2012年11月30日

取材相手と仲良くなることと、信頼を得ることはまったく違う。相手と打ち解けるのは精神的にも楽である。その魔力に抗うことが、読者の信頼を獲得し、社会を良くする記事を生み出す。

「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)
「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)
「マーティン・ファクラー著:本当のことを伝えない日本の新聞、双葉社、2012年」は、ずばり日本のジャーナリズムの問題点を暴いている。まず本書の「日本経済新聞は“企業広報掲示板”」「大企業の重役とベッタリ付き合う記者」の小節の部分の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.日本経済新聞は、日本における唯一の経済紙と言ってもよく、産経新聞社などの経済紙があるが、日本における影響力は日本経済新聞がダントツである。記者クラブメディアはスクラムを組んで、フリーランスの記者や外国人記者を排除してきた。当局の情報を寡占状態に置こうとしてきた。当局や一部上場企業が発信する経済情報を、日本経済新聞が事実上独占している。
2.日本のビジネスマンが、日本経済新聞を信頼する理由は、日本経済新聞の紙面が、当局や企業のプレスリリースによって紙面を作っている。大きな「企業広報掲示板」のようである。大量のプレスリリースの要点をまとめているだけで、大手企業の不祥事を暴くようなニュースは稀である。オリンパスの巨額損失隠し事件も、これまで、オリンパスから提供されるプレスリリース情報をせっせと紙面に反映してきた。大勢が判明する前にオリンパスをバッシングする記事を書けば、良好な関係にひびが入り、取材がしづらくなる。ジャーナリズムを追求することよりも、大企業から情報をもらい続けることのほうに価値を見出している。
3.同じ経済紙でも、イギリスのフィナンシャル・タイムズやアメリカのウォール・ストリ
ートジャーナルは報道姿勢がまったく異なる。これらの記者は、企業のプレスリリースにさほど興味を持たない。1日や2日、他社よりも早くプレスリリースをもらえたからといって、たいした価値などない。ネット全盛の時代、多少のタイムラグはあっても、いずれ企業のホームページのIR情報コーナーにでも公開される。
4.企業にとって好ましくない情報でも、厳しい取材拒否に遭っても、報じるべきことをニュースにする。そういう報道姿勢があったからこそ、フィナンシャル・タイムズは世界中のメディアに先駆けてオリンパスのスキャンダルを一面スクープすることができた。2001年12月、エネルギー産業やITビジネスを手がけるアメリカの巨大企業エンロンが破綻した。2000年度の年間売上高は実に1110億ドルに達しており、この数字は
全米第7位だった。そんな巨大企業に、数百億ドルにのぼる巨額の粉飾決算が発覚した。新聞各紙が徹底的にエンロンの不正を追及した結果、栄華を誇った同社は破綻に追いこまれた。
5.日本で同じような事件が起きた際、大企業と距離が近い日本の新聞はどんな報道をするかは、オリンパス事件を見る限り期待できない。記事が偏らないよう、社内では何重ものチェック体制が働いている。そのチェック体制をかいくぐり、企業なり当局なりの一方的な情服に依拠した記事ばかりが紙面を占めることは難しいシステムになっている。
6.日本の経済担当記者たちの生態を垣間見る機会があった。日本の大企業の会長や社長、専務が揃ったある懇談会がいわゆる「オフレコ懇談会」と称し、役員たちの発言を記事にしないことを前提として、ざっくばらんに情報交換をしようという場だった。懇談会の場には、朝日新聞や読売新聞をはじめとする大手メディアの記者が勢揃いしていた。するとある記者が、とても慣れた様子で空けてあった会長の隣の席に座った。「××さん、昨日話したようにね……」などと会長から親しげに話しかけられる姿は秘書のようで、完全に社内の人のように見えた。会長の横を指定席としていたその人物は日経新聞の記者だった。なんとも不思議だったのは、その場で語られる話は記者にとって新鮮な情報だらけのはずなのに、日本経済新聞の記者はすでに話の中身を全部知っているかのように振舞っていたことである。懇談会の席で話される情報など、会長さんと仲良しの記者はとっくに承知済みなのである。
7.取材対象である企業の重役たちと近しく付き合っていながら、いざというときに踏みこんだ取材をしたり、厳しく不正を指摘できるのは難しい。記者にとって、相手のであ胸襟を開かせ、信頼を得ることは取材活動をするうえで大切である。だが、取材相手と仲良くなることと、信頼を得ることはまったく違う。記者も人間である。相手と打ち解けるのは精神的にも楽である。その魔力に抗うことが、読者の信頼を獲得し、ひいては社会を良くする記事を生み出すことにつながるのである。
8.フィナンシャル・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズに大きく報道されているニュースであっても、日本の新聞では扱いが小さく、論調も違う。こうしたケースは、オリンパスの一件に限らない。同じ事件を報じていながら、そこにはまったくの別世界が広がっている。


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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
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