2010年04月26日

グローバル経営の難しさと社員の覚悟について 3

4月23日付の大前研一さんの「ニュースの視点」は、「避けられないグローバル競争激化の波〜企業も個人も覚悟はできているか!」という標題の記事である。パナソニック、日本板硝子、日本航空、トヨタ自動車を事例に分かりやすく解説されており参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.パナソニックは4月15日、連結売上高に占める海外比率を現在の47%から2012年度に55%に引き上げる計画を明らかにした。まずはインドでエアコン工場を新設し、2012年度までに同国の売上高を現在の5倍に増やす方針である。パナソニックは新規採用でも、海外に力を入れていこうとする方向性を強く示している。2011年度に国内外で採用する1390人のうち、
海外の採用数が全体に占める比率は過去最高の約8割の1100人で過去最多です。
2.これまで、このような動きを見せる日本企業は少なかったが、いよいよ時代が変わってきた。パナソニックは海外の売上比率を6割程度まで伸ばす方針だが、パナソニックの商品を考えれば、海外8割くらいのバランスでも良い。例えば、インドネシアではテレビでさえも、まだ普及させる余地が大きい。これから先、エアコンでも冷蔵庫でも、便利な家電製品の需要は高まっていくことは間違いない。パナソニックのような商品は新興国で大人気である。
3.一方、これまでグローバル市場で成功してきたトヨタがつまづいている。米国でのトヨタ自動車の苦戦は収まる気配を見せていない。トヨタ自動車は19日、米消費者情報誌で横転事故の危険性を指摘された高級スポーツ用多目的車(SUV)「レクサスGX460のリコールを発表した。また、同日、トヨタは米運輸省に約15億円の制裁金を支払うことにも同意した。米国紙の口調は非常に強く、「Don’t Buy」という明確な表現が使われてる。CNNの映像ではトヨタ車がカーブでスライドしてしまう様子が流れていたが、あの映像を見る限り、トヨタ車の造りが技術的に陳腐であることが分かる。本来、カーブでタイヤがスリップしないようにバランスを取り直す機構 が機能するはずですが、半導体の制御が上手く行っていない。この辺の問題の解決手段が見えない。
4.パナソニックとは対照的に、日本板硝子のグローバル展開は不安である。日本板硝子は15日、米化学大手デュポン元上席副社長のクレイグ・ネイラー氏を6月29日付で社長兼最高経営責任者(CEO)に起用すると発表した。 国際経験が豊富な新社長のもとで、新興国の開拓などグローバル化を加速する考えらしい。
5.日本板硝子は、かつて英ピルキントンを買収した際、日本も含めグループの社長をピルキントンの社長に任せたものの退任されてしまい、再び藤本氏が社長職に戻った経緯がある。今度はデュポンの副社長であるクレイグ・ネイラー氏に白羽の矢を立てたわけだが、日本板硝子の経営姿勢に根本的に不安を感ずる。
6.2005年にピルキントンを買収してから、それまで約3000億円だった売上が約9000億円にまで増えた。しかし2008年のリーマン・ショック以降、大きく下がり続けている。世界的企業であったピルキントンを買収できたにも関わらず、今や買収によって得たアドバンテージは完全に失っている。
7.日本板硝子の競合となるのは、米コーニングや旭硝子である。藤本氏の経営手腕を見ていると、思いつきだけで決断・行動しているように見える。今回の人事で藤本氏は会長職になるが、競合他社は世界的に競争力が高いだけに、日本板硝子の不安定さが懸念される。
を抱かざるを得ま
8.会社更生手続き中の日本航空が3月から募集していた早期退職に対し応募が殺到している。 関連会社など合わせて2700人を予定していたところ、グループの1割弱に当たる4000人近くが退職を申し出た。一度に全員の退職を認めた場合、通常運航に支障をきたす可能性があるため、一部の職場では調整が必要になる。職場によっては6分の5の人員が早期退職に応募したが、「JAL年金削減計画に現役社員の3分の2超が減額に同意」というような、現在の日本航空が置かれた状況からすると致し方ない。
9.同じような問題は日本航空だけに留まらない。退職者への手厚い年金給付はかつて日本的マネージメントと絶賛されたこともあったが、今では年金の積立不足が23兆円というお粗末な状況になっている。4月12日号のBusinessWeek誌には、かつての勤務先から年金の減額を迫られている退職者たちの特集記事があった。年金受給額を毎月6万円減額することに同意するよう求められ、それに反対している日本航空退職者の話も取り上げられていた。
10.年金受給者からすれば、今になって「後付けで」言われてもお手上げ状態である。終身雇用制度などと言っていた時代は終わり、終身雇用どころか、引退した後で「背後から刺される」危険性すらある時代になっている。年金の積立不足は23兆円だから、恐ろしい事態が待ち構えている。これは決して日本航空だけの問題ではない。
11.企業を取り巻く環境は大きく変化している。その変化を正しく認識し、それに対応できる一貫した経営方針を立てないと、経営はこれまで以上に大きく傾いていく。日航の問題は、 多くの日本人にとって決して他人事ではない。



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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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