2013年07月27日
何でもかんでも反対をして、オバマは何もできない大統領だという烙印を押すことによって政権を取り戻そうとした。党利党略で政治が動かないのは、日本だけではない。
知らないと恥をかく世界の大問題4 日本が対峙する大国の思惑 角川SSC新書 [新書]
「池上彰著:知らないと恥をかく世界の大問題4、日本が対峙する大国の思惑、角川マガジンズ、2013年6月」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.2012年は世界の大国のトップが次々と交代した。アメリカ、ロシア、フランス、日本、韓国、台湾などで選挙、そして中国共産党は胡錦濤体制から習近平体制へ。日本は、野田佳彦首相の突然の解散による衆議院議員総選挙で約3年3カ月ぶりに政権交代が行われ、自公連立政権に戻った。
2.新しい指導者のもと、世界はどう動いていくのでしょうか。
アメリカ国民は再び民主党のバラク・オバマを大統領に選んだ。共和党のミット・ロムニーに数十万票の差をつけての勝利した。獲得した選挙人の数だけ見ると、ロムニーの206人に対し、オバマは332人と圧倒的勝利のようだが、得票率を見ると、ロムニーは48%、オバマは51%で、それほどではない。前回のオバマ53%対マケイン46%に比べて差は縮まった。
3.選挙人計538人の過半数である270人以上を獲得した候補者が当選となる。大半の州では「勝者総取り方式」が取られている。得票数1位の候補者が選挙人のすべてを獲得できるようになっている。たとえ1票でも多く獲得したほうがその州を制する。
4.オバマは明らかに4年前より支持率が落ちている。理由は「黒いアメリカも、白いアメリカも、ラテンのアメリカも、アジアのアメリカもない、あるのはアメリカ合衆国だ」という演説に、人々は熱狂して、国民は希望を抱いたが、大統領選挙前に発生していたサブプライムローン問題の余波は予想以上に大きかった。
5.オバマが大統領に選ばれたのは、リーマン・ショック直後の2008年11月である。オバマはブッシュの尻拭いをしなければならなかった。景気が落ち込んでいく過程で大統領になったが、対策を講じてもそれ以上の悪化を止めるのがやっとの状態であった。企業業績は低迷を続け、個人消費の落ち込みを財政出動で賄うので財政赤字(国の借金)が膨らんだ。
6.アメリカ国民にしてみれば景気がよくなると思って選んだのに、経済は一向に改善しなかった。オバマへの不満が募ってた。2年後の中間選挙では、連邦議会の下院は共和党が過半数を取り「ねじれ議会」になってしまった。政権運営はうまくいかず、決められない政治の状態に陥いった。
7.後半の2年間は、共和党は、次の大統領選挙でオバマを引きずり下ろす、と徹底的に嫌がらせをした。後半2年問に議会に提出された法案で成立したのはわずか2%だった。何でもかんでも反対をして、オバマは何もできない大統領だという烙印を押すことによって政権を取り戻そうとした。党利党略で政治が動かないのは、日本だけではない。