2012年10月25日

内需主導型の経済は、花見酒経済と言う人がいるが、それでも良い。介護サービスでもサービスを受けた人と供給者とがカネをやりとりして経済は活性化する。 3

「野口悠紀雄著:世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか、ダイヤモンド社、2010年」の「花見酒経済でもかまわない」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.落語に「花見酒経済」というのがある。2人の男が、花見の客に酒を売りに出かけたが、酒は売れない。そこで兄貴分が懐から銭を取り出し、弟分に渡して酒を買い、飲んだ。弟分は、もらった銭を兄貴分に渡して酒を買い、飲んだ、これを繰り返すうちに酒樽は空になった。二人は酒が全部売れたと喜んだが、元銭が残っているだけで金は増えていない。
2.内需主導型の経済とは、花見酒経済と言える。たとえば、介護サービスを拡大した場合、介護サービスを供給した人は、それで所得を得て消費する。介護サービスを受けた人と供給者とがカネをやりとりしているだけのように見える。しかし、それでもよいのである。なぜなら、消費財を生産する経済活動が拡大し、それによって経済全体の活動か拡大するからである
3.消費財の生産でも、経済活動に必要な原材料は、海外から買わなければならない。とくに、原油の輸入は必要不可欠だ。そのための資金はどうするのか、という反論がでる。介護産業と消費財生産活動だけが拡大すれば、日本は早晩行き詰まる、という反論が出るが、それは間違いである。
4.日本は資源に乏しいので、海外から輸人しなければならない。その購入資金として外貨を稼ぐ必要があり、そのためには輸出をしなければならない、と多くの人が考えている。高度成長時代にはそうだったが今は違う。
5.現在の日本は225兆円という巨額の対外純資産を保有しており、それによる収人の所得収支が巨額になっている、09年7月では、1兆2468億円の黒字で、これは自動車輸出額のほぼ2倍だ。海外から資源その他を購人するための資金は、これによって賄うことができる。6.巨額の対外資産をより適切に運用することができれば、現在の純資産でより多くの所得をあげることもできる。いまの日本で本当に必要なことは、このような能力を高めることである。もし所得収支の黒字で不足するなら、対外資産を取り崩せばよい。輸出がさらに減って貿易収支が年2兆円の赤字になっても、あと100年はもつ。
7.1980年代に内需主導型経済が提唱されたが、それは実現しなかった理由は、自民党政権が輸出産業に不利な政策を行なえなかったことと、当時の日本の対外資産蓄積は内需主導型への転換を正当化するほど大きくなかったことである。当時の状況では、依然として「外貨を稼ぐ」必要性は高かったが、日本は変わった。現在行なわれている追加経済対策は、これまでの産業構造を温存するためのものである。それを変革することが、今後の日本の命運を決める。




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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
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