2013年11月
古来からの日本の神々への信仰(神道)も排除されず、神々は仏法を守るという役割を与えられ、仏教と神道は共存している。
「池上彰著：池上彰と考える 仏教って何ですか？ 、 飛鳥新社、2012年」が面白い。 第1章：仏教って何ですか？」の「三大宗教のひとつ、仏教はどこでどのように生まれた?」「国家の基盤を作るために仏教を導入した聖徳太子」の小節の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
１．推古天皇のもとで摂政をつとめたのが、聖徳太子として知られる厩戸皇子である。聖徳太子こそ、日本に仏教を定着させた立役者である。604年、十七条憲法を制定した。その第1条は「和をもって尊しとなす」だが、第2条には「篤く三宝を敬うべし。三宝とは仏・法・僧なり」とあり、天皇について述べた第3条よりも先に、仏教を推している。
２．当時の日本はまだ氏族社会の寄せ集めであり、国家の体をなしておらず、聖徳太子は中央集権国家をつくるため、当時最新の外来宗教であった仏教を基盤にしようと考えた。聖徳太子は現在の大阪市にある四天王寺をはじめとする寺院を建立し、日本仏教の礎を築いた。
３．聖徳太子はこんな言葉も残している。「世間虚仮唯仏是真（せけんこけゆいぶつぜしん）」この世は仮のものであり、ただ仏だけがまことのものである、という意味。「虚仮」という言葉は「人を虚仮にする」などと使われるが、聖徳太子は本来の仏教用語として使っている。
３．権力や財力といった、いつかは滅びる虚しいものを競うのではなく、仏の言葉に従って、正しい国づくりをしていこう。執着にまみれた政治の世界にいながら、すべてのこと、ものは移ろうものであるということを意識し、そんな理想を掲げた。
４．中国から伝わった外来宗教である仏教が日本に定着し、日本らしい形が整ってきたのは奈良時代である。遣唐使などを通じて中国の宗派が日本に伝わり、奈良の平城京の大寺院がそれを受け入れ、後に南都六宗と呼ばれる初期の仏教の学派が栄えた。南都というのは平城京のことで、後の京都・平安京から見て南にあったため、そう呼ばれた。
５．その当時、宗派という概念はまだなく、奈良の東大寺などの大寺院には複数の学派の講座があり、学僧に向けて今の大学のような形で講義を行なっていた。当時から南都六宗と呼ばれていたわけではなく、後の平安京でできた天台宗、真言宗に対しての呼び名となっている。
６．752年に東大寺が建立された。東大寺は、聖武天皇が全国に安定をもたらすために各地に建てるよう命じた国分寺の総本山である。奈良の大仏で有名だが、仏教の歴史の中で大切なのは、日本で初めて戒壇院が設けられたことである。
７．仏教では、出家して正式な僧侶になる際、守るべき厳しい戒律を授かる授戒という手続きが必要である。たとえば、財産は持たないことなど様々な戒めがある。日本には戒律を授ける資格をもった僧侶がいなかったため、聖武天皇は、唐から中国の学僧であった鑑真を招いた。鑑真は唐でも重用されており、出国が禁じられていた。秘かに出国しようとしては失敗し、5度目にようやく日本にたどり着いたが、そのときには失明していた。
８．聖武天皇は鑑真を迎え、戒律を授けるための場である戒壇院を東大寺に設けた。天皇自らも含めて約4百人が鑑真から戒律を授かった。このときようやく、日本で正式に僧侶になることができるようになった。
９．こうして仏教は日本に根付いていったが、古来からの日本の神々への信仰(神道)も排除されたわけではない。神々は仏法を守るという役割を与えられ、仏教と神道は共存の道を歩んだ。神道の神様たちは、仏や菩薩の化身(権現ごんげん)として別の姿で現れて、私たちを救ってくれるという考え方である。平安時代にこうした考え方が定着した。
１０．明治時代には神道が国教となったため、神社と寺院を切り離す神仏分離が行なわれ、お寺が破壊されるなど、仏教を排斥する動きもあったが、今でも私たちは、仏教と神道の両方を受け入れている。お寺と神社が隣り合わせに建っていても、何の違和感もない。
１１．インドの仏教が時代に合わせて姿を変え、中国でさらに変化したように、日本では神道と共存する日本的な仏教として根をおろした。
インフルエンザの予防接種不要論
![壮快 2014年 01月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/610ClHlCWpL._SL160_.jpg)
「安保徹著：インフルエンザの予防接種不要論、壮快、2014年1月号」は一読に値する。著者は新潟大学名誉教授。国際的な場で精力的に研究成果を発表し続け、免疫学の最前線で活躍している。自律神経と免疫のかかわりを示した「福田一安保理論」に加え、細胞レベルから免疫を解き明かした新理論も提唱している。
印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
１．今年も、インフルエンザの予防接種が始まった。しかし、ワクチンを打っても、かかるときにはかかるのがインフルエンザである。現時点で接種を受けるべきか、子供に受けさせるべきか迷っているなら、ぜひ安心して「受けない」選択をするべきだ。
２．そもそも、インフルエンザにワクチンは効かない。予防接種でインフルエンザの流行を止められないのは、20年前、学童への集団接種が打ち切られた時点でわかっている。その後、ワクチン業界および行政は、「感染防止」から「重症化防止」へと巧みに言葉を変え、高齢者をも巻き込む形で勢力を盛り返してきました。
３．免疫学の立場で予防接種の有効性を評価した場合、実はインフルエンザで軽症・重症を論じること自体が、的外れな話である。理由は、インフルエンザにかかって生じる発熱やのどの痛みは、リンパ球とウイルスの闘いそのものであって、リンパ球の敗北ではないからである。ウイルスが熱に弱いからこそ、体は血流をふやし、自らを発熱させて、リンパ球が働きやすい環境を作り上げている。
４．体質的にリンパ球が多い子供は、ときに熱性けいれんを伴うなど防御反応も強く現れがちである。しかし、それも治癒と免疫の獲得に必要なステップで、人間の成長を促す大切な反応なのである。
５．もちろん、ワクチンの接種でしっかり免疫が作られるなら、予防接種にも価値はある。しかし、インフルエンザワクチンの場合、将来、再感染を防ぐのに十分な免疫を成立させるのは難しい。それでも、成長とともにインフルエンザを発症しにくくなっていくのは、要はそのワクチンが効かず、感染することで、結果的に免疫の獲得に至っているためである。わざわざ痛い思いをしてまで、予防接種を受ける意味がない。
６．ワクチン信仰の高まりとともに論議を呼んでいる副作用問題は、国が豊かになって、リンパ球過多のアレルギー体質がふえた点を考慮する必要がある。インフルエンザを含むあらゆる予防接種に対し、慎重な姿勢が求められる時代に入った。
７．免疫が機能すればおそれることはない。例えばこの春、子宮頸ガンワクチンの副作用として明らかになった手足のしびれや痛み、脱力感などの症状も、アレルギー性の末梢神経炎である。子宮頸ガンワクチンによる末梢神経炎も、インフルエンザワクチンによる脳脊髄炎も、ワクチンの異種たんぱくにリンパ球が過剰に反応し、引き起こされた障害である。
８．長年、義務化されてきた予防接種でも、副作用による犠牲者は出ている。こうした副作用も偶発的ではなく、色白でリンパ球の多いアレルギー体質の持ち主に起こっているとわかれば、危険から逃れることは可能である。予防接種が始まったころに比べて、現代人の体質は副交感神経優位に傾いている。そのため、ウイルスに対する防御力を高める一方で、ワクチンに過剰反応を起こしやすくなっている。その結果、虫に刺されて赤く腫れ上がったり、熱を出したりするタイプの人は、ウイルス感染より副作用で破綻するリスクが高まっている。予防接種は積極的に避けるべきである。
９．お年寄りにインフルエンザの予防接種が推奨されるようになったのは、1990年代後半ごろから。高齢者施設などで、インフルエンザから肺炎を合併し、亡くなる人が増えたためである。しかし、お年寄りが肺炎を発症する原因はインフルエンザではなく、免疫力の低下にある。過去にさまざまなウイルスに感染し、免疫も成立しているお年寄りは感染症に強く、予防接種は必要ない。
１０．インフルエンザから肺炎の合併に至るのは、寝たきりで体温や血圧を維持できなくなったため。「老衰」によって、過去に獲得した免疫も枯渇し、あらゆる異物に反応する力を失った結果である。すなわち、自前の免疫で感染を防ぎ、治せないのは、死にどきを迎えたことを示す。そこまでいけば、ワクチンを反応させる力もないから、子供たち以上に予防接種は無意味な医療行為となる。そのままこと切れることも、カゼやインフルエンザで肺炎を起こして亡くなることもある。それが、正しい人生の終末なのである。
１１．同様に、子供も年間100人ほどが、インフルエンザやカゼで命を落としている。それも不活発で低体温の子供は、免疫力が弱くてウイルスとの闘いを乗り越えられないため。低体温ではワクチンが効かないのも、お年寄りと同じである。外遊びで体を鍛え、飽食や過保護の世界からの解放で免疫がしっかりと機能する土台を築き上げることが、子供の命を守る。
ミャンマーという国は、かつてのベトナムと同様、途上国にありがちな贈収賄が横行する腐敗にまみれた国である。
11月22日付の大前研一さんの『 ニュースの視点 』（発行部数177,135部）は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
１．日経新聞は5日、『カンボジア「工場不毛」返上、「タイ＋1」候補に急浮上』と題する記事を掲載した。モノづくり不毛の地とされたカンボジアに製造業が相次ぎ進出しており、 ミネベアが小型モーターの大規模組み立て工場を立ち上げたのを機に住友電装や矢崎総業などが工場を稼働した。人件費の安さに加え、タイやベトナムなど周辺国との連携のしやすさが魅力、と紹介している。総じて言えば、カンボジアもバーツ経済圏の1つということである。
２．アジア主要都市の製造業ワーカーの平均賃金で比べてみると、上海、広州、バンコクの約3分の1だから、魅力があるのはわかる。日本でこの種のことにアンテナを張っている代表格は矢崎総業である。ただし、カンボジアの都市は非常に人口が少ないから、一気にいろいろな企業が押し寄せても、受け入れられない。
３．今回のニュースの背景にあるのは、タイの人件費が上がり始めてきたことである。今現在、タイの大きな流れとしては、賃金の安い違法移民を受け入れる、あるいは賃金の安い周辺国に自分たちが出ていく、という2つの選択肢になっている。インドシナ半島全体をバーツ経済圏と考えて、縦横無尽に好きなところへ行けば良い。
４．世界銀行は6日、2012年度のミャンマーの実質国内総生産（GDP）成長率が6.5％になったと発表した。前年度に比べ0.6ポイント上昇で、外国からの投資増や好調な天然ガス生産がけん引したとのことである。
５．一方、日経新聞は13日、「国境超える物流網・アジアの生産基地に」と題する記事を掲載した。タイと国境に近いミャンマー南部ダウェーで1兆円規模の壮大な工業団地建設事業が始まると紹介している。港湾や鉄道などのインフラ整備が進み、物流が通じることから、今後ミャンマーは中国、インド、ASEANの生産基地になる可能性があると分析している。
６．確かに数値を見ると、ミャンマーの成長は堅調である。直接投資も増えているし、GDPも成長している。輸出入も増加している。地理的にもインド12億市場と中国13億市場の間にあり、その仲介ができる場を抑えている。天然ガスという資源にも恵まれている。外から見ると、ミャンマーには素晴らしい事業機会があるように見える。７．大前氏はそこに警鐘を鳴らしている。理由は、ミャンマーという国は、かつてのベトナムと同様、途上国にありがちな贈収賄が横行する腐敗にまみれた国だからである。実際にミャンマーで事業を展開している人で、ミャンマーを良く言う人を聞いたことがない。
８．アウンサンスーチー女史にしても、最近は影が薄いし、彼女はビジネスのことはよく知らない。確かにミャンマーの人件費が安いのは魅力的だが、企業はよほど注意したほうが良い。ミャンマーという国はようやく鎖国から開放されたという状況で、まだまだ経済的な経験が浅い国である。
９．タイが日本企業と一緒に数十年にわたって、TQC活動に取り組んできた経済的な経験を持っていることを考えると、両者の間には雲泥の差がある。この点を忘れてはいけない。
１０．朝日新聞は5日、「バングラ資本の二輪・家電メーカー快調 衣料品頼み脱却図る」との記事を掲載した。世界有数の衣料品輸出国のバングラデシュで、地元資本で初めての二輪車・家電メーカーが成長を続けていると紹介している。またバングラデシュで11日、衣料産業の最低賃金引き上げを求める労働者のデモに対し警察が放水やゴム弾を使用し鎮圧を図った。デモの激化で100以上の縫製工場が一時閉鎖に追い込まれている。バングラデシュという国も、今まさに過渡期にある。
１１．輸出の大部分が労働集約型の衣料品に占められていて、安い賃金ゆえにデモ・ストライキが絶えない、という状況である。こうしたことは、歴史的に見ると、世界中のあらゆるところで発生している。
１２．日本でも、戦後、近江絹糸紡績（現：オーミケンシ）において100日間を超える大規模な労働争議があった。繊維産業というのは、どの国でも搾取される対象であり、常にデモやストライキと背中合わせである。英国の産業革命の頃から、繊維産業はずっと地球上で一番安い労賃を求めて世界を回ってきた。
１３．ニューイングランド、アパラチア、そして、日本、韓国、台湾を経由して、インドネシア、中国。20年前の中国から引き継いで、今はバングラデシュなのである。 バングラデシュは人口も多いので、しばらくはこの状況が続くが、これは発展途上の宿命である。
１４．その中で光明なのは、地元資本で初めての二輪車・家電メーカーが成長を続けているということである。かつての日本で言えば、松下電器や本田技研のような存在である。かつて日本には約260のバイク屋がありましたが、最終的には4社だけが生き残り、世界に羽ばたいた。バングラデシュの二輪車・家電メーカーにも、同じような成長を期待したい。
１．日経新聞は5日、『カンボジア「工場不毛」返上、「タイ＋1」候補に急浮上』と題する記事を掲載した。モノづくり不毛の地とされたカンボジアに製造業が相次ぎ進出しており、 ミネベアが小型モーターの大規模組み立て工場を立ち上げたのを機に住友電装や矢崎総業などが工場を稼働した。人件費の安さに加え、タイやベトナムなど周辺国との連携のしやすさが魅力、と紹介している。総じて言えば、カンボジアもバーツ経済圏の1つということである。
２．アジア主要都市の製造業ワーカーの平均賃金で比べてみると、上海、広州、バンコクの約3分の1だから、魅力があるのはわかる。日本でこの種のことにアンテナを張っている代表格は矢崎総業である。ただし、カンボジアの都市は非常に人口が少ないから、一気にいろいろな企業が押し寄せても、受け入れられない。
３．今回のニュースの背景にあるのは、タイの人件費が上がり始めてきたことである。今現在、タイの大きな流れとしては、賃金の安い違法移民を受け入れる、あるいは賃金の安い周辺国に自分たちが出ていく、という2つの選択肢になっている。インドシナ半島全体をバーツ経済圏と考えて、縦横無尽に好きなところへ行けば良い。
４．世界銀行は6日、2012年度のミャンマーの実質国内総生産（GDP）成長率が6.5％になったと発表した。前年度に比べ0.6ポイント上昇で、外国からの投資増や好調な天然ガス生産がけん引したとのことである。
５．一方、日経新聞は13日、「国境超える物流網・アジアの生産基地に」と題する記事を掲載した。タイと国境に近いミャンマー南部ダウェーで1兆円規模の壮大な工業団地建設事業が始まると紹介している。港湾や鉄道などのインフラ整備が進み、物流が通じることから、今後ミャンマーは中国、インド、ASEANの生産基地になる可能性があると分析している。
６．確かに数値を見ると、ミャンマーの成長は堅調である。直接投資も増えているし、GDPも成長している。輸出入も増加している。地理的にもインド12億市場と中国13億市場の間にあり、その仲介ができる場を抑えている。天然ガスという資源にも恵まれている。外から見ると、ミャンマーには素晴らしい事業機会があるように見える。７．大前氏はそこに警鐘を鳴らしている。理由は、ミャンマーという国は、かつてのベトナムと同様、途上国にありがちな贈収賄が横行する腐敗にまみれた国だからである。実際にミャンマーで事業を展開している人で、ミャンマーを良く言う人を聞いたことがない。
８．アウンサンスーチー女史にしても、最近は影が薄いし、彼女はビジネスのことはよく知らない。確かにミャンマーの人件費が安いのは魅力的だが、企業はよほど注意したほうが良い。ミャンマーという国はようやく鎖国から開放されたという状況で、まだまだ経済的な経験が浅い国である。
９．タイが日本企業と一緒に数十年にわたって、TQC活動に取り組んできた経済的な経験を持っていることを考えると、両者の間には雲泥の差がある。この点を忘れてはいけない。
１０．朝日新聞は5日、「バングラ資本の二輪・家電メーカー快調 衣料品頼み脱却図る」との記事を掲載した。世界有数の衣料品輸出国のバングラデシュで、地元資本で初めての二輪車・家電メーカーが成長を続けていると紹介している。またバングラデシュで11日、衣料産業の最低賃金引き上げを求める労働者のデモに対し警察が放水やゴム弾を使用し鎮圧を図った。デモの激化で100以上の縫製工場が一時閉鎖に追い込まれている。バングラデシュという国も、今まさに過渡期にある。
１１．輸出の大部分が労働集約型の衣料品に占められていて、安い賃金ゆえにデモ・ストライキが絶えない、という状況である。こうしたことは、歴史的に見ると、世界中のあらゆるところで発生している。
１２．日本でも、戦後、近江絹糸紡績（現：オーミケンシ）において100日間を超える大規模な労働争議があった。繊維産業というのは、どの国でも搾取される対象であり、常にデモやストライキと背中合わせである。英国の産業革命の頃から、繊維産業はずっと地球上で一番安い労賃を求めて世界を回ってきた。
１３．ニューイングランド、アパラチア、そして、日本、韓国、台湾を経由して、インドネシア、中国。20年前の中国から引き継いで、今はバングラデシュなのである。 バングラデシュは人口も多いので、しばらくはこの状況が続くが、これは発展途上の宿命である。
１４．その中で光明なのは、地元資本で初めての二輪車・家電メーカーが成長を続けているということである。かつての日本で言えば、松下電器や本田技研のような存在である。かつて日本には約260のバイク屋がありましたが、最終的には4社だけが生き残り、世界に羽ばたいた。バングラデシュの二輪車・家電メーカーにも、同じような成長を期待したい。
鎌倉仏教で、その後の日本の仏教に大きな影響を及ぼしたのが、法然と親鸞である。法然は浄土宗を開いた。その教えは、「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えるだけで誰もが極楽浄土へ行ける。
「池上彰著：池上彰と考える 仏教って何ですか？ 、 飛鳥新社、2012年」が面白い。 第1章：仏教って何ですか？」の「三大宗教のひとつ、仏教はどこでどのように生まれた?」「戦乱・大地震の世を救った「南無阿弥陀仏」の教え」の小節の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
１．平安時代には、804年に遣唐使として唐に渡った最澄・空海が帰国し、唐で最新の仏教を学んで日本に伝えた。その一つで、文字の形では伝えられない秘密の教えを密教という。２．インドで生まれた仏教が、より多くの人に救いをもたらす大乗仏教へと発展したのと前後して、仏教に刺激を受けたバラモン教がインド土着の信仰を吸収してヒンドゥー教へと姿を変えて勢力を伸ばした。
３．仏教の側も、庶民に人気の高いヒンドゥー教の儀式や信仰を取り入れるようになった。その結果として発展したのが密教である。神秘主義的な儀式や呪術によって、現世での利益を実現しようとする傾向がある。
４．日本ではまず国づくりのために仏教が導入されたため、国家の体制の安定や天皇の安寧を祈るという役割が求められた。そこで、すぐ効く、よく効く、密教のパワーが期待を集めた。
５．最澄は806年に比叡山延暦寺で天台宗を開き、空海は816年、高野山金剛峯寺で真言宗を開いた。日本におけるふたつの密教の拠点が誕生した。
６．平安末期には、天変地異や飢饉、疫病が頻繁に起こった。東大寺の鐘が落ちたと伝えられる永長地震、興福寺や天王寺が被害を受けた康和地震、鴨長明が『方丈記』に記した文治地震など、大きな地震も相次いだ。
７．民衆の間では、ブッダ入滅から2千年たつと、仏法が正しく行なわれなくなり、世の終わりが近づくという末法思想が流行した。日本では1052年が末法元年とされた。そんな日本中が不安に満ちた世相を反映し、仏教に大きな地殻変動が起きた。
８．鎌倉仏教と呼ばれるグループの登場である。その源となったのは、社会不安も高まっていたこともあり、民衆の救済に目を向けることになった最澄が比叡山に開いた天台宗だった。
９．最澄が天台宗を開いた当時、戒律を授ける国家公認の戒壇院は奈良の東大寺など日本に3カ所しかなく、仏教の僧侶はいわば国家資格だった。最澄はこうした奈良時代以来の体制に改革を唱え続け、死後7日目にして、比叡山に公認の戒壇院が設けられることとなった。奈良仏教とは独立した組織で、僧侶を養成することができるようになった。
１０．平安時代から鎌倉時代にかけて、比叡山は多くの名僧を輩出した。浄土宗の開祖・法然、浄土真宗の開祖・親鸞、臨済宗の開祖・栄西、曹洞宗の開祖・道元、日蓮宗の開祖・日蓮などは、いずれも比叡山に学び、それぞれ独自の仏教のスタイルを見出して、比叡山を飛び出して活躍した。
１１．現在の日本仏教の主な宗派は、この鎌倉仏教に端を発する。鎌倉仏教のうち、その後の日本の仏教にもっとも大きな影響を及ぼしたのが、法然と親鸞である。法然は浄土宗を開いた。その教えは、「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えるだけで誰もが極楽浄土へ行けるというものである。南無はサンスクリット語の「ナモー」の音を写したもので「心から信じます」という意味です。つまり、「南無阿弥陀仏」は「阿弥陀様を心から信じています」「阿弥陀様にすべてをお任せします」という意味である。
１２．親鸞は法然の弟子として教えを発展させて浄土真宗を開いた。よい行ないをせよとか、お経を勉強しろとも言わない。ただ阿弥陀如来を信じるだけでいい。それだけで極楽浄土に行けるのだと説いた。今、日本でもっとも信者が多いのはこの浄土真宗で、信者は1200万人を超える。
１３．浄土宗と浄土真宗はどちらも、念仏を唱えることで極楽浄土へ行けるという、中国から伝わった浄土信仰をもとにしている。極楽浄土とは、阿弥陀如来が住む世界で、この世の一切の苦しみから解放される世界である。厳しい修行を経て悟りを開くという既存の仏教の教えとは異なったものである。
１４．親鸞の教えは単純である。戦乱や天変地異が相次ぎ、庶民が希望を失っている中、この世は辛くても、阿弥陀如来を信じれば極楽浄土に行けるという教えは急速に広まった。自分の力ではどうにもならないことばかりの世の中で、阿弥陀如来という万能の他力に徹底的にすがることに、人々は救いを見出した。
強制的な人間関係をなくすような社会構造を変えるためには、他の人やグループに依存度を下げ、選択肢が増やす。学校も簡単に替わることができるようする。
「アレン・Ｓ・ミラー、賀茂美則著：日本・よいしらがみ 悪いしがらみ、日本経済新聞社、2002年」の「第6章新しい日本に向かって」が面白い。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
１．日本に住む女性にとって将来は明るい。日本は依然として男女の区別に関する価値観においては非常に古い考えを持っているが、日本人の女性にとって、人生全般に関する満足度と生活の質は急速に向上しているように見える。、強力な女性運動は存在しないが、女性の就業機会は増大しつつあり、いまや数多くの女性がキャリアを追い求めている。こういった女性たちに門戸を開いたのは人口学的な変化である。
２．日本における低い出生率は有能な男性の数を減らしてきたが、一方で一流大学を卒業する女性の数が急速に増え、結果として有能な女性の数が増えた。今後10年の間に、経済が回復し、ベビーブーム世代が引退するようになれば、いま以上の就業機会が女性に提供されることになる。
３．社会における女性の役割の変化は、伝統的な家族関係が弱まるということを意味し、日本社会にとっては大きなチャレンジとなる。この点に関して、日本人が伝統的な性役割を肯定的な目で見ているという事実が有利に働く。
４．欧米社会では、女性がキャリアに進出してきたことで、伝統的な性役割を否定的な目で見ることが多かった。欧米の女性はしばしば、仕事を持たずに家で子どもを育てていることに引け目を感じることがあった。
５．日本が、女性に対していままで以上の就労機会を与えながらも「主婦」というプラスのイメージを維持できるなら、日本の女性はどちらを選んでも、それが一段劣るものであるとは見なされることなく、キャリアを追い求めるか、家を切り盛りしていくかの選択肢を与えられることになる。
５．力を入れていかなければならないのは、充実した保育施設や柔軟な労働時間など、働くことを選んだ女性へのいままで以上のサポートである。
６．日本の将来は明るい。いま起こりつつある変化は、遅かれ早かれ起こるものだった。現在、崩壊しつつある人間関係は、もともと日本の経済的競争力を弱め、さらには個人の選択肢を狭めるものである。社会関係のしがらみは、日本人の生活の重要な部分を占め、将来も続く。注意深く計画を立てれば、日本はこれまで享受してきた高いレベルの社会秩序を維持すると同時に、近代化のプロセスを推し進めることができる。その場合のカギとなるのは、強制された依存ではなく、社会的な存在でありたいという人間の自然な欲求に基づいた、家族や同僚、学校の同級生、地域のメンバーとのあいだの、健全な人間関係を奨励していくことである。
７．伝統的な社会関係と社会的な義務を維持し、強化する。21世紀を形成する社会的な力は、個人主義と伝統的な社会関係の弱体化を促進している。この傾向は大きな害を及ぼすので、反対側からの力を加えてやる必要がある。家族の絆を強化し、社会的な義務を奨励する方策のなかで、柔軟な労働時間を導入し、男性が、いまよりも多くの時間を家族と一緒に過ごせるようにすることも含まれる。また、子どもたちがより長い時間を両親と過ごすこと、子ども部屋で一人きりで過ごす時間を減らすこと、も含まれる。
８．中央集権化をやめ、小さな町や農村地帯を活性化させ、農村に住む人たち、特に高齢者が社会の重要な位置を占めるようにすると同時に、若者や高齢者が地元のコミュニティにかかわっていけるように、ボランティア活動を奨励する。それは、コミュニティ・センターを中心としたクラブやサークルと同じくらい重要である。
９．社会秩序を保持していくための重要なカギは、社会環境における可視性を高めることで、学校以外にも実現されるべきである。その方策としては、クラブ、サークル、あるいは学習グループなど、グループ活動を通じて学生を忙しいままにしておく。企業社会に入ったばかりの若者たちにも適用する。
１０．居間で家族と一緒に過ごす時間を増やすのが有効である。共通の趣味など家族一緒にする活動や、家族そろってとる食事や会話などといった単純なことが重要な方法である。都会の生活に関しては、明るい街路灯のついた道路や、公共の交通機関、「交番」というシステムは役に立つ。
１１．強制的な人間関係をなくすような社会構造を変えるためには、他の人やグループに依存度を下げ、選択肢が増やす。簡単に学校を替わることができるようする。仕事における流動性が高め、過労死するまで働く必要もなくする。上司が犯した違法行為を隠蔽するために嘘をつく必要もなくなる。女性が経済的に自立すれば、夫から虐待を受けながら結婚生活を続ける必要はなくなる。教育システムが数多くの道筋を提供すれば、学生たちは創造力をたたきつぶすようなシステムに囚われる必要もなくなる。
