2014年07月27日

中国・韓国が反日になる理由を知るには、伝統文化によって育まれた精神文化と、その潜在意識を知る必要がある。


「黄文雄著:なぜ中国人・韓国人は反日を叫ぶのか、宝島社、2013年」の著者は1938年台湾生まれで。コウ・ブンユウと読む。1964年に来日し早稲田大学を卒業し、評論家として活躍している。「第3章:中国・韓国の反日における深層心理」が参考になる。前半部分の印象に残った部分の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.戦前の中国の反日、排日、抗日運動は当時、「仇日」運動という用語で語られ、伝えられている。現在でも台湾のメディアでは、たとえば、最大のメジャー紙である「自由時報」によると中国の反日デモを「仇日運動」と報道し、「中国の仇日民族主義」を批判している。「反日」よりも「仇日」運動のほうが中国の運動の本質であり、中国人の態度や言動の原因をよく伝えている。
2.「日本に対する復仇はまだ終わっていないのに、日本と付き合うことは、中華民族に対する裏切りだ」と主張する仇日運動団体とその傘下の言論人がいる。中国・韓国が反日になる理由を知るには、伝統文化によって育まれた精神文化と、その潜在意識を知る必要がある。
3.辺境の野蛮人という意味の「夷狄」という差別用語の対極にあるのが、「中華」という言葉である。大中華の中国も、小中華の韓国も同様である。「中華」とは、「中」と「華」との合成語で、東西南北の方位から見て中国はあくまでも真ん中に位置するという考えから生まれた言葉である。
4.孔子も朱子もこの「華夷の別」という中華と夷狄との分別、差別意識を強調している。
このような差別意識は数千年来の文化伝統であり、中華という風土から生まれたものである。古来から「文明人としての華と野蛮人としての夷」はあったが、確立したのは、孔子以後の儒教によってである。
5.中華世界において、夷狄はずっと「禽獣」と見なされてきた。中華世界は漢末から六朝の時代になると、北方の夷秋が中原に入り、いわゆる「五胡十六国」「南北朝」の時代となる。この六朝の時代には、儒学者が逃げ散ってしまい、儒教を教えられる者が消えてしまったので、仏教がこの天下大乱の時代に中華世界に入ってきて、民衆の魂を救済する精神的な支えとなった。
6.東アジア史から見れば、北方諸民族と称される北狄である五胡と万里の長城以南の華夏の民である漢人、それに長江以南の楚蛮が、百越諸民族の大混合によって、「唐人」として歴史に登場してくる唐・宋の時代になると、儒学の復興をめざした韓愈が「原人」と記しているように、夷独も「禽獣」から「半人半獣」として描かれている。ダーウィンの「進化論」よりも早く、「夷独進化論」が認知されたのだった。
7.中国人から見れば、夷狄は必ずしも人間にまで進化したのではない。宋の時代に入ってから仏教思想の影響を受け、思想的には理と気の学がはやり、それを集大成したのが朱熹の「朱子学」である。元の時代を経て、明の時代は朱子学と異なる王陽明の「陽明学」が生まれた。
8.日本では「陽明学」を「革命の哲学」と説く学者が多いが、中国の「陽明学」とは「革命」とはまったく別次元の儒学で、夷狄虐殺を「天殺」とする「虐殺の哲学」である。儒学の「夷秋進化論」も、決して野獣から人間にまで一直線に進化してきたと認めているわけではない。明末から約400年にもわたって夷狄を人間とは見なしてこなかった。
9.明末の大儒学者である王夫之は、「夷狄は禽獣だから殺しても不仁といわず、だましても不義不信といわない」とまで説いている。仁義道徳は人間にしか通用しないという論理である。異人は禽獣だから「仁義道徳」など云々すべきでないとも説いていた。人間と禽獣をめぐる華夷の大論争が続き、清の雍正帝が『大義覚迷録』を著して、儒学者の不当な説を論破したほどだった。
10.外国人を禽獣視することは、時代を下って緩和したのかというとそうではなかった。アヘン戦争(1940〜42年)後の南京条約第13条で「これからイギリスを英夷と呼ばない」と明文化したが守られないので、アロー戦争(第二次アヘン戦争)後に締結した天津条約に「これから西洋人を西夷と呼ばない」と再度明文化された。だが、それでも守られなかった。
11.19世紀末の清朝で、明治維新をモデルとする戊戌維新を起こそうと計画していた康有為、梁啓超らが、下野し北京外遊中の伊藤博文元総理を政治顧問に迎えようとして、改革維新では何が重要なのかと聞いたところ、伊藤は開口一番「まず外国人を夷狭と呼ばないことだ」と諭した。
12.大中華の中国と小中華の韓国の外国人への差別は、かつての南アフリカにおけるアパルトヘイト以上で、人種差別ならぬ「人獣差別」である。たとえば、ライス元米国務長官を、中国のネット世代は「黒い犬」と呼んでいる。中国人による人種差別は、朝鮮人、ベトナム人を筆頭にチベット人、ウイグル人、モンゴル人にまでおよぶ。もちろん「小日本」といわれる「倭夷」も例外ではない。中国人からすれば、日本人も朝鮮人も「夷狄」であり、「正史」の東夷列伝に記述されている。
13.大中華から「東夷」と見なされている朝鮮人の小中華であるが、外人観は、李氏朝鮮時代は「大国人」である中国(明)は別格としても、北方の夷狄である満州人とモンゴル人を夷狄として極端に人獣差別していた。もちろん「倭夷」の日本人に対しても同様である。大中華も小中華も外に対する「人獣差別」がきわめて強い。「反日」はこういう中華の文化伝統としての華夷意識が元になっている。
14.そのような差別意識は外へばかり向けられる差別かというとそうではない。日本から「友好人士」が訪中した際、珍しい外国人見たさに集まった人民公社の村民を、党の役人があたかも動物のように追い払ったことに違和感を覚.えたという人が多かったと訪問録に記載されている。
15.小中華の場合、ことに李氏朝鮮時代には、思想的には儒教国家でも、社会構造上ではインド社会のカースト制以上の階級差別社会だった。ことに両班に差別される農民、奴碑、娼妓による、さらに下の「白丁」いじめは、じつに言語に絶するものがあった。
16.韓国は日韓合邦以降の朝鮮総督府の時代に、四民平等の近代国民国家の潮流にしたがって、法治国家となり、階級差別を是正し奴碑を解放した。しかし、実際には戦後になっても、地方差別だけでなく職種差別もなお根強く残っており、在日に対する差別も例外ではない。現在の中国・韓国の「反日」にひそむ潜在意識は、華夷思想の階級差別の意識に由来している。


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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