2011年06月26日

脱原発の動きはヒステリー症状ではない 3

6月24日付けの大前研一さんの「ニュースの視点」は『脱原発〜「現象」ではなく実態を正確に伝えるリーダーシップの不在がもたらす混乱』は流石に的確な視点である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.原発再開の是非を問うイタリアの国民投票は、6月13日、原発反対派が9割を超えて圧勝し、新規建設や再稼働が凍結される見通しとなった。投票不成立を目指したベルルスコーニ政権への大きな打撃である。
2.今回のイタリアの国民投票は、原発の是非を含め4つの議案が対象になっていた。ベルルスコーニ首相の免責を求める法律改正も含まれており、総じて言えば「反ベルルスコーニ投票」であった。
3.原発に関しては9割以上の反対となり、世界中への影響が予想される。原発への依存度が高いフランスでは、もはや脱原発の選択肢を取ることはできない状況である。今回のイタリアの国民投票を受けて、フランス国内では「自分の国だけ原発を放棄し、フランスからエネルギーだけ購入するのは、イタリアは都合が良すぎるのではないか」という不満が出てきている。フランス国内でも、「本音を言えば、国内で原発は抱えたくない。フランスでも国民投票で原発の是非を問うべきだ」という意見もある。
4.日本でも、イタリアのニュースを受けて、日本国民にも原発の是非を問うべきだという意見がある。しかし、この種の意見を述べている人の多くは「実態」を理解していない。イタリアの原発は全部で4基あるが、この4基はすでに停止している。今回の投票でイタリア国民に問われたのは、「今ある4基は永遠に停止とし、その上で新しい安全な原発を4基作る」というベルルスコーニ首相の提案である。
5.この実態を理解していれば、イタリア国民の9割以上が反対するのも頷ける。今稼動している原発を止めるかどうかという判断ではないからである。この点で、ドイツや日本では全く条件が違う。ドイツの原発の中にはイタリア同様すでに停止しているものもある。「一時的に」止めているだけというものもあり、それを永遠に停止するかどうかは難しい判断になる。
6.日本の場合にはさらに難しい状況である。イタリアと日本の実態の違いを理解せずに議論を進めても意味はない。また原子力発電の是非を問うなら、同時に電気料金の値上がりについても議論しなくてはいけない。例えば、2007年の主要国のkWhあたりの家庭用電気料金を見ると、イタリアよりも高額なのは、原子力発電の割合が低くクリーンエネルギーを主体とするデンマークとオランダだけである。
7.日本はイタリアの75%程度で、米国・韓国は半額以下である。韓国は政治的な補助によるもので、米国の場合には自由競争の結果の低価格になっている。デンマークやオランダを見れば分かるように、クリーンエネルギーは高額である。ソフトバンクの孫社長をはじめ、クリーンエネルギーを推し進めようとしている人は多いが、この料金問題についてもきちんと議論すべきである。
8.現在、日本の太陽光発電、風力発電はどちらも全体の1%にもならない。これらを20%程度まで引き上げるとなれば、相当大変である。太陽光発電・太陽熱・風力による発電では、電気料金は格段に上がることを覚悟すべきでしある。
9.自民党の石原伸晃幹事長は14日の記者会見で、イタリアの国民投票で原発反対派が多数だったことについて「あれだけ大きな事故があったので、集団ヒステリー状態になるのは、心情としては分かる」の発言が取り沙汰されている。また、脱原発と自然エネルギーの可能性をさぐる自民党の「エネルギー政策議員連盟」の初会合が14日開かれ、脱原発の急先鋒、河野太郎衆院議員が「原発一本やりの自民党を変える」と強調した。河野議員としては、中曽根氏や与謝野氏に代表されるような古くから存在する「電力利権」議員へ対抗する姿勢を見せていると思う。
10.自民党は原発を押し進めてきたから、古い議員は何らかの形で原発に絡んでいる。例えば、原発の誘致にあたり住民から反対運動が起こる。その住民に対して国から補助金を持ってくるというのが、自民党の古い議員の得意技である。河野議員はこのような自民党の体質を変えようとしていと思う。
11.「クリーンエネルギーの象徴」「脱OPECの目玉」として原発が果たした良い側面もある。時流に乗って鬼の首を取ったように自民党を批判してみても、自民党の中でリーダーシップを発揮することはできない。仲間から自分だけいい格好していと思われれば、首相指名される見込みはほとんどない。
12.石原伸晃幹事長については「リーダー失格」である。「反原発」は国民の心の声であり、「集団ヒステリー」などではない。そんなことも分からない、感じ取れないのならリーダーになる資格はない。石原伸晃幹事長の「集団ヒステリー」が「イタリア国民」「日本国民」のいずれに向けて発せられたものであれ、全く実態を把握していないと言わざるを得ない。原発の関係者が反省をせず、国民に分かりやすい形できちんと説明していない、という点が大きく影響している。
13.今回のイタリアの国民投票は、4基の新しい原発を作るかどうかを問うものであった。現在稼動しているものを停止するわけではない。イタリア国民の反応は充分理解でき、めて冷静な判断だと言える。この実態を知らず、イタリア国民に対して「集団ヒステリー」と称しているなら失礼極まりない。日本国民に対して言ったのならば、「なぜ日本国民が原発に不安を感じているのか?」を理解してほしい。




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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
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(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
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