2014年07月24日

日本学術会議の緊急提言結論「大規模調査を早急に実施することが望まれる」である。こんなこと今さら言われなくても分かっている。

原発事故と放射線のリスク学
中西準子
日本評論社
2014-03-14

「中西準子著:原発事故と放射線のリスク学、日本評論社、2014年」の「第3章:福島の「帰還か移住か」を考える・経済学の視点から、対談:飯田泰之vs 中西準子」が面白い。
先ず、「原発事故と研究者の責務」という小題の部分の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.福島第一原発事故により、原発周辺地域では今でも多くの方々が避難や移住を強いられている。除染も思うように進まず、補償の方向性も定まっていない。除染に関しては莫大な費用がかかる上に、政府が目標としている線量まで低減できない区域も出てくると思われる。除染と帰還だけを前提にした政策が正しいのか、経済学的な視点で飯田先生に分析していただく。
2.第一原発周辺地域ではどちぢに進むのかもわからない。方向性だけでも早く決めることも政府の仕事だが、なかなか示されないまま時問ばかりが過ぎてきた。災害や原子力以外の研究者も専門家としてできることが少なからずある。論争を避ける人と、やらなくていい論争ばかりする人に分かれている。
3.ある地域を除染すべきか否かといった具体的な論争ならば生産的だが、評論家はやたら大きな話にばかり終始したり、学者たちは研究方針や姿勢(作法?)をチクチクやりあっている。これは不毛である。
4.今は目の前の問題を分割し、分析し、そして判断しなければならないが、実際的なプロセスに興味を持つ人が少ない。個々の小さなことにみんなが専念すると、そこに研究費が落ちてくる。除染も帰還も大きな問題だが、その全体を見ようとする人がいない。もう細かい専門分野の中だけで論争する段階は終わっている。細かい話を統合して判断すべき時期である。
5.著者らは自らデータを取ることができない。環境省や文科省の人たちは線量率の詳しいデータを取ることができる。とにかく推計に推計を重ねて試算を発表したら、その反響がものすごくて、逆に驚いた。霞が関ではすでに内部では試算していて非公表にしているだけだろうと思っていたら、そうでもなかった。誰もやっていないことにびっくりした。全体をまとめて考えようという研究者がいないのか、怖くてやらないのかわからない。
6.よくあるのは、結論が「さらに研究を深めるべきだ」「一層の研究が待たれる」で終わってしまう研究である。議論が深まっていかないし、現実に何も寄与しない。日本学術会議の放射線の有害性などを研究していたグループが緊急提言の結論は「多数の測定者による大規模調査が必要であり、大学等の協力を得て早急に実施することが望まれる」である。こんなことを今さら言われても、分かっている。「〜すべきだ」と言っているその人たち自身は何をしたいのか。研究者が全くリスクを取らないというのは大きな問題である。
7.その結果メディアでは科学的根拠も無い断言ばかりが注目される。行政の一部も、疑似科学を公的に支援している。九分九厘正しいといえるは結構ある。喫緊の問題がある中ではほぼ正しい、ほぼ間違いという認識をもって「我々は〜を行う」「〜を行った」という結びにならなくてはいけない。
8.何も言わないことも、一線を超えることもどちらも危険だが、それでも学者は不確実性にも踏み込まなければならない場合がある。最後のところは政治家や行政官が決めることである。例えば、チェルノブイリの経験など、あの時点で知っている人は学者しかいない。



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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
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〇日展入選有

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