2020年06月

2020年06月25日

ボルトン氏回顧録

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トランプ大統領の元側近
ボルトン前大統領補佐官
回顧録が出版
米朝首脳会談は宣伝のため
北朝鮮のキム・ジョンウン
3回にわたる首脳会談
韓国側の思惑


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池上湖心の書 

半導体とIT産業での強みを生かし、世界の供給網における中心的地位を全力でつかむ、台湾の蔡英文総統は2期目の就任演説で語った。


「杉本りうこ、高口康太(ダイヤモンド編集部)著:半導体巡る大国の思惑・半導体「地政学」バブル 週刊ダイヤモンド 2020.06.27」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.台湾がこれから向き合うの合は、世界経済のより激しい変動と供給網が再編されていく局面である。半導体とIT産業での強みを生かし、世界の供給網における中心的地位を全力でつかむ。と5月20日、台湾の蔡英文総統は2期日の就任演説でこう語った。この言葉は、前週に起こった半導体産業の「大事件」の深層を示唆するものである。
2.演説の前週、半導体受注生産の世界最大手である台湾TSMCが、米国で2つ目の新工場を建設する意向を明らかにした。米国政府が工場新設を求めている、との報道が半年来続いていたが、それが現実となった。また計画発表とほぼ同日、米商務省は中国の通信設備大手、ファーウェイへの追加制裁を発表。こちらもTSMCに関連があり、大口顧客のファーウェイに対して半導体を供給できなくなる内容だった。
3.米トランプ政権はTSMCに巨額の投資をねだっておきながら、大口顧客との取引を妨害している。他国の民間企業の命運をここまで左右するのは、大国の傲慢である。この大事件をそう理解するのは、皮相的である。TSMCは米国新工場計画について公式には、あくまで意向段階でしかなく、最終決定には至っていない。今後慎重.に検討を重ねる、としており、まるで強いられて渋々としている消極姿勢である。だがTSMCは冷静に算盤をはじき、経済合理性を判断して動きだしている。
4.TSMCはなぜ米国新工場建設に動きだした理由を理解するために、この企業のビジネスモデルから解説すると、TSMCは「ファブレス」と呼ばれる半導体設計会社から委託を受け、自社の工場で半導体を製造する「ファウンドリー」と呼ばれる業態である。ものづくりをサービスとして提供している点で、台湾のEMS、鴻海精密工業と共通している。5.主要顧客の顔触れでもTSMCと鴻海は似通っている。米アップルとファーウェイが大口顧吝で、2019年度はアップルがTSMCの年商の23%、ファーウエイが同14%を占めた。他の大口顧客にはAMD、ブロードコム、エヌビディア、クアルコム、ザイリンクスといった米国のファブレス半導体会社が並ぶ。ソニーと台湾メディアテックも顧客である。一方で競合はというと、韓国サムスン電子や米グローバルファウンドリーズがライバル企業である。特にサムスンは、ごく近年に市場参入したにもかかわらず、事業規模はすでにTSMCの3分の1程度に育っている。
6.こういう中で特筆すべきは、米インテルが近年、TSMCの競合から顧各に転じたという大変化である。インテルは13年にファウンドリー市場に参人し、TSMCをおののかせたが、現在は主要顧客の1社となっている。そしてインテルこそがTSMCの米国新工.場
の経済合理性を読み解くヒントを秘めている。
7.英調査会社、インフォーマインテリジェンスのディレクターは、TSMCの米国新工場は、進出先がアリゾナ州であることに注日する必.要がある。同州チャンドラーにはインテルが工場群を持っており、このうち最新のファブ42と呼ばれる工場の稼働率がずっと低いままである。TSMCはファプ42をインテルから何らかの形で借り受けるとみられる。8.TSMCの経営層は、米国での生産増強はコストがネックという考えを示してきた。インテルのファブ42を借用できれば、建物やクリーンルームの建設にかかるコストは圧縮できる。これに米連邦政府とアリゾナ州政府が提供する税制等の優遇策を加味すれば、コスト面はTSMCの期待する水準にかなり近づくが、コスト条件だけではTSMCにとって決め手に欠ける。製造業の進出にとって最大の決め手は常に現地の需要である。今、米国では半導体の需要が熱を帯びており、それにTSMCとインテルが背中を押されている。
9.この需要を示唆する極めて興味深い資料を、5月11日付の米紙「ウ才ール・ストリート・ジヤーナル」が示している。インテルのCEOによる今年4月28日付の書簡に、宛先は米国防総省の高官があり、書簡の中で、CEOは、私たちは米国政府の安全保障とインフラ上の需要を満たすために必要な、持続可能かつ商業的に実行可能な工場を実現すべく、国防総省と協力し、国内の製造と技術、雇用を増強する準備ができている、書いてある。要は国防総省の要請に応じて、生産増強す.る意欲がある、と言っている。この増強のためにTSMCと手を組むことは、大いに合理的である。
10.米国で産業政策をつかさどるのは通常、商務省である。なぜ書簡の宛先は、防衛の司令塔である国防総省なのかは、今、国防総省が巨額のハイテク投資を進めているからである。そのうち、最大のプロジェクトがJEDIと呼ばれるクラウドシステムの構築である。国防総省のデータの8割甲をJEDIシステムに格納し、AIを使った高度な分析で戦闘を支援するのが目的である。
11.構築期聞は10年が見込まれており、予算総額は約1・07兆円とされている。JEDI受注にはマイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、オラクルといった米国のハイテクガリバーがしのぎを削り、結果としてマイクロソフトが獲得した。失注したアマゾンとオラクルは決定経緯が不公正だとして訴訟を起こしているが、それもJEDIが近年まれに見る超大型政府調達だからである。
12.AIを使ったクラウドシステムとは、サーバーを幾つも使った大規模な高性能コンピューティングシステムである。そこにはCPUやFPGAといったインテルの主力製品が大量に使われ得る。他にもエヌビディアのGPUやブロードコムのさまざまな半導体も必要で、TSMCに大きな需要をもたらす。さらに防衛関連では、ボーイングやロッキード・マーティンといった米国軍需企業も、航空機などに搭載する半導体の設計・開発を強化している。米国の人材サイトには今、両社の半導体エンジニア募集の情報が多数出ている。
13.今米国では、「21世紀のスプートニクショック」が起こっており、それが防衛部門の巨大な投資を喚起している。20世紀のスプートニクショックでは、旧ソ連が人類初の人工衛星を実現したことに米国の防衛部門が危機感を抱き、字宙開発を猛烈な勢いで強化した。これと同様に米国は今、AIや次世代通信規格・5Gを巡る中国のハイテクにおける実力に、猛烈な焦燥感を抱いている。そして20世紀の宇宙戦争を制した自信から、米国はまた技術投資に巨額を投じるべく動き始めている。
14.半導体の需要は谷底である。18年前半までの活況の反動で、設備投資は調整期にある。だがコロナ禍は半導体産業にとっては悪材料ばかりではない。在宅ワークやオンライン教育、通販といったネットサービスの需要が増え、米グーグルやアマゾン、アップルなどがサーバーを増強している。前述の防衛需要に加え、こうした民間需要もある。この好機にぼやぼやしていると、TSMCはライバルのサムスンに需要を奪われかねない。サムスンもテキサス州に巨大工場を構え、ファウンドリー事業を強化している。
15.こういった、谷底の先の新しい山を株式市場はもう織り込んでおり、半導体の主力銘柄はすでに買いの対象になっている。こういった需要の恩恵は、半導体供給網全体を潤し、当然ながら日本の関連企業にも及ぶ。特にTSMCの主要なサプライヤーは前提となる米国のハイテク政策を理解する必要がある。冒頭の台湾・蔡総統の宣言は的を射ている。半導体の供給網はこれから、需要に導かれて形を変えていく。米中間でデカップリングなどしないが、中国一極集中から分岐し、冗長な形に変化していく。この中で企業は米中の需要をうまく両取りしていくが、時には、どちらを重視するかと迫られる局而もある。その際のシナリオに、企業は今から備えておく必要がある。



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2020年06月24日

南北高まる緊張

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北朝鮮、南西部のケソン
韓国との共同連絡事務所を爆破
今後、軍事的な措置も示唆
キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長を批判するビラ
脱北者団体と、黙認したとして韓国政府を非難
キム委員長の妹のキム・ヨジョン氏
連絡事務所の破壊を予告
アメリカは同盟国である韓国と連携


yuji5327 at 06:45 
池上湖心の書 

ハイテク産業において、供給網の最要衝は半導体である。AIであれ、次世代通信規格(5G)であれ、半導体なしには実現しない。


「杉本りうこ、高口」康太(ダイヤモンド編集部)著:半導体巡る大国の思惑 週刊ダイヤモンド 2020.06.27」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.ソニーの革新的な技術と、マイクロソフトのクラウドAIが連携する。ソニーと米マイクロソフトは5月19目、法人向けのAI〔人工知能〕スマートカメラ事業での協業を発表した。ここで使われる重要部品が、ソニーが世界で初めて実現したAI搭載のCMOSイメージセンサー〔撮像素子半導体)である。CMOSは従来、主にスマートフオンやデジタルカメラに使われてきた。
2.今回ソニーが開発・製品化したのは、高性能のCMOSと画像をAI処理する半導体を積み重ねたパッケージである。ソニーがCMOSメーカーとしていち早くこれを実現できたのは、半導体を立体化する「積層化技術」が大きい。ソニーは2012年に積層型CMOSを世界で初めて商品化した。積層化はCMOSの高画質・高機能化と小型化を可能にし、韓国サムスン電子など競合メーカーも追随した。近年、スマホのカメラが飛躍的に進歩した陰には、ソニーの技術がある。
3.そもそも撮像素子半導体そのものが、ソニーが切り開いた分野である。1980年、世界で初めてカラーのCCDイメージセンサーを商品化して以来、技術力と市場シェアの双方で他社を圧倒してきた。今回のAI搭載半導体は、CCDの研究開始以来、50年分の技術とノウハウが凝縮された結晶である。この結晶を、マイクロソフトとの協業で法人向けのスマートカメラとして世界に売り込む。小売店の商品棚の欠品状況や、工場の運転状況を自動検知するようなAI処理が、高速かつ省電力・低コストでできるようになる。
4.この日米巨大企業の半導体を巡る協業を聞き、人知れず穏やかでない心持ちになったのは、中国のハイテクガリバー、ファーウェイ(華為技術)である。ファーウェイはソニー、特にその半導体技術に、以前から「並々ならぬ関心」を寄せてきた。ファーウェイはソニーから撮像素子半導体を購人するだけではなく、ソニーを重要な開発パートナーと位置付けている。現状でも親密な2社だが、これに飽き足りない「並々ならぬ関心」を物語る秘話を、東京に拠点を置くある調査会社の幹部が語った。
5.時は18年末から19年初、この調査会社はファーウェイの中国本社から、ソニーに関するある調査を依頼された。大まかに言えば、ソニーの半導体事業の技術優位性やイノベーション力に関する詳細な調査である。ソニーはなぜ優れているのか、その秘訣の全てを学びたいとの意向が、ファーウェイ側から伝えられた。ハイテク業界では、競争相手や取引相手の技術力を調査することは珍しくない。だがファーウエイの依頼の詳細は、通常とはかなり異なっていた。具体的な調査項目として、以下のような事柄が盛り込まれていた。「半導体事業のキーパーソンとなる技術者は誰か」「その技術者の連絡先は」「自宅の住所は」……である。
6.相手企業の個人情報を求めるような依頼は、これまでにない。対価は数干万円と、通常に比べて桁が違う。調査会社は、依頼を断った。何らかの形でソニーの重要人材にファーウェイが接触することが想定された。ソニーにとっては人材の流出につながるか、少なくとも半導体事業のノウハウが学び取られる。ファーウェイは19年5月、米国の輸出管理規則で事実上の禁輸制裁を受けた。この制裁ではソニーの半導体は対象外だった。両社は現在も取引を続けている。ただファーウェイはソニーへの並々ならぬ関心を今後、抑えざるを得ない。
7.そこにはソニーとマイクロソフトの協業が関係する。マイクロソフトには、ファーウェイのような中国企業や中国政府から見て無視できない側面がある。米国の政府調達の最有力サプライヤーであることである。特に国防総省や国土安全保障省、軍といった防衛や安全保障に関わる部門で貢献してきた。マイクロソフトが獲得した政府調達額は直近年度で約2255億円に上る。国防総省の巨大クラウド構築事業、JEDIを落札した。
8.このマイクロソフトとソニーは今後、さらに親密になる公算が大きい。両社は昨年5月に戦略提携を結んでおり、今回の半導体を巡る協業もこの包括的な提携の一環だからである。製品の売り切りから継続課金モデルに移行したいソニー、自社のクラウドを補完するハードウエアが欲しいマイクロソフト。互.いの利害が一致した。昨年5月に公開されたソニーの吉田憲一郎社長とマイクロソフトのサティア・ナデラCEOの握手が、両社の蜜月を象徴している。
9.両社の関係が深まれば、ソニーが米国政府の間接的なサプライヤーになる可能性も高まる。今回のスマートカメラ事業の販売先は政府ではなく一般企業である。それでも今、可能性を指摘する必要があるのは、米国が政府調達や国内企業の供給網に対し厳格になっているからである。
10.コロナ禍を受け、米中対立が深まっている。5月中旬に米国は、ファーウェイに対する制裁策を追加し、米国製の製造設備を使って自社設計の半導体を作れないようにした。この攻撃と同時に、重要な製品や技術をなるべく米国、あるいは中国以外の信頼できる国・企業から調達する供給網の防御も進めている。半導体受託製造の世界最大手、台湾TSMCが米国に新工場を造ることになったのも、その一環である。
11.ハイテク産業において、供給網の最要衝は半導体である。AIであれ、次世代通信規格(5G)であれ、半導体なしには実現しない。半導体産業で重要な企業は明確である。TSMCやサムスン・東京エレクトロン、オランダ・ASMLといった企業とソニーである。イメージセンサーの市場の半分はソニーが占めており、技術の水準も前述のように高い。
12.こういった重要企業に対して米国政府は、中国の供給網から距離を置き、米国の産業・市場への関与を深めるように求めている。特に今秋の米大統領選挙に向けては、トランプ氏は有権者に受けのいい中国たたきや安易な産業政策を相次いで打ち出すだろう。ハイテク産業の供給網において、中国の役割は無視できない。巷間でいわれるような、世界が米中を軸に2つの経済圏に分断するデカップリングはおそらくない。起こるのは供給網の「分岐」であり、その分かれ道で個々の企業に極めて難しい経営判断が求められる。
13.ファーウェイへの追加制裁を受け、ソニーの法務部門のスタッフは連日のように、経済産業省や法律事務所など貿易管理に精通した向きに、ファーウェイとの取引を続けて問題はないか、と問い合わせている。米中問の対立が日々エスカレートする中、ソニーの判断の難しさも増している。




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2020年06月23日

感染症に強い社会を

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新型コロナウイルス
日本で900人を超える死者
経済・社会活動を形で止めた。
盲点の感染症リスク
国家の非常事態
政府が総合的な戦略を
危機に強い医療体制
供給網の見直し
製造拠点の国内回帰
マイナンバーを振込先の口座に


yuji5327 at 06:53 
池上湖心の書 

各地域に固有の経済活動や文化があるように、脳の中の個々の領域は他の多くの領域と連携しつつ固有の機能を果たしている。


「藤田一郎(大阪大学教授)著:多様な心の機能は脳の中でどう割り振られているか? 週刊ダイヤモンド 2020.06.27」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.心の山来事は多岐にわたる。感覚、知覚、運動から、感情、記憶、睡眠、さらには言語、感謝、思いやり、自己意識といったものまで、さまざまである。いったい、この多様な心の機能は脳ではどのように割り振られているのか。異なる機能は脳の異なる場所が分担しているのか、それともこれらの機能のそれぞれを脳全体が一丸となって実現しているのか。
2.異なる心の出来事は脳の異なる場所によつて担われているとする考えは、19世紀前半に活躍したドイツのフランツ・ガルにさかのぼる。彼は、「脳は心を生み出す臓器であり、働きの異なる区画から成る」という考えを明確にした。ガルはそれらの区画を「器官」と呼び、脳は色や音の知覚、言語、数学、芸術、名誉、友情、哲学、謙虚、社交、性欲などに対応する27個の「器官」の集まりであると唱えた。
3.さらに彼は、個性的な性格や能力を持つ人は、その特徴に対応する「器官」が大きくなり、内側から押し上げて頭蓋骨の形を変えると考え、骨の凹凸を計測することでその人の性格や能力を知ることができると主張した。この考えに基づく研究分野は骨相学〔フレノロジー〉と呼ばれ、当時のヨーロッパで一大ブームとなった。上流階級の人々が自分の頭蓋骨の形を測ってもらうことに夢中になったり、科学者が没後に頭蓋骨を研究用に提供すると表明したり、作曲家ハイドンの頭蓋骨が骨相学者によって持ち去られたりするほどであった。
4.骨相学は全くのエセ科学だった。ガルは性格や能力と頭蓋骨の形態の関係を系統的に調べたわけではなかった。例えば、計算能力は眼窩に近い所に、性欲は首の付け根辺りにその機能があると主張したが、その根拠は、数学の得意な知人の眼窩が突出していたことや、彼が抱き寄せた女性の後頭部が熱を持っていたというような個人的な経験にすぎなかった。熱狂の後、骨相学が急速に廃れたのは当然のことだった。
5.だが、ガルの「脳は働きの異なる区画から成る」という考えは生き残った。1861年には、フランスのピエール・ブローカが、言葉を話せない患者の死後に脳を調べ、左半球の前頭下回が脳梗塞により損傷していることを見いだした。こうして、今日、ブローカ野と呼ばれるこの領域が発話に重要であることが明らかになり、特定の機能が脳の限局した場所で担われているとする局在論を支持する最初の科学的証拠となった。
6.実験研究による脳機能閥在の最初の証拠は、グスタフ・フリッチュとエドゥアルト・ヒッツィヒによる運動野の発見である。彼らはイヌの大脳皮質をごく弱い電流で刺激すると、どの場所を刺激するかによって動く筋肉群が異なることを見いだした。一方で、米国の心理学者カール・ラシュレーは、ネズミの脳を局所破壊したときに迷路学習が阻害される程度が、どこを壊したかには関係がなく、どのくらい大きく壊したかに依存するという結果を得た。彼は、学習機能は脳において局在せず、脳は場所によらず同じ機能を持ち、機能の発現には脳組織の量が重要であると主張した。しかし、ラシュレーの実験と結果の解釈は多くの点で不備があり、彼が主張した極端な全体論は今では明確に否定されている。
7.とはいうものの、ある特定の心の出来事にたった一つの領域が関わり、他の領域から孤立して働いているわけではない。互いに連絡し合う複数の領域が働くことが必要である。つまり、純粋な意味での局在論も成り立たない。機能局在の程度は問題とする心の出来事によって異なるが、局在性が強い例を顔の認識の神経機構に見ることができる。ヒトの側頭葉の底面に紡錘状回顔領域〔FFA)と呼ばれる領域がある。FFAが壊れると、知人や自分の顔を見ても、それが誰であるか、どんな表情をしているかが分からなくなる。しかし、顔以外の物体の認識にはほとんど影響がない。
8.サルの大脳皮質のFFA相当領域を調べると、90%以上の神経細胞が顔に特異的に反応する。ヒトを対象とした機能的磁気共鳴撮影法〔fMRI〕による研究においても、顔の識別時にFFAが強く活動することが示されている。これらの知見は全て、FFAが顔認識機能に特化しているという考えを支持している。しかし、近年、fMRIのデータの解析にマルチボクセルパターン分析〔MVPA)と呼ばれる手法を適用すると、FFAの活動から顔のみならず他の物体に関する情報も読み出すことができると判明し、FFAの機能は顔の認識に特化していないという主張がなされている。
9.だが、実験者が物体情報を読み出せたとしても、脳が実際にその情報を認識という心の出来事に結び付けているとは限らない。ここにきて、FFAの機能がどのくらい顔認識に特異的なのかの議論が再燃することになった。このような状況下、FFAの発見者である米マサチューセッツ工科大学のナンシー・カンウィッシャー教授と旭川医科大学の鎌田恭輔教授の研究グループは、診断目的で側頭葉に多数の電極を配置した患者のFFAを電気刺激する稀有な機会を得た。
10.この患者は、FFAが刺激されると、どんな物体を見ているときであっても、その物体に重なるように人の目や鼻や口が現れると感じることが判明した。そしてさらに重要な発見は、このとき、見ている物体の知覚には何の変化もなかったことである。もしもMVPAが検出する物体情報が意味を持つのであれば、その情報を伝えるFFAの神経活動が電気刺激によって乱されるのだから物体の知覚は影響を受けるはずである。しかし、そのようなことは起きなかった。FFAはやはり顔認識機能に特化した領域なである。地球上の異なる地域の間で活発な交流や人の移動が行われていながらも、各地域に固有の経済活動や文化があるように、脳の中の個々の領域は他の多くの領域と連携しつつ固有の機能を果たしている。



yuji5327 at 06:37 
健康 

2020年06月22日

我つひに還り来にけり倉下や揺るる水照の影はありつつ

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北原白秋句
長谷川櫂解説
白秋の郷里
有明海
水の町
詩人の感受性育む
人生半ば帰郷
友人たち小舟で水路
(読売新聞2020.6.20より)

yuji5327 at 07:10 
池上湖心の書 

メルカリの2020年4-6月期決算で、米フリマ、スマホ決済事業の赤字が計300億円となった。競合も多い現状で、黒字化のハードルはなお高い。無理に米国で黒字化を目指さず撤退しても良い。

2020/6/19付けの大前研一さんのニュースの視点(発行部数 157,979部)は「国内消費/伊藤忠商事/レオパレス21/みずほFG/メルカリ〜国内消費にみる国民生活の変化
」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.総務省が5日に発表した統計によると、4月の2人以上世帯の消費支出は前年比11.1%減少した。減少率は比較可能な2001年以降最大で、パック旅行費や外食などサービス分野を中心に落ち込みが大きくなっている。
2.4月になって増加したものと減少したものを見ると、人々の生活にどれほど変化があったのか、見て取れる。増加したのは、マスク、パソコン、パスタ、ウェットティッシュ、ゲーム機、郵便料、即席麺、カップ麺、石鹸など。減少したのは、乳液、口紅、婦人用スラックス、タクシー代、背広代、定期代、飲食代、映画演劇などの入場チケット代、航空運賃、宿泊料、パック旅行、遊園地の入園料など。著者の近所でも、スーパーで買い物して自炊する人が増えているような印象を受ける。そういった影響もあるのか、電子レンジが売れていると耳にする。この調子でいくと、飲食店の回復には時間がかかる。一気に回復するのではなく、まだらに回復していくような状況になる。
3.伊藤忠商事の時価総額が2日、終値ベースで三菱商事を上回り、初の総合商社首位となった。資源価格の急落で商社ビジネスの先行き懸念が強まる中、安定的な生活関連ビジネスに強い伊藤忠が相対的に買いを集めた。
4.純利益では、三菱商事は少し減少したものの、まだ伊藤忠を上回っている。三井物産、住友商事も純利益が減少している中、伊藤忠のみ純利益を減らしていない。時価総額ベースで伊藤忠が三菱商事を抜いたのは、初めてである。三菱商事は、インドネシアなどの天然資源で大きく利益を出しているが、伊藤忠は細かくアパレルなどで稼いでいる。ここにきて、純利益を落とさずに安定している理由の1つである。
5.日経新聞は5日、「レオパレス、再建に暗雲」と題する記事を掲載した。賃貸アパート大手・レオパレス21の2020年3月期連結業績が、803億円の最終赤字となる見通しである。2018年に相次いで発覚した施工不備問題で改修費用がかさむことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大で主力の法人利用が急減していることが響いている。
6.4月は転勤などで新しい需要が掘り起こせる時期だから、それが空振りになったのは、レオパレスにとって大きな痛手だった。その上、今後テレワークが普及することになると、転勤自体が見直される可能性もあり、以前のように回復できるかは定かではない。建築したアパートで施工不良が相次ぎ見つかり大きな問題になったが、やはりその影響が大きく、赤字額が大きすぎる。そのような状況において、村上ファンド(投資会社レノ)が株主として入り込み、経営を揺さぶっている。
7.重要なのは、村上ファンドには経営を脅かす力はあっても、立て直す力はないということである。今必要なのは、「物言う株主」ではなく、レオパレスの経営を立て直す力を持ったファンドである。そういう株主が入ってこない限りは、レオパレスはこのまま崩壊の一途をたどる。
8.みずほFGは2日、システム運用を担う子会社・みずほオペレーションサービスの株式65%を日本IBMに譲渡すると発表した。子会社は持分法適用会社に留める方針で、これにより、みずほが持つ大規模システムの運用ノウハウと日本IBMの自動化、AIなどの先端技術を融合し、効率的なシステム運用を目指す考えである。この手法は、今から20〜30年前に流行ったやり方である。
9.特に、ロス・ペローがこの手法を活用していた。例えば、GMやエクソンのシステム部門を買収し、その部門の業務を効率的に改善していく。効率化の結果として、稼働に余裕が生まれるからその分他の仕事もこなせるようになる。今回のみずほFGと日本IBMの話は懐かしい。日本IBMは、みずほFGの前身でもある富士銀行や日本興業銀行とも関わりが強かったので、今回の株式取得に至った。
10.メルカリの2020年4-6月期決算で、米フリマ、スマホ決済事業の赤字が計300億円となった。巣ごもり消費の影響で米事業は上向いているものの、広告費やシステム開発費が膨らんでいることに加え、競合も多い現状で、黒字化のハードルはなお高い。無理に米国で黒字化を目指さずに撤退しても良いと思う。メルカリ全体として見れば、日本のオペレーションは非常にうまく機能していて、大きな問題もない。米国の赤字は非常にもったいない。米国の黒字化にこだわらなくなれば、メルカリは大きな重荷から解放される。


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2020年06月21日

野球セ・パ無観客開幕

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プロ野球、異例の開幕戦
コロナで無観客試合
試合前のセレモニー
医療従事者へ拍手を送る選手
3カ月遅れで開幕
試合後のヒーローインタビュー
透明な仕切り板
場内アナウンスが周囲までよく聞こえた。
スタジアムグルメドライブスルー方式の販売
PCR検査を受けた全員が陰性
選手、監督、コーチ、スタッフ、球団関係者ら2131人。審判員55人も全員陰性。



yuji5327 at 07:23 
池上湖心の書 

公の場で常にマスクを着用するという人々の間では、大統領選で民主党の候補指名が確実なジョー・バイデン前副大統領の支持率が66%、トランプ氏が26%となった。


「ジェラルド・F・サイブ(WSのチーフコメンテータ)著:米国「善意の欠乏」あらわ、コロナと人種巡る危機、意見を異にする相手に対する「疑わしきは罰せず」の精神がない 、週刊ダイヤモンド 2020.06.20.」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.この春、米国に、さまざまな資金不足が引き起こされている。だがもっと重要なのは、より広くはびこる「善意の欠乏」という基礎疾患が浮き彫りになったことである。多くの米国人が、意見を異にする相手に対し「疑わしきは罰せず」の精神で善意を示すことを止めてしまった。ここ3カ月余りに、米国は双子の衝撃に揺れている。まず新型コロナウイルスのバンデミックと、それに伴う経済停滞である。続いて、警察が黒人男性を拘束する際に死なせたことを受け、抗議活動が広がった。
2.理想的な世界であれば、こうした衝撃に対処する中で国がまとまる可能性もあったが。現実の米国では、経済活動の再開を巡って右派が怒りの抗議活動を行い、人種差別を巡って左派が怒りの抗議活動に立ち上がった。ホワイトハウスの周囲は、何ブロックにもわたって鉄製の高いフェンスで囲われている。外国のテロリストを阻止するためではなく、米国市民を遠ざけるためである。
3.何が起こったのは、答えの一部は、自分と意見が合わない人々は間違っていると思うだけではなく、邪悪とみなす風潮が強まっている。いかなる討論も、相手が善意で論じていると信じる意欲が薄れている。これこそ「人種間の平等」と「法と秩序」が相反する目標とみなされるようになった理由の一つだ。それはちょうど、ソーシャルディスタンシング(社会的距離の確保)による新型コロナの感染抑止と、経済活動の再開が、相反する目標とみなされるようになったのと似ている。こうした姿勢は党派間の分断をあおり、分断は今やほとんど全ての問題に影響を及ぼしている。
4.こうした善意の欠乏は、目下の危機で始まつたのではなく、その風潮は以前からあり、今春に噴出した不満の下地となっていた。一例は、2019年に実施されたブルッキングス研究所の委託調査によると、共和党支持者の82%は民主党が社会主義者に乗っ取られたと考えている。逆に、民主党支持者の80%は、共和党が人種差別主義者に乗っ取られたと考えている。
5.同様に、政治学者のネイサン・P・カルモー氏とリリアナ・メイソン氏調査では、共和党支持者の60%近くと民主党支持者の60%超が、相手の党を米国と米国民への深刻な脅威とみていた。両党ともそのうちそれぞれ40%強は、相手の党が政治的に劣っているのみならず、完全に邪悪だと考えていた。衝撃的なのは、17年の調査で、民主党支持者の18%と共和党支持者の13%が、20年の大統領選挙で相手の党の候補が勝利した場合、暴力行為が起きてももある程度は正当化されると回答した。多くはそこまで過激ではない。ビュー・リサーチの18年の調査によると、大多数の米国人は、たとえ政界で物事が成し遂げにくくなるとしてもルールを守ることは重要だと答えた。ただ、ビューによる回様の調査では、歩み寄りに意欲的な政治家を好む人の数は、両党とも減少していた。
6.調査が示唆するように、多くの政治指導者たちは討論の相手に対して一切、「疑わしきは罰せず」の恩恵を施すべきではないという、妥協のない姿勢を体現している。これは、ドナルド・トランプ大統領の政治討論の手法に当てはまる。同時に、トランプ氏を批判する人の多くにも当てはまる。自分に同意しない人間は道徳的に劣っていると示唆する政治対話は必然的に、政治的な分断を広げる。それこそ今われわれが目にしているものである。
7.先週発表されたウォール・ストリート・ジヤーナル(WSJ)とNBCニュースの共同調査では、公的生活のほとんどあらゆる問題において党派的分断が表面化し、私生活でもその傾向が強まっていることが明らかになった。例えば、民主党支持者の84%はトランプ氏が経済を過剰に重視し、新型コロナの感染が拡大する中で人々の安全確保に十分取り組んでいないとみている。これと対照的に、共和党支持者でトランプ氏を強く支持する人の83%が、経済と人々の安全確保の正しいバランスをとっているとみる。
8.衝撃的なのは、新型コロナ対策として公共の場でマスクを着用するという、政治と無閏係な判断を巡り、党派的な分断が起こっていることである。公の場で常にマスクを着用するという人々の間では、大統領選で民主党の候補指名が確実なジョー・バイデン前副大統領の支持率が66%、トランプ氏が26%となった。全くマスクをしないか、めったにしない人々の間では、トランプ氏が83%、バイデン氏が7%の支持率だった。
9.民主党系の世論調査専門家ジェフ・フォーウィット氏と共に調査に関わった共和党系のビル・マキンターフ氏はこうした調査結果について、われわれがこの国の全てを、党派色フィルターを通して見ていることを非常に強く表している、と語った。そして善意は、この過程で犠牲となっている。


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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