2010年09月26日

外交問題の解決は、お互いにその国の文化を理解しあうことが原点である

「フランシス・フクヤマ著、渡部昇一訳:歴史の終わり(下)、1992年」の著者は日系3世でハーバード大学ソ連外交で政治学博士を取得している哲学者であることは当ブログでも既に何度か紹介した。アジアと欧米の文化の違いは今の外交問題を考える上で参考になる。
印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.アジア、そしてとりわけ日本は、世界史という面から見てとくに決定的な転換点にある。アジアが今後数世代にわたって経済的成功を続けていくにせよ、その進む方向は異なった二つの可能性が考えられる。一つは、ますます国際化をとげ教育水準を高めたアジアの人々が西欧的発想をこのまま吸収しつづけ、リベラルな民主主義を広めていく方向である。そこでは集団というものが、「気概:個人のやる気」に基づいた発想がなくなる。アジア人は、個人の尊厳、女性の権利、そして私的消費にもっと関心を払いはじめ、人間の普遍的な権利という原理を自分の内部に取り入れていく。これは、過去数十年にわたって韓国や台湾を、形式的な民主主義の道へと歩ませてきたプロセスでもある。そして日本などは戦後期にこの道をはるかに遠くまで進んできており、家父長的制度の衰退によって、たとえばシンガポールよりははるかにモダンな国家へと変貌をとげている。
2.仮にアジア人がみずからの成功を借り物の文化ではなく自分たち自身の文化のおかげだと確信したならば、欧米の経済成長の勢いが極東にくらべて衰えたならば、西欧社会が家族のような基本的社会制度のいっそうの崩壊を経験しつづけていくならば、そして西欧がアジアに対して不信や敵意を抱いて向かってくるならば、そのとき極東では技術主義的な経済合理主義と家父長的権威主義とを結合させた反自由主義的、非民主主義的なシステムが支持されるようになる。
3.今日までアジア社会の多くは西欧のリベラルな民主主義の原理に対して少なくとも口先では賛意を払い、その形式は受け入れつつも、中身はアジアの文化的伝統に適するように修正してきた。だが、その形式自体も西欧からの押しつけであり、西欧の企業経営技術がアジア経済にそぐわないのと同程度に、リベラルな民主主義もアジア社会の円滑な機能にとっては不適切なものとして、民主主義ときっぱり訣別するという事態も起こり得る。
4.リベラルな民主主義に対するアジアの組織的な拒絶の萌芽は、リー・クアン・ユーの空理空論的な発言や石原慎太郎のような日本人の著作からもうかがえる。もしも将来このような民主主義以外の原理が出現するとしたら、そこでは日本が決定的な役割を果たすだろう。日本国は、すでにアメリカに代わってほとんどのアジア諸国における近代化のモデルとなっているからである。アジアの新しい権威主義も、過酷で全体主義的な警察国家とはならないだろう。その専制支配は、人々がより大きな権威に従い、一連の厳格な社会的規範へと画一化を進めていくような、服従の帝国という形をとる。
5、イスラム原理主義を世界の非イスラム地域へ輸出できなかったのと同様、こうした政治体制をアジアの儒教的伝統を共有していない他の文化地域へ輸出できるかどうかは疑わしい。アジアの新しい権威主義に示される服従の帝国は、前代未聞の繁栄を生み出すかもしれないが、それはまた大部分の市民にとっては幼年時代が長引くことであり、したがって「個人の気概」が中途半端にしか満たされない状態を意味する。
6.現代世界でわれわれは、均質な国家が勝利を収めながら同時にさまざまな民族が存続しているという、奇妙な二重現象を目のあたりにしている。一方では、近代経済や科学技術によって、世界の政治体制における唯一の正統な原理として普及してきたことによって、人類のたえまない同質化が進められてきている。
7.他方、いたるところにこうした同質化への抵抗があり、民族と国家のあいだに存在する障壁を究極的には強化するような文化的アイデンティティを求めようという、政治下レベルでの主張がある。
8.過去百年間にわたって、受け入れが可能な経済的・政治的組織形態の数は着実に減りつつあるものの、資本主義やリベラルな民主主義などの形態は今後も依然として多種多様であり得る。国家間のイデオロギー的な相違がしだいに消え去っていったとしても、国と国の違いは文化や経済の分野でも依然大きなものとして残るだろう。
9.現存する国家組織が近い将来に崩壊し、文字どおり均質な国家へと崩壊することはあり得ないだろう。多くの諸国が共通の経済的・政治的組織形態をとるようになったとしても、国家というものは存在しつづける。このような国家間の関係が、われわれの慣れ親しんでいる国際的な秩序といかに異なっているかを考えてみる必要がある。


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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
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 春興賞の受賞:2回
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