2009年12月27日
世界不況の中でインド経済も影響を受けている
「近藤正規著:世界不況下におけるインド経済、ファイナンシャル・レビュー、財務省財務総合政策研究所、2009年9月」は、一般の大新聞やテレビで報道されていないことも多く参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.世界経済不況は、インド経済にも少なから影響をもたらした。過去3年間にわたり9%台の高度成長を続けてきたインドの経済成長率は、2008年には6.7%へと低下した。
2.産業別に見ると特に大きく影響を受けたのは、繊維や宝石加工などの労働集約型産業や消費者ローンに頼るところの多い自動車産業である。
3.こうした経済不況に対して、インド政府と中央銀行(RBI)は景気刺激策を打ち出し、財政赤字の深刻な中で、タイムリーな減税と金利引き下げは、一定の効果をあげた。輸出の落ち込みや金融機関の貸し渋りはまだ改善できていないが、今年に入ってインド経済は急速に回復している。
4.特に、農村における消費拡大がインド経済を支えている。5月に行われた総選挙で現職のマンモハン・シン政権の続投が決まったが、今後は、財政赤字の削減と貧困層の支援、インフラ整備のバランスの取り方が、新政権の課題である。
5.これまで、インド経済は世界経済不況の影響は受けにくいといわれてきたが、インド経済が世界不況の影響を大きく受けた理由は輸出の拡大や株式市場への海外からの資金流入などにより、世界経済との統合が急速に進んだためである。このため、GDPで見ても株式市場で見ても、「デカップリング」現象は見出しにくい。インド国内の農村にいる膨大な貧困層は国際社会とのつながりが少なく、彼らが緩衝地帯になり、今のインド経済を支えていることは注目に値する。
6.日本企業も、こうしたインド経済の特徴を踏まえて、これまでのような高所得者だけでなく、もう少し低所得者層に目を向けたビジネスを行っていく必要がある。その場合、買収先、あるいは取引先企業の企業統治や流動性確保に留意しておく必要がある。
7.政府間レベルの経済協力において、デリーとムンバイ間の貨物専用鉄道や日印EPAの締結など、重要な大型案件が進んでいる。これまで、インドで出遅れていた日本勢も今後の巻き返しが期待できる。
現代インドを知るための60章 エリア・スタディーズ
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1.世界経済不況は、インド経済にも少なから影響をもたらした。過去3年間にわたり9%台の高度成長を続けてきたインドの経済成長率は、2008年には6.7%へと低下した。
2.産業別に見ると特に大きく影響を受けたのは、繊維や宝石加工などの労働集約型産業や消費者ローンに頼るところの多い自動車産業である。
3.こうした経済不況に対して、インド政府と中央銀行(RBI)は景気刺激策を打ち出し、財政赤字の深刻な中で、タイムリーな減税と金利引き下げは、一定の効果をあげた。輸出の落ち込みや金融機関の貸し渋りはまだ改善できていないが、今年に入ってインド経済は急速に回復している。
4.特に、農村における消費拡大がインド経済を支えている。5月に行われた総選挙で現職のマンモハン・シン政権の続投が決まったが、今後は、財政赤字の削減と貧困層の支援、インフラ整備のバランスの取り方が、新政権の課題である。
5.これまで、インド経済は世界経済不況の影響は受けにくいといわれてきたが、インド経済が世界不況の影響を大きく受けた理由は輸出の拡大や株式市場への海外からの資金流入などにより、世界経済との統合が急速に進んだためである。このため、GDPで見ても株式市場で見ても、「デカップリング」現象は見出しにくい。インド国内の農村にいる膨大な貧困層は国際社会とのつながりが少なく、彼らが緩衝地帯になり、今のインド経済を支えていることは注目に値する。
6.日本企業も、こうしたインド経済の特徴を踏まえて、これまでのような高所得者だけでなく、もう少し低所得者層に目を向けたビジネスを行っていく必要がある。その場合、買収先、あるいは取引先企業の企業統治や流動性確保に留意しておく必要がある。
7.政府間レベルの経済協力において、デリーとムンバイ間の貨物専用鉄道や日印EPAの締結など、重要な大型案件が進んでいる。これまで、インドで出遅れていた日本勢も今後の巻き返しが期待できる。
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