2008年08月30日

一流の規制緩和とは? 3

2008/08/29付けの大前研一さんのニュースの視点では、” 透明性が課題の中国流「独禁法」:中国国有企業・日本企業への影響は!?”と題した論文である。大新聞を見ても注意して見ないと見過ごしてしまうニュースである。さすがに世界の経済コンサルタントは違う。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.今年8月1日、中国政府は独占禁止法を施行した。カルテルや市場シェアが高い企業の「支配的地位」の乱用を禁止し、海外企業を含めた企業の合併・買収を規制するというものである。細則などが未定のままである。今後、当局が個別の事例で示す判断にどれだけ透明性があるかが焦点となる。
2.中国で独禁法が施行されると聞いた大前氏の感想は、「怖いことになった」ということである。中国で独禁法が適用されることにより、日本企業が大きなダメージを受ける可能性が高いとの判断である。そもそも中国では、国策として国有企業による独占を許可してきた国である。
3.例えば、ルーターはファーウェイ・テクノロジーズ、移動通信はチャイナ・モバイル、自動車なら第一汽車、上海汽車、東風汽車といった企業が国策を背景に圧倒的なシェアを獲得している。こうした歴史的背景に鑑みると、果たして本当に中国が独禁法を適用する気持ちがあるのかと疑問を感じる。
4.今回の独禁法の適用対象は「1社で50%、2社で66%、3社で75%以上の市場シェア占める企業」となっており、国有企業も含めて対象とすると発表している。しかし実際のところ、このままの条件では電話会社などは即刻独禁法に抵触してしまう。
5.先進国並みの経済法を整えるため」に今回の独禁法の適用に踏み切ったと中国は発表しているが、その目的は大きく二つあると推察される。一つは、WTOにアンチダンピングの手続きで不利に扱われる非市場経済国の撤廃を承認してもらうことである。ここ数年来中国が要求していることである。もう一つが外資企業による買収・シェア獲得の防止である。中国の真意がこの二つ目だ考えられる。
6.独禁法の場合、市場をどこで区切るかによって、「独占」であるかどうかの判断基準が変る。例えば、電子部品という比較的大きな市場でシェアをみると問題がないが、日本企業が世界的に大きなシェアを獲得している「シリコンウエハ」をひとつの市場と見なすと多くの日本企業が独禁法に抵触するという事態になってしまう。高度な技術力が求められる精密部品などで、日本企業だけが開発・製造している事例が多い。7.今回の独禁法の執行体制として「細則は未定、個別に判断」となっている点を、むしろ警戒するべきである。中国による外資バッシングを助長することになる。外資の企業に対して独禁法を盾に中国が恣意的な行動に出る可能性は高い。
8.日本企業としては、常に中国政府の動向に注視し、万一の時には、中国企業の独占市場の事例を提示し、すぐに応戦できるような準備を整えておく必要がある。
9.日本と中国が見習うべきは、英国の一流の規制緩和である。中国の例とは逆に、これぞ「一流の規制緩和」と賞賛される。その概要は、8月20日、英国で市場独占問題を担当する競争政策委員会はロンドン・ヒースロー空港など主要7空港を保有・運営する空港管理会社BAAに対し、3空港を外部に売却するよう要請する中間報告書をまとた。空港運営が独占状態にあるため、十分な競争が働かず、利用客や航空会社の利便性が損なわれていると判断したものである。これは、ガトウィック空港とヒースロー空港は競い合いなさい、シティ空港とヒースロー空港は競い合いなさい、という強烈かつ具体的なメッセージである。
10.いまだに国土交通省は、羽田空港のターミナルビル管理会社に外国資本が入ることを嫌っている。英国のような真の規制緩和が実現し競争原理が働くと、今後、着陸料金もますます低価格になっていくと予想される。例えば、アイルランドのライアンエアーという航空会社は着陸料金が安い空港だけを選んで経路を設定している。ロンドン・パリ間の航空運賃を約5000円程度にすることに成功してい
11.1985年に設立されたヨーロッパ最大の格安航空会社のライアンエアーも、これを追い風にさらに安価なサービスを考え出してくると予想される。これがサッチャー流のいわゆる「一流の規制緩和」である。
中国にしても日本にしても、本当の意味での規制緩和、競争原理とは何か?ということを問い直す必要がある。

yuji5327 at 06:50トラックバック(0) 
共通テーマ 

トラックバックURL

池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

書道教室(自宅)
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日



livedoor プロフィール

yuji5327

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード