2011年09月29日

満場一致の議決は無効という2700年前の社会より遅れている日本 3

「イザヤ・ベンダサン著:日本人とユダヤ人、山本七平、1970年初版」の「6章:全員一致の審決は無効――サンヘドリンの規定と法外の法」を思い出した。光よりも速い素粒子があることを実証した話は、まさにアインシュタインの母国のユダヤ人の考え方に繋がりを感じる。また、裁判に関しては、小沢一郎氏の秘書3人の有罪判決が、歴史の浅い日本人の裁判の軽薄さを考えさせる本でもある。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.紀元前701年、今から2700年以上も昔のことである。ユダの国の南西部、6日戦争でも戦場となったガザ地帯の近くのモレシテという小村に、ミカという人が住んでいた。この地方は最も豊沃な小麦の産地で、彼も独立自営農民であった。ところが何かの動機で彼は予言として活動を始めた。神から言葉を預託された者として、お百姓の、ミカさんは、いろいろのことを宣べ、その一部が旧約聖書の『ミカ書』に収録されている。
2.ミカ氏は、驚くべき進歩的な意見を口にした。すなわち、富者(地主・資本家)が貧者(労働者・農民)を窄取するのは罪であること、窄取した富によって築かれたエルサレムの神殿は罪の成果であるから、神自身がこれを打ち壊すであろう、と述べた。神殿を現体制と見なし、神殿を増築し、美しく飾るということは、神に仕える行為であるが、この行為をすれぽするほど、それが神の意志に反するということである。一種の弁証法であり、弁証法の祖はまさに預言者ミカである。
3.この言葉は、当時の人びとには実にショックだったらしい。日本の戦時中、天照大神が自ら伊勢神宮をぶちこわし、東京を田畑にかえてしまう、といっているようなものである。だからである。ミカの言葉は、当時の為政者にも大きなショックを与えたらしい。この考え方はユダヤ入の思想の中に根を下ろしている。神のためにした行為によって神に罰せられる、という考えである。
4.ユダヤ人の思想家をたどって行けば、ミカ以来、多かれ少なかれ、こういった考え方を持っている。カール・マルクスもその発想の根底は同じである。アインシュタイソ博士の学説にも同じような発想が根底にある。この発想は、血となり肉となって、ユダヤ人の体質のようになっている。
5.その一例として、サンヘドリンの規定がある。サンヘドリンというのはイエス時代のユダヤの国会兼最高裁判所のようなもので、70人で構成されていた。当時の法律は、いわばモーセ以来の律法が厳として存在し、厳密な意味では立法権はないが、新解釈には「立法」といえる面もあった。またこの解釈と判例に基づいて判決を下したのだから最高裁判所でもあった。イエスに死刑の判決を下したのはこのサンヘドリンである。この判決は実に大きな誤判である。それは、サンヘドリンには明確な規定があった。すなわち「全員一致の議決は無効とする」と。新約聖書の記述では、イエスへの死刑の判決は全員一致だったと記されているから、当然、無効である。
6.この処置には2説ある。1つは「全員一致」は偏見に基づくので無効、もう1つは興奮による判決だから再審すべし、としている。だがイエスの場合、このいずれをも無視して刑が執行されている。律法の番人であるサンヘドリンにしては解せぬことだが、これはキリスト教創生の創作と思われる。当時のキリスト教徒はその殆どすべてがユグヤ人であったから、彼らは、イエスの処刑は違法だと言いたかった。彼らはイエスをモーセ、エリャ、ダビデの後継者と信じ、救いの主と信じていた。
7.それが、日本に来ると、日本人キリスト教徒のように、1人の反対もなかったのは、人間が完全に罪深いかを示している、という見方にかわる。日本では、全員一致の議決は、最も強く、正しく、拘束力があると考えられている。ユダヤ人はそうではない。その逆で、その決定が正しいなら反対者がいるはずだ。全員一致は偏見か興奮の結果、または外部からの圧力以外にはありえないので、その決定は無効だと考える。
8.ミカ以来の考え方である。日本では、全員一致、1人の反対者もない、ということが、当然のこととして決議の正当性を保証するものとされている。時には、多少の異議があっても、無理に全員一致の形にする。極端な場合は、明らかに全員ではないのに、全員の如くにする。例えば、全国民が一致して反対している安保を強行し…、といった言い方になる。これはどう考えてもおかしい。これがサンヘドリンが機能していた時代のユダヤだったら大変である。これらの主張はすべて、自らの主張は無効であると主張していることになってしまう。
9.ミカの弁証法の最も奥底にあるものは、人間には真の義すなわち絶対的無謬はありえないということである。これはただ神にのみあるのであって、人間はたとえ一心不乱に神の戒命を守っていても、そうする行為自体の中に誤りを含む、という考え方である。従って、全員一致して正しいとすることは、全員が一致して誤っていることになる。わずかでも異論を称える者があるなら、その異論との対比の上で、比較的、絶対的正義に近いこと(すなわち無謬に近いこと)が証明され、少数の異論もある多数者の意見は比較的正しいと信じてよい。全員が一致してしまえば、その正当性を検証する方法がない。絶対的無謬はないのだから全員が誤っているかもわからない。従って誤りでないことを証明する方法がないから、無効なのである。


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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
○公募展の受賞、入選
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