2009年07月30日

革新的な政策の実現を妨げている官僚と族議員の癒着 3

「竹中平蔵著:闘う経済学−未来をつくる”公共政策論”入門、集英社、2008年」は大臣を実際に経験した経済学者だから書けるという内容が盛り沢山で、昨日も当ブログで紹介した。自民党内の党三役(幹事長、総務会長、政調会長)が重要と言われるわけを解説している。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.自民党のトップは総裁であるが、党の総裁は行政府の長(内閣総理大臣)でもあるので総裁室にいりことはほとんどない。幹事長が留守を預かるので幹事長が自民党のナンバー2と言われる。政府・与党一体ということから言えば、自民党幹事長が日本政治のナンバー2でもある。
2.政調会長と総務会長は、閣議に諮る前に与党の了承を得る役割を持っている、政務調査会にはいくつも部会があり、それぞれが各省庁に対応している。例えば経済産業省には経済産業部会がある。各部会の幹部がいわゆる族議員で占められていることが多い。自民党議員であればどの部会にも顔をだすことができるので、特定の利害関係を持った人がある部会に現れて圧力をかけるということも起こりうる。
3.行政府の官僚は部会の幹部と相談しながら政策を立案していくが、悪く言えばそこで官僚と族議員との癒着が起こる。多くの場合、部会長ないしは部会幹部は通常、関係する業界と深い関わりを持っている。したがって、今、力を持っている人(既得権者)の利益を守るという守旧派、あるいは抵抗勢力的な発想を持つので、既得権益に切り込むような改革は進まない。そういう状況を打開するには党の部会も敵に回すことになる。竹中氏も郵政民営化のときには政調会や総務会に何度も呼び出されてつるし上げられている。
4.政調会や総務会は報道関係者をシャットアウトされて行われるので、記者たちはドアに耳を当ててかすかに聞こえる断片的な言葉を組み合わせて、メディアで報道される。
5.郵政民営化の場合、部会の既得権益団体の族議員が郵政民営化に賛成するはずがないので、小泉総理は55年体制から数十年間、引き継がれたこのプロセスを無視して、党の了承なしで法案提出を行ったが、これは前代未聞のことであった。
(民主党政権になれば、このような族議員の抵抗のプロセスが完全になくなるともいえない。官僚とそのOBもいつの間にか既得権を得ており、その周辺にいる多くの族議員や一部のメディアも古き悪しき慣習を守る側になると思われる。とくに官僚は表面に出ないように世論を形成することが巧みである。いよいよ日本の民主主義が試される時期になってきたのかもしれない)


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yuji5327 at 06:28トラックバック(0) 
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
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