2012年01月30日

50年間たどってきた道で得られたのは、さらなる官僚化でしかない。税を上げることはできても、国民の支持、信頼を得られない。道の先にあるのは政府への幻滅だけである。 3

「P.F.ドラッカー著、上田惇生訳:歴史の哲学、ダイヤモンド社、2003年」の名言集の第10章:政治の再建には今の日本の政治に当てはまる言葉が多く見られる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.政府は、意思決定者、ビジョン・メーカーちしての政治的機関である。政府は、いかにして政治的な目的を、実施機関の組織にとって魅力あるものに組み立てるかに頭を使う。言い換えれば、政府は、一つひとつの楽器が得意とするものを徹底的に考える作曲家、あるいは指揮者となる。こうして我々は、フレンチホルン、バイオリン、フルートの特性を最もよく引き出した作曲家や指揮者を称賛するように、多元社会における自律的な組織の能力を最もよく引き出す政府を称賛するようになる。
2.政府には、新たな課題が課されている。環境の保護であり、私兵と国際テロの駆逐であり、軍備管理の実効化である。それらはみな、より少ない政府の関与どころか、より多くの政府の関与を必要とする。しかし、これまでとは異なるかたちの関与を必要とする。
3.最大の脅威は、人類のすべてが直面している環境の破壊である。すなわち、人類の生息地であり、大気である。地球の肺臓とも言うべき熱帯雨林である。海洋である。水資源であり、空気である。しかも、環境の保護と、人口が急増する途上国の産業需要とのバランスを早急に図らなければならない。これらは、一国で取り組める問題ではない。
4.海洋の汚染、地球の温暖化、オゾン層の破壊など、人類の生存環境の汚染や破壊を伴って生産された財について、国家間の貿易を禁ずることにより、環境を汚染する行為を「隔離」することができる。もちろんこれは、自由貿易に対する干渉として反対されるだろう。まさしく干渉であり、好ましくない。
5.外国政府にせよ、テロリストにせよ、エンパイアステートビル宛に小さな小荷物を送り、リモートコントロールで爆発させたならば、広島や長崎への原爆投下よりもはるかに大きな被害を、簡単にニューヨークにもたらすことができる。
6.テロを支持しないというだけでは不十分である。テロの脅威を取り除くために、少なくともこれを抑制するために、グローバルな行動、すなわちいかなる主権をも超えた行動が必要とされている。
7.現在必要とされているグローバルな機関の構想は、いずれもいまだ提示さえされていないし、創設にどのくらいの時間がかかるかもわからない。各国の政府がそのようなグローバルな機関とその決定を受け入れるには、何らかの破局的な事態を経験しなければならないのかもしれない。
8.もはや政府は、50年間たどってきた道をさらに進むことはできない。その道で得られるものは、さらなる官僚化であって、さらなる成果ではない。税を上げることはできるかもしれないが、国民の献身、支持、信頼を得ることはできない。これまでの道の先にあるものは、政府の病の悪化であり、政府への幻滅の増大だけである。


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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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