2012年06月22日

世界中の紛争地帯で戦う子供兵は30万人 3

世界を見る目が変わる50の事実
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「ジェシカ・ウイリアムズ著、酒井泰介訳:世界を見る目が変わる50の事実、草思社、2005年」の著者は英国BBCのジャーナリストで世界の有識者へのインタビューなどよく知られている。同書の「世界中の紛争地帯で戦う子供兵は30万人」という小節は衝撃的である。欧米のジャーナリストの取材魂と比べて仲良し記者クラブの日本の偽ジャーナリストの違いを感じる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.5人兄弟が「神の抵抗軍」(LRA)という紛争地帯の軍に捕まり、軍に入ると言ったとき、早々に、5人全員はLRAに人れない、働きが悪いからだ、と言われた。軍の連中は見ている前で、2人の弟を縛りあげて死ぬまで棒で殴りつづけた。残った3人に「これで度胸がすわっただろう」と言った。一番下の弟は9歳だった。
2.日本のごく普通の家庭の8歳児を想像すると、学校に行き、友達と遊び、スポーツをし、塾にでも通っている。それに対して、世界中の紛争地帯では、誘拐され、家族や友人にも会えず、ひどい仕打ちを受け、無理やり戦わされている子供が、世界には30万人もいる。
3.33もの国では、政府軍とゲリラの違いは問わず、今も、18歳にもならない予供が戦っている。子供兵は世界中の紛争の、実に4分の3に係っている。卑劣な軍にとって、子供は重要な戦略資源だ。紛争地域で家族とはぐれた貧しい子供たちは、特に目をつけられやすい。軍は、食べ物や、保護してやろうと甘言で誘い、おだて、幼い彼らには理解できない紛争に引きずり込む。当初の任務はたいてい荷物運びやスパイ。銃を持てるようになるとすぐに、戦闘員にされる。小火器が簡単に手に入るので、子供たちでも人を殺す兵士になれる。人権監視団(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)は、多くの少年兵が前線に送り込まれたり、地雷原で先に歩かされていると報告している。家族や出身部落の虐殺を命じられることもある。退路を断ち、軍に忠誠を誓わせるための卑劣な手段である。
4.女の子も兵士にされている。少女兵の数を正確に知るのはむずかしいが、多くの武装勢力で増えている。NGO「子供兵をなくすための連合」は、スリランカではゲリラ軍の「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)が、組織を挙げてタミル人少女(特に孤児)を引き込んでいると報告している。政府筋によると、警備の網をくぐり抜けやすい少女たちは「自由の鳥たち」と名づけられ、自爆兵として訓練を受け、幹部らの「妻」にもさせられている。
5.子供兵士が最も多いとされる国はミャンマーである。35万人の精強な国軍の2割以上が18歳未満と見られており、11歳の子供までもが兵役を強制されている。少年たちは、たいていバス停や鉄道の駅、市場、あるいは検問所などで捕まり、軍に入るか、それとも刑務所に行くか、という過酷な選択を迫られる。新兵を連れてくると金や米の褒美が与えられるので、ますます励む仕組みである。こうした新米子供兵たちは家族から遠ざけられ、訓練を通じて辱められたり残忍な仕打ちを受け、戦場へと駆り出される。脱走を試みて撲殺されることも多い。
6.こうした子供たちが目の当たりにする惨状は、想像を絶する。ある少年は、ヒューマン・ライツ・ウォッチに大量虐殺の目撃談を語った。「あるとき、約5人の女の人を生け捕りにした。赤ん坊が3人、少女も4人いた。連中は母親の手から赤ん坊を引き離し、女たちを1箇所に集め、無線で本部に報告した。返ってきた命令は「全員殺せ」だった。6人の伍長が銃で皆殺しにした。兵十は泣いている赤ん坊たちを抱いていたけど、そのうち1人は、生後9カ月か10カ月ぐらいで、母親たちを殺したあとで、3人の兵士は赤ん坊も殺した。両足を持って振りまわし、岩に叩きつけて。僕はすべてを見ていた」。証言した少年は、そのとき11歳だった。
7.子供兵は消耗品扱いされ、高度な軍事技術を身につけた成人兵ほどには大切にされない。分別もつかないほど幼いので、危ない現場に投入される。コンゴ民主共和国(DRC)では、1998以来300万人もの命を奪ってきた戦いに、何万もの子供兵が加わっている、アムネスティ・インターナショナルは、2003年の各勢力による合同政権樹立と和平計画にもかかわらず、東部地域ではかえって子供兵が増えている。国際社会やNGOは子供兵を少しでも除隊させようと努力しているが、障害は多い。社会資本もぼろぼろで、学校も破壊され、職は限られている。荒廃した故郷では復員した子供兵を受け入れる余裕がなく、彼らの多くはまた戦場に戻っていく。運よく社会復帰の環境に恵まれても、心の傷は何年も癒えない。
8.カラミという少年は、わずか15歳ですでにいくつかの部隊を渡り歩き、6年もの戦闘経験を持っていた。特にひどいある戦闘では、家屋を焼き討ちにし、仲間とともに一家を惨殺して、その肉を食べさせられた。これがきっかけで脱走を決心し、やがて救助された。「僕は読み書きもできず、家族の居場所もわからず、将来もありません。最もつらいのは、将来を考えるときです。僕の人生は失われてしまいました、もう生きる希望もなく、夜も眠れません。部隊で目撃したことや、自分がやってきたひどいことを思い出す」と言っている。
9.現代ではゲリラ的な小さな民兵軍が巨大な軍隊に挑むことが増えている。子供たちが高度な装備を持った先進国の兵士と戦う機会も増えている。アフガニスタンで「不朽の自由」作戦に携わっていた米兵が初めて死んだとき、相手は14歳の男の子だった。ある米軍高官は、子供兵との戦いには、「本腰を入れて取り組んでいる」と語っている。予供兵は、国際社会にとって間違いなく焦眉の問題だ。国軍と民兵軍の別を問わず、子供の徴兵を禁じる国際法が、いっそう重要である。ジユネーブ協定の付属文書など古い取り決めでは兵士の最低年齢制限は15歳とされていたが、それより新しい、国連で決議された「武力紛争への子どもの関与に関する子供の権利条約の選択議定書」は、18歳まで徴兵を禁止し、そのための実施可能な対策を義務付けている。また、反政府軍が18歳未満の児童を用いることは、たとえ義勇兵であっても禁じている。
10.反政府武装勢力に国際法を遵守させるのはむずかしいが、こうしたグループの多くは国際社会に政権としての正当性の認知を求めているため、国際法遵守の呼びかけには耳を傾ける。現在、戦闘に加わっている30万人の子供たちの誰もが、子供時代を奪われている。幸いにも命を落とさずに逃れた者たちも、罪悪感と恥辱にまみれ、人生を立て直して失われた時を取り戻すという大変な課題をかかえている。
11.ウガンダの「神の抵抗軍」から逃れた15歳の少女は、調査団にメッセージを託した。「私たちのような子供に何が起きているのか、世界にできる限り伝えてください。ほかの子供たちが、もうこんな暴力を経験せずにすむように」



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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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