2014年12月30日
アメリカには、外交安全保障の司令塔となる最高意思決定機関NSC(アメリ力国家安全保障会議があり、その下に16の情報機関があり、CIAもNSAもそのひとつでスパイ活動を行う。
「池上彰著:知らないと恥をかく世界の大問題5、KADOKAWA、2014年」の「第1章:大きく内向きになるアメリカ」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して、自分のコメントもカッコ内に付記して纏めると以下のようになる。
1.アメリ力政府による情報収集活動を、元CIA(アメリ力中央情報局)局員のエドワード・スノーデンに暴露されたことも、大きなダメージになった。スノーデンは9・11同時多発テロ事件で愛国心が刺激され、軍隊に入ったが、CIAに出向になり、CIAを辞めて民間企業に勤めていたら、そこがNSA(アメリカ国家安全保障局)の下請け会社だった。
2.アメリカには、外交安全保障の司令塔となる最高意思決定機関NSC(アメリ力国家安全保障会議がある。NSCの下に16の情報機関があり、CIAもNSAもそのひとつである。CIAは「中央情報局」で、海外でのスパイ活動など主に人間による情報収集を行う。NSAは「国家安全保陣局」、盗聴など電子機器を使って情報を収集する。FBI(アメリカ連邦捜査局)も16の情報機関のひとつだが、活動はアメリカ国内に限定されている。
3.スノーデンはNSAの下請け会社で働いていたが、ITに関する知識や技術を買われてNSAに派遣された。そこでスノーデンが見たもの。それは、NSAが、アメリカの国内外を問わず、ありとあらゆるものを盗聴していたという現実だった。民主主義の国であるアメリカがこんなことをしていいのか、という正義感から実態を暴露した。
4.NSAが情報を収集している方法で有名なのはエシュロンである。日本の三沢基地(青森県)にも存在している。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、つまりアングロサクソンの5つの国の情報機関が協力して盗聴し、盗聴したデータをNSAに送ると、NSAのスーパーコンピュータがそれを解析し、キーワードで疑わしいものをピックアップする。それを人間が細かくチェックしていく。
5.スノーデンの告発は、自国民の反発を招いただけではなく、アメリカが国際社会から批判を浴びる事態となった。アメリカはロシアに対し、「死刑にはしないから引き渡して」と申し出たが、ロシア側はこれを拒否した。
6.ウラジーミル・プーチンはスノーデンの受け入れには消極的だった。プーチンは元KGB(ソ連時代の国家保安委員会)のスパイ。東西冷戦時代、東ドイツで活動し、西ドイツの国内情勢を探っていた。元スパイとしてのプライドから、「国家機密を暴露するなんてスパイの風上にもおけないヤツ」という思いがある。スノーデンはまだ全てを暴露したわけではない。オバマ大統領としてはこの先、その釈明に追われることになる。スノーデン事件をめぐっては、米ロ関係が悪化しただけではなく、アメリカが、中国に対してはサイバー攻撃の問題で厳しく対処を求める立場だったのに、逆に守りの立場に立たされることになった。