2015年02月19日

ゴルバチョフを過大評価していたが、もっと大きな見込み違いもしていた。「天安門の悲劇が共産党の崩壊を招くだろう」という予測である。


「メリンダ・リウ著:繁栄で忘れられた血染めの過去、天安門事件 25年前の虐殺が示した独裁国家・中国の本性民主主義を拒否し続け、虚栄に浸る国の行く末とは、検閲で記憶は消せない、Newsweek June 10 2014」が面白い。
1. 25年前の春、中国では多くの人がソ連の「改革」に共感していた。5月にはゴルバチョフが国賓として訪中し、30年にわたる中ソ対立に終止符を打つことになっていた。当然、外国メディアも大ニュースとして注目していた。当時の私は香港を拠点としていたが、ゴルバチョフ取材のために短期の報道ビザを取り、空路北京に入った。到着してまず感動したのは、4月15日に死去した改革派の旗手・胡耀邦元総書記を悼む人々がたくさんいたことである。
2.胡が他界する以前から中国では民主化の欲求がくすぶっていたが、天安門広場の人民英雄記念碑は白い花輪に埋もれていた。政府の中枢機関がある中南海前では、報道の自由の拡大を含む胡の始めた改革の継続を求める多くの民衆が平和的に座り込みをしていた。中ソ首脳会談の前週には100人の中国人記者が国営新華社通信に押し掛け、こうした民衆行動に関する報道の規制に激しく抗議していた。
3.私は自転車で市内を巡りながら、あちこちで大勢のデモ隊の姿を目撃した。「抗議行動について別の記事も書きたい」と、ニューヨークの編集部に提案したが、あっさり却下された。「中ソ関係記事の中に盛り込んでくれ」という指示だった。人民英雄記念碑は天安門広場の中央にそびえ立つ。そこに集結したデモ隊も、ゴルバチョフが到着する5月15日までには排除されるだろう実を言えば思い込んでいた。ところが13日には自転車に乗った数百人の大学生が集まり、下火になり始めた運動を再び盛り上げるため、記念碑の下でハンストを始めた。14日の夕方、今夜こそ当局が出動すると予想した私は、現場に立ち会うため広場へ向かった。
4.北京の春は心地よい。学生たちの掲げる色とりどりの絹の旗が、そよ風に揺れていた。彼らは静かに話し合い、歌ったりギターを弾いたりしていた。夜が明け、輝く朝日が記念碑を照らし始めた頃、私は疲れ切った体を引きずり、不吉な予感を抱えながら帰った。結局、ゴルバチョフ訪中のニュースはかすんでしまうことになる。
5.到着したゴルバチョフは、市民から「英雄」として想定外の大歓迎を受けた。天安門広場は群衆で埋め尽くされ、一行はめったに使われない裏口から人民大会堂に入ることになった。もちろん中国側の意向である。ゴルバチョフの車列が通る沿道では、民衆が歓呼で迎えた。ゴルバチョフを「真の改革者」と呼ぶ中国語とロシア語の赤い横断幕もあった。それは「中国に真の改革者はいない」というメッセージで迎えた。
6.経済改革が進んだ今の中国でも、ゴルバチョフ流のグラスノスチ(情報公開)は実現していない。ゴルバチョフは中国側に配慮して、そんなことには気付かぬふりをし、度重なる予定変更にも文句を言わなかった。しかし裏では事態を注視し、側近たちに状況を尋ねていたらしい。随行員の1人は、「横断幕に『ソ連にはゴルバチョフがいる。中国には誰がいるか?』と書いてある。」と言った。
7.ロシアに対する中国の認識は大きく変化してきた。天安門事件25周年今年、両国は向こう30年にわたる天然ガス供給契約を結び、友好関係を確認し合った。ただし現在の両国関係においては、欧米諸国の制裁に苦しむロシアのほうが格下である。今どき、ロシアを羨ましいと思う中国人はほとんどいない。中国政府は、ゴルバチョフのグラスノスチがソ連崩壊を招いたと考えている。歴代の国家主席も、「中国のゴルバチョフ」になり得ると評されるのを嫌っていた。
8.ゴルバチョフを過大評価していたが、もっと大きな見込み違いもしていた。「天安門の悲劇が共産党の崩壊を招くだろう」という予測である。天安門での抗議デモのニュースは、中ソ首脳会談の取材のために中国入りしていた外国の記者たちにとって不意打ちだった。中国政府が最終的にデモを終結させるために「あそこまで」やるとは予想できていなかった。
9.デモは何週間も続き、取材を続けていた多くの記者やカメラマンは疲れ切っていた。そんな日の晩、軍による強制排除が始まった。北京に残るのは少人数のスタッフだけだった。中国の友人たちから、当局による弾圧が近いと警告する電話が入り始めていた。興奮した市民たちが、人民解放軍から奪ったヘルメットや制服の切れ端、装備品一式を「戦利品」として見せびらかしながら3輪バイクを乗り回す光景を見て、悪い予感は募った。
10.軍の弾圧が、あそこまで残忍なものとは予想していなかった。あまりにひどい大虐殺(当局が事実を全否定)で頭に血が上り、暴発しそうになったこともあった。北京飯店ホテルの従業員が表情一つ変えずに「天安門広場の近くで殺された人はいない」と言うのを聞いたときは、われを忘れて中国語で怒鳴り返した。


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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