2011年04月23日

原子力に素人の東大法学部卒官僚をトップにする原子力安全・保安院の人事に代表される歪んだ霞ヶ関 3

「稲葉清毅:霞ヶ関の正体、晶文社、国を亡ぼす行政の病理、2005年」の「第2章:能なき役人は法規をかざす法規・前例依存症」を既に数回紹介している。現在、東日本震災の復興は地方自治体の頑張りで何とか進んでいるが、国レベルでの復興計画は遅々として進まない。特に行政(原子力安全・保安院)の福島原発事故処理のお粗末さの理由が、典型的な官僚組織(原子力技術に全くの素人の東大法学部卒がトップ)にあることが本書から読み取れる。本書の「行政の論理の再構築神話からの脱却」の小節を詠むとわかる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.まず必要なことは政治家主導(シビリアンコントロール)の強化である。選挙で選ばれていない軍人に戦争の権限を委ねると軍人による暴走の危険がある。それを防ぐため、最終的判断と責任を文民(政治家)に留保するという原則である。一般行政においても、専門家集団の職業倫理に任せ切りにすると、同様の弊害が発生する。
2.各省庁においても、政治家が制度上は上位に置かれているが、現実には、省庁の内部において官僚との棲み分けが行われている。政治家側はいわばパートタイマーに過ぎないのに、官僚側は在任期間が長く、その上クニ・ムラを通じた強固なつながりがあるので力関係が逆転する。特に人事は官僚の聖域になっており、大臣が権限を行使しようとすると、官僚はサボタージュして大臣に協力しなくなる。
3.この問題を解決する方策として、大臣を補佐する副大臣等に公務員を政治的に任命し、所期の機能を果たさせる案もある。そのためには、現役の公務員を束ね、OBとの橋渡し役を務めるなど、クニ・ムラのキーマンになっている事務次官制度の廃止が有力である(民主党政権で一時、そうなりかけたが官僚が巻き返しを図っている)。バッジをつけていない上級公務員の中から、副大臣、政務官等を任用する途を開き、公務員の士気を高めるのも案である。
4.その場合、出身の省庁にとらわれない任用にし、奉公の対象をクニ・ムラではなく内閣、大臣とし、任命に際して達成すべき職務の目標を明示すれぽ、それまでの腐れ縁から離別させることは可能である。官を辞した者についても、政権の交代や彼の実績の再評価等によって、これらのポストに再任用される途が開かれれぽ、公務員達に、信念や良心に基づく行動が期待できるようになる。
5.副大臣と事務次官が並立している現行のシステムは、政治家と官僚の棲み分けによる談合体質を温存することになり、すべての病因を残してしまう。キャリア、ノンキャリアの差別や、事務官と技官の区別を生む試験制度と年次主義などの超悪平等的な人事任用を是正することが急務である。
6.地方においては、一般に首長の在任期間が長いこともあって、官僚の力はそれほど強くはないが、本来はシビリアンコソトロールのために設置されている教育委員会、公安委員会、監査委員等の機関が形骸化し、それらの官僚組織の審議会化している風潮は改められなけれぽならない。
7.閉鎖的なクニ・ムラ体制の影響力をなくすためには、キャリアによる官職の独占を無くす同時に、彼らの能力を社会的に活用するなど、官民の交流を推進する必要がある。民間や学界から人材が迎え入れ、局長以下のポストについても、積極的に民間との交流を図るべきである。そのためには、人脈による根回しによる不透明な意思決定方法を改め、その上で、行政実例などに関するデータベースやマニュアルを整備していけぽ、行政は専門家でなくても、民間の常識人にも十分担当できるようになる。
8.官庁会計については、特殊な方法を見直し、企業会計に準拠すれぽ、行政機関の経営の実態が明らかにできると同時に、共通の専門家の育成が可能になる。広報、行政需要の把握、苦情処理などの分野においては、民間のPR、マーヶッティングなどの経験が役立つ。
9.公務員の能力の社会的活用も必要である。彼らの能力をクニやムラでしか通用しないいびつな形をしているから、天下りが必要になる。「余人を以って代えられな」という言い訳は無能力の裏返しである。アメリカの州政府では、首長が任命した中央省庁育ちの公務員を起用することは得策である。
10.民間部門においても、中央省庁育ちの公務員が活躍できるように、能力を開発する必要がある。狭い官界で純粋培養するという発想を改め、数年以上民間企業等に移籍し現場で実務に従事させ、一定の実績を上げたものを官界に戻すことにすれぽ、行政が活性化するとともに、官民の互換性をもった人材が育つという効果が生まれる。


霞ヶ関の正体―国を亡ぼす行政の病理
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yuji5327 at 06:30トラックバック(0) 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
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 春興賞の受賞:2回
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