2015年02月27日

共産党の無謬神話は、マルクス・レーニン主義は科学的社会主義であり、科学的に判断や行動をしているから、党内に陰謀や裏切りがなければ常に正しい。


「池上彰著:学校では教えない「社会人のための現代史」池上彰教授の東工大講義、文藝春秋、2013年」が面白い。「Lecture2.ソ連崩壊 社会主義の理想が怖い国になるまで」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.東西冷戦の東側諸国のソ連は、もはや存在しない。「ソビエト」とは「評議会」のことで、ロシア革命の際、革命の中心となったロシア社会民主労働党が、皇帝や議会に対抗して結成した指導機関のことである。このソビエトが全権力を掌握して革命を成功させたことで、国名となった。
2、建前上、ロシアを含めて15の共和国が対等な立場で集まって「連邦」を結成した。実態は、ソ連共産党がすべての権力を掌握し、ソ連の中で圧倒的な国土を擁するロシアが上に立つ構造だった。ソ連がめざした「理想」とは、資本主義に代わる社会主義だった。
3.当時の資本主義経済のもとでは、しばしば恐慌が発生し、労働者は悲惨な生活を強いられていた。恐慌が起きるような景気の変動を抑えるため、経済はすべて国家の計画によって運営することにした。民間企業は金儲けのために労働者を搾取したり、解雇したりすると考え、原則すべての企業を国有化した。こうすれば、不況や失業者は一掃されると考えた。その上で、社会を建設しようとした。これは、「理想」だったが、理想にとどまりました。実際のソ連は、そうはいかなかった。
4.ソ連は世界最初の社会主義国だった。ロシア革命が起きると、資本家が多数処刑され、まったく異なる政治・経済体制の国家が生まれたことに、周辺諸国は危機感を抱いた。なんとか国家体制を転覆させたいと考える勢力も生まれた。ソ連共産党のスターリン書記長は、これに恐怖を感じ、社会主義を推進する上で、「資本主義を宣伝する言論」を禁止した。すべての報道機関は、「社会主義の優位性」を宣伝した。ソ連の体制に抵抗したり、反対したりする個人や勢力は、容赦なく弾圧された。「理想」の国家を目指したはずのソ連は、言論の自由のない、牢獄のような国家に変質した。
5.他の有力指導者たちとの権力闘争を通じて、スターリンは、すべての情報が集まる書記長のポストを有効に使い、書記長に権力が集中する仕組みに変えて、共産党のトップを書記長と呼ぶようにした。これが中国共産党になり、「総書記」という職名になった。スターリンは本名ではなく、「鉄の男」を意味するペンネームである。スターリンは、その名の通り「強い指導者」として、ソ連を引っ張った。
6.ヨシフ・スターリン(1879〜1953)は、やがて世界に衝撃を与えた。スターリンが死去して3年後の1956年2月、ソ連共産党第20回大会でフルシチョフ第一書記の秘密報告が行われた。スターリン死後、後継者のフルシチョフは第一書記の肩書を使用した。北朝鮮の金正日総書記の死後、後継者で息子の金正恩が総書記の肩書を使わずに第一書記の名称を使用したのと同じである。ソ連では、フルシチョフが失脚した後、次のブレジネフが書記長の名称を復活させた。
7.フルシチョフ第一書記の秘密報告により、スターリンの時代が暗黒時代だったことが判明した。1934年のソ連共産党第17回党大会で選ばれた中央委員会の委員と委員候補計139人のうち98人が逮捕・銃殺されていた。大会に出席した代議員1956人のうち、l108人が逮捕・処刑されていた。いわゆる粛清である。
8.スターリンは疑り深い人物で、周辺の人々を決して信用せず、日常の言動の中に勝手に「陰謀」の臭いを嗅ぎ、「人民の敵」として摘発した。スターリンは、取り調べにあたって拷問をするように指示し、拷問に耐えかねて多くの人が「犯行」を認め、処刑されていった。
9.スターリン時代、少なくとも800万人が処刑されたり強制収容所に入れられたりしたと見られている。1200万人から1500万人にも上るという推測もある。粛清は軍隊にも及び、全軍将校の5分の1の数千人が処刑された。第2次世界大戦が始まり、ドイツ軍がソ連に侵攻すると、ソ連軍は有能な将校たちがいなくなっていたから総崩れした。
