2013年04月
テレビのゲストの医師は治療の効果は一時的であると説明するが、ほとんど無視され、治療のよい面ばかりが強調される。多くの患者は自分も受けたいと思うが手が届かない。
医療幻想: 「思い込み」が患者を殺す (ちくま新書) [新書]
「久坂部羊著:医療幻想−思い込みが患者を殺す、筑摩書房、2013年2月」の「第5章:老化に苦しむ高齢者の医療幻想:奇跡のうつ病治療」の内容は全く同感で、本文に引き込まれる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.うつ病は今や患者数100万人を超える深刻な病気である。先日、NHKの朝の番組で、「うつ病治療の新常識」と銘打って、うつ病の新しい診断法と治療が紹介されていた。脳科学の進歩で、うつ病の正体が明らかになりつつあり、脳の働きを画像化して診断する先進医療がはじまったというものである。
2.その診断に使うのは「光トポグラフィー」という検査で、皮膚や骨を透過する近赤外線を頭部に照射して、その反射から脳の各部位の血流を測定するものである。この検査により、うつ病患者を正しく診断し、治療に生かせるようになった。
3.番組で紹介された患者は、「双極性障害」(そううつ病)なのに、うつ病と診断され、長らく抗うつ剤をのんでいたが、症状がよくならないばかりか、衝動的に妻に怪我をさせるなどの危険な状態になっていた。それが光トポグラフィーで双極性障害であることがわかり、正しい治療を受けて、改善したというものである。
4.そんな例が紹介されると、自分も双極性障害かもしれず、光トポグラフィーで正しい診断を受ければよくなると思ううつ病患者も多い。実際は、そんなことは起こらない。通常の双極性障害であれば、定期的にそう状態が現れるから、別に光トポグラフィーで診るまでもなく診断がつく。症状があいまいな場合でも、うつ状態には抗うつ剤を使用することもあり、新しい検査で正しい治療法が見つかって、病気が治ったなどということは、きわめて稀である。
5.番組では、アメリカで行われている「経頭蓋磁気刺激」という治療法も紹介されていた。これは不安や恐怖をコントロールする「扁桃」という部分の働きを抑えるDLPFC(背外側前頭前野)というところに、磁気刺激を与えるもので、うつ病の治療に劇的な効果があるというものである。
6.番組では実際の患者の治療経過が紹介されるが、ゲストのタレントは、患者がうつ病に苦しむ場面では悲しげに眉を寄せ、症状が改善すると我がことのように喜ぶ。そして治療に副作用がないことを知ると、心から安堵の表情を見せる。ハッピーエンドである。現実を知っている者からすれば、アホらしくて涙も出ない。
7.ゲストには医師も招かれていて、専門家らしく治療の効果は一時的であることを説明するが、ほとんど無視され、スタジオでは治療のよい面ばかりが強調される。この治療を行うアメリカのクリニックでは、7割の患者が症状を改善させたと紹介されるが、そんな映像を見れば、多くの患者が自分も受けたいと思う。しかし、現実にはその治療に手の届く患者はほとんどいない。
8.ゲストのタレントは善意いっぱいの表情で、「日本でも1日も早く導入してほしいですね」などと言うが、検証しなければならない問題は多く、口で言うほど簡単にはいかない。それをきちんと説明せず、夢の治療がそこまで来ているように見せるのは、視聴者の幻想を深めるばかりである。
9.2年前にはNHKスペシャルで「認知症を治せ! 劇的に改善する患者▽アルツハイマー病期待の新薬」と題して、認知症治療の最前線を報じた。紹介されていたのはレンバーという新薬だが、まだまだ治験段階で、よくなった例もあが、実用化にはほど遠いにもかかわらず、まとめは「認知症は治らない、認知症は防げないという常識が今変わりつつある」である。
10.テレビは、世間に幻想を植えつけている。現場で認知症で苦しむ患者や家族には、安易なきれい事は残酷である。ういう番組は、病に苦しむ人を傷つけ、病気でない人に甘い夢を見させて油断させる有害番組である。
医者の報酬など全国紙の記者たちと大差がない。自分たちの高収入に世間の注目が集まらないように、医者を「金持ちの悪者」に仕立てる記事を書く。
医療にたかるな (新潮新書) [単行本]
「村上智彦著:医療にたかるな、新潮社、2013年」の著者は、財政破たんした夕張市の医療を通じて日本の医療の問題点を鋭く暴いた医師である。「第2章:医療を壊す「敵」の正体」の「夕張を破綻させた「たかり体質」」「北海道の土地柄」「マスコミの自作自演構造」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.本来、夕張の破綻の問題点を指摘し、是正を求めるのはマスコミの役目である。しかし、彼らも役に立たない。それどころか問題を悪化させる共犯者である。マスコミの一番大きな問題は、自分の目でものを見ようとしたり、自分の頭でものを考えようとしたりしない人が多いことである。
2.取材に来る前から、「住民は弱者で可哀想な被害者」「住民はいつも正しい」という思い込みを持っている。こちらがいくら丁寧に説明しても、どんな証拠を提供しようが、最初に思い描いていた「ストーリー」が変わることはない。しかも、「医者は高い給料をもらっているんだから、厳しく批判されて当たり前」と思い込んでいる。実際は医者の報酬などテレビや全国紙の記者たちと大差がない。自分たちの高収入に世間の注目が集まらないよう、あえて医者を「金持ちの悪者」に仕立てようとしている。
3.2010年6月2日に、次のような記事が北海道新聞や全国紙は、医療法人財団「夕張希望の杜」(村上智彦理事長)が運営する夕張市立診療所が5月、自殺を図り心肺停止だった男性の救急搬送受け入れを断っていたことが明らかになり、夕張市の藤倉肇市長は1日、医師の村上理事長から事情を聴いた、という記事を報道した。
4.「救急受け入れ、また拒否」という見出しといい、市長の「誠に遺憾」というコメントといい、「この村上という医者は、救急受け入れを拒否して、患者を死に至らしめた酷い医者だ」と糾弾する意図があるとしか思えない書き方である。いかにも「断ったから死亡した」といったニュアンスで報道していた。現場の感覚で言えば、あくまでも「緊急性の低い検案」という認識である。もし本当に助かる見込みのある「心肺停止患者」だったとすれば、救急に対応できる人員や施設の整った救急指定病院に搬送すべきである。医師が一人しかおらず、ろくな救急施設もない診療所に運んだら、助かるはずがない。最初に救急の連絡が入ったのは著者のいる夕張市立診療所ではなく、市内にある別の診療所だったが、その診療所も救急指定病院ではなく、当然のように受け入れを拒否している。それにもかかわらず、なぜか夕張市立診療所だけが糾弾された。
5.当初は市の救急会議でも問題にしなかたが、総務課に「匿名の投書」があり、なぜかそれが「お抱え新聞」のM記者にいち早く伝わり、段取りよく市長の「緊急記者会見」が開かれた。この記事を書いたM記者は、一度も私に直接話を聞くこともなく、記事を書いているの。村上氏が抗議をしたら、「病院に電話したが、不在で話を聞けなかった」と言い訳をしたが、M記者は村上氏の携帯電話の番号も知っているのに、携帯に電話をした記録がない。病院の信用を大きく損なうような記事を書くなら、そのぐらいするのが記者として当然の義務である。藤倉市長も、なぜ直接村上氏から事情聴取をする前に、緊急で記者会見を開いたのは疑問である。
6.マスコミからこのような仕打ちを受けたのは2度目だった。自殺をしたのが中学生だったので、少しでも助かる可能性があるのなら、ヘリコプターを呼んででも施設の整ったところへ搬送すべきと村上氏が言っていた。朝日新聞のH記者から毎日のように電話があり、「謝らないと大変なことになる。議会も怒っていて、このままでは診療所は潰されてしまう」などと洞喝めいたことを言われ、一方で「謝罪さえすれば、私の報道で変な動きを抑えてやる」「他の新聞に書かれるとあなたの立場が大変になるから、私だけに書かせなさい」などと言った。当時はまだある程度マスコミを信じていたので、「中学生がなぜ自殺したのかをきちんと報道し、自殺予防につながるような記事を書いてくれるなら」という約束で、H記者の指図通り市内で開かれた小さな集会で「謝罪」した。H記者はそれを「独占スクープ」したが、その後自殺についての報道は一切してくれなかった。要するに、M記者もH記者も、市役所の幹部や教育委員会を守りつつ、自分でニュースをでっち上げて、大きく報道したかっただけである。
7.村上氏は、すぐさまウェブ雑誌に、反論手記を書いたところ、大反響を呼び1日70万件のアクセスが殺到した。医師向けの情報サイトでも年間アクセスランキングが2位になるなど、医療関係者を中心に高い関心を集めた。
8.夕張市が自ら救急指定を放棄し、ろくに予算も出さず、いわば救急医療ができないように診療所の手足を縛っておきながら、救急受け入れを断ったことをマスコミを利用して一方的に批判した卑劣なやり口に、怒りを感じている。財政破綻させた張本人である夕張市の人間が、身銭を切ってまで地域医療の建て直しにやってきた人間に、まさに恩を仇で返すような仕打ちをしたことが、道義的に許せない。
9.市役所には非難の投書、電話、メールなどが殺到した。彼らはインターネットの力を侮っていたのだと思われる。地元の新聞やテレビとさえタッグを組んでおけば、何でも思い通りになると思っていたようである。H記者からは「あなたのプログやツイッターなんて誰も読んでいない」と馬鹿にされたが、この事件をきっかけに著者のツイッターのフォロワーは7000人を超え、プログやメルマガも含めると1万人ぐらいの人に対して、著者の考えが直接伝えることができるようになった。。
10.大メディアに比べれば微々たる数字だが、これまではただ泣き寝入りするしかなかった一般人が、大メディアを向こうに回してネット上の言論空間で反撃できるようになったことは、大きな社会進歩である。これ以降はM記者やH記者は2人とも別の地域に異動していった。(メディアの間接的な暴力を起訴して断罪できない社会は真の民主主義社会ではない)
yuji5327 at 07:13
感染症で、体が発熱し、低酸素・低体温の状態から抜け出すことで、結果としてガンが死滅することもありうる。風呂や湯たんぽなどで体を温めてガンの自然退縮はあり得る。
人が病気になるたった2つの原因 低酸素・低体温の体質を変えて健康長寿! [単行本]
「安保徹著:人が病気になるたった2つの原因、低酸素・低体温の体質を変えて健康長寿、講談社、2012年第5刷発行」の「第6章:血液ドロドロの効用」は非常に興味深い内容である。印象に残った部分の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.赤血球は、他の細胞と同様、表面が膜(細胞膜)で覆われ、そこには糖鎖と呼ばれる糖質の結合体が広がっている。この糖鎖の先端にはシアル酸という糖の一種があり、この成分が細胞どうしを接着させたり、引き離したりする相互コミュニケーションの媒介となって働く。赤血球はこのシアル酸の量が多いため、毛細血管内でくっついたり離れたりしやすい性質がある。
2.細胞の内側と外側は細胞膜を挟んで電位差(膜電位)があるので、赤血球と毛細血管はともにマイナスの電位であるため、くっついて、血流が妨げられることがない。こうした血流コントロールのすごさは、血液のペーハー(PH)、すなわちアルカリ性か酸性かを調べることでも確認できる。
3.血液は、通常は7.35−7.45の弱アルカリ性を示す。これが、ストレスによって赤血球がくっつき血液ドロドロになると7.35を下回るようになり、酸性の世界に傾いていく。ガンの患者を調べると、例外なく7.3以下であることがわかる。
4.ガン患者の体を温めると、血液のペーハーもアルカリ性の世界に戻っていき、再び、7.35を超えはじめると自然退縮が始まります。ドロドロだった血液がサ一フサラになっていくことでガンも治癒に向う。大事なのはバランスであり、あまり温めすぎると、今度はアルカリ性の世界に入り込みすぎてしまい、生存に適さなくなる。7.5−7.6になれば、がんを治癒させるには絶好の条件になるが、一歩間違えば人間の限界を超えて死に至る。岩盤浴や温泉の利用はよいことだが、湯あたりやのぼせは生命にかかわることもある。
5.感染症にかかり、体が発熱し、低酸素・低体温の状態から抜け出すことで、結果としてガンが死滅することもありうる。発熱することは、リンパ球の働きを活性化させ、血液をアルカリ性にし、血液をサラサラにする働きがある。風呂や湯たんぽなどで体を温めてガンの自然退縮をはかることがすすめられている。
6.怒ることを「頭に血がのぼる」というが、これは脳に血流が集まり、急激に活性化された状態を意味する。興奮して交感神経が緊張し過呼吸になると、血液の循環量が増え、脳に血液が流れ込む。脳はミトコンドリアが多い器官であるため、酸素が供給されることで一気に活性化する。これは脳にだけ血流が集まる状態だから、体全体で見れば低酸素・低体温による解糖系の世界に陥っていることになる。
7.脈拍が増え、高血圧、高血糖も引き起こされるので、怒るのはほどほどにし、うまく気持ちを切り替える必要がある。この気持ちの切り替えが、「頭を冷やす」ということの意味である。イライラが続いてうまく頭が冷やせないという人は、気分転換も兼ねて、とにかく歩くことを心がけることがよい。歩くことで下半身が刺激されるため、脳への血流の偏りが解消され、自然と冷静さが取り戻せるようになる。イライラばかりでなく、勉強や仕事などで頭を酷使しているようなときにも同様である。
8.古来、哲学の道があるように、物事を考え抜いた人は歩くことでバランスを取り戻し、疲れた脳をリセットさせる。その結果、忽然と、いいアイデアが浮かんでくることもある。
9.頭に血がのぼると、一瞬、目の前が真っ白になるような状態を味わうことがある。これは目の網膜にある網膜細胞が酸素分圧の高まりを感知するためである。目だけでなく脳も酸素分圧が高まるため、ミトコンドリアが過剰に働いて、1つのことしか考えられなくなる。善悪の判断がおぼつかなくなり、いわゆる「キレた」状態になる。
10.こうした傾向のある人は、つねに気持ちを切り替える努力をし、心身のバランスをコントロールする必要がある。一度、カーッとなってしまっても、冷静になることを心が
け、ゆっくり時間をかけて歩いたり、あるいは深呼吸したりして、「頭を冷やす」ようにするのがよい。
11.不安になったときも同様で、どちらも頭にばかり酸素が集まっているため、体全体で見ると酸素が欠乏してしまっている。脈拍が高まり、過呼吸になることで、上半身ばかりに酸素が集中してしまう。こうした場合は、過呼吸になってしまっている自分に気づき、とにかく大きく深く、ゆっくりと呼吸を繰り返してみるとよい。私たちの体はたえずバランスを取るように働くその点を理解し、対処することが、生きる知恵である。
そもそも全世界に4,000兆円もあるホームレスマネーのうち、 7兆円が日本に流れたからと言って、先進国へお金が流れ始めたなどと言うのはおかしい。
4月26日付けの大前さんの『 ニュースの視点』 ( 発行部数176,817部)は『異次元緩和効果と金相場〜現状の背景と実態を理解する』と題する記事である。専門的な標題でとっつきにくいがよく読むと含蓄の多い内容である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.新発10年物国債の利回りは15日、一時前営業日よりも0.03%高い0.65%まで上昇した。一方、東京証券取引所が18日発表した売買動向によると、黒田総裁率いる日銀が「量的・質的金融緩和」を発表した翌週の4月第2週に海外勢は日本株を1兆5865億円買い越し、週間で過去最高を更新した。
2.このような事態を受けて、日経新聞は「世界の投資マネーが新興国から先進国へ回帰し始めた」などと報じた賛同できない。もう少し資金の性格を見抜いてから記事にすべきである。
3.今、日本に流れてきている資金はサヤ取り業者の短期的なものである。決して長期滞在型の資金ではない。買い越しのピークから売り越しのピークへの変化など、一瞬で起こる。
4、今、日本国債の利回りはかなり乱高下しており、危険な状況である。利回りが上がった時に一気に外国のヘッジファンドが仕掛けてくると、今や外国人保有率が10%に達しているから、長期保有していた人も不安心理に煽られて日本国債を売ってしまう。すると利回りはさらに上昇し、暴落へのトリガーを引くことにつながる。
5.日本の為替と株で昨年の秋から1000億円規模で収益を上げている某ヘッジファンドの担当者の見方は「民主党政権は長く持たないと踏んで、一般的な日本人よりも先に動き始め、円安が進行し、うまく儲けることができるから、安倍総理の政策を信用して預けようという、長期滞在型の資金ではない。
6.米国にお金が戻っているのは、本当である。シェールガス革命の影響を考えれば頷ける。日本の場合は違う。そもそも全世界に4,000兆円もあるホームレスマネーのうち、 7兆円が日本に流れたからと言って、先進国へお金が流れ始めたなどと言うのはおかしい。 しっかりとそのお金がどのような性格を持っているのかを見抜く目を持って欲しい。
7.金相場は12日、米大手金融機関が大量の売りを出したという情報が市場に流れたのがきっかけに週明けの15日も大幅な下落が続き、下げ幅は2日間で200ドルを超えた。2000年からずっと上昇傾向にあった金の価格が、1,800ドルに迫る勢いから一転、1,500ドルを下回る日も出てくるという、急激な下落傾向を示している。
8.CNNの番組では、金のトレーディングに25年間携わっている人が、「あんな動きを自分は見たことがない」と、先日のわずか2日間で200ドル以上の下落をした相場に驚いている。
9.金相場は必ずしも日本の影響ではなく、キプロスの影響も大きいと言われているが、金、日本円、日本国債の相場が少し荒れ始めている。サヤ取り業者は何かしらの信念を持っているわけではない。すなわち、安倍総理と黒田日銀総裁が正しいと信じているわけではない。今は乗っかったほうが儲けやすいと思っているだけである。タイミングが来れば、あっさりと離れていくことは明白である。おそらく黒田総裁がきちんとした出口戦略を持っていないと踏んで、自分たち自身で明確な出口戦略まで考えている。
10.日本円、日本国債、金相場の動きを見るとき、日本の報道機関などを見ても視野が短期的になりすぎる傾向がある。もっと広い視野で、なぜそれが起こっているのかを自分で考えられるようになってほしい。
1.新発10年物国債の利回りは15日、一時前営業日よりも0.03%高い0.65%まで上昇した。一方、東京証券取引所が18日発表した売買動向によると、黒田総裁率いる日銀が「量的・質的金融緩和」を発表した翌週の4月第2週に海外勢は日本株を1兆5865億円買い越し、週間で過去最高を更新した。
2.このような事態を受けて、日経新聞は「世界の投資マネーが新興国から先進国へ回帰し始めた」などと報じた賛同できない。もう少し資金の性格を見抜いてから記事にすべきである。
3.今、日本に流れてきている資金はサヤ取り業者の短期的なものである。決して長期滞在型の資金ではない。買い越しのピークから売り越しのピークへの変化など、一瞬で起こる。
4、今、日本国債の利回りはかなり乱高下しており、危険な状況である。利回りが上がった時に一気に外国のヘッジファンドが仕掛けてくると、今や外国人保有率が10%に達しているから、長期保有していた人も不安心理に煽られて日本国債を売ってしまう。すると利回りはさらに上昇し、暴落へのトリガーを引くことにつながる。
5.日本の為替と株で昨年の秋から1000億円規模で収益を上げている某ヘッジファンドの担当者の見方は「民主党政権は長く持たないと踏んで、一般的な日本人よりも先に動き始め、円安が進行し、うまく儲けることができるから、安倍総理の政策を信用して預けようという、長期滞在型の資金ではない。
6.米国にお金が戻っているのは、本当である。シェールガス革命の影響を考えれば頷ける。日本の場合は違う。そもそも全世界に4,000兆円もあるホームレスマネーのうち、 7兆円が日本に流れたからと言って、先進国へお金が流れ始めたなどと言うのはおかしい。 しっかりとそのお金がどのような性格を持っているのかを見抜く目を持って欲しい。
7.金相場は12日、米大手金融機関が大量の売りを出したという情報が市場に流れたのがきっかけに週明けの15日も大幅な下落が続き、下げ幅は2日間で200ドルを超えた。2000年からずっと上昇傾向にあった金の価格が、1,800ドルに迫る勢いから一転、1,500ドルを下回る日も出てくるという、急激な下落傾向を示している。
8.CNNの番組では、金のトレーディングに25年間携わっている人が、「あんな動きを自分は見たことがない」と、先日のわずか2日間で200ドル以上の下落をした相場に驚いている。
9.金相場は必ずしも日本の影響ではなく、キプロスの影響も大きいと言われているが、金、日本円、日本国債の相場が少し荒れ始めている。サヤ取り業者は何かしらの信念を持っているわけではない。すなわち、安倍総理と黒田日銀総裁が正しいと信じているわけではない。今は乗っかったほうが儲けやすいと思っているだけである。タイミングが来れば、あっさりと離れていくことは明白である。おそらく黒田総裁がきちんとした出口戦略を持っていないと踏んで、自分たち自身で明確な出口戦略まで考えている。
10.日本円、日本国債、金相場の動きを見るとき、日本の報道機関などを見ても視野が短期的になりすぎる傾向がある。もっと広い視野で、なぜそれが起こっているのかを自分で考えられるようになってほしい。
生き方のバランスの崩れが病気を引き起こす。いたずらに病気治療に執着しないこと。健康ばかりを求めて病気の世界を拒絶することは、生き方の本質からは外れる。
人が病気になるたった2つの原因 低酸素・低体温の体質を変えて健康長寿! [単行本]
「安保徹著:人が病気になるたった2つの原因、低酸素・低体温の体質を変えて健康長寿、講談社、2012年第5刷発行」の「第6章:血液ドロドロの効用」は非常に興味深い内容である。印象に残った部分の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.頭に血がのぼったら下半身を刺激することが必要だが、下半身ばかり鍛えればいいわけではない。何事もバランスが大切である。下半身ばかりを重視して頭に血が行き渡らなくなることは、脳の働きの低下を意味する。認知症にかかった老人がむやみに俳徊するのもそのためである。
2.認知症が増えているのは、定年退職してすることがなくなり、頭をあまり使わなくなることが関係している。頭を使わないですめばストレスも減り、気持ちは穏やかになるが、あまり度を超すと血が頭に回らなくなるため、ボケの世界に入る。ボケを予防するためには、ほどよく上半身を使うことが重要である。
3.すぐにできる対処法は、手先の運動を取り入れることである。年をとったら健康のために歩くことばかり考えるのではなく、ピアノや習字を習ったり、編み物や料理をしたり、こまめに手先を動かすことが効果的で、脳が適度に刺激され、物忘れも減っていく。
4.年をとっても元気で、血圧や血糖値が高めの人は、ウォーキングをするなどして、頭に血がのぼるのを防ぐこと。睡眠時問をしっかりとって、早寝早起きの習慣をつけることで、交感神経の緊張を上手にとることも大事である。著者は、どちらかというとカッカしやすい性格なので、興奮して声が大きくなり、血圧が上がりやすい傾向がある。一時は散歩を習慣にしていたが、ダラダラと歩くだけでは単調すぎて飽きてしまうので、いまでは朝食の前にゴミ出しをしたり、家のまわりを掃除したりして体を動かすようにしている。
5. 夜9時くらいには床に就くようにして、睡眠をたっぷりとることで、副交感神経を優位にすることも心がけている。現代人は総じて運動不足の傾向にあるので、自分の性格や生活環境などを考慮しながら、下半身と上半身をバランスよく鍛えることが大切である。体を鍛えるといっても、フィツトネスクラブなどに通って、へトヘトになるまで体を酷使する必要はない。頑張ってストレスをためるより、適度に手を抜きながら続けることが若さを保ち、健康を手に入れる秘訣である。
7.私たちの体は、血液ドロドロとサラサラの間を行き来しながら、感情をコントロールし、この世界で生き抜くすべを得ている。突きつめていくと、人間が恒温動物であることと関係している。恒温動物は、自分自身で体温を変えることができる生き物であるため、体を動かしたり、逆に冬ごもりをしたりすることで、体温が上がりすぎたり下がりすぎたりするのを、つねにコントロールする必.要がある。
8.人間の場合、解糖系とミトコンドリア系の調和が求められることから、生活のなかで瞬発力と持続力をうまく使い分け、どちらにも偏らないよう、たえず微妙にバランスを整えながら生きていかなければならない。血液がドロドロであるかサラサラであるかということも、このバランスの結果である。
9.生き方のバランスの崩れが病気や体調不良を引き起こす要因ならば、そこから抜け出そうと、いたずらに病気治療に執着しないことである。逆に、健康になることばかりを求めて病気の世界を拒絶することも、生き方の本質からは外れている。病気になることは、自分自身の調和の崩れに気づくための、非常に貴重な体験になる。血液ドロドロをただ悪者扱いするだけでなく、そうやって外界のストレスに対応している体の知恵に目を向けることが大切である。