2009年11月22日
行政依存型産業ほ行政官僚の腐敗の原因になる
「稲葉清毅著:霞ヶ関の正体、国を滅ぼす行政の病理、晶文社、2005年」は、11月19日にも紹介したが、その病根について書き尽くせないほど沢山ある。今後も追加して、いくつか印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めてみる。今回は「行政依存型産業ほ行政官僚の腐敗の原因になる」という標題でまとめてみた。
1.霞ヶ関の当事者の多くはこの病の自覚症状がないのが問題でもある。それを麻痺させているのは、様々な施策手段による事業の実施、民間の活動に対する規制や助成の多くが、官製市場を作り出し、行政に依存し、寄生する産業(行政依存産業)が症状を麻痺させている。
2.市場原理の働かない薄暗い世界で形成された施策は、担当するクニ・ムラと行政依存産業、及びその票と懐を当てにする族議員の強力な後押しにより、必要以上の規模で生まれ、その役割を終えても打ち切られるどころか、増殖を続ける。
3.官僚たちは現代国家の根幹的な分野の福祉、医療、教育などは利益を目的としないから産業ではないとうそぶくが、実際には、社会福祉法人、医療法人、学校法人の行政依存型産業と監督官庁の癒着・共生構造が発達している。それらの産業の経営者たちの羽振りのよさや汚職事件で明白である。(今回のテレビで放映された事業仕分けで、科学未来館の毛利館長が述べていたが、文科省の科学未来館向けの予算は途中の天下り団体でピンはねされ文科省関連OBの高い給料としてに消えていく。毛利さんには人事権がないので、組織の内部でそれに関して指摘してももみ消されてしう。)
4.自由な競争を基本とする一般の産業活動も、国内産業の振興、消費者保護等の様々な名目(官僚は大義名分を考えることには長けている)で、護送船団的な官民協調体制が整えられ、お役所にいやいやながら頭を下げるが、その代わりに温室に入ったようなもので、外国や異業種からしかけられる激しい競争から逃れることもできる。政治家や消費者からの攻撃をかわす理屈を教えてくれるので、わずらわしくても頭をさげる。
5.国民の生命・安全・環境・財産の保護などという名目で行政依存産業が生じている。代表例が車検と運転免許である。道路交通の安全を錦の御旗に掲げているが、自動車整備業者、代書屋、講習事業など行政依存産業の利益に貢献している(海外ではこんなものはないし、国民はその不条理に気がつき、すぐに声をあげる)。一般国民に負担を強いていることになれている側にも責任があるかもしれない。類似の許認可は企業を対象にしたものを含めるといくらでもある。
5.資格制度にも似たような面がある。終身雇用が崩壊し、潜在的雇用不安が広がるにつれて、国民の間に資格や検定や自らの能力にお墨付きを欲しがる傾向がある。その中の典型的な手続き型行政依存産業がある。司法書士、行政書士、土地家屋調査士、社会保険労務士などである。
(公認会計士、弁理士もそれに近い。さすがに弁護士は必要な資格かもしれない。ちなみに技術士の資格など手続き型行政依存ではないので金儲けにならない)
霞ヶ関の正体―国を亡ぼす行政の病理
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1.霞ヶ関の当事者の多くはこの病の自覚症状がないのが問題でもある。それを麻痺させているのは、様々な施策手段による事業の実施、民間の活動に対する規制や助成の多くが、官製市場を作り出し、行政に依存し、寄生する産業(行政依存産業)が症状を麻痺させている。
2.市場原理の働かない薄暗い世界で形成された施策は、担当するクニ・ムラと行政依存産業、及びその票と懐を当てにする族議員の強力な後押しにより、必要以上の規模で生まれ、その役割を終えても打ち切られるどころか、増殖を続ける。
3.官僚たちは現代国家の根幹的な分野の福祉、医療、教育などは利益を目的としないから産業ではないとうそぶくが、実際には、社会福祉法人、医療法人、学校法人の行政依存型産業と監督官庁の癒着・共生構造が発達している。それらの産業の経営者たちの羽振りのよさや汚職事件で明白である。(今回のテレビで放映された事業仕分けで、科学未来館の毛利館長が述べていたが、文科省の科学未来館向けの予算は途中の天下り団体でピンはねされ文科省関連OBの高い給料としてに消えていく。毛利さんには人事権がないので、組織の内部でそれに関して指摘してももみ消されてしう。)
4.自由な競争を基本とする一般の産業活動も、国内産業の振興、消費者保護等の様々な名目(官僚は大義名分を考えることには長けている)で、護送船団的な官民協調体制が整えられ、お役所にいやいやながら頭を下げるが、その代わりに温室に入ったようなもので、外国や異業種からしかけられる激しい競争から逃れることもできる。政治家や消費者からの攻撃をかわす理屈を教えてくれるので、わずらわしくても頭をさげる。
5.国民の生命・安全・環境・財産の保護などという名目で行政依存産業が生じている。代表例が車検と運転免許である。道路交通の安全を錦の御旗に掲げているが、自動車整備業者、代書屋、講習事業など行政依存産業の利益に貢献している(海外ではこんなものはないし、国民はその不条理に気がつき、すぐに声をあげる)。一般国民に負担を強いていることになれている側にも責任があるかもしれない。類似の許認可は企業を対象にしたものを含めるといくらでもある。
5.資格制度にも似たような面がある。終身雇用が崩壊し、潜在的雇用不安が広がるにつれて、国民の間に資格や検定や自らの能力にお墨付きを欲しがる傾向がある。その中の典型的な手続き型行政依存産業がある。司法書士、行政書士、土地家屋調査士、社会保険労務士などである。
(公認会計士、弁理士もそれに近い。さすがに弁護士は必要な資格かもしれない。ちなみに技術士の資格など手続き型行政依存ではないので金儲けにならない)
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