首相、共和国大統領なども教会に見習って、利子を取ることを禁止した。ところがカトリックの利子禁止令は他の禁止令と同様に、見かけは厳しいように見えながら実は抜け道があった。カトリックの神父とか、僧正とか大僧正などは、信者に対しては利子を取ってはならないとか商売で大儲けしてはならないと言っていながら、自分たちは密かに高利貸しを許していた。それどころかローマ法王庁では高利貸しと結託して大儲けしていた。宗教改革のときに改革側の人々はこういうことをカトリック攻撃の一つの材料として使った。
3.宗教というのは大きくなれば必ずスキャンダルが湧いてくる。しかし宗教改革のエッセンスはカトリックのスキャンダルを暴くことではなく、カトリックがけしからんのは宗教合理化の方向に向かわないで、その正反対の方向に向うこと、すなわち儀礼によって救済が得られるというとんでもない教えを広めたことにある。
4.宗教改革によってキリスト教を少なくともその一部は徹底的に合理化した。このことによって資本主義の精神が登場した。だから近代西ヨーロッパと北米の一部分に限って資本主義が勃興した、とウェーバーは説明している。プロテスタントはカトリックの儀礼によって神様に祈りを捧げても意味はないといって呪術を追放し、宗教の合理化を行った。宗教の合理化は呪術、儀礼によって神に救われるという考えを追放する。そのことによって初めて伝統主義を打破して、資本主義の精神がつくられ得る。これがウェーバーの論理のポイントである。
5.資本主義の精神こそ近代資本主義を生み出すために必要不可欠なものであった。資本主義の精神がなければどんなに技術が進歩しても、資金が蓄えられても商業が発達しても、近代資本主義のための産業資本は生まれてこない。前期的資本はどんなに繁栄を極めても依然として前期的資本のままである。
6.この資本主義の精神を生み出すにあたって最も決定的役割を演じたのは予定説である。予定説とはカルヴァンがキリスト教本来の論理として復活させたもので、救われるものと救われないものが予め神の意志で決められているという説である。資本主義の精神が生まれ、発育してゆくためには精神革命が必要であった。精神革命による行動的禁欲で呪術を駆逐し合理化を推し進めるようにエトスが変えられなければならなかった。
7.誰が救済され、誰が救済されないかは神が一方的に意志決定する。そして、必ず神の意志どおりになる。神のこの意志決定は天地創造のときになされ、人間がこれに関与することも変更することも不可能である。人間の偉業、行為の是非善悪は少しも関係しない。人間が神の意志決定を知ることは不可能である。カルヴァンが予定説を公表したことは人々の心を極限に追いつめた。神に選ばれた救済される予定の人はそのように行動するに違いない。もはや、一つ一つの善行は問題ではない。すべての行動が統一的に組織化され、人は行動的禁欲なり切らなければならない。伝統主義的エトスが打破されて資本主義の精神によって生成されたエトスに変換されたのである。


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池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

書道教室(自宅)
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日



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