2011年04月28日

日本型スキャンダルが守るのは旧い体制で守られている日本型社会 3

「カレル・ヴァン・ウオルフレン著、井上実訳:誰が小沢一郎を殺すのか?−画策者なき陰謀、角川書店、2011年」を昨日も紹介したが、自分がかねてから疑問に思っていたいたことが外国のジャーナリスト、大学教授の著書で明快に問題提起されている。やっぱり見ている人は見ていると安堵すると同時に、日本のテレビや大手新聞ジャーナリストの不甲斐なさを残念に思う。「日本型スキャンダルは何を守るのか?」という小節の、印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる
1.日本のスキャンダルという特異な現象に、日本人はもっと関心をふり向ける必要がある。日本のスキャンダルの特徴は、ふつうの民主国家とはまったく異なる働きをする点にある。体制内で基準とされる道徳や法律に反する不正な行為を暴くことで、それを抑制する働きをなすのが民主国家におけるスキャンダルだが、日本では異なる。
2.日本では法規を離れた、非公式な政治・経済システムの秩序維持にスキャンダルが一役買っている。世界中の大学が教えている政治学の授業に、日本のスキャンダルという特別な科目を加えるべきではないかと考えてきた。日本の政治システムにおいて、既得権者に都合のよい秩序を維持するうえで、公式的な規準がはなく、日本のシステムがしたがうのは不文律である。
3.既存の体制を守る人々、特に検察は、秩序を維持するために、超法規的なさまざまな手法を用いている。スキャンダルもそうした手段のひとつである。彼らが罰するのは、法律に違反した者、罪をおかし、有罪とすべき人間ではなく、非公式の体制内で、問題なしとされる範囲を逸脱した人物である。検察は彼らを罰することとがで、不文律にしたがわない者はお咎めを受けると一般の人々に警告している。
4.それが一番明確に示されるのは、政治資金をめぐる領域である。再選をめざす日本の政治家は多額の資金を必要とする。政治家の莫大な資金を企業が提供することは、まったく問題のない、まともな行動だと考えられていた。このまともさにも限度を不文律で決めている。たとえば再選されるのに必要とする額の10倍以上の金を政治家が受けとれば、それは良からぬこととされる。一企業が有力な政治家すべてに献金すれば、それも問題視される。権力が偏った形で増長すれば、従来のやり方を脅かす危険が生じる、というのがその理由である。
5.「従来のやり方」とは「既存のシステム」にほかならない。ある者が過剰に力を増して脅威となれば、それは現状を破壊する要因になると判断する。そして現体制のやり方は法的仕組みの枠外におかれているので、もし非公式なシステムが破壊されそうになっても、日本の法律ではそれを防ぐことができないので、不文律で罪人をつくる。
6.この数十年間に世間の注目を集めたスキャンダルは、政治家の政治資金問題というより、ビジネスマンや企業など産業界全般にわたるものだった。たとえば堀江貴文氏や江副浩正氏といった人々をめぐる事件がその好例である。1990年代初めに起きた証券会社をめぐる事件も同様であった。
7.本書で小沢氏の問題を取り上げているのは、この名高いスキャンダルに、日本の当局がみずからの目的に合う法律をいかに恣意的に適用してきたかを示す好例であるからである。既存の法的措置や非公式の常套手段をもってしても対処できない日本の従来システムを動揺させかねない政治家の出現を抑えるために、司法を含めた当局が複雑な手法をとってきたことが明らかだからある。このスキャンダルを深く掘り下げていくと、少数の人が日本の政治システムを熟知している一方で、日本人の大多数は秩序の維持がどのように行われているかを知らずにいるということ、そしてこのスキャンダルは、日本の市民全般を政治的に無知な状態にとどめておくことに役立っていることがわかる。
8.1990年代初めの証券スキャンダルは、金融業界を脅かすほどの深刻な問題を解決しようとして起きた。バブルの崩壊によって日本の経済システムが不安定化すると、政治システムまでもが揺るがされ、それが改革を志す政治家たち、とりわけ小沢氏が行動を起こす道を開いた、ということである。




誰が小沢一郎を殺すのか?画策者なき陰謀
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yuji5327 at 06:57トラックバック(0) 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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