2007年10月26日
中国の農村社会に見られる変化に注目しよう
「白石和良著:農業・農村から見る現代中国事情、家の光協会、2005年」の著者は農林省に入り、中国駐在の経験もあり、中国農業の実態に詳しい中国研究家である。
Q&A形式で35項目について解説されている。新聞やテレビなどでは得られない、現代の中国の、自分にとっては意外に思えることが沢山あることに驚いた。たとえば、
1.中国の農地は国有であるというのは誤りで、国有農場はあるが僅かである。そこで農業を行っているひとは公務員で農民ではない。私有の農地もなく農家が構成員となっている集団が農地の所有権をもっている。「集団合作経済組織」が所有主体で「村民委員会」で運営され「生産合作社」などさまざまな名前が付けられている。
2.中国は経済成長が著しく、なかでも自動車産業の発展は目を見張るものがあり、その結果、天然ゴムの需要が急増しており、国営農場が生産をリードしている。
3.「郷鎮企業」という言葉をよく聞くが定義が曖昧である。改革解放政策の進展に伴い、国有企業だけでは対応できない経済分野の空白部分に参入している企業と言える。
4.中国の戸籍制度は、都市戸籍と農民戸籍の厳然とした区分があり、後者の戸籍のひとが農民である。都市に住んでいても都市戸籍に変えることは非常に難しく、「階層的二元構造」を生じている。移動の自由も制限されている。本来、上下関係がないはずの「二元構造」が、都市が上位、農村が下位という「階層的構造」になってしまっている。都市戸籍を販売する制度も生まれている。
5.農村の中での共産党の位置づけは変化しつつある。共産党の国家権力は地方の行政組織の末端にも浸透しており、共産党の村党支部の共産党員が村民全体を代表している村民委員会より上位にあったが、その対立も生まれて始めている。農村の民主化が試される現象である。
などなど中国社会は非常に複雑で、今後どのように変化していくか注目する必要がある。
「農業・農村から見る現代中国事情
Q&A形式で35項目について解説されている。新聞やテレビなどでは得られない、現代の中国の、自分にとっては意外に思えることが沢山あることに驚いた。たとえば、
1.中国の農地は国有であるというのは誤りで、国有農場はあるが僅かである。そこで農業を行っているひとは公務員で農民ではない。私有の農地もなく農家が構成員となっている集団が農地の所有権をもっている。「集団合作経済組織」が所有主体で「村民委員会」で運営され「生産合作社」などさまざまな名前が付けられている。
2.中国は経済成長が著しく、なかでも自動車産業の発展は目を見張るものがあり、その結果、天然ゴムの需要が急増しており、国営農場が生産をリードしている。
3.「郷鎮企業」という言葉をよく聞くが定義が曖昧である。改革解放政策の進展に伴い、国有企業だけでは対応できない経済分野の空白部分に参入している企業と言える。
4.中国の戸籍制度は、都市戸籍と農民戸籍の厳然とした区分があり、後者の戸籍のひとが農民である。都市に住んでいても都市戸籍に変えることは非常に難しく、「階層的二元構造」を生じている。移動の自由も制限されている。本来、上下関係がないはずの「二元構造」が、都市が上位、農村が下位という「階層的構造」になってしまっている。都市戸籍を販売する制度も生まれている。
5.農村の中での共産党の位置づけは変化しつつある。共産党の国家権力は地方の行政組織の末端にも浸透しており、共産党の村党支部の共産党員が村民全体を代表している村民委員会より上位にあったが、その対立も生まれて始めている。農村の民主化が試される現象である。
などなど中国社会は非常に複雑で、今後どのように変化していくか注目する必要がある。
「農業・農村から見る現代中国事情