2011年02月01日

政府が国民の資産や年金を巻き上げる時がやってくる 3

「大前研一著:お金の流れが変わった!、PHP研究所、2011年」の「第3章:21世紀の新オアラダイムと日本」の「政府が国民から資産を巻き上げる」は米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズの日本国債の格付け、1段階引き下げのニュースをずばり予想し的中しているいる内容であり、必読である。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.日本の国債を買っているのは、銀行や郵貯銀行、生命保険などの金融機関が大半である。個人の直接保有率はせいぜい5パーセント。銀行や郵貯の普通預金と定期預金、そして生保が平均的な日本人の金融資産の運用先である。ところが、銀行や郵貯、生保などの金融機関が国民から預かった預金や保険金を運用しているのは日本国債である。とくに郵貯は国債買い取り機関そのものである。
2.2009年の秋に、民主党は日本郵政株式会社の社長を西川善文氏から元大蔵事務次官の齋藤次郎氏に交代させ、さらに経営陣や取締役を官僚出身者で固めた。これは明らかに郵政の「再国有化」である。前社長の西川氏は、集めたお金の2割を社債など国債以外の金融商品で運用していた。ところが後任の齋藤氏は、この2割も国債の買い取りに回そうとしている。要するに齋藤氏は、当時の藤井裕久財務大臣と亀井静香郵政改革・金融大臣の二人が書いた、郵貯銀行を完全なる国債の買い取り機関にしようとするシナリオを実行するために送り込まれたのである。2割というのはおよそ50兆円。2010年度予算の赤字国債44兆円を引き受けるのに合致するこの金額は、決して偶然ではない。
3.日本の金融機関は、国債を買うしか能がない。国民は銀行や郵貯に預金したと思っているが、じつは間接的に国債を買っていたのである。つまり、日本国民の金融資産の大半は日本国債なのである。いまの日本の危機的な財政を、郵貯を国債の買い取り機関にする安易な生命維持装置で凌いでいる。日本国債が破綻したら、国民の金融資産はたちまち消えてなくなることを意味する。
4.財政が悲惨な状態にあるのに、日本国債の金利が比較的低くすんでいるのも、また円高が続いているのも、いざとなったら政府が国債を破綻することで、国民の個人金融資産と引き換えに債務をチャラにすると市場は思っている。そうなっても、おとなしい日本人は文句もいわずそれを受け入れるだろうと、海外のアナリストやトレーダーたちは見ている。
5.具体的に日本政府は、どんな手を使って国民の金融資産を奪おうとしているか? その方法は3つある。
1)アルゼンチン方式:アルゼンチン政府は2009年になって突然、2001年に破綻した国債を、当時の額面100に対して30 割合で新しい国債と交換すると発表した。これは投資家の資産の7割を国が盗んだことになる。同様のことを日本政府がやるケースは十分に考えられる。
2)新紙幣の発行:ある日、旧紙幣は使えなくなるので、いついつまでに近くのATMで新紙幣に交換しろと国民にアナウンスする。ところが旧紙幣の1万円をATMに入れると、新紙幣は8000円しか出てこないようになっている。
3)預金封鎖:国民は預けている預金を自由に動かせなくなる。2008年11月からのウクライナの例では、ドル預金していた場合でさえ、1日100ドル以上、銀行からの引き出しが不可能になった。2001年に破綻したアルゼンチンでも、シティバンクなど外銀の支店にドル預金していても封鎖された。タンス預金で対抗すればよいと思われるかもしれないが、ブラジルや10年前のトルコやスロベニアのように、年問のインフレ率が1000パーセントを超えれば、タンス預金の価値はゼロに等しくなる。
6.当時、大前氏はマッキンゼーの幹部だったが、ブラジルのマッキンゼーはハイパーインフレ時、月ごとではなく週単位で給料を支払った。月単位では月末には価値が半分になってしまうからである。週ごとに、といっても月曜日に払えと従業員が要求する。金曜口では目減りしているからである。彼らは給料をもらうとすぐドルを買いに走る。にわかには信じがたいかもしれないが、ロシア、スロベニア、トルコ、アルゼンチン、ブラジルでその状況を見てきた。日本の国債残高と政府の放漫財政からいえば、これがいま日本に起こってもおかしくない。
7.それが起こっていない唯一の理由は、国民(各種金融機関)がせっせと赤字国債を(郵貯や定期預金などを通じて間接的に)買っているからである。そして最悪は、赤字国債の発行を続け、格付け会社が日本国債の格付けを大きく引き下げる事態である。格付け会社のフィッチ・レーティングスはすでに、日本が44兆円の赤字国債が再度出してくれば格付けを落とす可能性がある、と警告している。ほかの格付け機関も同じように考えてい。今回はスタンダード・アンド・プアーズが格付けを下げた。もしBB以下になれば、海外の投資家がいっせいに売りに走る。彼らの保有比率は6パーセントと低いが、決して無視できる金額ではない。すぐに日本国債は紙くずとなる。
(年金生活者はピンチである。日本の大メディアは知らぬふりをしている。太平洋戦争で多くの国民を苦しめたことに加担したことの反省もしていない。日本の大メディアは何故、事実を報道しないのか?)


お金の流れが変わった! (PHP新書)
お金の流れが変わった! (PHP新書)
クチコミを見る


yuji5327 at 06:21トラックバック(0) 
共通テーマ 

トラックバックURL

池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

書道教室(自宅)
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日



livedoor プロフィール

yuji5327

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード