2009年07月22日

経済政策に関しては政府があまり口を出さないのが最良の政策 3

「佐藤雅彦、竹中平蔵著:経済ってそういうことだったのか会議、日本経済新聞社、2009年第29刷」は佐藤、竹中両氏が対談形式で佐藤氏の基本的な問題の質問に対して竹中氏が解説するというかたちで書かれた本で分かりやすい。昨日は「株」についての考え方について紹介した。国(霞ヶ関)の経済政策についての部分も思い当たることが多い。実際に国政に関与した経験を基に述べているので説得力もある。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.日本の失業率の低さは単なる統計の取り方のトリックによるものであり、アメリカの方が低い。理由は、日本はハローワークに行って職を探している人を数えているだけである。「とらばーゆ」などの就職情報誌で職探しをしている人、大企業の「窓際族」と言われる企業内失業者、子育てが終わった女子社員がもと勤めていた会社に再就職を希望していても適わぬ人、などを失業者として数えていない。
2.失業問題を解決するために日本政府がやってきたことは公共事業への予算増額で「有効需要」を増やすという発想によるもので、政治家も官僚もそれ以上おアイデアがなかった。この需要は本物の需要ではなく、失業を無くすために国家予算で需要をつくり始めたら財政は赤字になる一方になることは自明のことである。これを財界も労働組合も知らぬふりをして見過ごしてきた。
3.団塊の世代の中堅の管理職が失業して仕事が見つからないと社会は騒いでいるが、理由は簡単で、役に立たないからである。今まで一つの会社で一生懸命働いてきたけれど気が付いてみたら情報通信革命に対応できず、E-メールも打てず、ホームページも作れず、俺は部長だから女の子に指示してきたという。(こういう部長に限って「女の子」という言い方を好む)。通信ネットワークを自由に使いこなし、英語が堪能であれば仕事はいくらでもある。
4.政府の規制がなくて自助努力でやってきた業種が頑張ってきた。自動車産業も、政府(旧通産省)は以前、日本の自動車会社9社を3社に絞ろうと指導した。官僚の言い分は「アメリカだって3社しかないだろう。日本の9社が生き残れるはずがない。小さい車ばかり作っていないでもっと付加価値を付けろ」だった。(偏差値頭の机上の空論の発想である)
5.日本の官僚は、例えばガット・ウルグアイラウンドの世界貿易のシステムをどうするかという具体的提案を出したことはない。アメリカは100以上、ヨーロッパでも50以上は出したが、日本はゼロである。アメリカの提案は実際は学者が原案を出している。国際的に日本を理解してもらう仕組みというのは今の政治家と官僚と、若干の政治学者だけでは絶対つくれない。かなり専門知識が必要になる。
6.先ず、政府ができることなど、たかが知れていると自覚することが基本である。政府の力で何か出来ると思わないほうが良い。シンプルなルールをきちんと作って、その中で私たち個人が思い思いに自由に生きるというのが一番良い社会である。(最近の市場原理主義への安易な批判は根拠がない。無用な**機構とかいう天下り組織を作り、市場をコントロールするのは官僚の無駄遣いを増やすだけである)
7.財界も、石坂泰三さん、土光敏夫さんの時代に戻り、政府から距離を置くという原則を守るべきである。1980年代になり財界が政策提言という名目で、結局、国に対して税制も含めて財政的な援助を求めるになって民間の活力は衰え始めている。政府はできるだけ余計なことをしてくれるなと、という精神を思い起こす必要がある。


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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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