2010年09月25日

尖閣諸島問題、北方四島問題への日本の姿勢は論理的な筋道を明確にして、柔軟な外交交渉で取り組むことが必要 3

9月24日付けの大前研一さんの『ニュースの視点』は「尖閣諸島問題:中国の持病を気にせず、実効支配のルールを主張せよ」は流石に大前さんと思わせる説得力のある記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米国の知日派として知られるアーミテージ元国務副長官は9月15日、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件を巡る中国側の厳しい対応について「中国は日本を試している」との見解を示した。
2.中国外務省の姜瑜副報道局長は16日、中国内で散発する対日抗議行動について「中国の民衆が理性を持って合法的な方法で主張を表現すると信じる」と述べ、過激な行動を戒めた。当初、中国政府は民衆を炊きつけていた節がありますが、今は少し「抑える」方向へ動いているようである。中国政府に対して不満を持っている中国国民がこれに乗じて政府への抗議運動に転化するのを避けたいという意向もあると思われる。
3.アーミテージ元国務副長官が言う「中国政府は日本を試そうとしているので、毅然とした態度を示せ」という点は理解できるが、「尖閣諸島が日米安全保障条約の対象となっている」という考え方は、大前氏は間違っていると言っている。例えば米国の見解として「尖閣諸島は100%日本の領土だ」というものだとしても、尖閣諸島が中国によって侵攻されたからと言って「日米安全保障条約が発動する」ということはない。
4.尖閣諸島を契機として、地域紛争が発生すれば話は別です。例えば、沖縄などの地域紛争に発展してしまったら、日米安全保障条約の対象となる。しかし尖閣諸島だけの問題であれば、その可能性は極めて低い。日本にしても「尖閣諸島は歴史的にも国際法上もわが国固有の領土」という考え方だから、対応するのは「海上保安庁」であり「自衛隊」ではない。
5.先日、蓮舫行政刷新担当相が「尖閣諸島は領土問題なので、毅然とした日本国としての立場を冷静に発信するべきだ」と述べ波紋を呼びだんだが、すぐに前原外相に指摘を受けて発言を修正する事態になった。前原外相が言うように「尖閣諸島は歴史的にも国際法上もわが国固有の領土」であり、「領土問題は存在しない」というのが日本の見解である。この基本的なスタンスを採用するのであれば、そこから逸脱することなく一貫性を持って臨むべきである。 
6.実際のところ中国側は何を要求してきていて、日本はどのような態度を示すべきか?
中国側の対応としては「日本に対して、怒って抗議をする」というだけである。そこから武力行使に発展してはいない。尖閣諸島だけを対象として武力行使にまで踏み切る可能性はほとんどないと大前氏は見ている。
7.日本としては、本気で調査をする気持ちがあるなら中国漁船を本国へ返さずに徹底的に調査するべきであった。中国漁船が体当たりをしてきている証拠の映像があるなら、日本政府はそれを世界に開示するべきである。逆に、日本の海上保安庁の船の方がぶつかっているという映像があるのなら、中国政府も速やかにそれを見せれば良いのである。
8.裏側で日本政府が中国政府に「証拠の映像」なるものを見せたのかもしれない。もしそういう映像があるなら、私は「国民」に開示するべきである。その上で国民が判断するというのが正しい手順である。
9.中国では企業が日本への旅行を禁止するなどの過剰反応を示しているが、これは「中国の持病の1つ」で何度も同じことが繰り返されている。この問題を解決するためには、まず実効支配のルールに則って毅然とした態度を示すこと、そしてそれを踏まえて、話し合いをする際には大胆なアイデアや考え方を採用するということである。
10.実効支配のルールから言えば、北方領土はロシア、竹島は韓国、尖閣諸島は日本に帰属することは間違いない。まずここを明確にしておく。ここで態度を曖昧にしてしまうと、話し合いが成立しない。その上で「共同管理」を行うという提案をするのも良い。
あるいは北方領土問題なら「3島を返還してもらう」というのも1つの策である。今の日本を見ていると、特に北方領土問題の解決についての主張に柔軟性がない。あまりに頭が固くなりすぎている。
11.先日、ロシアと隣国ノルウェーはバレンツ海と北極海での係争海域を2等分する形で最終解決し、同地域の開発でも協力する条約に署名した。ソ連時代から40年に及ぶ境界画定論争に終止符を打ち、天然ガスや石油など資源探査・採掘、漁場資源開発で協力することになった。これは1つのお手本である。お互いのメリットになるように、このような解決策をぜひ日本でも模索してもらいたい。



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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
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・読売新聞社賞受賞
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