2009年07月31日

なぜ地方分権が必要なのか? 3

「竹中平蔵著:闘う経済学−未来をつくる”公共政策論”入門、集英社、2008年」の「第5章役人と闘う:地方財政改革」では、なぜ今「地方分権」なのか、がわかりやすく解説されている。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日本は明治以降、地方分権が進まなかった理由は、憲法25条にもあるように、全ての国民は健康的で文化的な最低限の生活を営む権利を有するということで、日本国内で同一のサービスが行われることを目指していた。明治時代には宅急便のようなシステムを民間企業で行うことができなかったので郵便あ国営であった。
2.社会の資本蓄積が進み、国が集中的に資源を管理して地方に配分するやり方のデメリットが目だってきた。地域の実情に合わせたきめ細かな行政サービスが求められてきた。
3.行政で重要なことは受益と負担の関係を明確にすることである。私たちは所得税や住民税、法人税を支払っているが6割は国に支払い4割を地方に支払っている。行政サービスの中身を見ると6割は地方が行っている。受益と負担を一致させることが基本にあるべきである。
4.国のお金を地方へ移転させるかたちで補助金と言うかたちで行政が行われてきた。それをコントロールする国の役人たちが大きな権限を持つようになったので国民の不満が高まった。
5.国税を直接地方税にするという考えが当然でてくるが、地方間でばらつきがあることも問題である。補助金の削減、税源の移譲、地方交付税(全ての国民に一定のサービスを維持するためのもの)を一体的行うことの「三位一体」の改革が求められてきた。
6.中央官庁のう役人は、こも改革を進めると自らの仕事がなくなるので反対している。義務教育に関する補助金も文科省の役人は反対する。これがなくなれば文科省の多くの仕事がなくなる。税源移譲も財務省が反対する。配分することが財務官僚の大きな権限の源であった。
7.地方交付税の見直しには地方は当然反対する。総論賛成、各論反対が地方分権の問題を難しくしている。地方自治でもお金の使い方がずさんな自治体が多く見られる。そのチェック機構も見直す必要がある。ずさんな自治体の赤字を他の自治体が穴埋めするというよう国の行政も問題である。
8.総合的に考えると、道州制の規模で行うことが有効と考えるが、今の都道府県の銀行、新聞、テレビ、大学などは当然自分たちの職を失うので反対する。結局、国と地方の役割分担を明確にして地方分権一括法の議論を先に行い、それに目処がついたら道州制という行政単位を議論するべきである。(今の国と地方の二重行政も大問題である。国の出先機関の若ぞうの官僚が黒塗りハイヤーで通勤しているような無駄を今すぐでも改める自浄作用も必要である)

(大前研一氏は20年前から道州制への移行を提言しているが、メディアも含めて大きく取り上げてこなかった。大前氏の考えは竹中氏よりもさらに深い。地方の役人も、企業人も独立国の意識をもって、地方独自の産業、文化を構築することこそ今後の日本国全体の発展に結びつくと主張している)

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yuji5327 at 07:49トラックバック(0) 
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
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