2015年05月29日

50年以上も禁止したまはあり得ない。一つのリスクを減らすと別のリスクが増えることに注意して、リスク管理しなければいけないことを、DDTの例は教えてくれた。

原発事故と放射線のリスク学
中西準子
日本評論社
2014-03-14

「中西準子著:原発事故と放射線のリスク学、日本評論社、2014年」の「第4章:化学物質のリスク管理から学ぶこと」は非常に参考になる。「リスクトレードオフ」「なぜ、DDTが禁止されるようになったか」という小題の部分の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.レイチェル・カーソンが、鳥が死ぬから大変だと言ったことは以下のとおり事実だった。1967年の『ネイチャー」と1968年の『サイエンス』に載った論文で、現実に鳥はどんどん減っているとの報告がある。やはり、DDTの影響で食物連鎖でハヤブサやハイタカといった肉食性の鳥が減っていくのは事実だった。卵殻が薄くなって、結局壊れてしまって艀化しない、明らかにDDTの影響だった。したがって、DDTが鳥に対してとても悪い影響を与えたこと自体は本当である。
2.DDTを禁止してしまうことによって人間がマラリアで死んでいくということが起きていた。こういう場合に私たちは、リスクとその受け手ということを考えなければいけない。たとえば農薬として使用する場合、禁止したときのリスクとして、地域の人々には減収がある。消費者にとっては値上りのリスクがある。生態系へのリスクはなくなる。
3.使うときのリスクは、鳥類への影響である。室内散布の場合の使うときのリスクは、地域の人たちに対してがんや神経障害、お金がかかるといったことが少しあるかもしれないが、禁止したときのマラリアのリスクが圧倒的に大きい。室内で使う分には生態系への影響はほとんどない。このようにリスクは、相手がどうで、どのぐらい使うかといったことによって様子が違ってくる。
4.農薬として使用するリスクは、生態リスクなどがあり、禁止に伴って生産高の減少というリスクがある。DDTの場合、農薬用ではたまたま代替物を作ることができた。そして、代替物による生態リスクとDDTの生態リスク、両者の費用なども比べて、それほど大きなマイナスにはならない。DDTが禁止されても逆のリスクが出てくることはそれほどない。
5.殺虫剤として使う場合、マラリアに対する他の対策が、どうしても良いものが出てこなくて、DDT以外は使えない。費用の問題もあって、結局、農薬では禁止して、室内で殺虫剤としてのみ使うというのが、WHOの選択となった。それは、リスク管理の点から、秀逸な決定だった。
6.これまでDDT反対運動をやっていた人たちは、DDTは悪い、禁止しようという考えからなかなか頭が切り替わらないので、WHOの方針転換に反対した。リスクは、有害性の強さとばくろ量で決まるということを考えない人がいる。有害なものは禁止すべきという考え方になってしまう。この用途はいけないが、この用途なら大丈夫というように区別するという考え方がなかなかできない。
7.リスクの裏に利点があることを認めない。たしかに、DDTを使うことによって若干の問題があるが、マラリアを防ぐという大きな目的があった。それを認めないで、悪いことがあれば禁止するという考え方になる。農薬はうまく代替物ができたので、殺虫剤も代替物が見つかるに違いないと思ってしまう。そうして、余計に時間が経ってしまう。何かを禁止したときに別の、たとえばマラリアという(対抗)リスクが見えなくなってしまう。
8.背景に、途上国の人々の命の軽視というのもある。もし、マラリアがニューヨークや東京で起きて多数の死者が毎年発生していたら、40年も50年も禁止したままにすることはあり得ない。一つのリスクを減らすと別のリスクが増えるということに注意して、リスク管理はしなければいけないことを、DDTの例は教えてくれた。


yuji5327 at 07:04 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
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・学生:月曜日
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