2008年02月28日

米国社会での野口英世の評価 3

「福岡伸一著:生物と無生物のあいだ、講談社現代新書、2007年」は新書大賞、サントリー学芸賞のダブル受賞、50万部突破の帯のついた新書で、今、ビジネス街の書店の店頭に10冊以上積み上げられている本である。自分は「生物と無生物のあいだ」という標題に引かれて購入したが、単なる科学技術の啓蒙書でなくて、ニューヨーク、ボストンなどアメリカの大学でポストを得て実績を上げる苦労話など盛り込まれていて、読み始めて止まらなくなるのは帯に書かれているとおりである。たとえば、ロックフェラー大学の野口英世像と大学の出版物に書かれてる彼の評価が全く、これまで多くの日本人が持っていた印象と異なるという話は残念だが、医学や科学技術の世界と芸術家やアーティストの世界とは違う残酷な面がある。野口英世の評価には以下のように書かれているところを纏めると以下のようになる。
「20世紀初頭の23年間をここで過ごした野口英世は、今日、キャンパスでその名を記憶するものはいない。彼の黄熱病などの業績は当時こそ賞賛を受けたが、多くの結果は矛盾と混乱に満ちたものである。間違いが判明したものも沢山ある。彼はむしろ酒飲みのプレイボーイで評判だった。ロックフェラーの歴史には、脚注に小さく書かれているだけである。」
著者も、かって静かな聖域として利用していたあの図書館が、日本人の観光客の喧騒で損なわれていることを悲しんだ。ロックフェラー医学研究所の創設に貢献したサイモン・フレクスナーは米国の近代基礎医学の父とも言われる人物で、日本を訪れたときに野口に社交辞令で彼をはげましたら、帰国後、突然、野口が押しかけてきて、帰る場所もないので実験助手の仕事を与え、フレクスナーの庇護の下で多くの論文を書いて、1928年にアフリカで黄熱病で死ぬと、研究所をあげて喪に服した。彼の胸像も完成し図書館に飾れた。著者の彼についての分析は、「自分を冷遇した日本の学界を見返してやりたいと過大な気負いで、論文を乱造する典型的な日本人である」としている。現実、死後50年経って、彼の業績で今日意味のあるものはほとんどない。当時誰にも気づかれなかったのはひとえにサイモン・フレクスナーという大御所のおかげである、というのが一般的な見方である。」
生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)


yuji5327 at 06:42 
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
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・読売新聞社賞受賞
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