2012年06月30日

東芝・米ウエスチングハウス連合の新型炉「AP1000」は、仮に福島第一原発と同じ状況になっても最後まで自力で冷却できる. 3

6月29日付けの大前研一さんのニュースの視点は『原発と電力問題 〜話題の見方を考える』と題する記事である。原発と電力問題を高所からの考察であり、参考になる。世代間にわたる、より長期的な、人類全体への科学技術の恩恵、地球温暖化対策についてのご見解も伺いたい。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.リトアニア政府は6月21日、日立と交渉中だった原発の建設事業権契約について、議会の承認を賛成多数で得たと発表した。原発から送電するラトビアなど周辺国から合意を得た後、正式契約する。
2.福島第1原子力発電所事故で国内での原発新設が難しい中、事故後の日本の原発プラント輸出の第1弾となる予定である。日立・米GE連合、東芝・米ウエスチングハウス連合、三菱重工のそれぞれの原発建設の受注状況を見ると、様々な地域の国から引き合いがある。 
3.日本国内では、福島第一原発事故の影響のため日本の原発建設メーカーは敬遠されると言う人もいるが、実際には日本企業は非常に優秀である。世界的に見ても原発建設産業では、日本勢に匹敵しうるのは、フランスのアレヴァ社くらいしか見当たらない。この市場に対しては、韓国や中国も参入を虎視眈々と狙っているが、日本の実績とは比べ物にならない。
4.福島第一原発事故の後、日本メーカーの原発は安全性が格段に上昇している。大前氏もレビューに参加しているが、東芝・米ウエスチングハウス連合の新型炉である「AP1000」は、仮に福島第一原発と同じ状況になっても最後まで自力で冷却できるという設計になっている。
5.今は日本国内で新しい原子炉を建設することは難しいが、20〜30年先、再生可能エネルギーの限界が見えてきたときに再度カムバックする機会がある。今は外国からの需要に応え、実績と経験を数多く積んでいてもらいたい。
6.日本国内の原発に対する姿勢を見ていると、特にマスコミ報道が少し過剰に反応している側面がある。例えば、経済産業省原子力安全・保安院は3つの原子力発電所のストレステスト(耐性調査)結果の審査を8月までに終える方針を固め、関西電力大飯原発の次に再稼働させる具体的な作業を進めているが、「住民からの反対」を容易に想像できる。
7.「福島第一原発事故の反省をしていない」「政府の説明が下手」という点が根本的な問題であるが、大飯原発の再稼働においても住民からの反発が強くなってしまったのは、小さな問題が発生するたびにマスコミが大きく取り上げて騒いでいたからである。
8.原発の稼働にあたって、小さな問題が発生することは日常茶飯事である。だからこそスタートアップする際には3週間〜4週間の時間を確保するのである。原発という巨大なプラントにおいて、いちいち小さな問題まで全て発表して騒ぐのは改めるべきである。「放射線量が多い地域を発見した」といって除染するなど、体内被曝の問題も大きく取り上げられることが多いが、これについても同じような側面がある。
9.被曝量が絶対量として多いか少ないかはここではここでは議論しないが、「医療被曝」による被曝量と比較して見たとき、医療被曝について大騒ぎしないが疑問である。日本医学放射線学会など12学会・団体は、CT検査などの普及で医療の検査、治療による被曝が増えていることを受けて、患者ごとに医療被曝の総線量を把握する仕組み作りに乗り出している。
10.がんによる死亡率が0.5%増すと言われている被曝量(年間)が100ミリシーベルト、職業被曝の年間限度が、50ミリシーベルトである。CT検査は1回で5〜30ミリシーベルトである。CT検査を複数回受けたときの被曝量は恐ろしい数値になる。日本では複数の病院でそれぞれCT検査を受けることは珍しくないが、その危険性も、福島第一原発事故の影響と同時に心配するべきである。
11.原発や放射能に過敏に反応しすぎる反面、計画停電による経済的な影響については鈍感過ぎると思う。政府は22日、電力需給の関係閣僚会議を開き、今夏の計画停電の手順と 節電目標の見直しを決め、北海道、関西、四国、九州の4電力管内で需給が逼迫した場合に計画停電する方針で、1回2時間、1日1回が原則と定める予定である。今年の夏がどういう気候になるのか分からないが、計画停電は絶対に避けなければならない。
12.計画停電は病院や工場にとって恐ろしく大変な事態を引き起こし、レストランやホテルなどの営業活動にも甚大な被害がある。1回2時間だろうが1日1回だろうが、断じて許可するべきではない。
13.国民は電力消費量が95%を超えたらテレビや冷房を使わないという形で協力すれば良い。工場は操業時間を早めたり休日をずらすことを計画するべきである。それぞれの立場で協力できることを行い、計画停電を避けることが何より重要である。


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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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