2010年03月17日

自分の頭で考えることを妨げるような教育機関にならないことが重要 3

「ノーム・チョムスキー著、田中美佳子訳:現代世界で起こったこと、ノーム・チョムスキーとの対話1989-1999、日経BP社、2008年」は660頁の本であるが対話形式で書かれており読みやすい。何よりノーム・チョムスキー氏のものの見方が新鮮である。第7章:知識人と社会の変化」の中で「教育機関の働き」について述べているところも面白い。印象に残った部分の一部の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.幼稚園から大学院にいたるまで、教育カリキュラムが教育機関に与えられた制度上の役割とされ、それを逸脱することが許されないということが重要な間違いである。大学もメディアと似たような働きをしている。資金面で政府や外部の援助を受けているので、それらの機関と利害を共有している。MITへの資金援助が停止されたこともある。
2.アラン・ブルームの「アメリカン・マインドの終焉」のようなばかばかしい内容の本がよく売れている。スーパーでも目に付いたので立ち読みして、そのばかばかしさが分かった。教育は海兵隊のやり方を手本にすべきで、万人向けの「偉大な思想」を選び、それを無理やり勉強させるというのがその本で言わんとするところである。
3.教育に少しでも携わった人なら、こんな方法では学生は結局、学ぼうとせず、何も理解しないで終わるということを知っている。外から押し付けられる勉強などは最後には何も残らない。成績優秀者とランクされても1週間後には何も残っていない。
丸暗記で規律を教えて、自分の頭で考える方法を学ぶことを妨げることが、教育機関の役割だと思っている指導者が多い。
4.「偉大な思想」などというのはエリートの白人男性のものでしかない。読書というのはその本の中身のどこが正しく、どこが間違っているかを考えながら読むことが大切である。小さいときからその習慣を植えつけるべきである。重要なのは何を読むかではなくて、どのように読むかである。
5.現代の著名な哲学者の中にも、プラトンとアリストテレスの違いが分からないひとがいる。彼らが知っていることは昔、大学1年の授業で習ったことくらいである。沢山の古典がある中で、一生のうちで読むことができる本はごく一部である。読みさえすればよいというものではない。内容を自分自身の創造的なプロセスに組み込み身につけるものである。
6.本当の教育の目的は、人々に自分の頭で考えさせることである。自分でその分野を探求し、研究したいと思わせることが必要である。「良書」の内容を反復するだけの勉強は最低最悪である。
(そのような教育で優秀と言われて官僚になった人に国の政策を任せるのは最悪である。そのことが最近、国民も気がつき始めている)



現代世界で起こったこと ノーム・チョムスキーとの対話 1989-1999
現代世界で起こったこと ノーム・チョムスキーとの対話 1989-1999
クチコミを見る


yuji5327 at 10:19トラックバック(0) 
共通テーマ 

トラックバックURL

池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

書道教室(自宅)
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日



livedoor プロフィール

yuji5327

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード