2012年03月26日

日本の官僚は企業に対してレフェリーではなく監督やコーチの役割を果たす。日本の官僚が、レフェリーという本来の役目とは違った仕事をするようになってから、おかしくなった。 3

「佐高信、宮本政於著:官僚に告ぐ!、朝日新聞社、1996年」は、少し旧い本であるが、現在の東日本大震災、福島原発事故における霞ヶ関官僚の対応が1989年に大阪と東京で始まったHIV訴訟での官僚たちの対応と重なるところが多いことが分かる。「第2章:官僚システムといいう病気」の「官は“お上”で民は“下々”の小節の印象に残った部分の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.官僚制度が様々なひずみを抱えているのになかなか改まらないのは、先例主義がはびこっているからである。何をやるにも、常に前がどうだったかを調べ、その先例に倣う。だから、先例自体が時代遅れだったり不合理であれば、その後の政策もやっぱり時代遅れで不合理なものになる。
2.大蔵省は「野村証券霞が関出張所」、通産省は「新日鉄霞が関出張所」などと椰楡されている。官庁に業界を監督・指導する権限があるといっても、現実に業者指導を担当する官僚は現場をよく知らないし、それほどの知恵もない。それは当然で、大蔵省のキャリアはほぼ一年で部署が替わる。銀行や証券などの実体経済の入り口に立っても中に入ることなく、玄関前をすり抜けてしまう。そこで、具体的な政策課題を目の前にしたとき、証券問題なら野村証券の担当者に、鉄の問題なら新日鉄の担当者にレクチャーを受ける。厚生省も同じで、薬に関する分野のプロは民間にいるので、手落ちのない政策を要求されれば、どうしても専門家の意見を聞かざるを得ない。
3.官僚が意見をきく専門家がどんな人かということが重要である。役所は保身もあって、人選にはとても慎重になる。人文科学や自然科学の分野を問わず、専門家が集まった世界には大ボスがつきものである。役所は、そのボスがどんな人間かじっと観察して、役所にそれほど反抗的でない人だったら声をかける。その大ボスが、独創性豊かな人でなくても構わない。
4.医学、医薬の分野で大ボスになるには、厚生省から研究費という名の補助金を引きださなければならない。こうした人は厚生省の役人に対するごますりの天才である。厚生省からの研究費の額を当てにしているのではなく、それを踏み台にして関連企業からその数十倍もの研究費を狙っている。ある大学の教授が放射線の権威で、厚生省から肺がん治療のため、100万とか200万円ぐらいの研究費をもらったとすると、X線なりCTスキャンの医療機器の会社は売上高も巨額だから、この大学教授の補助金の話を聞きつけると、何億もの研究費を出すことになる。こうなる理由は、医療業界には自由競争がなく、厚生省が統制しているからである。企業は厚生省をウオッチしていれば、誰にどれだけのカネを出せば将来もうかるかがわかる。厚生省の補助金は、お墨付きなる。
5.戦前の日本国民は日本帝国・天皇制というカリスマ性に操られていた。50年たった今は、霞が関の官僚に操られている。エイズ事件の安部教授は殺人罪で告発されているが、責任が問われるべきは、厚生省という組織の意思決定機関である。アメリカのMITは、厚生省のミスのためにすでに400人が死亡し、これから亡くなる予備軍が2000人以上もいるのに誰も責任をとっていないことに疑問を呈している。
6.組織の中の個人の責任を問おうとしても、その個人の顔が見えてこないので、追及は難しい。旧大蔵省が住専をつぶさなかったのは、大蔵省の現役がOBの天下り先である会社をつぶすわけにはいかない、という後輩としての発想が幅をきかしていたからである。触れたら自分のクビも飛ぶことになる。現在の官僚たちの頭の中にあるのは、自分の省庁やOBや自分の天下り先のことだけで、国民のために仕事に励んでいると思うのは幻想だと言ってよい。
7.住専の問題で政府への攻撃がエスカレートしたとき、マスコミは異口同音に、「民間企業への行政介入だ」と言って騒いだ。あのマスコミの反応を非常におかしい。大蔵省統制経済下にある銀行は、お役所企業であって民間企業でない。大蔵省と銀行、あるいは厚生省と製薬会社の関係を見れば、銀行も製薬会社も本当の意味の「民」にはなっていない。
8.アメリカでは、日本で株を買っても、インサイダー情報を知らない限り絶対もうからないことがわかる。アメリカの常識からすればインサイダー取引は犯罪だが、日本ではそれが当たり前である。アメリカのマフィアは決して株には手を出さない。必ずもうかるとは限らないからである。日本のヤクザは株をやる。インサイダーをつかまえて、必ずもうかるからである。日本では市場がルールで動いていない。
9.役人はルールを背負ったレフェリーで、企業の行動に対して「これはアウト」「これはセーフ」と笛を吹くのが本来の仕事である。日本の旧大蔵省は銀行や証券会社に対してレフェリーではなく監督やコーチの役割を果たした。日本の官僚は、レフェリーという本来の役目とは違った仕事をするようになってから、おかしくなった。


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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
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