2011年04月18日

業界や学会、マスコミも実は行政改革を妨害している 3

「稲葉清毅:霞ヶ関の正体、晶文社、国を亡ぼす行政の病理、2005年」の「第2章:能なき役人は法規をかざす法規・前例依存症」を昨日も紹介したが、「おわりに」には、1000年に一度という大災害の復興に当たっても、相変わらずの霞ヶ関の的外れな施策で、復興を遅らせている理由について著者の「私の行政改革論」として纏められている。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.行政の病理現象を個別にとりあげ、病の性質別に対策と処方を示した。行政は有機体のように複雑な存在で、その病も生活習慣病のように、様々な因果関係が絡み合って発生している。行政の病理を根本的に改善するために最も大事な課題を明白にする必要がある。
2.行政改革は、著しく困難な課題である。いつの世にも行政に対する不満は充満しているし、今日のように社会経済の変化が大きな時代には、国民のニーズとの乖離は広がって行く一方である。誰もが改革を声高に叫ぶ。その一方で、いわゆる政業官の鉄のトライアングルに、学者、マスコミ、それにアングラのその筋までが寄生しているという構図がある。
3.古い理念や思いこみに支配されて現実を見ようとせず、既得権から甘い汁を吸い、利益や権威を守られている力のあるグループは、見せかけの看板の掛け替えや数合わせではぐらかす。既得権の本丸に及びかねない本格的な変革には背を向け続ける。その間にも矛盾は深まり、病は進行して行く。生活習慣病は痛みや不快感は伴わず、症状が自覚された時には手遅れになっていることが多い。行政の病も同様で、たとえぽ財政状況については、いくら巨額の債務が累積しても国民の日々の暮らしには影響しないため、ほとんど関心を集めない。
4.最近、この流れに変化の兆しが生じてきた。そのきっかけは年金である。年金の設計については、20年以上も前から何度も警告が出されていたが、多くの国民にとっては他人ごとだった。しかし、今や給付額の削減や掛け金の増額など、遠からずわが身にふりかかる損失との認識が深まっている。このような事態に陥った蔭には、情報隠しや問題の先送り、積立金の恣意的な流用などの病理があることにようやく気づき、平成16の参院選における投票行動に反映した。
5.平成17年の衆院選において、小泉自民党が圧勝したことは、国民の大部分が郵政民営化に象徴される構造改革を熱烈に支持していることを物語っている。国民の大部分は、熱しやすく冷めやすい、だからこういう流れが一気に加速した。行政のいかがわしさに向けられた疑いの目はことあるたびに厳しくなり、政治の監督責任を追及する声が強まっていく。そうなれぽ政も、官と癒着して「見せかけ」や「馴れ合い」の対症療法でお茶を濁せぽわが身が危うくなる。
6.業界や学会、マスコミはもともと利己的な動機や日和見主義、勇気の不足などから付和雷同していたに過ぎないから、政官の関係が緊張すれぽ寄生は難しくなる。このような形で、これからのわが国では、本質的な行革に取り組まざるを得なくなる。そういう期待を込めて、体質改善のための急務、つまり本質的な行革の課題を取り上げるべきである


霞ヶ関の正体―国を亡ぼす行政の病理
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yuji5327 at 06:36トラックバック(0) 
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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