2010年08月27日

国債を発行して農業や衰退産業の救済に使うことは国を滅ぼす 3

「野口悠紀雄著:日本を破滅から救うための経済学、再活性化に向けていますぐなすべきこと、ダイヤモンド社、2010年7月」の「第3章:破滅への道を突き進む日本の財政」の「2.国債発行はなぜ問題なのか」について、昨日に続いて印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.日本の国債を、家計内部の夫婦の貸し借りのたとえで説明すると、ギリシャほど日本は危機でないということになるが、決して安心できる状態ではない。将来に向かう資本蓄積が減少することによって将来への負担が生じる。内国債であっても、「国債の負担」は、資本蓄積に与える影響を通じて将来世代に影響し得る。
2.国債が発行される時点の経済状況を、つぎの二つを区別して考えると分かりやすい。
A:経済が完全雇用状態にある。
B:失業や遊休資本設備が存在する。
また、国債によってまかなわれる支出としてつぎの二つを区別する必要がある。
a: 将来における経済全体の生産性を高めるような支出に用いられる(たとえば、都市のイン
フラストラクチャーの整備や、将来の人材の能力を高める教育投資など)。
b: 消費的な支出や娯楽、農家の保護、衰退産業の救済、天下り官僚の給料に用いられる。この場合には、将来の生産性を高めることにはならない。
3.ケインズが想定したのは、Bの状態であった。このときには、仮に支出がbのようなものであっても、経済全体として損失が発生するわけではない。国債発行でまかなわれる財政支出によってその時点での雇用は増大するので、その点だけを取り出しても、国債発行による財政支出拡大は正当化される。
4.支出をaのようなものにすることができれば、より望ましい。これは、ケインズ自身が述べている。彼は、ムダな財政支出を最善のものとは考えていない。「雇用・利子および貨幣の一般理論』(第10章の6)で、ケインズは次のように述べている。「もちろん・住宅やそれに類するものを建てるほうがいっそう賢明であろう。しかし、もしそうすることに政治的・実際的困難があるのなら、発行した銀行券を詰めた、壺をいったん地下に埋め、再び掘り出すことは、なにもしない政策よりはマシだろう」。
5.国債発行による財政支出拡大が否定的に評価されるのは、発行時点の経済がAの条件を満たしている場合だ。この場合には、国債発行によって利子率が上昇し、民問設備投資が減少する(「クラウディング.アウト」という)。この場合でも、国債によってまかなわれる支出がaの条件を満たすなら、民間投資の減少による生産性低下は相殺され、経済全体の生産性が低下することにはならない。
6.国債の利払いと償還はそれによってまかなわれる。だから、国債発行額が増えても、それによって将来世代の負担が増えることにはならない。財政支出がbのようなものなら、将来の生産性を高める生産設備に投資するはずだった資金が、政府によってムダな支出に使われてしまうために、国全体の将来の生産力が落ちてしまう。「将来への負担」は、このような場合に発生する。
7.家計のたとえで言えば、Aに相当するのは、妻が店を経営していて、本来なら店舗を改築するはずだった場合だ。bに相当するのは、怠け者の夫が妻から借りて、そのカネを飲み代に使ってしまうような場合だ。この場合には、店の改装ができないので、将来の売上は落ち、家族の所得は減ってしまう。
8.重要なのは、国債によってまかなわれる支出の内容である。追加経済対策についても、問題とすべきは、国債発行が増えたこと自体ではなく、支出の内容である。国債で調達された資金が、将来の日本人の所得を増やすような目的に使われているかどうかを監視することこそ重要である。(決して天下り法人に流れてはいけない)
9.現在の日本がBの状態にあると判断されるなら、国債発行によって行なわれる財政支出がbのようなものであったとしても、さして問題とはされまい。ただし、もしaのような支出が可能なら、もっと望ましい。追加経済対策で取られた政策のほとんどは、経済活動を活性化するものではなく、一時しのぎの緊急避難であり、露骨な企業救済策でしかない。右に述べた怠け者の夫が飲み代に使ってしまう例そのものだ。その半面で、将来の生産性を上げるための最も重要な手段である教育については、何もなされていない。
10.「負担が将来に転嫁するか?」という問題に関しては、国債発行そのものが問題だとは言えない。重要なのは、それによってまかなわれる財政支出の内容である。ただし、国債発行に関する問題は、「負担が将来に転嫁するか?」というだけではない。さらに、つぎのような二つの問題を考える必要がある。
第一は、国債の消化に問題が生じた場合、インフレが起こる可能性が高いという問題だ。
第二は、国債で支出がまかなわれると負担感が希薄になり、無駄な財政支出が増えるという問題である。



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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
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 春興賞の受賞:2回
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