2017年05月
移民でも、1世と2世、3世では考え方に差がある。1世は、よきフランス人になろうとするが、3世はフランス人たと思っているのに、キリスト教社会で差別を受ける。
「池上彰著:
知らないと恥をかく世界の大問題7、Gゼロ時代の新しい帝国主義、KADOKAWA、2016年5月10日」は参考になる。「第2章:ヨーロッパは受けとめ切れるのか」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.2015年11月13日、フランスのパリで史上最悪のテロ事件が起こった。パリでは、同年1月7日に、週刊紙「シャルリー・エブド」社襲撃事件が起きたが、再び標的となった。ムハンマドを風刺した新聞社が許せない、という明確な理由があったが、11月のテロは一般市民を巻き込む同時多発テロだった。
2.フランスに行ってびっくりするのは黒人が多いことだ。ブルカをまとった中東系の女性も多い。フランスは移民大国である。フランスは移民を受け入れ、発展してきた国である。フランソワ・オランド大統領は数百年前にオランダからの移民で、ニコラ・サルコジ
前大統領の父親はハンガリーからの移民である。
3.2008年の調査では、フランスに居住している移民の数は534万人。これは人口全体の8.41%である。移民の2世、3世はこの中に入っていない。このうちフランス国籍を取っているのは217万人で、残り317万人がフランス国籍を取得しないまま滞在している。さらに不法滞在している外国人が数十万人いる。多くの若い行動力のある移民を受け入れることで、フランス経済を発展させていこう、と考えてきた。
4.フランスの移民政策は徹底的な同化政策である。フランスに移民してくるなら、よきフランス人になりなさい、と強制する。加えて、政教分離も徹底している。フランス革命(1789年〜)でカトリックの聖職者の権力を民衆が奪い取った実績がある。
5.かつてブルボン王家はカトリックの聖職者を利用し「王権神授説」で独裁を正当化し、その見返りとして、聖職者に特権の第1身分=11聖職者、第2身分=貴族、第3身分=平民)を与えていた。カトリック教会は王権と結びついており、聖職者は王族と並んで、民衆の敵だったが、これを打倒したのがフランス革命である。聖職者を追放するばかりか教会まで破壊し、かのノートルダム大聖堂も、大きな被害を受けた。
6.フランスでは、公立学校に宗教のシンボルを持ち込むのは禁止されている。公立学校でははっきりとキリスト教徒とわかるような十字架がついた数珠や、イスラム教徒とわかる髪の毛を隠すスカーフを禁止している。キリスト教のシンボルも同じように禁止されているが、イスラム教徒ば、自分たちの宗教が否定されているような感情を持つ。
7.
8.彼らにとって、リアルな戦場よりも差別をされるフランス社会のほうが戦場だった。いまフランスで起きているのは、国内で生まれ育った若者がテロをする「ホームグロウン・テロリズム」である。
9.2001年9月11日のアメリカ同時多発テロを起こしたのは、ほとんどがサウジアラビア出身の若者だったから、大きく違う。フランスの同化政策が、「ホームグロウン・テロリスト」を生み出している。
知らないと恥をかく世界の大問題7、Gゼロ時代の新しい帝国主義、KADOKAWA、2016年5月10日」は参考になる。「第2章:ヨーロッパは受けとめ切れるのか」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.2015年11月13日、フランスのパリで史上最悪のテロ事件が起こった。パリでは、同年1月7日に、週刊紙「シャルリー・エブド」社襲撃事件が起きたが、再び標的となった。ムハンマドを風刺した新聞社が許せない、という明確な理由があったが、11月のテロは一般市民を巻き込む同時多発テロだった。
2.フランスに行ってびっくりするのは黒人が多いことだ。ブルカをまとった中東系の女性も多い。フランスは移民大国である。フランスは移民を受け入れ、発展してきた国である。フランソワ・オランド大統領は数百年前にオランダからの移民で、ニコラ・サルコジ
前大統領の父親はハンガリーからの移民である。
3.2008年の調査では、フランスに居住している移民の数は534万人。これは人口全体の8.41%である。移民の2世、3世はこの中に入っていない。このうちフランス国籍を取っているのは217万人で、残り317万人がフランス国籍を取得しないまま滞在している。さらに不法滞在している外国人が数十万人いる。多くの若い行動力のある移民を受け入れることで、フランス経済を発展させていこう、と考えてきた。
4.フランスの移民政策は徹底的な同化政策である。フランスに移民してくるなら、よきフランス人になりなさい、と強制する。加えて、政教分離も徹底している。フランス革命(1789年〜)でカトリックの聖職者の権力を民衆が奪い取った実績がある。
5.かつてブルボン王家はカトリックの聖職者を利用し「王権神授説」で独裁を正当化し、その見返りとして、聖職者に特権の第1身分=11聖職者、第2身分=貴族、第3身分=平民)を与えていた。カトリック教会は王権と結びついており、聖職者は王族と並んで、民衆の敵だったが、これを打倒したのがフランス革命である。聖職者を追放するばかりか教会まで破壊し、かのノートルダム大聖堂も、大きな被害を受けた。
6.フランスでは、公立学校に宗教のシンボルを持ち込むのは禁止されている。公立学校でははっきりとキリスト教徒とわかるような十字架がついた数珠や、イスラム教徒とわかる髪の毛を隠すスカーフを禁止している。キリスト教のシンボルも同じように禁止されているが、イスラム教徒ば、自分たちの宗教が否定されているような感情を持つ。
7.
移民でも、1世と2世、3世では考え方に差がある。1世は自分の意思でフランスに来たのだから、よきフランス人になろうとする。2世、3世になると、自分はフランスで生まれたのたから最初からフランス人たと思っている。それなのにキリスト教社会で差別を受ける。就職できない人も多く、移民の失業率は16%にものぼる。移民の2世や3世は、自分のアイデンティティーや存在価値を悩む中で、イスラムへ回帰し、シリアへ向かう若者がでてくる。
8.彼らにとって、リアルな戦場よりも差別をされるフランス社会のほうが戦場だった。いまフランスで起きているのは、国内で生まれ育った若者がテロをする「ホームグロウン・テロリズム」である。
9.2001年9月11日のアメリカ同時多発テロを起こしたのは、ほとんどがサウジアラビア出身の若者だったから、大きく違う。フランスの同化政策が、「ホームグロウン・テロリスト」を生み出している。
日本は、気候変動を脅威と考える人の割合は断トツである。2007〜2008年に大多数の国が50〜60%であったのに、日本は90%を超えた。日本は極めて特殊な国である。
「深井有著:
地球はもう温暖化していない、科学と政治の大転換へ、平凡社、2015年」は参考になる。CO22削減の国家プロジェクトに参画した自分にとって共感できる記述も多い。「第1章:CO2温暖化論が破綻するまで」の「1.変わりつつある地球温暖化」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.CO2排出が温暖化について、IPCC(気候変動に関する政府問パネル)第2次報告書(1995年)が将来の地球に脅威をもたらすと言い出してにわかに関心が高まり、世界を巻き込んだ排出削減のキャンペーンが繰り広げられ、巨費が投じられてきた。
2.2014年の第5次報告書では、人為的温暖化は95%確実になったとして緊急のCO2排出削減を訴えている。日本政府は2013年/1月に「美しい星への行動 攻めの地球温暖化外交戦略」という文書を出して、今後そのキャンペーンを積極的に主導していく意気込みを示し、安倍首相は2014年9月の国連気候サミットでそのことを宣言してぎた。これは、「温
暖化防止」のために年間4兆円を費やしてきた日本が、さらに多くの負担を引き受ける意思表示と受け取られている。多くのマスコミは、まだこれでは足りない、もっと存在感を
示すべきだという論調である。
3.日本ではほとんど知られていないが、この第5次報告書はそれをまとめる段階から根本的な矛盾を抱えていると批判されていた。表向きは人為的温暖化がますます確実になったとして将来予測をしてみせているが、実際には世界の平均気温は20年近く頭打ちから低下の傾向を示しているので、彼らが拠りどころとするCO2温暖化論は明らかに破綻している。
4.いま世界は大きく変わり、温暖化防止のために巨費を投じることへの疑問が急速に高まり、多くの先進国は国連主導のキャンペーンから距離をおこうとしている。2014年の気候サミットではパンキムン事務総長の呼びかけに対して、ドイツ、インド、英国、カナダ、オーストラリア、ロシアと中国の首脳が欠席を表明し、事務総長と開催国のオバマ大統領を慌てさせた。
5.2009年のクライメートゲート事件でIPCCの信用が失墜したことがきっかけに、温暖化対策法案か相次いで否決されていた。オーストラリアでは2009年11月、フランスでは12月に否決された。米国では2010年6月に下院を通ったものの中間選挙での民主党の大敗によって法案化は実現せず、また下院の地球温暖化特設委員会は解散した。カナダでも下院を通った法案が11月に上院で否決されている。
6.クライメートゲート事件は、IPCC報告書作りに重要な役割を果たしていた英国イーストアングリア大学気候研究所から大量の電子メール記録が流出して、CO2による温暖化を印象づけるためのデータ操作や批判封じなど、科学者としてあるまじき行為の数々が明るみに出された事件である。
7.この流れはその後も続き、オーストラリアでは2013年に気候変動・エネルギー省が廃止され、2014年7月にはCO2排出削減を目的として課されていた炭素税が廃止された。英国でも2014年に国内の気候変動関係の組織が大幅に整理され、国内の関連予算が41%もカットされた。2014年5月に行われた欧州議会選挙ではEU懐疑派が大躍進し、中でも英国では温暖化対策の見直しを主張するグループが多くの議席を獲得した。2015年3月には、スイスで付加価値税に代えて炭素税を導入するという案が国民投票にかけられ、92対8という大差で否決された。
8.この間に人々の意識も大きく変わった。2007〜2008年に行われたギャラソプ調査と2013年に行われたビュー研究所の調査結果で、世界の国別に「気候変動を脅威と考えるか」という設問にイエスと答えた人の割合は、最近5年間に先進国で大きく減った。中でも米国の数字がもっとも低く、2014年には24%まで下がっている。米国では1970年代以来、CO2温暖化脅威論についての学問的な論争が続けられ、民主党が温暖化対策推進、共和党が批判という図式が定着していった。
9.日本は、気候変動を脅威と考える人の割合は断トツである。人為的温暖化を信じる人の割合も2007〜2008年に大多数の国が50〜60%であったのに、日本は90%を超えていた。国民意識の上で、日本は極めて特殊な国で、日本の常識は世界の非常識になりつつある。
地球はもう温暖化していない、科学と政治の大転換へ、平凡社、2015年」は参考になる。CO22削減の国家プロジェクトに参画した自分にとって共感できる記述も多い。「第1章:CO2温暖化論が破綻するまで」の「1.変わりつつある地球温暖化」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.CO2排出が温暖化について、IPCC(気候変動に関する政府問パネル)第2次報告書(1995年)が将来の地球に脅威をもたらすと言い出してにわかに関心が高まり、世界を巻き込んだ排出削減のキャンペーンが繰り広げられ、巨費が投じられてきた。
2.2014年の第5次報告書では、人為的温暖化は95%確実になったとして緊急のCO2排出削減を訴えている。日本政府は2013年/1月に「美しい星への行動 攻めの地球温暖化外交戦略」という文書を出して、今後そのキャンペーンを積極的に主導していく意気込みを示し、安倍首相は2014年9月の国連気候サミットでそのことを宣言してぎた。これは、「温
暖化防止」のために年間4兆円を費やしてきた日本が、さらに多くの負担を引き受ける意思表示と受け取られている。多くのマスコミは、まだこれでは足りない、もっと存在感を
示すべきだという論調である。
3.日本ではほとんど知られていないが、この第5次報告書はそれをまとめる段階から根本的な矛盾を抱えていると批判されていた。表向きは人為的温暖化がますます確実になったとして将来予測をしてみせているが、実際には世界の平均気温は20年近く頭打ちから低下の傾向を示しているので、彼らが拠りどころとするCO2温暖化論は明らかに破綻している。
4.いま世界は大きく変わり、温暖化防止のために巨費を投じることへの疑問が急速に高まり、多くの先進国は国連主導のキャンペーンから距離をおこうとしている。2014年の気候サミットではパンキムン事務総長の呼びかけに対して、ドイツ、インド、英国、カナダ、オーストラリア、ロシアと中国の首脳が欠席を表明し、事務総長と開催国のオバマ大統領を慌てさせた。
5.2009年のクライメートゲート事件でIPCCの信用が失墜したことがきっかけに、温暖化対策法案か相次いで否決されていた。オーストラリアでは2009年11月、フランスでは12月に否決された。米国では2010年6月に下院を通ったものの中間選挙での民主党の大敗によって法案化は実現せず、また下院の地球温暖化特設委員会は解散した。カナダでも下院を通った法案が11月に上院で否決されている。
6.クライメートゲート事件は、IPCC報告書作りに重要な役割を果たしていた英国イーストアングリア大学気候研究所から大量の電子メール記録が流出して、CO2による温暖化を印象づけるためのデータ操作や批判封じなど、科学者としてあるまじき行為の数々が明るみに出された事件である。
7.この流れはその後も続き、オーストラリアでは2013年に気候変動・エネルギー省が廃止され、2014年7月にはCO2排出削減を目的として課されていた炭素税が廃止された。英国でも2014年に国内の気候変動関係の組織が大幅に整理され、国内の関連予算が41%もカットされた。2014年5月に行われた欧州議会選挙ではEU懐疑派が大躍進し、中でも英国では温暖化対策の見直しを主張するグループが多くの議席を獲得した。2015年3月には、スイスで付加価値税に代えて炭素税を導入するという案が国民投票にかけられ、92対8という大差で否決された。
8.この間に人々の意識も大きく変わった。2007〜2008年に行われたギャラソプ調査と2013年に行われたビュー研究所の調査結果で、世界の国別に「気候変動を脅威と考えるか」という設問にイエスと答えた人の割合は、最近5年間に先進国で大きく減った。中でも米国の数字がもっとも低く、2014年には24%まで下がっている。米国では1970年代以来、CO2温暖化脅威論についての学問的な論争が続けられ、民主党が温暖化対策推進、共和党が批判という図式が定着していった。
9.日本は、気候変動を脅威と考える人の割合は断トツである。人為的温暖化を信じる人の割合も2007〜2008年に大多数の国が50〜60%であったのに、日本は90%を超えていた。国民意識の上で、日本は極めて特殊な国で、日本の常識は世界の非常識になりつつある。
現在メルカリは国内で3500万ダウンロード。100万件規模の出品があり、半分は売れる。リユース業界は「絶命」である。
2017/5/26付けの 大前研一 さんの「ニュースの視点」(発行部数 168,440部)は、「ソフトバンクグループ・ZARA・リユース業界・ファーストリテイリング」と題する記事である。」概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日経新聞によると、ソフトバンクグループが米携帯電話3位のTモバイルUSに、米子会社で同4位のスプリントとの経営統合を提案する見通しが明らかになった。親会社である独ドイツテレコムに申し入れる方針で、実現すれば統合新会社は契約者数でベライゾン・コミュニケーションズ、AT&Tの米2強に匹敵する規模となる。
2.最近のソフトバンクには大きな動きが見られる。Tモバイルとの統合の話に加え、中国でウーバーを駆逐したディディ・チューシンに約5500億円を出資した。ソフトバンクは、インドやシンガポールでも同様の企業に投資しているが、中国でもウーバータイプの事業展開を狙っている。そして、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資募集が完了した。
3.これだけ大きな動きを見せているソフトバンクだが、セグメント別の業績を見ると、特にスプリントの売上は大きいが、利益はさほど出ていない。有利子負債の金額は、スプリントを買収した時期から膨れ上がり、14兆円規模になっている。
4.米国の携帯電話の契約数では、ベライゾンとAT&Tは順調に毎年契約者数を伸ばしている。Tモバイルとスプリントが統合すれば、AT&Tとほぼ同じ規模になり、シナジー効果も期待できるが、Tモバイルの買収は巨額な投資になる。
5.ソフトバンク・ビジョン・ファンドでは、サウジアラビアから約4兆5000億円の出資を取り付けた。大きな金額だが、トランプ大統領が訪問し、約12兆円規模の兵器売却でサウジと合意したのを見ると複雑な気持ちである。その他、アブダビ、UAE、シャープ、アップル、クアルコムなど様々な出資が決まり、全体として10兆円ファンドが立ち上がった。
6.ファンドの主導権をめぐって、サウジアラビアとの調整に苦労したと思われる。サウジアラビアとしては、油がなくなったあとの産業を視野に入れて役立つ投資をしたい、という気持ちが強くある。21世紀型の新しい産業でなくても、サウジアラビでやってくれるなら古い産業でもいい、という気持ちだと思われる。
7.孫正義氏の想いは純粋に21世紀型の産業に役立てるという点にあり、その孫正義氏への牽制の意味もあり、サウジアラビアと孫正義氏の間で主導権をめぐって交渉が繰り広げられた。
8.日経新聞は、「ZARA 自前主義で一人勝ち」と題する記事を掲載した。流行をとり入れつつ低価格を誇るファストファッションは伸び悩みが指摘される中、「ZARA」ブランドを展開するスペインのインディテックスが力強い成長を維持している。
9.トレンドの小さな変化を逃さず、機動的に生産量を調整することで高利益率を生み出すとともに、情報発信の拠点と位置づける店舗のデザインも自社で担うなど徹底的な自前主義が強みである。世界のファストファッションをリードするZARAを展開するインディテックス。次ぐスウェーデンのH&M、日本のユニクロは、いずれも田舎から始まった企業である。
10.インディテックスは売上も利益率も断トツで、ZARA以外にもブランドを抱え、時価総額は13兆円を超えている。スペインの片田舎で創業し、大きくなった今でもそのままである。創業者はビル・ゲイツに次いで世界で2番目の大富豪としても有名である。ZARAの強さは、自社でデザインから物流までをこなすシステムを構築していることで、ターンアラウンドタイムの速さも見事である。
11.東京でこういうファッションが流行しているという情報をキャッチしてから、約2週間でそれが製品化される。全世界7000店舗の店長らが待ち行く人の気になるファッションを写真で撮影し、本社へ送る。それを本社でデザイン化し、製品ラインにのせていく。
12.ユニクロは、来年の春用のファッションを大量に1000万着作る、という手法だが、「外れた」ときの損害が大きい。ZARAのシステムだとこのリスクがほとんどない。ここがユニクロとの違いであり、独自の物流システムと製造システムを持つZARAの強さである。
13.東洋経済オンラインは、「メルカリに食われる、リユース業界の悲鳴」と題する記事を掲載した。ハードオフコーポレーションやトレジャー・ファクトリーなどリユース・大手の低迷が続くと紹介している。フリマアプリ・メルカリの拡大で、個人間取引が実店舗からネットへシフトしていることが要因で、急成長を遂げるメルカリとリユース業界がどのように戦うのか、正念場を向かえている。
14.正念場というより、すでに戦いは決していて、リユース業界は淘汰されていく。リユース業界は、洋服10着まとめて3000円で買取り、売る方も何とかお金になる、というモデルである。ある意味、中古品の収拾業者的な役割もある。
15.メルカリは、欲しいものが見つかれば個人間で売れる。3万円で購入したものが1万円で売れる、という例もある。洋服10着を回収的に3000円で買い取る業者と、個人間のニーズをマッチングさせて1着1万円で売買できるメルカリの違いである。
16.現在メルカリは国内で3500万ダウンロード。100万件規模の出品があり、半分は売れるということである。リユース業界にとっては「悲鳴」ではなく「絶命」である。中古品に価値を認めないというこれまでの業界構造が崩れ、それが是正されていく流れであり、淘汰されていくのは当然である。
17.「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が、私財を投じて若者の米大学への留学を支援する一般財団法人「柳井正財団」を設立した。ハーバード大やエール大など指定大学の学士課程の合格者37人を対象に、1人あたり年間800万円を4年間支給する。多様性の中で日本人の良さ、長所を発見してほしい、と語っている。大学に限定せず、ベトナムやネパールなどに数年間行って学んでくる選択肢も加えてほしい。学生がバケーション気分で終わらないように、強いプレッシャーをかける必要があると思う。来日している留学生を見ても、親がお金持ちの学生のほうが勉学に集中していな。
1.日経新聞によると、ソフトバンクグループが米携帯電話3位のTモバイルUSに、米子会社で同4位のスプリントとの経営統合を提案する見通しが明らかになった。親会社である独ドイツテレコムに申し入れる方針で、実現すれば統合新会社は契約者数でベライゾン・コミュニケーションズ、AT&Tの米2強に匹敵する規模となる。
2.最近のソフトバンクには大きな動きが見られる。Tモバイルとの統合の話に加え、中国でウーバーを駆逐したディディ・チューシンに約5500億円を出資した。ソフトバンクは、インドやシンガポールでも同様の企業に投資しているが、中国でもウーバータイプの事業展開を狙っている。そして、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資募集が完了した。
3.これだけ大きな動きを見せているソフトバンクだが、セグメント別の業績を見ると、特にスプリントの売上は大きいが、利益はさほど出ていない。有利子負債の金額は、スプリントを買収した時期から膨れ上がり、14兆円規模になっている。
4.米国の携帯電話の契約数では、ベライゾンとAT&Tは順調に毎年契約者数を伸ばしている。Tモバイルとスプリントが統合すれば、AT&Tとほぼ同じ規模になり、シナジー効果も期待できるが、Tモバイルの買収は巨額な投資になる。
5.ソフトバンク・ビジョン・ファンドでは、サウジアラビアから約4兆5000億円の出資を取り付けた。大きな金額だが、トランプ大統領が訪問し、約12兆円規模の兵器売却でサウジと合意したのを見ると複雑な気持ちである。その他、アブダビ、UAE、シャープ、アップル、クアルコムなど様々な出資が決まり、全体として10兆円ファンドが立ち上がった。
6.ファンドの主導権をめぐって、サウジアラビアとの調整に苦労したと思われる。サウジアラビアとしては、油がなくなったあとの産業を視野に入れて役立つ投資をしたい、という気持ちが強くある。21世紀型の新しい産業でなくても、サウジアラビでやってくれるなら古い産業でもいい、という気持ちだと思われる。
7.孫正義氏の想いは純粋に21世紀型の産業に役立てるという点にあり、その孫正義氏への牽制の意味もあり、サウジアラビアと孫正義氏の間で主導権をめぐって交渉が繰り広げられた。
8.日経新聞は、「ZARA 自前主義で一人勝ち」と題する記事を掲載した。流行をとり入れつつ低価格を誇るファストファッションは伸び悩みが指摘される中、「ZARA」ブランドを展開するスペインのインディテックスが力強い成長を維持している。
9.トレンドの小さな変化を逃さず、機動的に生産量を調整することで高利益率を生み出すとともに、情報発信の拠点と位置づける店舗のデザインも自社で担うなど徹底的な自前主義が強みである。世界のファストファッションをリードするZARAを展開するインディテックス。次ぐスウェーデンのH&M、日本のユニクロは、いずれも田舎から始まった企業である。
10.インディテックスは売上も利益率も断トツで、ZARA以外にもブランドを抱え、時価総額は13兆円を超えている。スペインの片田舎で創業し、大きくなった今でもそのままである。創業者はビル・ゲイツに次いで世界で2番目の大富豪としても有名である。ZARAの強さは、自社でデザインから物流までをこなすシステムを構築していることで、ターンアラウンドタイムの速さも見事である。
11.東京でこういうファッションが流行しているという情報をキャッチしてから、約2週間でそれが製品化される。全世界7000店舗の店長らが待ち行く人の気になるファッションを写真で撮影し、本社へ送る。それを本社でデザイン化し、製品ラインにのせていく。
12.ユニクロは、来年の春用のファッションを大量に1000万着作る、という手法だが、「外れた」ときの損害が大きい。ZARAのシステムだとこのリスクがほとんどない。ここがユニクロとの違いであり、独自の物流システムと製造システムを持つZARAの強さである。
13.東洋経済オンラインは、「メルカリに食われる、リユース業界の悲鳴」と題する記事を掲載した。ハードオフコーポレーションやトレジャー・ファクトリーなどリユース・大手の低迷が続くと紹介している。フリマアプリ・メルカリの拡大で、個人間取引が実店舗からネットへシフトしていることが要因で、急成長を遂げるメルカリとリユース業界がどのように戦うのか、正念場を向かえている。
14.正念場というより、すでに戦いは決していて、リユース業界は淘汰されていく。リユース業界は、洋服10着まとめて3000円で買取り、売る方も何とかお金になる、というモデルである。ある意味、中古品の収拾業者的な役割もある。
15.メルカリは、欲しいものが見つかれば個人間で売れる。3万円で購入したものが1万円で売れる、という例もある。洋服10着を回収的に3000円で買い取る業者と、個人間のニーズをマッチングさせて1着1万円で売買できるメルカリの違いである。
16.現在メルカリは国内で3500万ダウンロード。100万件規模の出品があり、半分は売れるということである。リユース業界にとっては「悲鳴」ではなく「絶命」である。中古品に価値を認めないというこれまでの業界構造が崩れ、それが是正されていく流れであり、淘汰されていくのは当然である。
17.「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が、私財を投じて若者の米大学への留学を支援する一般財団法人「柳井正財団」を設立した。ハーバード大やエール大など指定大学の学士課程の合格者37人を対象に、1人あたり年間800万円を4年間支給する。多様性の中で日本人の良さ、長所を発見してほしい、と語っている。大学に限定せず、ベトナムやネパールなどに数年間行って学んでくる選択肢も加えてほしい。学生がバケーション気分で終わらないように、強いプレッシャーをかける必要があると思う。来日している留学生を見ても、親がお金持ちの学生のほうが勉学に集中していな。
米国には毎年100万人ほどの合法移民が入国し、同時に1990年代以降、中南米出身の移民が急増し不法滞在も急増している。
「塚田紀史著:西山隆行氏(成蹊大学法学部教授)に聞く、
週刊東洋経済、2016.7.9」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.中南米からの米国移民。移民問題を切り口にすると米国の政治の動きがよくわかる。米国には毎年100万人ほどの合法移民が入国し、同時に1990年代以降、中南米出身の移民が急増し不法滞在も急増している。60年に中南米出身者は人口の3.5%にすぎなかったが、2011年の段階では17%になっており、50年には29%にまで増えると予想されている。47年には白人の比率が人口の過半数を割るとみられている。
2.次期大統領の候補者選びで共和党候補の争いで、ドナルド・トランプ氏と最後まで競ったのがマルコ・ルビオ氏とテッド・クルーズ氏は両者とも中南米系の人。党の主流派が期待していたブッシュ家のジェブ・ブッシュ氏は夫人がメキシコ人で本人も流暢なスペイン語を話す。もう一人有力だったペン・カーソン氏は黒人でもあった。
3.共和党は白人政党、民主党はマイノリティが支持というイメージが強いが、共に変化を摸索している。共和党は投票してくれる人の9割以上が白人で、マイノリティの支持が弱い。逆に民主党は白人の票が取りにくい。白人ブルーカラーが主として黒人の福祉受給に反発して、支持政党を民主党から共和党に変えるようになった。オバマ大統領も就任前から伝統的な米国の価値観を守ると強調し、マイノリティの政党から脱して白人からも支持を得たい気持ちがあった。
4.トランプ氏は白人の反発的行動に乗っているが、共和党が未来永劫、白人の政党であり続けるとは思えない。米国では数年前から新生児の数で白人が過半数を割っている。今後、両党ともこれまで重視してこなかった政策を重視する可能性はある。マイノリティや移民問題によって米国の2大政党制の中身が変わる。日本では共和党は日米関係重視、民主党は中国重視と思われがちだが、その見方には根拠がない。
5.中南米系の白人も元をたどれば多くがスペインからの人たちで、中南米系の人たちは基本的に大統領選で民土党に投票するが、州や市のレベルの選挙では、同じ中南米系が立候補すると、共和党候補でも投票する傾向がある。中南米系の人は民主党支持が共和党支持より確かに多いが、支持政党なしという割合もかなり高い。中南米系の人たちは有権者登録をあまりしていない。選挙の投票に行く人の割合は、白人が全体の75%ぐらい。
6.トランプ氏の「過激発言作戦」は短期的に見れば合理的かもしれないが、4年後や8年後の大統領選を考えれば、中南米系を取り込みたい共和党主流にとっては痛手である。白人ブルーカラー層が特にトランプ氏支持に流れている。この傾同はレーガン時代から兆しが見えたが、一気に太い流れになった。
7.民主党、共和党ともに移民受け入れは国是。不法移民の扱いをどうするかの賛否のある中で、両方の立場を満足させる行政命令を発する。不法滞在者のうち300万なり500万といったある程度の人数に市民権とは別の合法的な地位を与える一方、不法労働を取り締まり、国境警備も厳格にして、合法化反対派にも目配りする。
8.次期大統領が就任する来年1月20日までに議会で、民主党はたぶん賛成。読めないのは共和党である。。トランプ氏が今後も有権者の不安をかき立てて、今まで選挙に行かなかったような人たちをトランプ氏支持という形で動員できると考えた場合には、大統領選に引きずられて同じ政党の議員に投票してもらえる。その流れに乗るのが得だとなれば、現政権提案の移民改革法案に反対という共和党議員が増える。しかし、逆にトランプ氏が失言続きで大敗すると、現政権に協力して法案を通す可能性はある。銃規制やテロ発生、英国の動向など、この半年、選挙直前まで何が起こるかわからないので、予断を許さない。
9.銃規制法は大問題になる可能性がある。前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏に対抗し、全米ライフル協会(NRA)が新しい法律ができるのを防こうと大金を使ってロビー活動を続けているが、ブルームバーグ氏はNRAを超える金額をここ2〜3年出して、規制賛成派の活動を後押ししている。
10.日本で政治参加というと選挙ばかりを考えるが、1票の意志が、政治家に伝わらないので、ロビイングをすると、メッセージは伝わりやすい。米国にはロビイングをする伝統があり、エスニックに限らずロビイングをするのは不思議ではない。イスラエルロビーもエスニックロビイングも、国によって狙いは必ずしも同じではない。
11.メキシコ系のロビーは、米国政治の対外政策を変えさせるより、米国に住んでいる人たちの状況をよくすることに力を注ぐ。メキシコは米国と圧倒的な経済格差がある。いずれ本国に帰ってくるための条件を整えることを念頭に置いてロビーで働きかける。中南米にとって米国はカネのなる木。二重国籍を推進しようとする国さえある。米国内で米国に忠誠心がないと考える人たちが出てきてもおかしくない。
週刊東洋経済、2016.7.9」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.中南米からの米国移民。移民問題を切り口にすると米国の政治の動きがよくわかる。米国には毎年100万人ほどの合法移民が入国し、同時に1990年代以降、中南米出身の移民が急増し不法滞在も急増している。60年に中南米出身者は人口の3.5%にすぎなかったが、2011年の段階では17%になっており、50年には29%にまで増えると予想されている。47年には白人の比率が人口の過半数を割るとみられている。
2.次期大統領の候補者選びで共和党候補の争いで、ドナルド・トランプ氏と最後まで競ったのがマルコ・ルビオ氏とテッド・クルーズ氏は両者とも中南米系の人。党の主流派が期待していたブッシュ家のジェブ・ブッシュ氏は夫人がメキシコ人で本人も流暢なスペイン語を話す。もう一人有力だったペン・カーソン氏は黒人でもあった。
3.共和党は白人政党、民主党はマイノリティが支持というイメージが強いが、共に変化を摸索している。共和党は投票してくれる人の9割以上が白人で、マイノリティの支持が弱い。逆に民主党は白人の票が取りにくい。白人ブルーカラーが主として黒人の福祉受給に反発して、支持政党を民主党から共和党に変えるようになった。オバマ大統領も就任前から伝統的な米国の価値観を守ると強調し、マイノリティの政党から脱して白人からも支持を得たい気持ちがあった。
4.トランプ氏は白人の反発的行動に乗っているが、共和党が未来永劫、白人の政党であり続けるとは思えない。米国では数年前から新生児の数で白人が過半数を割っている。今後、両党ともこれまで重視してこなかった政策を重視する可能性はある。マイノリティや移民問題によって米国の2大政党制の中身が変わる。日本では共和党は日米関係重視、民主党は中国重視と思われがちだが、その見方には根拠がない。
5.中南米系の白人も元をたどれば多くがスペインからの人たちで、中南米系の人たちは基本的に大統領選で民土党に投票するが、州や市のレベルの選挙では、同じ中南米系が立候補すると、共和党候補でも投票する傾向がある。中南米系の人は民主党支持が共和党支持より確かに多いが、支持政党なしという割合もかなり高い。中南米系の人たちは有権者登録をあまりしていない。選挙の投票に行く人の割合は、白人が全体の75%ぐらい。
6.トランプ氏の「過激発言作戦」は短期的に見れば合理的かもしれないが、4年後や8年後の大統領選を考えれば、中南米系を取り込みたい共和党主流にとっては痛手である。白人ブルーカラー層が特にトランプ氏支持に流れている。この傾同はレーガン時代から兆しが見えたが、一気に太い流れになった。
7.民主党、共和党ともに移民受け入れは国是。不法移民の扱いをどうするかの賛否のある中で、両方の立場を満足させる行政命令を発する。不法滞在者のうち300万なり500万といったある程度の人数に市民権とは別の合法的な地位を与える一方、不法労働を取り締まり、国境警備も厳格にして、合法化反対派にも目配りする。
8.次期大統領が就任する来年1月20日までに議会で、民主党はたぶん賛成。読めないのは共和党である。。トランプ氏が今後も有権者の不安をかき立てて、今まで選挙に行かなかったような人たちをトランプ氏支持という形で動員できると考えた場合には、大統領選に引きずられて同じ政党の議員に投票してもらえる。その流れに乗るのが得だとなれば、現政権提案の移民改革法案に反対という共和党議員が増える。しかし、逆にトランプ氏が失言続きで大敗すると、現政権に協力して法案を通す可能性はある。銃規制やテロ発生、英国の動向など、この半年、選挙直前まで何が起こるかわからないので、予断を許さない。
9.銃規制法は大問題になる可能性がある。前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏に対抗し、全米ライフル協会(NRA)が新しい法律ができるのを防こうと大金を使ってロビー活動を続けているが、ブルームバーグ氏はNRAを超える金額をここ2〜3年出して、規制賛成派の活動を後押ししている。
10.日本で政治参加というと選挙ばかりを考えるが、1票の意志が、政治家に伝わらないので、ロビイングをすると、メッセージは伝わりやすい。米国にはロビイングをする伝統があり、エスニックに限らずロビイングをするのは不思議ではない。イスラエルロビーもエスニックロビイングも、国によって狙いは必ずしも同じではない。
11.メキシコ系のロビーは、米国政治の対外政策を変えさせるより、米国に住んでいる人たちの状況をよくすることに力を注ぐ。メキシコは米国と圧倒的な経済格差がある。いずれ本国に帰ってくるための条件を整えることを念頭に置いてロビーで働きかける。中南米にとって米国はカネのなる木。二重国籍を推進しようとする国さえある。米国内で米国に忠誠心がないと考える人たちが出てきてもおかしくない。
朝鮮戦争が始まったとき、ロシア領内にいた朝鮮族が韓国の味方をするのではないかと疑心暗鬼に陥ったスターリンが、朝鮮族を根こそぎいまのカザフスタンへ移住させた。
「池上彰著:
知らないと恥をかく世界の大問題7、Gゼロ時代の新しい帝国主義、KADOKAWA、2016年5月10日」は参考になる。「第2章:ヨーロッパは受けとめ切れるのか」「ロシアにとってのウクライナ」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.かつてのソ連は日本の60倍以上の面積を誇る超大国だったが、ソ連が崩壊してロシアとなり、仲間だった東ヨーロッパの国々は次々と資本主義の国になっていった。ソ連を構成していたベラルーシ、グルジア(現ジョージア)、ウクライナが新たな緩衝地帯となった。この国々が西側へ行くことは何としても避けたい。
2.いちばん新たにユーロを導入したリトアニアも、かつてはラトビア、エストニアとともにソ連に併合されていた。ソ連末期の1991年1月、独立運動が高まっていたリトアニアにソ連の内務省軍が突入。テレビ局やテレビ塔を制圧、多数の犠牲者が出た。「血の日曜日事件」と呼ぼれる。2014年、プーチン大統領はウクライナへ介入し、クリミアを併合した。ウクライナで政変が起き、EUへ加盟しようという動きが起きたためである。ウクライナは、西側が「親欧米派」、東側が「親ロシア派」である。親ロシア派の大統領が「EUの仲間に入るのをやめる」と言ったとたん、親欧米派が激怒し、親ロシア派政権は崩壊。その後、内戦状態へと発展した。
3.ロシアはウクライナ全体を取り込みたいのではない。EUに加盟している国と接するのがイヤなだけで、ロシアとしては、ウクライナはこのまま東側と西側で内戦が続いてくれたほうが安心なのである。クリミアにはロシア人のほうが多いので、ここで住民投票をやれば当然、「ロシアに入りたい」という結果が出る。そこで住民投票を行い、クリミアを併合した。
4.プーチンの思惑通りに進んだことに、欧米が激怒し、ロシアに対し、西側諸国は経済制裁をしている。ウクライナはもともとソ連を構成する共和国のひとつで、ソ連の中のウクライナ共和国だった。肥沃な大地が広がり、ソ連の穀倉地帯と呼ばれていた。
5.スターリンの時代、農業集団化に失敗し、生産性が落ちてウクライナで慢性的な食料不足が起こった。ウクライナの人々は、いかにソ連時代に悲惨な目に遭ったかを忘れていない。東はロシア系が多いが、西部はウクライナ人なので、ロシアから少しでも離れたいという思いがある。スターリンは少数民族の弾圧を行った。ソ連の中には地域によって少数民族が住んでいたが、ドイツと戦争になると、ソ連の中にいる少数民族がドイツの味方をするのではないかと恐れ、少数民族を根こそぎ移住させた。とりわけ犠牲となったのがチェチェン人だった。クリミア半島に住んでいたタタール人たちも、中央アジアに強制移住させられた。
6.スターリンの死後、クリミア半島に戻ることができたが、クリミア半島にいるタタール人たちは、ひどい目に遭ったという民族としてのトラウマがあった。タタール人はクリミア半島がロシアのものになったことを喜んではいない。
7.朝鮮戦争が始まったとき、ロシア領内にいた朝鮮族が韓国の味方をするのではないかと疑心暗鬼に陥ったスターリンが、朝鮮族を根こそぎいまのカザフスタンへ移住させた。カザフスタン人の顔からもそれがうかがえる。
知らないと恥をかく世界の大問題7、Gゼロ時代の新しい帝国主義、KADOKAWA、2016年5月10日」は参考になる。「第2章:ヨーロッパは受けとめ切れるのか」「ロシアにとってのウクライナ」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.かつてのソ連は日本の60倍以上の面積を誇る超大国だったが、ソ連が崩壊してロシアとなり、仲間だった東ヨーロッパの国々は次々と資本主義の国になっていった。ソ連を構成していたベラルーシ、グルジア(現ジョージア)、ウクライナが新たな緩衝地帯となった。この国々が西側へ行くことは何としても避けたい。
2.いちばん新たにユーロを導入したリトアニアも、かつてはラトビア、エストニアとともにソ連に併合されていた。ソ連末期の1991年1月、独立運動が高まっていたリトアニアにソ連の内務省軍が突入。テレビ局やテレビ塔を制圧、多数の犠牲者が出た。「血の日曜日事件」と呼ぼれる。2014年、プーチン大統領はウクライナへ介入し、クリミアを併合した。ウクライナで政変が起き、EUへ加盟しようという動きが起きたためである。ウクライナは、西側が「親欧米派」、東側が「親ロシア派」である。親ロシア派の大統領が「EUの仲間に入るのをやめる」と言ったとたん、親欧米派が激怒し、親ロシア派政権は崩壊。その後、内戦状態へと発展した。
3.ロシアはウクライナ全体を取り込みたいのではない。EUに加盟している国と接するのがイヤなだけで、ロシアとしては、ウクライナはこのまま東側と西側で内戦が続いてくれたほうが安心なのである。クリミアにはロシア人のほうが多いので、ここで住民投票をやれば当然、「ロシアに入りたい」という結果が出る。そこで住民投票を行い、クリミアを併合した。
4.プーチンの思惑通りに進んだことに、欧米が激怒し、ロシアに対し、西側諸国は経済制裁をしている。ウクライナはもともとソ連を構成する共和国のひとつで、ソ連の中のウクライナ共和国だった。肥沃な大地が広がり、ソ連の穀倉地帯と呼ばれていた。
5.スターリンの時代、農業集団化に失敗し、生産性が落ちてウクライナで慢性的な食料不足が起こった。ウクライナの人々は、いかにソ連時代に悲惨な目に遭ったかを忘れていない。東はロシア系が多いが、西部はウクライナ人なので、ロシアから少しでも離れたいという思いがある。スターリンは少数民族の弾圧を行った。ソ連の中には地域によって少数民族が住んでいたが、ドイツと戦争になると、ソ連の中にいる少数民族がドイツの味方をするのではないかと恐れ、少数民族を根こそぎ移住させた。とりわけ犠牲となったのがチェチェン人だった。クリミア半島に住んでいたタタール人たちも、中央アジアに強制移住させられた。
6.スターリンの死後、クリミア半島に戻ることができたが、クリミア半島にいるタタール人たちは、ひどい目に遭ったという民族としてのトラウマがあった。タタール人はクリミア半島がロシアのものになったことを喜んではいない。
7.朝鮮戦争が始まったとき、ロシア領内にいた朝鮮族が韓国の味方をするのではないかと疑心暗鬼に陥ったスターリンが、朝鮮族を根こそぎいまのカザフスタンへ移住させた。カザフスタン人の顔からもそれがうかがえる。