2015年01月28日

イスラエルは、ヨルダンが支配していた東エルサレムを占領したことで、旧市街地も確保し、エルサレムを永遠の首都と宣言した。国際社会は、イスラエルのこの行動を認めていない。


「池上彰著:学校では教えない「社会人のための現代史」池上彰教授の東工大講義、文藝春秋、2013年」が面白い。「Lecture5.日本にも飛び火? イスラエルやシリアの紛争」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.パレスチナの他の地域は、ヨルダン川西岸地区をヨルダンが、ガザ地区をエジプトが占領した。国際管理都市に指定されたエルサレムは、西側をイスラエルが、聖地がある東側をヨルダンが占領した。結果、パレスチナは3分割された。その後、3回の戦争を経て、イスラエルは、ヨルダン川西岸地区もガザ地区も占領し、さらにシリア領のゴラン高原も占領した。
2.ヨルダンが支配していた東エルサレムを占領したことで、イスラエルは旧市街地も確保し、エルサレムを「分割されることのない永遠の首都」と宣言した。国際社会は、イスラエルのこの行動を国連決議に反したものと判断し、エルサレムをイスラエルの首都としては認めていない。大使館は相手の国の首都に置くものだが、日本を含め各国ともエルサレムには大使館を設置していない。各国の大使館はテルアビブにある。
3.度重なる戦争によって生まれたのが、パレスチナ難民である。イスラエルの建国によって追われた住民や、戦火から逃れた人々は、ヨルダンやレバノン、シリアに難民となって流入した。彼らは「パレスチナからの難民」という意味で「パレスチナ難民」と呼ばれた。民族としてはアラブ人だが、「パレスチナ難民」と呼ばれているうちに、彼らの中に、「自分たちはパレスチナ人だ」という意識が生まれた。
4.パレスチナ難民の援助のため、「国連パレスチナ難民救済事業機関」が設立された。「国連難民高等弁務官事務所」とは別組織である。各地に「パレスチナ難民キャンプ」が作られたが、難民生活が長引くにつれ、テント生活の「キャンプ」は、恒久的な住居に変わり、「難民キャンプ」という名の都市が生まれた。あくまで一時的な収容施設であるという建前があるので、下水道などの整備は行われず、衛生状態は決してよくない。
5.難民であるために、その国で就職することはできず、閉ざされた空間で生活する閉塞感に悩まされている。こうした難民の中から、「パレスチナの独立国家」をめざす運動が始まり、最大の組織はパレスチナ解放機構(PLO)でその指導者はヤセル・アラファトだった。PLOや、そこから飛び出した過激派組織などは、世界各地でテロ活動を展開し、世界の注目を浴びるようになり、悲惨なパレスチナ難民の状態に対する同情も高まり、パレスチナ和平への動きが出てきた。
6.和平交渉の舞台を提供したのは、北欧の国ノルウェーである。ノーペル平和賞の選考委員会があるノルウェーは、世界各地の紛争解決に努力することが多く、遠く離れた中東での紛争解決にも乗り出した。こうして1993年5年9月まとまった和平案は、交渉の舞台となったノルウェーの首都の名前をと「オスロ合意」という。
7.合意の調印式は、米国のクリントン大統領を保証人として、ホワイトハウスの中庭で行われた。イスラエルのイツハク・ラビン首相と、PLOのアラファト議長が握手を交わした。オスロ合意の中身は、イスラエルが、占領しているヨルダン川西岸地区とガザ地区から順次撤退し、パレスチナ住民による選挙で代表を選出し、自治を姶める、というものである。これにもとついて、1996年1月にパレスチナ住民による選挙が実施された。国会に
あたるパレスチナ立法評議会の議員選挙と、大統領にあたるパレスチナ自治評議会議長の選挙が同時に行われた。その結果、PLOのアラファト議長が、自治評議会議長に選出された。それまでイスラエルに対するテロ行為をしていた武装組織は、パレスチナ自治政府の警察に生まれ変わった。
8.こうして中東和平は進展するかに見えたが、イスラエルのラビン首相が、1995年11月、暗殺された。犯人は、ユダヤ教原理主義者で「ユダヤ人の土地」をパレスチナ人に譲ることは「ユダヤ人に対する裏切り」と考えての暗殺だった。ラビン亡き後のイスラエルでは、パレスチナ自治政府との和平に消極的な首相が相次いで誕生し、その後の「パレスチナ国家」建設への動きは足踏み状態である。
9.和平の進展がないことに焦燥感を募らせたパレスチナの過激派組織は、イスラエルに対するテロ活動を活発化させた。これに怒ったイスラエル政府は、パレスチナ自治区との間に「分離壁」を建設した。パレスチナ側から武装勢力やテロリストが入ってくるのを防ぐため、イスラエルとパレスチナ自治区を遮断した。コンクリート製の高い壁で、随所に監視塔が建てられました。分離壁の建設が進むにつれ、イスラエル国内での自爆テロが激減した。
10.中東和平が進展しないまま、2004年11月にはアラファト議長が死去し、後任に穏健派のマフムード・アッバス議長が誕生した。故アラファト議長ほどのカリスマ性には欠け、2006年1月に実施されたパレスチナ評議会議員選挙では、イスラム原理主義組織のハマス(イスラム抵抗運動)が過半数を得て、イスマイル・ハニヤ首相が誕生した。
11.ハマスは、イスラエルの存在を認めない方針をとってきたため、イスラエルも米国も、選挙結果を認めない。パレスチナの中でもイスラエルとの共存を認める穏健派のファタハとの間で対立が発生。ガザ地区では激しい銃撃戦の末、ファタハは追放された。それ以降、パレスチナ自治区のうち、ガザ地区はハマス、ヨルダン川西岸地区はファタハが支配するという状態になり、パレスチナが分裂してしまった。ハマスが支配するガザ地区から、イスラエルに向けてロケット弾が発射されている。
12.2012年11月には、ガザ地区のハマスの軍事指導者をイスラエル軍がミサイル攻撃で暗殺したことから、ガザ地区から大量のロケット弾がイスラエル側に撃ち込まれた。これに対してイスラエル軍も空爆で報復し、ガザ地区の住民に多数の犠牲者が出た。この戦闘については、エジプトのモルシ大統領が仲介に入り、ようやく休戦が成立した。



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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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