2009年06月30日

欧米に比べて日本の地デジ化が遅れている理由 3

2009-6-1付けの日経産業新聞onlineに「関口和一産業部編集委員:米国で完全地デジ化がうまくいった訳」の記事が配信されている。日本の問題点なども含めて分かり易く解説されている。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日本の地上放送やBS放送の完全デジタル化まであと2年1カ月となった。米国でも今年6月12日に地上アナログ放送の送信が完全になくなった。今のところ混乱はなく順調である。
2.米国ではアナログ放送の終了段階で約200万世帯がまだデジタル放送の受信機を持っていなかった。テレビがいきなり映らなくなるわけで、もし日本で同じことをすれば大きな社会問題になる。米政府は希望する世帯全部に、デジタル放送を視聴するためのテレビの受信コンバーター(変換器)を購入できるクーポン券を配布した。その後は視聴者の個人の責任として見切り発車した。日本のようなクレーム社会(国情)ではそうした乱暴なやり方は通らないと思われる。
3.米国より5年遅れて2003年12月に地上放送のデジタル化を始めた日本は、2011年7月24日に移行を終了する。総務省やNHKなどの告知活動により、日本でもようやくアナログ放送が終了することが認知され始めている。それでも自分のテレビがいきなり使えなくなることに対しては不満の声は出る。特に高齢者世帯や生活保護世帯ではテレビを買い替える余裕がないという不満が予想される。
4.総務省の調査では、地上デジタル放送を受信できるテレビやチューナーを購入した世帯は60%を超えている。ただし、1台でもデジタル受信機を購入すれば、この数字に数えられるため、テレビ全体の普及台数をベースに考えると、デジタル受信機の普及率は3割を超えた程度と考えられる。
5.地デジ対応テレビを普及させるための苦肉の策が、補正予算による「エコポイント」の制度だ。薄型テレビのみポイントを2倍にしており、2000億円を薄型テレビの購入に振り向け、エコポイントによる薄型テレビの購入目標は約1500万台で、これを合算すれば、制度が終了する来年3月末には地デジの世帯普及率を8割以上になると計算している。
6.米国では70%の世帯はケーブルテレビ局経由であり、これに衛星放送の受信世帯を加えると87%に達する。ケーブル局や衛星放送局も当然、デジタル化を進めており、これらの世帯はあえてテレビを買い替えなくてもデジタル放送を受信できた。問題は地上波で受信していた13%の世帯で、政府は所得や家族構成に関係なく、希望する世帯にはコンバーターを購入できる40ドル相当のクーポン券を2枚まで配った。発行総数は5300万枚に上り、うち約半分がこれまでに使われた。
7.日本でもケーブル局経由でテレビを視聴している世帯は4割を超えるが、高齢者の多い農村部などではアンテナによる地上波の受信が大勢を占める。総務省は最後に残る生活保護世帯などには地デジを受信できる専用チューナーを配る計画で、アナログ放送の停波に向け、受信できない世帯を極力最小限に減らす、としている。
8.そもそも放送をなぜデジタル化しなければならないのか、という疑問がある。地デジにすれば、ハイビジョン映像や多チャンネル放送が楽しめると宣伝するが、自分はそうした高付加価値サービスは望んでいない、という視聴者もいる。
9.放送のデジタル化の本当の狙いは周波数の有効活用にある。テレビ放送にはVHF波、UHF波合わせ、370メガヘルツもの帯域を充てている。アナログ放送は混信を避けるため、偶数チャンネルだけを使うなど、半分を無駄にしている。デジタル化すれば無駄を取り、全体の帯域を6割強の240メガヘルツに縮小できる。
10.テレビで使っている周波数の高いほうは携帯電話の周波数帯とも重なっている。携帯電話利用者の急激な増大により、テレビの電波を携帯電話などの新しい通信サービスに振り向ければ、公共の電波を有効に活用できる。映像がきれいになるだけなら、わざわざデジタル化する必要はないが、国民財産の有効活用を進めるのが放送のデジタル化の真の狙いというわけである。
11.日本では地上放送のデジタル化で130メガヘルツの帯域が空きができる。これを携帯電話事業者や新しいマルチメディア放送、ITS(高度道路交通システム)などに割り振る計画がある。
12.米国でも空いた周波数をベライゾン・ワイヤレスやAT&Tワイヤレスなど携帯電話事業者に割り当てた。電波をオークションにかけ、700メガヘルツ帯の割り当てでは実に200億ドル(約2兆円)近い収入を上げた。デジタル放送のコンバーターのクーポン券代などに約20億ドル(約2000億円)の予算を充てたが、そのお金もここから捻出した。電波を有効活用し、国民に還元したともいえる。
13.日本では「電波は公共のもの」としてオークションにはなじまないというのが総務省の見解である。周波数の割り当ても事業者の計画を審査し、内容によって免許を与える審査方式を採用するという相変わらずの許認可行政である。日本はこの分野でも遅れている。米国より前に、欧州ではオランダ、フィンランド、スウェーデン、スイス、ドイツがデジタル化を終えている。
(日本は行政が許認可権にこだわり、新技術の導入を遅らせることによる、いわゆる官製不況が多く見られるが、これもその一例と思われる)


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
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 春興賞の受賞:2回
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