10.スターリンは、無実の人を粛清しただけではなく、ソ連の農業を崩壊させた。ソ連では1929年からスターリンによる農業集団化が実施された。ソ連は「労働者の国家」。労働者は、生産手段を持っていない。生産手段を持っているのは資本家(ブルジョアジー)であり、労働者の敵だという考え方である。資本家の生産手段を国家が取り上げるのが国有化である。
11.当時のロシアの農民は、広い農地を持っている大規模農家と、その下で農地を借りて農業を営む小作農に分かれていた。農民にとって農地は生産手段である。そこで、農地は国有化されたり、集団農場に集約されたりした。その上で、生産手段を有する大規模農家は「富農」と、富農に搾取されて働く小作農の「貧農」に分類されて、富農は容赦なく
処刑された。富農とレッテルを貼られた900万人が農地を追われ、うち半数が処刑された。
12.農地が集団農場になったことにより、農民のサラリーマン化が進み、午前9時から午後5時まで働けば、あとは知らない、ということになった。この結果、ソ連全土で農業生産性が劇的に低下した。「ロシアの穀倉地帯」と呼ぼれたウクライナでも飢饉が発生した。13.農業集団化失敗の影響は、ソ連だけではなく、失敗は隠され、農業集団化の成功だけが伝えられ、中国でも毛沢東の下で農地が人民公社に集約された。「大躍進政策」と呼ぼれたが、躍進するどころか、農業生産性が急降下。1960年前後の3年間に少なくとも2000万人が餓死した。中国も、この失敗を隠したため、「成功」と考えた北朝鮮が導入して、やはり大量の餓死者を生みだした。さらに、独立を果たしたアフリカ諸国の中にも導入した国があり、こうした国々でも農業生産性が落ち、慢性的な飢餓状態が長らく続いた。
14.スターリンの生存中、ソ連各地にスターリンの銅像が建てられ、個人崇拝が進んだ。レーニン廟の横にスターリン廟が設けられ、スターリンの遺体を拝むことができるようになった。フルシチョフのスターリン批判の後、スターリン像は撤去され、スターリンの遺体は廟から運び出されて埋葬された。
15.中国共産党は「スターリン批判」を認めた。スターリンに対する個人崇拝の批判・否定は、中国国内で進んでいる毛沢東への個人崇拝を否定することになると考え、中国への当てつけだと感じた毛沢東は、ソ連と距離を置くようになり、これ以降、中国とソ連は対立することが多くなり、やがては中ソ対立に発展した。
16.理想の社会を求めたはずの社会主義国家に独裁者が生まれ、個人崇拝の対象になったのは、皮肉なことである。ソ連に限ったことではなく、中国の毛沢東しかり、北朝鮮の金日成と金正日しかり、旧ユーゴスラビアのチトーしかり、ルーマニアのチャウシェスク、アルバニアのホッジャなど多数の例がある。
17.個人崇拝になる理由は、2つの要素がある。「代行主義」と「無謬神話」である。共産党組織は、多数の代議員が集まって大会を開き、中央委員会の委員を選出する。中央委員は多数いるので、日常的な政治判断は、中央委員会の中の政治局が担う。その政治局の中の少数が、密室で判断を下す。実力のあるトップがいれば、周辺の幹部は、トップの判断に従う。こうして独裁的な権力者が生まれやすくなる。報道の自由はないから、判断内容は批判されることなく実行される。国民の自由な意思で選ばれたわけではない分、引け目があるから、「卓越した指導者」というキャンペーンを張って、国民を納得させなければならない。こうして独裁者が誕生する。
18.「無謬神話」とは、マルクス・レーニン主義は科学的社会主義であり、科学的社会主義の党である共産党は、科学的に判断や行動をしているから、常に正しい。指示や命令は科学に基づいているのに、うまくいかないことがあれば、それは党内に陰謀や裏切り、敵の策略ががあるからである。そうした敵を見つけ出して処分すれば、間違いのない共産党は、再び躍進でき、人民の党は間違えることがない、という「思い込み」である。


yuji5327 at 06:57 
共通テーマ 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





地域別アクセス

ジオターゲティング

ジオターゲティング
livedoor プロフィール

yuji5327

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード