2006年06月28日
コロンブスの再来:特許戦略
インドの女性物理学者で環境科学者、平和運動家でもあるバンダナ・シバ氏の著書「バイオパイラシー:バイオにおける海賊行為、松本丈二氏訳、緑風出版、2002年」は、欧米先進国に対して挑戦的な姿勢を崩さない内容は新鮮で面白い。イントロの冒頭から、コロンブスのアメリカ新大陸発見を「ローマ法王が神の代理として、まるで自分の手でもあやつるかのように世界を統率した。キリスト教徒に支持されたローマ法王は、世界を自分の意思に従って操るべき所有物であると考えた」という歴史研究者の言葉を引用している。植民地における略奪行為を「神聖な行為」にすりかえてしまい、植民化された人々や国々はローマ法王の直接の所有物として君主たちに寄贈したかたちにした。コロンブスの新大陸発見の1492年にアメリカ大陸に住んでいた原住民は7200万人いたが、数世紀後には400万人まで激減している。
これと、同じ植民地化現象が現代も進んでいる。それはバイオテクノロジー分野の特許戦略である。原住民たちが、世界の農民たちが数千年の歴史のなかで、地上の生物と人類の調和を保ちながら人間の食糧としてより優れた品種改良を行ってきたが、バイオ関連大企業の白衣を着た研究員の創造性の成果という名目で特許権を取得してしまい、特許文書の数行に該当する世界中の農民たちの生産活動が特許侵害ということで訴えられ、特許使用料を支払うことになる。そもそも遺伝子とかDNAとかについて、科学者がどこまで理解しているか疑問である。生物の誕生以来の永い年月を経てきた複雑なDNAの配列を、科学者が理解できない部分を「がらくた」DNAとして片付けてしまうのは科学者の奢りである。
バイオパイラシー―グローバル化による生命と文化の略奪
これと、同じ植民地化現象が現代も進んでいる。それはバイオテクノロジー分野の特許戦略である。原住民たちが、世界の農民たちが数千年の歴史のなかで、地上の生物と人類の調和を保ちながら人間の食糧としてより優れた品種改良を行ってきたが、バイオ関連大企業の白衣を着た研究員の創造性の成果という名目で特許権を取得してしまい、特許文書の数行に該当する世界中の農民たちの生産活動が特許侵害ということで訴えられ、特許使用料を支払うことになる。そもそも遺伝子とかDNAとかについて、科学者がどこまで理解しているか疑問である。生物の誕生以来の永い年月を経てきた複雑なDNAの配列を、科学者が理解できない部分を「がらくた」DNAとして片付けてしまうのは科学者の奢りである。
バイオパイラシー―グローバル化による生命と文化の略奪