2012年03月30日

復興のために、政府は変革したいと望む首長や個人の邪魔しないこと。税制や業界の悪しき伝統を思い切って断ち切ること。 3

「大前研一著:日本復興計画、文藝春秋社、2011年4月30日」は、3.11大震災の復興計画を取りまとめたものである。「第2章:3分の2に縮小する生活」の「機能不全・司令塔不在の罪」は的を射ている。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.日本が抱えた「20年間、所得が減りつづけている世界唯一の先進国」という病弊を克服するには、日本人のメンタリティを変えなければならない。日本のサラリーマンは、成長期のパラダイムのまま、ひたすら景気と所得の回復を待ちわびている。将来は明るいという前提の下にローンを組んで家を買い、子どもを背伸びして私立に入れ、高級車を乗り回す。所得に対するこれまでの発想が、日本人を貧乏にしている。
2.1992年時点で、ステップローンを組んで家を買ったがために、7年目から返済額が増えたのに収入は減って、7百万人のサラリーマンか犠牲になっている。日本人は、お隣さんと同じように自分もやる性向がある。隣が家を買った、クルマを買った、子どもは私学に、うちも通わせる。持ち家熱、クルマ熱、教育熱という三大熱病で、一人一生一億円以上が無駄になる計算である。12年前、日本のサラリーマンの収入のピークは1200万円と400万円のところにあったのが、今は全員が100万円ずつ落ちている。アメリカは、金持ちはもっと金持ちになり、貧乏人はもっと貧乏になってM字の両脚が開いたのに対し、日本はM字全体が下方にスライドしている。
3.日本人は20年間もの間、下降を続けているという自覚がない。そのうちの18年は基本的に自民党である。民主党はダメだから自民党に戻そう、と考えている人が多いが、そんな生易しい問題ではない。両方ともダメである。
4.大前氏の提案は以下の通りである。ライフプランを自分で設計すること。まず、夫婦間で価値観を合わせてライフプランは一緒に作るところからスタートする。ライフプランというと、大抵の人は、まず節約だと言うが、節約から始めるとくたびれる。夢がないのに節約すれば、金を貯めたまま死のことになるので、まず、メリハリのあるプランを作ることが重要である。
5.セカンドライフで約8万時間もの自由になる時間がある。1日12時間として、それが20年続くと8万時間である。ゴルフ、釣りと、さまざまだが、ゴルフを毎日20年間続けることも、釣りも、3日間はいいけれども、4日目には誰も魚を食べてくれないし、そらく1週間で終わる。
6.20件やりたいことが見つからないと、この8万時間はもたない。そのうちの10件は室外、10件は室内で出来ることにする。さらにその半分は1人でやること、もう半分はグループでやることを見つける。リタイアしてすぐ始めるのでなく、それまでに準備期間を設けて助走しておく。
7.住宅、クルマ、教育の三大熱病は早く治してしまう。特に住宅を所有していると、人生設計に余裕がなくなる。すごく有利な転職話があって、それがインドネシアでの仕事だったりしても、まだ住宅ローンがあるので動けないことになる。家は買ってはいけない。日本では、家を買った瞬間に1000万円が飛ぶ。買った翌日に売りに出すと、買ったときよりも1000万円も下がっている。家を所有することに対するペナルティが、日本はいちばん高い。35歳で35年ローンを組み、70まで払い続けるというような国はない。米、英、独などでは、よほどの貧民街でない限り、買った家は必ず値上がりする。サブプライムローン問題のときに下がったのは低所得層の家だった。
8.クルマは、650万円の国産車を買って半年で売りに出すと、250万円も下がる。車の所有に対するペナルティも日本はいちばん高い。つい買ってしまうのは、成長神話の頃のパラダイムを今日まで引きずっているからである。
9.子どもを私立にやるために投資して、それでペイするとことはない。幼稚園から大学まで私立に通わせると2047万円、すべて国公立文系なら793万円である。両者の差が約1300万円、子どもが二人いたら2600万円。それよりも、私立にやる代わりに、親が家で子どもの勉強を見てやる時間を作る。授業料ではなく時間で投資する方が、よほど実りは大きい。人生観や将来観を共有した親子のほうがはるかにリターンは大きい。逆に、子どもは金をかけるほどスポイルされる。
10.自分に投資することも必要である。会社に運命を委ねたままだと、稼がないうちに、肩を叩かれる。政府も、サラリーマンの自分への投資を無償化したほうがいい。子どもの学校を公立に切り替えて浮いた1300万円ないし2600百万円の一部を充ててもいい。自分の稼ぐ力を倍にするという目標に対して、あなたはどのくらいの時間と金を投資しているのか自問してみるとよい。
11.奥さんに投資するのがよい、共稼ぎもいいが、近所のスーパーのパートでは大した収入にはならない。奥さんにも投資をして資格を取らせ、確実な収入の見込める定職を見つける。意外にこれは低い投資額で出来る。学生の頃は奥さんのほうが成績がよかった夫婦も多い。子どもに教育投資をするよりリターンは早いし大きい。
12.3.11は日本人の心に大きな傷跡を残した。しかも、その後の福島第→原発の政府および東電の対応のまずさが、世界中を恐怖に陥れた。最初はあまりの不幸(地震・津波・原発)の連続に同情と哀れみの声も聞かれたが、放射性廃棄物を海洋投棄するに至って怒りと不信に変わっていった。日本政府が何か隠しているという疑心暗鬼によって、日本から全ての食品の輸入禁止(インド)などという途方もない行動に走る政府も出てきている。日本への渡航禁止や渡航制限、という通達を出した国もある。日本の政府は完全にメルトダウンした。
13.ここからの復興は可能である。現場の知恵を盛り込んだ改善策の策定はそれほど難しくない。東北の新しいビジョンもやりがいのある仕事である。結局は個々人が自立する、という意識改革があれば可能である。政府のやることは、細かいことではなく、東北地方の将来に関して大きなビジョンを示すことでよい。自ら変革したいと望む首長や個人の邪魔してはいけない。税制や業界の悪しき伝統を思い切って断ち切ることに尽きる。
14.サッチャー以前の英国は、今の日本のようなジリ貧状態だった。労働党と保守党が人れ替わり立ち替わり何をやっても、悪循環が加速するばかりだった。お互いがお互いを非難して、野党になると与党の攻撃ばかりだった。これに終止符を打ったのが鉄の女サッチャーだった。そうしたパラダイムから抜け出すには、個々人のメンタリティを変革するしかない。この世の中、どんな乱世になっても生き残ってみせる、というメンタリティ、世界のどこに出かけて行っても稼ぐぞ、というメンタリティがポイントである。


日本復興計画 Japan;The Road to Recovery
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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