2012年05月
2012年05月26日
中国に正義を 
人権侵害問題
チベット自治区
新疆ウイグル地区
盲目の人権活動家・陳光誠氏
山東省での自宅軟禁
自身や家族が受けた暴力行為
共産党一党独裁
不透明な権力闘争
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ギリシャは典型的な「衆愚政治」に陥っている。ギリシャ経済危機は日本にとって他人ごとではない。
5月25日付けの大前研一さんのニュースの視点は『 ギリシャ情勢と経済成長 〜緊縮財政を考える 』と題する記事である。明日は我が身と結んでいるが説得力がある。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
１．ギリシャのパプリアス大統領による主要政党党首の連立協議は15日決裂し、再選挙が決定した。緊縮策反対を掲げる急進左翼進歩連合などが既存の2大政党との連立反対を貫いたもので、これを受けて6月17日再選挙が行われることが決定した。政治空白が長期化することでEUなどからの支援停止が現実味を帯びてきた。
２．ギリシャ国内からの預金引出額が14日までに7億ユーロ（約710億円）に達したことが分かった。今、ギリシャは典型的な「衆愚政治」に陥っている。次の選挙では、緊縮財政に反対する急進左翼進歩連合が第1党になりそうな勢いを見せているが、一方でユーロからの離脱に関しては「残留」を希望しているギリシャ国民が78％という統計が出ている。
３．ユーロ残留の条件として前政権では緊縮財政の実施を決定したから、「ユーロへの残留を希望するけど、緊縮財政は嫌だ」というのでは、ギリシャ国民は甘すぎると指摘せざるを得ない。
４．英国の紙幣印刷を担う企業が、以前のギリシャの通貨単位であるドラクマの印刷を始めているとも言われており、秒読み段階との見方もある。通貨単位がドラクマに戻ったときには大暴落が予想されるから、今の段階からユーロの引き出しという形で預金の引き出しが 始まっているとの見方もある。
５．今後さらに加速して、兆単位の資金が短期間に蒸発してしまうと思われる。技術的には紙幣を印刷すれば「ドラクマ」に戻ることは可能だが、国家機能の側面から見ると、短期的にはほぼ停止してしまうような厳しい状況が予想される。
６．ユーロからの脱退という事態を想定した際に厄介なのは、マーストリヒト条約にユーロへ加わる方法は示されているが、ユーロからの脱退方法は明文化されていないことである。 これは誰もが考えたくないと思っている事態なのだが、ギリシャ経済がデフォルトしてしまえば放っておけない。難しい問題だが、ここを解決することが求められている。
７．ギリシャの将来を想像すると、短期的には地獄のような状況に陥るが、中期的に見ればドラクマという弱い通貨になることで、昔のように海外からの外国人観光客を呼びやすくなるというメリットもある。
８．日本は「円」という自国通貨を持っている点で、ユーロとの関係性のあるギリシャとは異なるが、国家債務はむしろ日本のほうが大きく、明日は我が身と考えて慎重にギリシャが辿る過程を見ておくべきである。
９．フランスのオランド大統領は15日、ドイツを訪問しメルケル首相と会談した。両首脳は緊縮財政と経済成長を両立させる経済政策に欧州が軸足を置くことで合意した。ギリシャ不安を抑えこむため、初の首脳会談では歩み寄りの姿勢を見せたが、欧州債務危機の対応でも緊密に連携できるか否かという点が次の試金石となる。
１０．G8でも、米オバマ大統領が同じように「緊縮財政と経済成長の両立」という趣旨のことを述べていた。雇用対策を念頭においた発言だが、現実性を考えると疑問が残る。 過去を振り返っても、「緊縮財政と経済成長」を「同時に」成し遂げた事例はない。小さな政府・緊縮財政という方法を取った場合、その成果という果実を受け取れるのは10数年先である。
１１．先のG8でもこの「時間軸」を無視した議論を進めている。オランド大統領とメルケル首相の会談でも同様である。どのくらいの時間で緊縮財政を実施し、どのくらいの時間をかけて成長していくのか、という点が議論されていない。先に緊縮財政を実施し、政府の介入を最小に留め、何年か先には成長戦略をとりやすい状況を作るという理想的なシナリオは実際には難しい。
１２．緊縮財政を実施しているうちに、政府の介入が増え、大きな政府になっていき、緊縮財政の実施と並行して、規制強化が行われる。結果として、何年経っても経済が浮上しない。これは残念ながら、日本の例を見てもよく分かる。緊縮財政と経済成長の両立という魔法を実現できた人はいない。仮に可能だったとしても時間のズレへの対処方法はない。この2つを両立できるならば、世界経済がこれほど苦労していない。
１３．ドイツとフランスでは現在置かれている経済状況がまるで違うから、意見が合致すること自体が不思議である。両首脳の初会談ということで社交辞令的な意味合いかも知れないが、政治家は社交辞令的な甘い言葉に弱い。国民はもっと弱い。国家経済が危機に瀕していても「緊縮は嫌、増税も嫌、税金は低いほうがいい」となって国が前へ進めなくなって、国債市場から退出を要求されてしまうのである。
１４．ギリシャの政局不安を受けて、16日のアジア市場は全面安となり、18日米株式市場でもダウ工業株30種平均は6日連続の下落で、週間では451ドル安と今年最大の下げ幅となっている。日経平均の下落幅が低かったのは、日本にとっては幸運だった。欧州の経済問題がアジア、日本、米国経済にどのように波及してくるのか、慎重に見ていく必要がある。 ギリシャ経済危機は日本にとって他人ごとではない。
１．ギリシャのパプリアス大統領による主要政党党首の連立協議は15日決裂し、再選挙が決定した。緊縮策反対を掲げる急進左翼進歩連合などが既存の2大政党との連立反対を貫いたもので、これを受けて6月17日再選挙が行われることが決定した。政治空白が長期化することでEUなどからの支援停止が現実味を帯びてきた。
２．ギリシャ国内からの預金引出額が14日までに7億ユーロ（約710億円）に達したことが分かった。今、ギリシャは典型的な「衆愚政治」に陥っている。次の選挙では、緊縮財政に反対する急進左翼進歩連合が第1党になりそうな勢いを見せているが、一方でユーロからの離脱に関しては「残留」を希望しているギリシャ国民が78％という統計が出ている。
３．ユーロ残留の条件として前政権では緊縮財政の実施を決定したから、「ユーロへの残留を希望するけど、緊縮財政は嫌だ」というのでは、ギリシャ国民は甘すぎると指摘せざるを得ない。
４．英国の紙幣印刷を担う企業が、以前のギリシャの通貨単位であるドラクマの印刷を始めているとも言われており、秒読み段階との見方もある。通貨単位がドラクマに戻ったときには大暴落が予想されるから、今の段階からユーロの引き出しという形で預金の引き出しが 始まっているとの見方もある。
５．今後さらに加速して、兆単位の資金が短期間に蒸発してしまうと思われる。技術的には紙幣を印刷すれば「ドラクマ」に戻ることは可能だが、国家機能の側面から見ると、短期的にはほぼ停止してしまうような厳しい状況が予想される。
６．ユーロからの脱退という事態を想定した際に厄介なのは、マーストリヒト条約にユーロへ加わる方法は示されているが、ユーロからの脱退方法は明文化されていないことである。 これは誰もが考えたくないと思っている事態なのだが、ギリシャ経済がデフォルトしてしまえば放っておけない。難しい問題だが、ここを解決することが求められている。
７．ギリシャの将来を想像すると、短期的には地獄のような状況に陥るが、中期的に見ればドラクマという弱い通貨になることで、昔のように海外からの外国人観光客を呼びやすくなるというメリットもある。
８．日本は「円」という自国通貨を持っている点で、ユーロとの関係性のあるギリシャとは異なるが、国家債務はむしろ日本のほうが大きく、明日は我が身と考えて慎重にギリシャが辿る過程を見ておくべきである。
９．フランスのオランド大統領は15日、ドイツを訪問しメルケル首相と会談した。両首脳は緊縮財政と経済成長を両立させる経済政策に欧州が軸足を置くことで合意した。ギリシャ不安を抑えこむため、初の首脳会談では歩み寄りの姿勢を見せたが、欧州債務危機の対応でも緊密に連携できるか否かという点が次の試金石となる。
１０．G8でも、米オバマ大統領が同じように「緊縮財政と経済成長の両立」という趣旨のことを述べていた。雇用対策を念頭においた発言だが、現実性を考えると疑問が残る。 過去を振り返っても、「緊縮財政と経済成長」を「同時に」成し遂げた事例はない。小さな政府・緊縮財政という方法を取った場合、その成果という果実を受け取れるのは10数年先である。
１１．先のG8でもこの「時間軸」を無視した議論を進めている。オランド大統領とメルケル首相の会談でも同様である。どのくらいの時間で緊縮財政を実施し、どのくらいの時間をかけて成長していくのか、という点が議論されていない。先に緊縮財政を実施し、政府の介入を最小に留め、何年か先には成長戦略をとりやすい状況を作るという理想的なシナリオは実際には難しい。
１２．緊縮財政を実施しているうちに、政府の介入が増え、大きな政府になっていき、緊縮財政の実施と並行して、規制強化が行われる。結果として、何年経っても経済が浮上しない。これは残念ながら、日本の例を見てもよく分かる。緊縮財政と経済成長の両立という魔法を実現できた人はいない。仮に可能だったとしても時間のズレへの対処方法はない。この2つを両立できるならば、世界経済がこれほど苦労していない。
１３．ドイツとフランスでは現在置かれている経済状況がまるで違うから、意見が合致すること自体が不思議である。両首脳の初会談ということで社交辞令的な意味合いかも知れないが、政治家は社交辞令的な甘い言葉に弱い。国民はもっと弱い。国家経済が危機に瀕していても「緊縮は嫌、増税も嫌、税金は低いほうがいい」となって国が前へ進めなくなって、国債市場から退出を要求されてしまうのである。
１４．ギリシャの政局不安を受けて、16日のアジア市場は全面安となり、18日米株式市場でもダウ工業株30種平均は6日連続の下落で、週間では451ドル安と今年最大の下げ幅となっている。日経平均の下落幅が低かったのは、日本にとっては幸運だった。欧州の経済問題がアジア、日本、米国経済にどのように波及してくるのか、慎重に見ていく必要がある。 ギリシャ経済危機は日本にとって他人ごとではない。
yuji5327 at 06:26
国は、原発関連放射性廃棄物を子供たちに預け、あとはどうにかしてくれと勝手にほうり出さないこと。
核の世紀末―来るべき世界への構想力 (人間選書)
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「高木仁三郎著：核の世紀末・・来るべき世界への構想力、社団法人農山漁村文化協会、1991年」をすでに何度か紹介している。いよいよ日本の核燃サイクルの杜撰さが表に出てきた。なぜ当時、高木氏の意見を聞き入れなかったか、経済産業省の官僚たちやOBたちは反省してもらいたい。今更直接地下に埋葬などと言い出すのにはあきれるばかりである。原子力ムラの関係者も全員懺悔して責任を取らなければならない。「第1部核の世紀末に生きて」の「科学技術の予知能力を超える廃棄物問題」の小節の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
１．原子力問題の中で、社会的に深刻な問題が、廃棄物の問題、すなわち使用済み燃料中の放射能毒性の問題である。使用済み燃料30トン当たりの放射能の中に含まれる死の灰(これが放射性廃棄物というかたちで残るので、30トンというのは、100万キロワットの原子炉の1年分の消費にあたる。使用済み燃料30トン中に含まれる放射能を許容濃度と言われるものまで薄めるのに、どのくらいの水が必要かということで、毒性を表す一つのやり方として普通、希釈水量を用いた毒性指標というのを使う。
２．使用済み燃料30トン中に発生する放射能を(実際には、水で薄めるということはやらないが)仮に水で薄めて緩和しようとすると、地上の全河川をもってしても足りない。そのくらいの毒性が一つの原子炉から毎年出てくる使用済み燃料の中に含まれている。そのようなものが今、年間日本で800トン以上発生する。世界で、その10倍ぐらいになる。世界にある原子炉の約10分の1の原子炉が日本にある。
３．放射能のうちには、非常に時間的に長く残る成分もある。毒が百万年以上残る成分もある。百万年と言わず数10万年にしても、そんなに長い時間を、私たちは見通せない。今この放射能を持て余しているというので、たとえば地層に埋めてしまうという計画がある。埋めてしまった場合に、数10万年の間にどんな地震が起るか予測する能力は、科学にはまだない。そういう意味では科学技術の予知能力を超えたところに今、科学技術の産物がきているところが問題をかなり深刻にしている。これが、人間と科学技術の対立関係ということである。
４．今、核問題を、私たち全体が総括しなければならない。そのメッセージをきちんと子供たちに残していかなくてはいけない。放射能のゴミをそのまま子供たちに、あとはどうにかしてくれというふうに勝手にほうり出すようなやり方で、この時代を終わってしまってはいけない。
５．著者は、核化学という学問を研究生活の現場でやってきたので、このことのけりをつけると言っている。これをほうり出したかたちで、子供たちに受け継がせるわけにはいかないと思っている。
2012年05月24日
カトリックの神父tたちは、信者に対しては利子を取ってはならないとか商売で大儲けしてはならないと言っていながら、自分たちは密かに高利貸しを許していた。
論理の方法―社会科学のためのモデル
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「小室直樹著：論理の方法、東洋経済新報社、2003年」の「第4章マクス・ウェーバーにみる資本主義の精神」の資本主義と宗教の関係についての解説が面白い。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
１．マクス・ウェーバーは、資本主義の精神は資本仁義に好意的なところ、寛大なところでこそ起こってくるのではないと言っている。例えば中国などでは前期的資本が大発達しただけではなくて資本主義を禁止する思想などはなかった。古代、中世の中国においてはむしろ資本主義に大変好意的であった。盛んに経済活動を行うということは古代中国において褒めるべきことで、資本主義と絶対に敵対する思想がはびこっていたのではなかった。インドでも、古代エジプトでも、ヘレニズム社会でも中世ドイツでもそうだったが、そういうところでは資本主義は起こらなかった。
２．ヨーロッパのキリスト教については、ローマ教会では利子を取ることに表向きは大変敵対的であった。キリスト教が盛んになるにつれて世の中の王様や首相、共和国大統領なども教会に見習って、利子を取ることを禁止した。ところがカトリックの利子禁止令は他の禁止令と同様に、見かけは厳しいように見えながら実は抜け道があった。カトリックの神父とか、僧正とか大僧正などは、信者に対しては利子を取ってはならないとか商売で大儲けしてはならないと言っていながら、自分たちは密かに高利貸しを許していた。それどころかローマ法王庁では高利貸しと結託して大儲けしていた。宗教改革のときに改革側の人々はこういうことをカトリック攻撃の一つの材料として使った。
３．宗教というのは大きくなれば必ずスキャンダルが湧いてくる。しかし宗教改革のエッセンスはカトリックのスキャンダルを暴くことではなく、カトリックがけしからんのは宗教合理化の方向に向かわないで、その正反対の方向に向うこと、すなわち儀礼によって救済が得られるというとんでもない教えを広めたことにある。
４．宗教改革によってキリスト教を少なくともその一部は徹底的に合理化した。このことによって資本主義の精神が登場した。だから近代西ヨーロッパと北米の一部分に限って資本主義が勃興した、とウェーバーは説明している。プロテスタントはカトリックの儀礼によって神様に祈りを捧げても意味はないといって呪術を追放し、宗教の合理化を行った。宗教の合理化は呪術、儀礼によって神に救われるという考えを追放する。そのことによって初めて伝統主義を打破して、資本主義の精神がつくられ得る。これがウェーバーの論理のポイントである。
５．資本主義の精神こそ近代資本主義を生み出すために必要不可欠なものであった。資本主義の精神がなければどんなに技術が進歩しても、資金が蓄えられても商業が発達しても、近代資本主義のための産業資本は生まれてこない。前期的資本はどんなに繁栄を極めても依然として前期的資本のままである。
６．この資本主義の精神を生み出すにあたって最も決定的役割を演じたのは予定説である。予定説とはカルヴァンがキリスト教本来の論理として復活させたもので、救われるものと救われないものが予め神の意志で決められているという説である。資本主義の精神が生まれ、発育してゆくためには精神革命が必要であった。精神革命による行動的禁欲で呪術を駆逐し合理化を推し進めるようにエトスが変えられなければならなかった。
７．誰が救済され、誰が救済されないかは神が一方的に意志決定する。そして、必ず神の意志どおりになる。神のこの意志決定は天地創造のときになされ、人間がこれに関与することも変更することも不可能である。人間の偉業、行為の是非善悪は少しも関係しない。人間が神の意志決定を知ることは不可能である。カルヴァンが予定説を公表したことは人々の心を極限に追いつめた。神に選ばれた救済される予定の人はそのように行動するに違いない。もはや、一つ一つの善行は問題ではない。すべての行動が統一的に組織化され、人は行動的禁欲なり切らなければならない。伝統主義的エトスが打破されて資本主義の精神によって生成されたエトスに変換されたのである。
2012年05月23日
健康寿命
松原英多医師の
健康で活動的に暮らせる
健康寿命の延長法
脂肪を燃やすための
日常生活の小動き
立つ、歩く、噛む、話す
の基本能力の維持
50歳から意識しよう
(読売新聞2012.5.21より)
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今、持て余している科学技術の産物である放射能を、地層に埋めてしまう計画があるが、数10万年の間にどんな地震が起り、地層変動があるか予測する能力を超えている。
核の世紀末―来るべき世界への構想力 (人間選書)
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「高木仁三郎著：核の世紀末・・来るべき世界への構想力、社団法人農山漁村文化協会、1991年」、は以前にも紹介したが、20年前に出版された本である。今、読んでもその洞察力に敬服する。著者は東大理学部卒で東京都立大学を経て原子力資料情報室世話人という当時の肩書である。おそらく政府の委員会などにお呼びがかからなかったか、かかっても辞退していたと思われるほど、正論を述べている。「第1部：核の世紀末に生きて」の「科学技術の予知能力を超える廃棄物問題」の小節の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
１．原子力問題の中で、社会的に深刻な問題が、廃棄物の問題、すなわち使用済み燃料中の放射能毒性の問題である。使用済み燃料30トン当たりの放射能の中に含まれる死の灰(これが放射性廃棄物というかたちで残る)で、30トンというのは、100万キロワットの原子炉の1年分の消費にあたる。使用済み燃料30トン中に含まれる放射能を許容濃度と言われるものまで薄めるのに、どのくらいの水が必要かということで、毒性を表す一つのやり方として普通、希釈水量を用いた毒性指標というのを使う。
２．使用済み燃料30トン中に発生する放射能を(実際には、水で薄めるということはやらないが)仮に水で薄めて緩和しようとすると、地上の全河川をもってしても足りない。そのくらいの毒性が一つの原子炉から毎年出てくる使用済み燃料の中に含まれている。そのようなものが今、年間日本で800トン以上発生する。世界で、その10倍ぐらいになる。世界にある原子炉の約10分の1の原子炉が日本にある。
３．放射能のうちには、非常に時間的に長く残る成分もある。毒が百万年以上残る成分もある。百万年と言わず数10万年にしても、そんなに長い時間を、私たちは見通せない。今この放射能を持て余しているというので、たとえば地層に埋めてしまうという計画がある。埋めてしまった場合に、数10万年の間にどんな地震が起るか、地層変動があるか予測する能力は、地質学的にも科学にはまだない。そういう意味では科学技術の予知能力を超えたところに今、科学技術の産物がきているところが問題をかなり深刻にしている。これが、人間と科学技術の対立関係ということである。
４．今、核問題を、私たち全体が総括しなければならない。そのメッセージをきちんと子供たちに残していかなくてはいけない。放射能のゴミをそのまま子供たちに、あとはどうにかしてくれというふうに勝手にほうり出すようなやり方で、この時代を終わってしまってはいけない。
５．著者は、核化学という学問を研究生活の現場でやってきたので、このことのけりをつけると言っている。これをほうり出したかたちで、子供たちに受け継がせるわけにはいかないと思っている。
（それにしても、今の政治家、霞が関官僚、そのOBたちの議論は浅はかの極みである。哲学もなければ、長期的な視野もない。子供たちにきちんと説明できないことを恥ずかしいと思う）
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2012年05月22日
世界一スカイツリー
世界一スカイツリー開業
あいにくの雨
楽しめる周辺施設
水族館
墨田区の活性化
おしなり商店街
台東区の活性化
台東音頭
東京スカイツリー駅
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イスラム教と違って、キリスト教では何が正しく何が正しくないか一切言っていない。しかも正しいことをしたから神が救うとも言っていない。
論理の方法―社会科学のためのモデル
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「小室直樹著：論理の方法、東洋経済新報社、2003年」の「第4章マクス・ウェーバーにみる資本主義の精神」の資本主義についての解説は洞察力という点でも面白い。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
１．キリスト教は難解な宗教である。なかでも難解なのは予定説である。予定説にこそ資本主義の精神の鍵があるというのがウェーバー・モデルの要点である。予定説の論理を一口で言えば、因果律の正反対である。日本で仏教の坊さんの話を聞けば、善いことをした人は極楽へ行き、悪いことをした人は地獄に落とされると教えているが、その論理は完全な因果律である。例外はないと考えている。原因が決まれば結果はきちんと一義的に定まってしまうと考える。
２．古典力学における質点の運動は初期条件とそれに加わる力が決まれば、一義的に定まる。始めの点の位置、速度とどんな力がその後働いているかさえわかれば、その後の任意の時点においてこの点がどこにあるかは一義的に定まってしまう。不明確であることはない。確率が作用する余地もない。これは質点の運動の因果律である。古典力学におけるこの因果律は完全因果律である。
３．仏教の因果律は倫理的行動とその結果についての因果律である。善因楽果、悪因苦果と言うが、善いことをすれば必ず楽しいことがあり悪いことをすれば必ず苦しいことがあると言う。不明確なこともない。例えば善いことをすれば極楽へ行く、悪いことをすれば地獄に落とされると教えるとき、ただしはっきりしないこともあると教えることは決してない。また確率論的説明が入ってくることもない。こんな風に善いことと悪いことを行えば、極楽へ行く確率は何%、地獄へ行く確率は何%である、というような説明になることもあり得ない。
４．仏教においても因果律は完壁に貫徹している。すなわち因果律は完全因果律である。例外はなく確率論的思考は少しも混入していない。物理学との違いといえばこれは倫理的因果律であることである。因果律が原因⇒結果という筋道をたどって行くのに対し、これと正反対の目的論をたどるのが予定説である。
５．神に救われるか救われないかは、一方的に既に決まっている。誰を救うべきか、誰は救わないでおくのかは、天地創造以前に神は既に一方的な意志決定によって定めてある。もはや変更不可能である。しかも人間にはこの神の意志決定は絶対に知り得ない。予定説は何とも恐ろしい教説である。
６．このような恐ろしい予定説が近代化を生み出した理由が大切である。ある人々が選ばれたのは、決して彼らの「信仰、あるいは善行為、あるいは、その他被造物のもついかなるものも条件あるいは原因としてではなく、すべて神の「自由な恩恵と愛」に基づくものである。
16、17世紀の西ヨーロッパにおいて近代化への革新、資本主義、自由主義、デモクラシーを唱えようとした無数の戦士たちの「良心の解放」と自由のための堅固極まりない拠り所となった。
７．人間の知力では自分がどちらに属しているかをを知ることは絶対に不可能である。しかしカルヴァンはただ一つだけ決定的なことを教えておいた。それは「神に救われる予定の人は、そのことを証明するように振る舞うであろう」ということである。このカルヴァンの教えこそが信者に決定的な影響を与えることになった。一つ一つの善行、修行が問題ではない。人間全体としての行動の綜合が問題なのである。
８．イスラム教と違って、キリスト教では何が正しく何が正しくないか一切言っていない。。しかも正しいことをしたから神が救うとも言っていない。その点はイスラム教と全然違う。けれども神が救うと予定した人は何が正しいことかを教えられなくても自分でわかるはずであって、絶対にそれを行うはずであるという気持ちになってしまう。
