2010年10月15日

脱工業化で国民は本当に豊かになるか? 3

「野口悠紀雄著:日本を破滅から救うための経済学、再活性化に向けていますぐなすべきこと、ダイヤモンド社、2010年7月」を昨日も紹介したが、「第7章:日本が進むべき高度知識産業」の「いまこそ日本経済を変えるチャンス」の「アメリカにおける高度知識産業」が目を引いた。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.アメリカが脱工業化した過程が参考になる。製造業が全産業のなかで大きな比重を占める日本は、産業構造を変えることが将来に向かっての最大の課題である。その際参考となるのは、製造業の比率がかなり低くなっているアメリカの状況だ。アメリカにおいて金融などの先端的産業が急速に復活していることは、日本にとっての重要なモデルとなる。
2.長期的に見ると、アメリカの就業構造は大きく変化している。顕著な変化は、製造業の比率が低下し、サービス業の比率が上昇していることである。製造業の比率は、1948年には32.3%と、ほぼ全体の3分の1を占めていた。他方で、サービス業は12.9%と、製造業の3分の1程度でしかなかった。金融業は3.4%でしかなかった。ところが、製造業の比率はほぼ傾向的に低下し、1958年に30%台を割り込んだ。1970年代になってから低下に拍車がかかり、1986年には20%台を割り込んだ。これは、石油ショック後、アメリカ産業がスタグフレーションに陥り、また日本との間で繊維、自動車などの貿易摩擦が生じた時代である。3.1960年代から繊維産業が日米間の外交案件となり、1970年代には鉄鋼、カラーテレビが、1980年代には自動車、半導体、VTRなどが日米間貿易交渉の対象となった。このように、アメリカの脱工業化の過程には、日本との貿易が大きな影響を与えている。その後の製造業の就業人口比率の推移を見ると、1990年代末には15%程度であったが、2008年には約3%にまで低下している。他方で、サービス業の比率は、ほぼ傾向的に上昇した。とりわけ、60年代後半からが顕著である。1982年に2割を超え、1982年に製造業を抜いた。
4.この時点で、アメリカの産業構造が大きく切り替わった。また、サービス業のなかでも、専門的な職業が増加した。金融業の増加とも合わせ、知識産業化が進んでいる。このため、産業分類がそれまでの単なる「サービス業」から切り替わり、卸売、小売などと区別して高度な専門的職業が区別されることになった。統計の分類にも影響を与えるほどの大きな変化が生じている。
(上記の結末が今のドル安ということになれば、本当に脱工業化が大多数の国民のためになるのかという疑問は残る。確実に言えることは、決まった答えのある問題ばかりの偏差値受験勉強で教育され、ランキングばかり気にする国の指導者や一般市民からなる国民性、各個人が独自に本質を考える習慣のない国民にしてしまい、皆同じ考えで行動するような今の日本の教育システムでは、先進国から遅れていく、ということである)



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yuji5327 at 06:26トラックバック(1) 
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1. 技術士!技術士!  [ 技術士 ]   2010年10月15日 16:54
技術士!今日の格言すこし明かりが..: 技術士(建設@道路)の日記毎回前振りが長いのですが、体験論文の方は、3回目の添削でやっと明かりが見えてきました。1回目、2回目が真っ赤っかだったので、各管理と総監技術が頭の中をグルグルまわって、スパイラルダウン(笑)...
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
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〇日展入選有

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