2015年01月22日

トリチウムは、韓国やフランスの原子力施設などでは、海に流している。日本では汚染水溜めておくしかないが、いずれ放出を政府が決断する。

「池上彰著:
知らないと恥をかく世界の大問題5、KADOKAWA、2014年」の「第4章:小泉元首相も脱原発派に」は面白い。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して、自分のコメントもカッコ内に付記して纏めると以下のようになる。
1.安倍晋三首相は五輪招致の最終スピーチの中で「フクシマ私から保証します。状況は制御されています」と大見得を切った。福島第一原発は「全基が廃炉」と決まったが、5号機と6号機に関しては当面解体はせず、燃料棒を取り出す技術などの研究.開発施設に転用される。
2.1号機から3号機については、燃料棒がメルトダウンしている。いまも炉心で発熱を続けており、大量の放射性物質を冷やし続けなくてはならない。東京電力は、4号機から燃料棒取り出し作業に着手した。核燃料保管プールに使用済み核燃料と未使用の燃料棒計1533体が入っていたので、これを順次取り出す作業を始めた。
3. 1、2、3号機の原子炉の中には、メルトダウンした燃料があり、これを取り出す技術はまだない。これから研究してロボットで燃料を取り出すための装置をつくる。順調にいくと2020年、東京オリンピック・パラリンピックのころに、ようやく着手できるといわれている。うまくいっても40年はかかるといわれている廃炉作業は、いま、福島第一原発で行われているのは、その第一歩にすぎない。
4.原発事故の処理は、「核燃料の取り出し」と「汚染水対策」が主な課題である。汚染水対策も難航を極めている。汚染水には、汚染水そのものと、正確には「汚染水されていく水」の2種類がある。汚染水は、原子炉建屋の地下やタービン建屋の地下といったところに高濃度のものが溜まっている。本来、核燃料は原子炉圧力容器の中にあったが、圧力釜も溶けて穴が開き、その外側の放射能を閉じ込める最後の防壁である格納容器も穴が開いている状態だとみられている。
5.「汚染されていく水」とは、原子炉建屋には、さらに山寄りの所から大量の地下水が毎日流れ込んでいる。その量は1日400トン。もともとは汚染されていない水が原子炉の壊れた部分に入り込む。これも海に流すわけにはいかないので、とりあえずタンクに保管する。
6.汚染水は、新型の浄化装置、通称「ALPS」といわれるフィルターを通して放射性物質を除去し、除去後の水もタンクに溜めている。この装置だと、ほとんどの放射性物質を取り除くことが可だが、水と性質がよくの似ているトリチウムだけが残る。これもタンクに入れて保管する。こうして巨大なタンクが増え続け、原発の敷地が広くても限界がある。
7.トリチウムは、たとえば韓国やフランスの原子力施設などでは、普通に海に流している。日本では、汚染水はとにかくどこにも出すなという方針だから、溜めておくしかない。いずれどこかの段階で、海岸への放出を政府が決断しなければならない。
8.地下水が汚染水にならないようにするには、地下水を上流でブロックし、地下水が福島第一原発の下を通らないようにする。当初は漁業団体は、地下水バイパスにより難色を示していたが、放出することが決まった。そのために「凍土壁」という地中に管を埋め込み、管の内部に氷点下40℃以下という冷却材を循環させ、周囲の土を凍らせて地下水をブロックする。コンクリート製の遮水壁をつくるより、短期間で完成させることが可能だが、建設には320億円かかる。原子炉が廃炉になるまでの40年間、ずっと冷却材を循環させ続けるための電力使用量は莫大である。
9.原発事故の処理は「核燃料の処理」と「汚染水対策」、加えて「除染」がある。文部科学省などは、福島県内で子どもたちが学校で安全に過ごすための放射線量の限度について、「年間1ミリシーベルト未満」という目安をつくった。1ミリシーベルト未満にならないと、帰れないことになる。
10. 日本全国どこでも放射線量は年間1ミリシーベルト以下ではない。放射線は自然界からも発生していて、西日本では年間1ミリシーベルトより多い県もある。IAEA(国際原子力機関)の専門家チームは「年間ーミリシーベルトという被曝線量の政府目標は必ずしも達成する必要はない。環境回復に伴う利益と負担のバランスを考えて最適化する必要がある」という報告書をまとめた。
11.日本政府が除染の目標としている基準が厳しすぎるため、復興を遅らせているという意見もある。この厳しい基準の結果、2013年度までに政府が計上した除染費用は1兆3000億円にのぼる。もう一度根本から議論をする必要がある。「被曝線量は少しでも低いほうがいい」というのは、子どもを持つ親たちの思いである。これが多くの日本人の発想だけに、見直しは困難と思われる。


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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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