2008年02月29日
身体の構成分子は三日前のものとは異なる?
「福岡伸一著:生物と無生物のあいだ、講談社現代新書、2007年」を昨日、紹介したが、新書大賞、サントリー学芸賞のダブル受賞、50万部突破の帯のついている理由が中身を読むとなるほどと思う記述が随所にある。
「第9章 動的平衡とは何か」の、生物の形態についての自然との物理的な係りや、生物としての分子やタンパク質側からの意志としてのかたちの形成について、興味深く書かれている。自分が面白いと感じた記述を拾い出して見ると以下のようになる。
1.生命のマクロな現象をミクロな解像力をもって証明したのは 、ルドルフ・シェーンハイマーという人物である。1930年代後半のことである。新しい生命観に遭遇してから70年しか経ていない。しかも、われわれは、まだ、それを咀嚼して十分理解しているとも思えない。忘れかけてさえいる。
2.シェーンハイマーは同位元素(重窒素)を使って海辺のサンゴにの砂に標識をつけるように、タンパク質レベルで追跡している。タンパク質はひとたび食べてしまうと、そのアミノ酸は体内のアミノ酸にまぎれて行方を追うことができなくなる。重窒素をアミノ酸の窒素原子として挿入すればそれが可能になる。
3.ネズミにロイシンという重窒素で標識したアミノ酸を含む餌を、それを追跡した。排泄物も含めて追跡窒素えの収支を算出した。
4.使ったネズミは成熟した大人のネズミである。理由は、体重はほとんど変化しないので、体内に蓄積されるよりも生命活動としての分子の流れを調べやすい。
5.追跡した結果は予想外だった。重窒素はタンパク質に取り込まれ、排泄する量は予想外に少なかった。筋肉んど消耗しやすい部分への取り込みも低かった。腸、腎臓、肝臓、血清に多く取り込まれた。
6.このことは、身体のタンパク質の構成分子は、3日間ぐらいでがらりと置き換えられていることを意味する。このダイナミックな分子の流れは生命活動というには、あまりに物理的である。シェーンハイマーはこれらの実験結果を「身体構成部分の動的な状態」と呼んだ。
7.彼の結びの言葉「生物が生きている限り、栄養学的な要求とは無関係に、生体高分子も低分子代謝物質とともに変化して止まない。生命「とは代謝の持続的変化であり、この変化こそが生命の真の姿である。」
日ごろの食事は、大人でもエネルギー補給だけではなく、体内の構成分子の多くを入れ替えているとは驚きである。
生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)
「第9章 動的平衡とは何か」の、生物の形態についての自然との物理的な係りや、生物としての分子やタンパク質側からの意志としてのかたちの形成について、興味深く書かれている。自分が面白いと感じた記述を拾い出して見ると以下のようになる。
1.生命のマクロな現象をミクロな解像力をもって証明したのは 、ルドルフ・シェーンハイマーという人物である。1930年代後半のことである。新しい生命観に遭遇してから70年しか経ていない。しかも、われわれは、まだ、それを咀嚼して十分理解しているとも思えない。忘れかけてさえいる。
2.シェーンハイマーは同位元素(重窒素)を使って海辺のサンゴにの砂に標識をつけるように、タンパク質レベルで追跡している。タンパク質はひとたび食べてしまうと、そのアミノ酸は体内のアミノ酸にまぎれて行方を追うことができなくなる。重窒素をアミノ酸の窒素原子として挿入すればそれが可能になる。
3.ネズミにロイシンという重窒素で標識したアミノ酸を含む餌を、それを追跡した。排泄物も含めて追跡窒素えの収支を算出した。
4.使ったネズミは成熟した大人のネズミである。理由は、体重はほとんど変化しないので、体内に蓄積されるよりも生命活動としての分子の流れを調べやすい。
5.追跡した結果は予想外だった。重窒素はタンパク質に取り込まれ、排泄する量は予想外に少なかった。筋肉んど消耗しやすい部分への取り込みも低かった。腸、腎臓、肝臓、血清に多く取り込まれた。
6.このことは、身体のタンパク質の構成分子は、3日間ぐらいでがらりと置き換えられていることを意味する。このダイナミックな分子の流れは生命活動というには、あまりに物理的である。シェーンハイマーはこれらの実験結果を「身体構成部分の動的な状態」と呼んだ。
7.彼の結びの言葉「生物が生きている限り、栄養学的な要求とは無関係に、生体高分子も低分子代謝物質とともに変化して止まない。生命「とは代謝の持続的変化であり、この変化こそが生命の真の姿である。」
日ごろの食事は、大人でもエネルギー補給だけではなく、体内の構成分子の多くを入れ替えているとは驚きである。
生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)