2013年04月26日
生き方のバランスの崩れが病気を引き起こす。いたずらに病気治療に執着しないこと。健康ばかりを求めて病気の世界を拒絶することは、生き方の本質からは外れる。
人が病気になるたった2つの原因 低酸素・低体温の体質を変えて健康長寿! [単行本]
「安保徹著:人が病気になるたった2つの原因、低酸素・低体温の体質を変えて健康長寿、講談社、2012年第5刷発行」の「第6章:血液ドロドロの効用」は非常に興味深い内容である。印象に残った部分の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.頭に血がのぼったら下半身を刺激することが必要だが、下半身ばかり鍛えればいいわけではない。何事もバランスが大切である。下半身ばかりを重視して頭に血が行き渡らなくなることは、脳の働きの低下を意味する。認知症にかかった老人がむやみに俳徊するのもそのためである。
2.認知症が増えているのは、定年退職してすることがなくなり、頭をあまり使わなくなることが関係している。頭を使わないですめばストレスも減り、気持ちは穏やかになるが、あまり度を超すと血が頭に回らなくなるため、ボケの世界に入る。ボケを予防するためには、ほどよく上半身を使うことが重要である。
3.すぐにできる対処法は、手先の運動を取り入れることである。年をとったら健康のために歩くことばかり考えるのではなく、ピアノや習字を習ったり、編み物や料理をしたり、こまめに手先を動かすことが効果的で、脳が適度に刺激され、物忘れも減っていく。
4.年をとっても元気で、血圧や血糖値が高めの人は、ウォーキングをするなどして、頭に血がのぼるのを防ぐこと。睡眠時問をしっかりとって、早寝早起きの習慣をつけることで、交感神経の緊張を上手にとることも大事である。著者は、どちらかというとカッカしやすい性格なので、興奮して声が大きくなり、血圧が上がりやすい傾向がある。一時は散歩を習慣にしていたが、ダラダラと歩くだけでは単調すぎて飽きてしまうので、いまでは朝食の前にゴミ出しをしたり、家のまわりを掃除したりして体を動かすようにしている。
5. 夜9時くらいには床に就くようにして、睡眠をたっぷりとることで、副交感神経を優位にすることも心がけている。現代人は総じて運動不足の傾向にあるので、自分の性格や生活環境などを考慮しながら、下半身と上半身をバランスよく鍛えることが大切である。体を鍛えるといっても、フィツトネスクラブなどに通って、へトヘトになるまで体を酷使する必要はない。頑張ってストレスをためるより、適度に手を抜きながら続けることが若さを保ち、健康を手に入れる秘訣である。
7.私たちの体は、血液ドロドロとサラサラの間を行き来しながら、感情をコントロールし、この世界で生き抜くすべを得ている。突きつめていくと、人間が恒温動物であることと関係している。恒温動物は、自分自身で体温を変えることができる生き物であるため、体を動かしたり、逆に冬ごもりをしたりすることで、体温が上がりすぎたり下がりすぎたりするのを、つねにコントロールする必.要がある。
8.人間の場合、解糖系とミトコンドリア系の調和が求められることから、生活のなかで瞬発力と持続力をうまく使い分け、どちらにも偏らないよう、たえず微妙にバランスを整えながら生きていかなければならない。血液がドロドロであるかサラサラであるかということも、このバランスの結果である。
9.生き方のバランスの崩れが病気や体調不良を引き起こす要因ならば、そこから抜け出そうと、いたずらに病気治療に執着しないことである。逆に、健康になることばかりを求めて病気の世界を拒絶することも、生き方の本質からは外れている。病気になることは、自分自身の調和の崩れに気づくための、非常に貴重な体験になる。血液ドロドロをただ悪者扱いするだけでなく、そうやって外界のストレスに対応している体の知恵に目を向けることが大切である。