2020年11月
SPACは特別目的買収会社で特定の事業を持たず、未公開企業や事業を買収することのみを目的した投資会社である。
「校條浩著：シリコンバレーの流儀 上場イノベーションから学ぶ 週刊ダイヤモンド 2020.11.21」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
１． 著者の関係ＶＣ企業が、近くニューヨーク市場に上場する。注目すべきは、その上場がSPAC方式で実現することである。SPACはSpecial Purpose Acquisition Company(特別目的買収会社)で特定の事業を持たず、未公開企業や事業を買収することのみを目的した投資会社である。
２． SPAC方式での上場の仕組みは、まず投資会社を市場で上場させ、資金を調達。その上で有望なスタートアップ企業や事業を買収し、合併して通常は被買収企業を存続企業にする。
３．ここ数年、米国ではやっている上場方法で、今年は既に170社のSPACが上場し、調達総額は約6兆5000億円に上る。通常知られた株式公開による上場〔IPO)の、倍以上の規模となっている。
４．このスキーム自体は1980年代から存在していたが、不正の温床となったため使われなくなっていた。その後、SPACに2年の存続期限ができ、その間に買収できなかった場合には解散して出資者へ返金するなどの規制が強化され、ここ10年ほどの間に急速に広まった。
５．これだけはやっている理由は、IPOに比べて「早い、うまい、安い」からである。まず「早い」は、IPOに比べて審査が早く上場が速やかに行われる。スタートアップ企業に出資したVCも、株式を売却して投資リターンを早く実現.できる。次に「うまい」は、SPACを運営するのは投資のプロであり、そのプロが買収した企業の経営に関わるため、上場後の株価の安定的な上昇が期待できる。一般投資家も小口で未公開株式取引に参加できる。そして「安い」は、IPOより上場関連のコストは低いといわれている。また、IPOの場合は投資銀行(日本では証券会社)が上場に当たり出資者を集めるときに、大口の顧客に利益が出るように上場価格を過小評価する傾向があり、それによるIPO企業の利益の取りこぼしが大きいとされているが、SPACではその心配は少ない。
６．付け加えれば、超低金利による「金余り」が、SPAC上場が増えた背景にあるといえる。あふれたマネーは、行き場を求めてSPACへの資本参加にも向かう。SPACが上場して将来有望な会社の買収に成功すれば、大きな投資リダーンが得られる。買収できなかったとしても、SPACは金利を付けて出資者に返金することになっている。投資家からすれば、株式と債券の双方の性格を併せ持つので、オルタナティブ投資のビークルとしては都合が良い。
７．個人投資家にとっても、SPACを通して未公開株市場にアクセスできるので、人気がある。ここから学ぶべきことは、未公開株市場と公開株市場をつなぐSPACのおかげで、スタートアッブ企業や新事業に潤沢な資金が流入するようになった点である。
８．日本では米国と比べてスタートアップ企業の数はまだまだ少なく、またそれらの成長に合わせて投資をするVCが少ないので、日本経済の未来をけん引するような有望企業が生まれにくい状況である。
９．現状を打破するために、2つの提案をする。1つは、成長期にあるスタートアップ企業に大きく出資するVCを育成することである。VCに出資する事業会祉や機関投資家が、金余りの中でオルタナティブ投資を増やす必要があることは明白である。そう考えるとVCへの資金拠出はもっと増えていいはずであるが、実際はそうなっていない。
１０．理由は、日本企業が短期的な売り上げや利益を最大化させるPL（損益計算）脳で、「ファイナンス思考」になっていないからである。ファイナンス思考とは、将来稼ぐことを期待できるお金の流れ(キャッシュフロー)を最大化するために、資金を理性的に分配する考え方である。目先の損益にとらわれず資金を循環させる発想であり、未来志向である。
１１．PL脳の事業会社は、「汗をかいて得た収入が正しい」という職人かたぎの考え方をするので、VCのようなファンドに投資すること自体にアレルギーを持つ。事業会杜が自社のコーポレートVC〔CVC)を持つことが増えているが、経営者がわざわざ「わが杜のCVCは、戦略的な価値獲得が目的であり、投資収益が目的ではない」と強調することが多いのは、PL脳にとらわれている証拠である。
１２．機関投資家の中にも、ファイナンス思考ではなくPL脳で資金運用しているところが、意外なほど多く見られる。リターンが少なくても安全第一で、流動性が高い商品にしか手を出さないという、PL脳そのものの方針を掲げるところは珍しくなく、リスク性向の高いVCへの出資には極端に消極的である。
１３．日本の機関役資家も低金利が長引く中で、VCへの出資は視野に入れざるを得ないはずである。長期的な視点での投資は、それが血となり、新しい事業の成長のために循環し、結局は大きくなって自分に返ってくる。そのことを、米国のスタートアップ企業の動向から学ぶとよい。
１４．もう1つは、SPAC方式の活用である。日本は、米国のように著名投資家がSPACをつくるような土壌はない。そうであれば、事業会仕や投資会社がSPACをつくり、外部から調達した資金をてこに有望なスタートアップ企業を買収し、上場させる。これは、既存企業の事業拡大や企業変革の核となる。
１５．このようなSPAC上場という出口があれば、大きな成長が期待できるスタートアップ企業に投資するレイターステージのVCが、さらに活躍することになる。それにより、多くの企業がVCに出資するようになる。この流れができれば、スタートアップ企業の創業から、事業モデルの仮説検証、事業成長までの資金の循環が確立され、さらにそこから上場あるいは企業買収が盛んとなる。こうなれば、日本の未来を創る新しいエコシステムが出来上がる。
多くの恒星がブラックホールの周りを回っており、その中心の質景は、現在は太陽の410万倍前後で、銀河系の中心の巨大ブラックホールを証明した功績は大きい。
「渡部潤一（国立天文台教授）：ノーベル物理学賞を受賞した巨大ブラックホール研究とは？ 週刊ダイヤモンド 2020.11.21」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
１．昨年の4月、世界的にニュースとなったブラックホールの影の画像。電波観測による、そのドーナツのような画像は、おとめ座銀河団の中心にある超巨大プラックホールを世界中の電波望遠鏡をつないで共同で観測した結果、得られた貴重な成果であった。
２．今年、2020年のノーベル物理学賞はブラックホール研究に与えられることになった。それもブラックホールのさまざまな性質を理論的に明らかにしてきたロジャー・ペンローズ博士、そしてわれわれの住む銀河系の中心にある超巨大プラックホールの存在を明らかにした2人の天文学者、ラインハルト・ゲンツェル博上、アンドレア・ゲズ博士に与えられた。
３．天文学者にとって意外なことだった。というのも、物理学研究者のほとんどが今年のノーベル賞は天文学・宇宙物理学分野からは選ばれないと思っていた。元々物理学分野と一口に言っても、カバーする範囲は広い。素粒子や原子核などミクロの世界を扱う研究から、身近な物質材料の性質を研究する物性物理学、そして宇宙というマクロの分野を扱う研究まで、実に幅広い。
４．そんな広い範囲を対象にするノーベル物理学賞は、それまで暗黙のうちに、同じ分野で連続して受賞が続かないように配慮してきたと思っていた。物性、素粒子、宇宙物理となんとなく順番があるように見えた。
５．19年のノーベル物理学賞は天文学・宇宙物理学分野である、ジエームス・ピーブルス博上、それに系外惑星研究の端緒を開く発見をした2人の天文学者、ミシュエル・マイヨール博士、ディディエ・ケロー博士に授与されたことは記憶に新しい。そのため、誰もが今年は同じ分野である天文学・宇宙物理学分野には回ってこないと思っていた。
６．それにしても2年連続とは、と思う一方で、今回の受賞となった研究対象がいずれもブラックホールであることは、納得するところもあった。昨年4月のイベン・ホライズン・テレスコープ(EHT)プロジェクトによる超巨大ブラックホールの影の画像は、大きな話題になったからである。
７．ブラックホール研究は理論的に存在が予測された後、間接的に存在が示唆され、EHTによって、おとめ座銀河団の中心にある巨大な楕円銀河M87の、そのまた中心に存在する超巨大ブラックホールの姿が、影とはいえ直接的に見えたことは大きな進歩であった。なにしろ太陽の約64億倍の質量を持つ宇宙のモンスターである。これがきっかけになり、ノーベル物理学賞選考の中で、ブラックホールが浮上してきたことは想像に難くない。
８．ブラックホール研究の先駆者は誰なのか。選考は慎重に行われたと思われる。最終的には冒頭に挙げた3人となったと思われる。このうち、米国のゲズ博上、ドイツのゲンツェル博士は、どちらもチームを率いて、同じブラックホール研究でも、われわれが住む銀河系の中心にある巨大ブラックホールを追い掛けてきた天文学者である。M87ほどの巨大さではないにせよ、銀河系の中心付近の星の運動から見えない巨大プラックホールの存在を証明し、その大きさを太陽の200万倍から400万倍と推定した。
９．その方法には2つの工夫があった。1つは赤外線を用いたことである。銀河系の中心部は塵や濃いガスに覆われ、通常の可視光では何も見えないが、赤外線を用いれば、その塵やガスの向こうの赤外線を発する恒星を見ることができる。赤外線を用いた観測で、両者ともプラックホール周囲の星をあぶり出した。
１０．もう1一つの工夫は、それらの星の位置を正確に割り出し、長期間にわたって運動を調べたことである。1年後、2年後、そして10年後には、恒星の位置は少しずつ変化していく。その変化やスピードを調べれば、ブラックホールの正確な位置や質量を知ることができる。銀河中心部の恒星は、巨大なブラックホールの重力を受け、その周囲を振り回されるように周回しているので、振り回され具合からブラックホールの重力の強さ、すなわち質量を推定できる。
１１．こうして長年にわたって観測を積み上げた結果、多くの恒星がブラックホールの周りを回っており、その中心の質景は、現.在は太陽の410万倍前後と推定されている。いずれにしろ、われわれの住む銀河系の中心にある巨大ブラックホールを、間接的にも証明した功績は大きい。先述のEHTチームもその影の検出を狙ってデータ解析を続けている。
１２．もう一人のペンローズ博士であるが、こちらはブラックホールを一般相対性現論や量子力学を駆使して研究した理論物理学者である。ステイーブン・ホーキング博士と共にプラックホールの特異点定理を提示したことは有名だが、それだけでなく、量子力学的視点などからもプラックホールのユニークな研究を行い、ミクロな物理.学と重力理.論を融合するきっかけともなっている。共同研究者であったホーキング博士がもし生きていたらというのが、われわれの間の話題である.
デンマークでは、コロナウイルスが「ミンクから人間に」「人間からミンクに」「ミンク同士が」感染する事態が観察された。
2020/11/20付の 大前研一さんの「ニュースの視点（発行部数 155,628部）は「新型コロナ感染者数／フランス情勢／新型コロナワクチン／デンマーク情勢／世界経済〜各国の新型コロナ対応の状況」の話題について大前研一が解説している．概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
１．米ジョンズ・ホプキンス大学の統計によると、世界の新型コロナウイルスの感染者数が、15日に5366万1954人となった。また、1日の新規感染者数は50万人を超えるなど、直近の2ヶ月間で倍増しており、増加のペースが加速している。やや落ち着いていた死亡者数も、感染者数の急増に引きずられるように増加傾向になっている。
２．国別の傾向を見ると、米国、インド、ブラジルのトップ3は変わらないが、欧州でも再び感染拡大が起こっている。オーストリアは昼間のロックダウンも視野に入れた対策に乗り出すようである。オーストリアでは今月から夜8時から朝6時までの夜間外出禁止措置を実施していたが、感染拡大を止めることはできず、外出禁止を全日に拡大し、買い物や運動などの例外を除いて外出を禁止する見通しとのことである。
３．フランス、スペイン、イギリス、イタリアでも爆発的に感染者数が増加していて、再度ロックダウンするのではないかと言われている。フランスのカステックス首相は12日、新型コロナウイルスの第2波が収束する見通しが立たないとして、12月1日までとしていた外出禁止期間を延長する考えを示している。カステックス首相の発表によると、1日の新規感染者数が連日3〜5万人で推移していて、先日は最大6万人に達したとのことである。今年、フランス国内で亡くなった人の死因は、4人に1人が新型コロナによるものということだから、かなり大きな影響である。
４．米製薬大手・ファイザーは9日、開発を進めている新型コロナウイルスのワクチンについて、臨床実験で感染、発症を防ぐ有効性が90％以上になった、とする暫定結果を公表した。安全性の深刻な懸念も見られないとし、11月中にも米FDA（食品医薬品局）に緊急使用許可を申請するとのことである。
５．今回のファイザーの発表には、説得力があった。副作用も出なかったそうですから、これは大きな前進である。症例数として十分な数ではないが、FDAに申請するのも良いことである。
６．デンマークの毛皮農場で飼育されているミンクから変異した新型コロナウイルスが人に感染したことを受け、先月1日にデンマーク政府は、国内約1200箇所で飼育されている1500万匹のミンクをすべて殺処分する計画を明らかにした。しかし、感染していない農場にまで殺処分を命じる法的権限がないことが問題視され、政府はこの計画を撤回し、あらためて命令を可能にする法案を議会に提出する考えである。ウイルスの媒体として、コウモリをはじめ様々な動物が介在している。デンマークでは、「ミンクから人間に」「人間からミンクに」「ミンク同士が」感染する事態が一部の地域で観察された。全てのミンクを殺処分することについては、感染していないミンクを殺処分する法的権利がないということで保留となったが、難しい問題である。
７．今、日本でも香川県で鳥インフルエンザが流行して大変なことになっているが、ほとんどが殺処分となっている。ミンクについて研究が進まないと分からない部分は多いですが、中国から新型コロナウイルスが入ってきた原因は、おそらくミンクではなかったと思われる。動物は様々なウイルスを持っているので、今回のように大きな災いにつながることがあるので要注意である。
８．日経新聞は11日、「経済正常化へ期待膨らむ」と題する記事を掲載した。10日の日経平均株価が6日続伸したほか、米ダウ工業株30種平均は史上最高値に迫る、と紹介している。新型コロナウイルスのワクチン開発が実用化に近づき、経済活動が正常化に向かう期待が高まっているもので、株価が大きく下落していた航空株や銀行株など、景気関連株にも資金が戻っているとしている。
９．確かにワクチンが普及して新型コロナウイルスの感染拡大が収まることになれば、航空業界、旅行業界など、あらゆるものが変化していくことになる。株式市場は先取りが得意だから、航空株がすでに戻りつつあるが、まだ早いと思う。少なくとも約6割の日本企業は、業績が横ばいもしくは悪化している。新型コロナウイルス感染拡大の影響は、少なくとも今後1年は続くと判断しておいた方が良い。
１．米ジョンズ・ホプキンス大学の統計によると、世界の新型コロナウイルスの感染者数が、15日に5366万1954人となった。また、1日の新規感染者数は50万人を超えるなど、直近の2ヶ月間で倍増しており、増加のペースが加速している。やや落ち着いていた死亡者数も、感染者数の急増に引きずられるように増加傾向になっている。
２．国別の傾向を見ると、米国、インド、ブラジルのトップ3は変わらないが、欧州でも再び感染拡大が起こっている。オーストリアは昼間のロックダウンも視野に入れた対策に乗り出すようである。オーストリアでは今月から夜8時から朝6時までの夜間外出禁止措置を実施していたが、感染拡大を止めることはできず、外出禁止を全日に拡大し、買い物や運動などの例外を除いて外出を禁止する見通しとのことである。
３．フランス、スペイン、イギリス、イタリアでも爆発的に感染者数が増加していて、再度ロックダウンするのではないかと言われている。フランスのカステックス首相は12日、新型コロナウイルスの第2波が収束する見通しが立たないとして、12月1日までとしていた外出禁止期間を延長する考えを示している。カステックス首相の発表によると、1日の新規感染者数が連日3〜5万人で推移していて、先日は最大6万人に達したとのことである。今年、フランス国内で亡くなった人の死因は、4人に1人が新型コロナによるものということだから、かなり大きな影響である。
４．米製薬大手・ファイザーは9日、開発を進めている新型コロナウイルスのワクチンについて、臨床実験で感染、発症を防ぐ有効性が90％以上になった、とする暫定結果を公表した。安全性の深刻な懸念も見られないとし、11月中にも米FDA（食品医薬品局）に緊急使用許可を申請するとのことである。
５．今回のファイザーの発表には、説得力があった。副作用も出なかったそうですから、これは大きな前進である。症例数として十分な数ではないが、FDAに申請するのも良いことである。
６．デンマークの毛皮農場で飼育されているミンクから変異した新型コロナウイルスが人に感染したことを受け、先月1日にデンマーク政府は、国内約1200箇所で飼育されている1500万匹のミンクをすべて殺処分する計画を明らかにした。しかし、感染していない農場にまで殺処分を命じる法的権限がないことが問題視され、政府はこの計画を撤回し、あらためて命令を可能にする法案を議会に提出する考えである。ウイルスの媒体として、コウモリをはじめ様々な動物が介在している。デンマークでは、「ミンクから人間に」「人間からミンクに」「ミンク同士が」感染する事態が一部の地域で観察された。全てのミンクを殺処分することについては、感染していないミンクを殺処分する法的権利がないということで保留となったが、難しい問題である。
７．今、日本でも香川県で鳥インフルエンザが流行して大変なことになっているが、ほとんどが殺処分となっている。ミンクについて研究が進まないと分からない部分は多いですが、中国から新型コロナウイルスが入ってきた原因は、おそらくミンクではなかったと思われる。動物は様々なウイルスを持っているので、今回のように大きな災いにつながることがあるので要注意である。
８．日経新聞は11日、「経済正常化へ期待膨らむ」と題する記事を掲載した。10日の日経平均株価が6日続伸したほか、米ダウ工業株30種平均は史上最高値に迫る、と紹介している。新型コロナウイルスのワクチン開発が実用化に近づき、経済活動が正常化に向かう期待が高まっているもので、株価が大きく下落していた航空株や銀行株など、景気関連株にも資金が戻っているとしている。
９．確かにワクチンが普及して新型コロナウイルスの感染拡大が収まることになれば、航空業界、旅行業界など、あらゆるものが変化していくことになる。株式市場は先取りが得意だから、航空株がすでに戻りつつあるが、まだ早いと思う。少なくとも約6割の日本企業は、業績が横ばいもしくは悪化している。新型コロナウイルス感染拡大の影響は、少なくとも今後1年は続くと判断しておいた方が良い。
2020年11月27日
コロナ勝負の三週間
新型コロナウイルス対策
西村経済再生担当大臣
医療体制が手薄になりがちな年末年始
3週間で集中的に
飲食店への営業時間の短縮要請
都道府県と連携
yuji5327 at 06:46
戦後日本の名宰相と言われると、2人の名前が浮かぶ。田中角栄氏と中曽根康弘氏である。「国土の均衡ある発展を推し進めて、どんな田舎道も整備した旧中角栄氏の偉大さでよくわかる。
![田中角栄人生訓&最期の言葉 天才的問題解決の宝庫、「角栄」は面白い！（プレジデント2020年12/4号）[雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/51q-5IaeelL._SL160_.jpg)
「大前研一著：戦後日本の2大宰相は田中角栄と中曽根康弘だ PRESIDENT 2020.12.4」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
１．2019年11月に101歳で大往生された中曽根康弘元首相の内閣・自由民主党合同葬儀が、20年10月17日、しめやかに執り行われた。葬儀費約9600万円を20年度予算の予備費から捻出することに一部批判があったようだが、中曽根元首相の功績を鑑みれば妥当の域を超えるものではないと思う。
２．戦後日本の名宰相と言われると、2人の名前が浮かぶ。田中角栄氏と中曽根康弘氏である。「国土の均衡ある発展を推し進めて、どんな田舎道も整備した旧中角栄氏の偉大さでよくわかる。田中元首相といえば日中国交回復の立役者だが、内政面でも独自のアイデ
アを2つ実行した。一つは「日本列島改造論」で、これは相当に骨太な政策構想だった。３．列島改造論が国土開発の基礎となって、恵まれない地方にもお金が行き渡るようにな
った。今や中国人をはじめ訪日外国人が、日本はどこに行ってもきれいだと感心するくらい、日本にとって大きな財産になっている。もう一つ、角栄氏が大蔵大臣のときに初めて実行したのが国債の発行、つまり将来から金を借りることである。
４．当時、大蔵省主計局の計画課長だった人に話を直接聞いたが、角栄氏が大蔵大臣に就任した日を境に、空の色が一変した、と言う。それまで主計局の仕事は、各省の予算配分をコーディネートして歳入と歳出のバランスを取ることだった。田中大蔵大臣は、入ってくる金を使うだけでは成長できない。これからは使うことを先に考えろ、と指示したという。繁栄して歳入が増えれば返せるのだから、将来から借りればいい、という発想は、日本列島改造論とともに成長期、人口ボーナス期の日本に相応しいアイデアだった。
５．その後に国の借金が膨らんだのは、成長期が終わったにもかかわらず、新しい国家運営の手法を見出せずに、角栄モデルを変更することなく引きずってきた後の政治家、役人の問題である。角栄氏が今の時代に生きていれば、今の時代に相応しい施策を果敢に打ち出したことだろう。
６．戦後の日本にとって重要なもう一人のリーダーは、角栄氏と衆院選初当選の同期で生年も同じ中曽根康弘氏である。初入閣から首相就任まで出世競争は常に大派閥の角栄氏にリードされたが、中曽根氏は�澗紊凌愕浹聴�の頃ら「総理大臣になりたい」という強い信念があった。首相公選制を最初に提
起したのも中曽根氏である。
７．ドイツの名宰相ヘルムート・コール元首相は、学生時代から自分がリーダーになって祖国統一を成し遂げたいと強く念じていてそれを実現したが、中曽根氏も似たようなところがある。出征と敗戦、占領統治を経験した中曽根氏の当初の政治目標は祖国再建であり、国家として真の独立を勝ち取ることだった。念願の首相に就任して強くこだわったのは、日米関係をイコールパートナーに持っていくことだった。
８．日米イコールパートナーなど、当時としては超背伸びした話で、それまではどちらかといえばアメリカに卑屈にヘリくだるか、復讐心を押し殺すような態度の政治家が多かった。しかし体格的に見劣りせず、頭脳明晰で語学も堪能な中曽根氏は、まったく気後れす
ることなく諸外国とのリーダーと対等に渡り合った。ロナルド・レーガン米大統領（当時）との間で「ロン・ヤス」と呼び合うような信頼関係を築き、サミットの記念撮影ではレーガン大統領と肩を並べて中央に収まった。
９．中曽根氏はパフォーマンスに長けたリーダーだった。行きつけのホテルのジムや環七沿いのテニスコートに新聞証者を引き連れてよく現れた。それが身体能力の高さにも直結していたが、首相を辞めた途端にどちらにもパタリと来なくなった。首脳会談で来日したレーガン大統領夫妻を別荘に招き、囲炉裏の前で亭王としてお茶をたててふるまっ
たのも、中曽根氏らしい演出だった。華々しい外交の一方で、内政最大の功綾はやはり行財政改革である。
１０．レーガン大統領やイギリスのサッチャー首相（当時〕にならって、規制撤廃と3公
社、つまり日本国有鉄道〔現JR各社〕、日本電信電話公社（現NTT各社〕、日本専売公社〔現JT〕の民営化を断行した。当時の公社、特に国鉄は組合の巣窟で民営化に激しく抵抗していたし、電電公社も民営化決定後に組合の残党が長々と日比谷本社前で闘争を続けていた。中曽根氏は、「ミスター合理化」の異名を持つ財界の重鎮・土光敏夫氏を臨時行政改革推進審議会{行革審〕のトップに据え、土光氏から国鉄再建管理委員会の委員長を託された亀井正天氏（住友電工元会長〕らとともに、文字どおり命がけで民営化を成し遂げた。
１１．亀井氏の元には脅迫や嫌がらせが殺到して、自宅に半年以上も帰れない状況が続いた。時代とともに果たすべき公共性を失い、債務を膨らませて国の重荷になり下がったとはいえ、国鉄や専売公社は地域雁用の大きな受け皿でもあった。これを民営化するエネルギーは並大抵ではない。しかし中曽根氏は3公社の民営化を見事に完遂して、これが後の
小泉純一郎政権の郵政民営化などにもつながった。中曽根内閣が掲げた「戦後政治の総決算」というスローガンに違わない仕事ぶりだった。
１２．角栄氏がロッキード事件の第一審で有罪判決を受けたことで政治倫理が大きな争点となり、1983年の総選挙で自民党は単独過半数を割る敗北を喫した。中曽根氏は86年の総選挙で巻き返しを期したが、メディアの事前の票読みでは形勢不利が伝えられ惨敗の可
能性すらあった。大前氏が提案したアイデアは「衆参ダブル選挙」だった。当時は投票率が下がり続けていて、組織票を持つ政覚が有利な状況だった。投票に行かない有権者を分析すると、圧倒的に自民党支持が多い。「日本は変わらない」「自民党政権は永遠に続く」と思うから投票に行かないのであって、隠れキリシタンならぬ隠れ自民党支持者となっていた。彼らを投票所に駆り出せば自民党は圧勝できる。物理的に投票率を上げる秘策が衆参同日のダブル選挙だった。本当は統一地方選も含めたトリプル選挙を中曽根氏に進言したが、「それは勘弁してくれ」とのことだった。
１３．選挙参謀として自民党の区割りや候補者調整にも知恵を貸した。要するに選挙区ごとに綿密なマーケティング分析をした。中選挙区で複数擁立している自民党の一方の候補者が票を取りすぎると、2位に野党が入り「死に票」が発生する。自民党の得票が最大の議席数につながるように区割り調整を提案した。
１４．結果、86年の衆院選挙は自民党が304議席を獲得して圧勝、単独過半数を回復した。中曽根政権後は、海部俊樹内閣のときに中曽根氏が目指した日米イコールパートナーを辱めるような外交が行われていた。海部首相のことを雑誌で批判した。これを読んだ中曽根氏は相当喜んだ。安倍箭政権でも対米隷属で、中曽根氏以前の日米関係に戻ってしまった。
2020年11月26日
Goo見直し
11月10日の新型コロナウイルス感染症対策分科会緊急提言
感染リスクが高まる5つの場面
大人数、例えば5人以上の飲食
Go To Eat キャンペーン事業
ポイントの付与・利用
キャンペーン終了まで
Go To Eatポイントは2021年3月31日までのご利用が可能
お一人様 500ポイント
15:00以降の来店予約
お一人様 1,000ポイント
1ポイント＝1円
一時休止。
yuji5327 at 06:46
シンガポールは日本との関係は良好である。日本が最初にFTA〔自由貿易協定)を結んだのもシンガポールである。輪出する農産物がないので、日本の農家が反対しなかった。
「池上彰と増田ユリヤ著：明るい北朝鮮 シンガポール PRESIDENT 2020.12.4」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
１． 今年も12月8日が近づいてきた。1941年の太平洋戦争開戦に当たって日本は、シンガポール攻略を目指してマレー半島のイギリス軍にも攻撃を仕掛けた。翌42年2月に占領すると、昭南島という名前に変えた。昭和に獲得した南の島という意昧である。大東亜を解放する戦争という大義を掲げながら、自分の島にしちゃった。中国系の住民を虐殺する事件も起こした。
２．犠牲になったすべての住民を慰霊するための「日本占領時期死難人民記念碑」が67年に逮てられて、メモリアルパークになっている。ヒンズー教の寺院で、リトルインディアの真ん中にあるリ・ヴィーラマカリアマン寺院の側にあり、シンガポール最古のヒンズー教寺院で、カーリーという女神が祀られている。
３．日本軍の空襲があったとき、たくさんの人がここへ避難して、加護を祈った。インド人街から歩いていくとキリスト教会があって、反対側のエリアはイスラム教の人たちの住む地域になっていて、モスクやイスラム系の学校がある。
４．もともとイスラム系のマレー人が住んでいたところへ、中国の華僑が移り住んできてチャイナクウンができた。そのあとイギリスが植民地化して、インド人を連れてきた。イギリスは、どこへでもインド人を連れていく。それで、現在のような多民族国家になった。
５．中華系74%、マレー系14%、インド系9%という構成で、公用語は英語、中国語、.マレー語、タミール語で、民族ごとに、居住区も分かれている。住む地域を分けると、日常のトラブルが起きない。それでいいのかという問題はある。以前に取材に行った、北アイルランドの首都ベルファストみたいである。プロテスクントの住民とカトリックの住民を「平和の壁」で分けたら、平和になったという皮肉な話である。
６．戦後のシンガポールはイギリスの植民地に戻るが、59年に自冶州となり、63年にマレーシア連邦がイギリスから独立する際に、一つの州として参加した。シンガポール共和国として独立したのは65年。マレーシア連邦がマレー人優遇政策を取ったことが原因で、中華系住民が民族暴動を起こしたため、国から追放された。面積は東京23区とほぼ岡じで、人口は約560万人。人口密度はモナコに次いで世界2位の都市国家である。とても豊かで、世界の金融センターでもある。難点は水源がないことで、マレーシアから水を買っている。関係が悪くなって水を断たれると困るから、貯水池をたくさん造って雨水を貯めたり、下水を再生したり、海水の淡水化にも努めている。旭化成や東レなどの日本企業が、海水の淡水化に協力している。
７．日本との関係は良好である。日本が最初にFTA〔自由貿易協定)を結んだのもシンガポールである。輪出する農産物がないので、日本の農家が反対しなかった。現在もイギリス連邦の一国である。シンガポールの衛生状態がいいことは知られている厳しい国として有名である。だから二重の意味を込めて、「ファイン・カントリー」と呼ばれている。「fine」は形容詞だと「素晴らしい」という意味だが、名詞は「罰金」だから。唾を吐いても、ゴミをポイ捨てしても罰金である。ガムは販売が禁止され、いまでは国内への持ち込みさえ禁止である。違反するともちろん罰金だが、金額が1万シンガポールドル以下。日本円に換算すると、最大で80万円近い大金である。禁錮刑を科されることもある。
８．自治権を獲得してから、リー・クアンユーが31年間も首相を務め、退任後も影響力を維持した。04年からは長男のリー・シェンロンが首相となって、5期目である。強権的ではないし、民主的にリーダーを選ぶ形だが、建国以来の与党「人民行動党」しか勝てない選挙制度なので、「明るい北朝鮮」とも呼ばれている。リー・クアンユーは、優れたリーダーだった。
９．息子は評判がよくなかったが、6月に行った新型コロナウイルスに関するテレビ演説は好評だった。「人類が直面する最大の危機だが、シンガポールは明るい未来を獲得でき
る」と国民に結束を呼び掛けた。その直後、解散総選挙に踏み切り、定数93のうち、人民行動党は改選前と同じ83議席を確保したが、得票率は下がった。首相の弟リー・シェンヤン氏が野党支持に同り、事実上の党独裁は揺らぎ始めたのかもしれない。
